《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする
117話~キリアの戦いⅡ~
ロロナの言葉を信じて、バービカンをまかせることにした。キリアはバービカンと副市をつなぐ橋の上に向かった。武器や木箱などが乱雑に放置されている。一見しただけで不自然に荷物が山積みになっている場所があった。
「らぁぁッ」
裂帛の気合いとともに、荷物を殴り飛ばした。
「ひえぇぇッ」
と、中からマッシュが姿をあらわした。
「よくその巨体で隠れられていたな」
「お、おのれぇ。なぜ私がここにいるとわかった」
「ちょっとした情報があってな」
ロロナの言葉はウソではなかった。本気でロロナは、キリアの味方をしてくれるつもりらしい。正確には、セイの味方、と言うべきなのだろう。
ロロナとセイのあいだに何かあったのかと思うと、胸を焼かれるような痛みを覚える。嫉妬だ。
「く、くうぅぅっ」
マッシュは汗をだらだらと流していた。
「すぐさま殺してやりたいところだが、貴様には訊きたいことがある」
キリアはマッシュの胸ぐらをつかんだ。
「な、なんだ」
「どうやって都市の中に入った」
都市の中に入るには必ず素性を確認される。軍事都市というよりも、商業都市という色が濃いようで、確認されるのはおもに積荷だ。
キリアたちがはじめてサファリアに入ったときも確認された。それからは通行手形をもらっているので、簡単に出入りできる。とはいえ、タギール・ジリアルとマッシュ・ポトト。それから、シド・アラインの人相書きは冒険者ギルドに出回っている。
もちろんキリアたちが回したものだ。
「またお得意の、あの妙なトビラで移動したか?」
「あ、あれはシルベ教の手の者の魔法だ。空間移動系の魔法で、今回は使ってはいない」
「ほお」
たしかに都市の中に急にトビラが現われたら、どこに出てきてもたいていは目立つ。
「な、なんだ、小娘」
「その巨体だ。どうやって入ってきても目立つと思うのだがな」
「……」
マッシュは黙っている。
「誰かが、手引きしたな?」
内側から、マッシュのことを招き入れた人物がいるのだ。
「知らん……」
マッシュはそう言うとニヤリと笑った。不意に背後に殺気を感じた。振り向くとそこには父がいた。
「また亡霊か」
「この亡霊は貴様にはよく効くはずだ」
「残念だった。父は私の中に生きている。もう惑わされることなどない」
キリアはマッシュの膨らんだ腹に、コブシを叩きこんだ。
「うへぇぇぇッ」
と、マッシュのカラダがはじけた。
肉片が飛散すると同時に、キリアの背後に立っていた父の亡霊が消える気配があった。キリアは一度も振り向くことはなかった。マッシュを殺したことによって、何かをやり遂げたような感覚にはなった。
「誰か裏切り者がいるな」
聞きそびれた。
「らぁぁッ」
裂帛の気合いとともに、荷物を殴り飛ばした。
「ひえぇぇッ」
と、中からマッシュが姿をあらわした。
「よくその巨体で隠れられていたな」
「お、おのれぇ。なぜ私がここにいるとわかった」
「ちょっとした情報があってな」
ロロナの言葉はウソではなかった。本気でロロナは、キリアの味方をしてくれるつもりらしい。正確には、セイの味方、と言うべきなのだろう。
ロロナとセイのあいだに何かあったのかと思うと、胸を焼かれるような痛みを覚える。嫉妬だ。
「く、くうぅぅっ」
マッシュは汗をだらだらと流していた。
「すぐさま殺してやりたいところだが、貴様には訊きたいことがある」
キリアはマッシュの胸ぐらをつかんだ。
「な、なんだ」
「どうやって都市の中に入った」
都市の中に入るには必ず素性を確認される。軍事都市というよりも、商業都市という色が濃いようで、確認されるのはおもに積荷だ。
キリアたちがはじめてサファリアに入ったときも確認された。それからは通行手形をもらっているので、簡単に出入りできる。とはいえ、タギール・ジリアルとマッシュ・ポトト。それから、シド・アラインの人相書きは冒険者ギルドに出回っている。
もちろんキリアたちが回したものだ。
「またお得意の、あの妙なトビラで移動したか?」
「あ、あれはシルベ教の手の者の魔法だ。空間移動系の魔法で、今回は使ってはいない」
「ほお」
たしかに都市の中に急にトビラが現われたら、どこに出てきてもたいていは目立つ。
「な、なんだ、小娘」
「その巨体だ。どうやって入ってきても目立つと思うのだがな」
「……」
マッシュは黙っている。
「誰かが、手引きしたな?」
内側から、マッシュのことを招き入れた人物がいるのだ。
「知らん……」
マッシュはそう言うとニヤリと笑った。不意に背後に殺気を感じた。振り向くとそこには父がいた。
「また亡霊か」
「この亡霊は貴様にはよく効くはずだ」
「残念だった。父は私の中に生きている。もう惑わされることなどない」
キリアはマッシュの膨らんだ腹に、コブシを叩きこんだ。
「うへぇぇぇッ」
と、マッシュのカラダがはじけた。
肉片が飛散すると同時に、キリアの背後に立っていた父の亡霊が消える気配があった。キリアは一度も振り向くことはなかった。マッシュを殺したことによって、何かをやり遂げたような感覚にはなった。
「誰か裏切り者がいるな」
聞きそびれた。
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