《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

執筆用bot E-021番 

117話~キリアの戦いⅡ~

 ロロナの言葉を信じて、バービカンをまかせることにした。キリアはバービカンと副市をつなぐ橋の上に向かった。武器や木箱などが乱雑に放置されている。一見しただけで不自然に荷物が山積みになっている場所があった。



「らぁぁッ」
 裂帛の気合いとともに、荷物を殴り飛ばした。



「ひえぇぇッ」
 と、中からマッシュが姿をあらわした。



「よくその巨体で隠れられていたな」



「お、おのれぇ。なぜ私がここにいるとわかった」



「ちょっとした情報があってな」



 ロロナの言葉はウソではなかった。本気でロロナは、キリアの味方をしてくれるつもりらしい。正確には、セイの味方、と言うべきなのだろう。



 ロロナとセイのあいだに何かあったのかと思うと、胸を焼かれるような痛みを覚える。嫉妬だ。



「く、くうぅぅっ」
 マッシュは汗をだらだらと流していた。



「すぐさま殺してやりたいところだが、貴様には訊きたいことがある」
 キリアはマッシュの胸ぐらをつかんだ。



「な、なんだ」
「どうやって都市の中に入った」



 都市の中に入るには必ず素性を確認される。軍事都市というよりも、商業都市という色が濃いようで、確認されるのはおもに積荷だ。



 キリアたちがはじめてサファリアに入ったときも確認された。それからは通行手形をもらっているので、簡単に出入りできる。とはいえ、タギール・ジリアルとマッシュ・ポトト。それから、シド・アラインの人相書きは冒険者ギルドに出回っている。



 もちろんキリアたちが回したものだ。



「またお得意の、あの妙なトビラで移動したか?」



「あ、あれはシルベ教の手の者の魔法だ。空間移動系の魔法で、今回は使ってはいない」



「ほお」
 たしかに都市の中に急にトビラが現われたら、どこに出てきてもたいていは目立つ。



「な、なんだ、小娘」



「その巨体だ。どうやって入ってきても目立つと思うのだがな」



「……」
 マッシュは黙っている。



「誰かが、手引きしたな?」



 内側から、マッシュのことを招き入れた人物がいるのだ。



「知らん……」
 マッシュはそう言うとニヤリと笑った。不意に背後に殺気を感じた。振り向くとそこには父がいた。



「また亡霊か」
「この亡霊は貴様にはよく効くはずだ」



「残念だった。父は私の中に生きている。もう惑わされることなどない」



 キリアはマッシュの膨らんだ腹に、コブシを叩きこんだ。



「うへぇぇぇッ」
 と、マッシュのカラダがはじけた。



 肉片が飛散すると同時に、キリアの背後に立っていた父の亡霊が消える気配があった。キリアは一度も振り向くことはなかった。マッシュを殺したことによって、何かをやり遂げたような感覚にはなった。



「誰か裏切り者がいるな」
 聞きそびれた。

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