僕と異世界と主人公と

ノベルバユーザー269454

出会い

「そこの君だよ!」

振り返ると金髪オールバックの坊ちゃんが居た。


「僕の名前はマール・さ・フォーイ。君も上流貴族だろ?よーろしく。」

そう言って手を差し伸べてくる。

異世界のマルフォイか!ヤバい。いきなり濃ゆいやつに出会ってしまった。そう思いながらも握手に応じる。


「よろしく。僕はシリウス・す・ホワイトライトだよ。何で上流貴族だって分かったの?」


「君の乗ってきた馬車にす級の紋章があるじゃーないか」


「なるほど、これウチの紋章だったのか。気にした事なかったわ」


「君って結構適当な人っぽいーね」


「初対面で適当って結構失礼だぞ。あと喋り方どくとくだな」


「君も結構直球でいってくるじゃなーいか」


「まぁ、、、お互い試験頑張ろう」

急に面倒になってきたので会話を終末へと持っていくことにした。


「そうだーね。上流貴族たる僕なら余裕だけどーも!」

さらばだ!と言って学園へと歩いていくマルフォイ。

僕も行き先は学園なのだが後ろを着いていく形になるのも嫌なため少し時間を空けてから学園へ向かった。



受付を済ませて受験番号の書かれた名札を貰い胸ポケットに付ける。ちなみに114番だ。イイヨなんていい番号を引いたみたいでちょっと嬉しくなる。

...



...

試験は割と簡単であった。勉強も魔法も100点なんてのは主人公だけでいいので全部77点になるように調整した。初等部の試験なんてこんなものだろう。


僕はさっさと家に帰ることにした。誰も居ないであろう路地裏に入ってから転移魔法を発動する。

途端にジェットコースターを急降下した感覚に襲われる。2秒ほど経つと我が家に到着だ。

ちなみに学園から我が家への転移は2秒ほどかかったがこれは距離に比例して時間がかかるようになっている。

そのため戦闘などでは転移を連発して「ふっ、残像だ」を実現できる。一般人は連発はおろか転移すら使えないのだが、双子ちゃん達は天才なので一時期「ふっ残像だごっこ」が流行った。




「ただい、、、」

扉を開けようとした所で気づいたが馬車を置いてけぼりにしてきてしまった。

面倒だが戻った方がいいか、、、転移



再度学園近くの路地裏に戻ってきた。と同時に僕は直感が働き影魔法を使用して姿を隠した。



「おめぇみたいな平民が学園に行こうなんて生意気なんだよ!」

どうやらアホな貴族のいじめ現場に出くわしてしまったらしい。

このシチュエーションは主人公が助けにくるはずなので僕はこのまま影に隠れて待つことにした。


「何をしてるんだ!やめたまーえ!」

(この独特なしゃべりかた。まさか!)

そこに現れたのは僕と同じ背丈で、、、金髪の、、、オールバックだった。

(お前かマルフォイ?!お前は虐める側じゃないのか!間違ってる、間違っているぞ!)



「なんだてめぇ!変な喋り方しやがって!」

いい感じのモブっぽいセリフを吐く不良少年A

そーだそーだ!と相打ちする不良少年BとC


「僕は貴族であることに誇りを持ってるけどーも!貴族だから平民を虐めていい訳ではないんだーよ?」

意外と常識人なマルフォイ。


「うるせー!おれは な級のドドン・な・パパイヤ様だぞ!」

パパイヤってお前、最初に名付けたやつ出てこい!パイン煮にしてやんよ!(笑)


「名乗られたら名乗り返すべきだーね。僕はマール・さ・フォーイだーよ。」

マルフォイが名乗り返した途端にドドンパ君と取り巻きの顔が青ざめる。取り巻きAとBは名乗ってないから青ざめる必要は無い気がするけども。


そりゃ青ざめるか。なんたって上流貴族の中でもトップに位置するさ級だもんね。


「すみませんっした!」

ドドンパ君がすかさず謝る。


「僕に謝っても意味がないだーろ?」

喋り以外は全てがカッコイイぞマルフォイ!コイツとは絶対に仲良くなろう。


「お、おい平民。名前なんてーんだ」

「え?」

いじめられっ子は戸惑っている。


「名前だよ!」

「ま、マヤ・む・サファイアです」


「サファイアさん。ごめん」

口を尖らせながら謝るパパイヤ君。まだ5歳だしね。可愛いもんだね。

それを見て満足そうにするマルフォイ。

一通り観察したので僕は姿を現すことにした。もちろんあからさまに影から出るようなことはしない。


なぜ姿を現したかと言うとこれだけは伝えたかったからだ。

「マルフォイ、お前かっこいいな」


すこし照れた様子を見せながらこちらを見るマルフォイ

「いやぁ、見てたのかい?照れるじゃなーいか。あと僕はマール・さ・フォーイだ。まとめないでくれたまーえ」


言いたいことは伝えたので僕はさっさと帰るために馬車へと向かうのであった。


これが僕の生涯の親友になるマルフォイとの出会いだった。



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