《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

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125話~決戦Ⅱ~

 シラティウスがドラゴンになって、セイのことを魔王のもとまで連れて行くと言った。断った。



 セイ自身がドラゴンになって、魔王のもとへ行くことにした。シラティウスを巻き込みたくはない。



 飛び立つ。



 眼下に都市サファリアの景観を広がっていた。赤レンガの建造物もあれば、灰色の素朴な色合いの建造物もある。ここ数日、ずっとセイがお世話になってきた都市の景色だった。



 前方――。



 魔王サタンが、ついに城壁を破って都市の中に入り込んでいた。都市の中には冒険者だけではなくて、もちろん一般市民もいる。市民は安全な場所に避難しているはずだが、それでも城壁が破られるのは恐るべき事態だ。



 破られた城壁からは水掘りの水が入り込んできている。それと同時に、モンスターもなだれ込んでいた。



 巻き添えになっている市民はいなさそうだが、冒険者たちには被害がおよんでいた。



 逃げ惑う冒険者の一団を見つけた。
 モンスターの群れが、それを追いかけている。



 冒険者をかばうように、セイは着陸した。ドラゴンの翼が当たって、近辺の建物が倒壊した。



 モンスターたちはドラゴンのセイに怖れをなしたかのように、はたと立ち止った。モンスターを踏みつけて、巨大な黒い粘液がセイの前に立ちはだかった。



「ぐるるるッ」
 と、セイは吠えた。



 別に意味はない。
 ため息を吐こうとしたら、唸り声になっただけだ。



『聞こえますか』
 レフィール伯爵の声が、セイの胸裏に響いた。



「どうしました?」



『きっと今、あなたは魔王サタンを前にしている。そんな気がしたのです』



「御名答。さすが鋭い勘をしてらっしゃる」



『余裕そうですね』



「まさか」



 強がりだ。
 怖くて震えている。



 でも、逃げるわけにもいかないし、仕方なく魔王の前に立ちはだかっているのだ。



『怖れることはありません。あなたはとても勇敢です』



「励ましてくれるのは良いんですけど、オレはただの一兵卒だったんですからね」



 まともな戦争にも加わったことはないのだ。



『魔王を封印することができたら、すぐに私のもとに戻ってきてください。子供をつくりましょう』



「は?」



『魔王が封印されれば、霧も晴れます』



「いや、しかし……」



『ですので、生きて戻ってきてくださいね』



 急に念話が切断された。
 レフィール伯爵の照れ隠しだろう。



 セイは両翼をはばたかせて、一本の矢のように魔王のもとへ突撃した。

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