《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする
第50話~アンヌの鼻~
セイとフォルモル。
ピュラとアンヌの4人はエルフを探していた。
まだ生き残っているエルフがいるかもしれない。エルフの存在を探り当てるのに、アンヌの鼻が役に立った。洞窟だったり、巨木のウロの中にエルフは隠れていた。1人、2人と見つけると、しだいにエルフたちのほうから顔を出しはじめた。
「すこしだけ2人で話をさせてください」
と、ピュラはセイのことを雨の降らない木陰に引っ張り込んできた。
「どうかしたのか?」
「お礼を言おうと思って。助けていただき、ありがとうございました」
「いや。こっちも困っている人たちの助けになれ――って命令を受けてるから、そんなに気にすることはないよ」
「それでも、セイさまのチカラがなければ、いまごろエルフの集落はケルベロスに乗っ取られておりました。あの冒険者たちもケルベロスの返り討ちにあっていたことでしょう」
ありがとうございました――と他のエルフたちも集まってきた。エルフはみんなピュラと同じく少女の姿をしていた。
「エルフに男はいないのか?」
「エルフの男たちもこの雨で……」
「そうか」
「あとはエルフ族長が戻って来れば良いのですが……」
と、ピュラは肩を落とした。
「そう言えば、連れて行かれたんだったな。犯人に心当たりはないのか?」
「私はわかりません」
ケルベロスにばかり気を取られていて、エルフ族長を誘拐した人物を見た者はいないようだった。
ただ――。
「私、エルフ族長の部屋で妙なものを見つけました」
言ったエルフがいた。
そのエルフが差し出したのは銀色のプレートだった。手のひらにおさまる程度の大きさだ。そのプレートには目玉の模様が刻まれていた。
「これは……シルベ教の紋様か」
シルベ教の信者にひとり心当たりがある。もっとも、彼女がエルフに何かした犯人だとは限らないが、それでも何か引っかかるものを感じた。
「あのー。お義姉さま」
と、アンヌが寄ってきた。お義姉さまとは、いったい誰のことかと思った。どうやら、セイのことらしい。いや、アンヌからはあくまで、「セーコ」として見えているのだろう。
「どうかしましたか?」
と、セイは応じた。
会話の邪魔をされたのが不服なのか、ピュラはすこしむくれたような顔をしていた。
「お話しているところ申し訳ないのですが、ひとつ気がかりなことがありまして」
「なんです?」
「ケルベロスとかいうバケモノの臭いと、同じ臭いのする人がいたんですけど……」
アンヌの言葉に、セイは薄ら寒いものをおぼえた。
ピュラとアンヌの4人はエルフを探していた。
まだ生き残っているエルフがいるかもしれない。エルフの存在を探り当てるのに、アンヌの鼻が役に立った。洞窟だったり、巨木のウロの中にエルフは隠れていた。1人、2人と見つけると、しだいにエルフたちのほうから顔を出しはじめた。
「すこしだけ2人で話をさせてください」
と、ピュラはセイのことを雨の降らない木陰に引っ張り込んできた。
「どうかしたのか?」
「お礼を言おうと思って。助けていただき、ありがとうございました」
「いや。こっちも困っている人たちの助けになれ――って命令を受けてるから、そんなに気にすることはないよ」
「それでも、セイさまのチカラがなければ、いまごろエルフの集落はケルベロスに乗っ取られておりました。あの冒険者たちもケルベロスの返り討ちにあっていたことでしょう」
ありがとうございました――と他のエルフたちも集まってきた。エルフはみんなピュラと同じく少女の姿をしていた。
「エルフに男はいないのか?」
「エルフの男たちもこの雨で……」
「そうか」
「あとはエルフ族長が戻って来れば良いのですが……」
と、ピュラは肩を落とした。
「そう言えば、連れて行かれたんだったな。犯人に心当たりはないのか?」
「私はわかりません」
ケルベロスにばかり気を取られていて、エルフ族長を誘拐した人物を見た者はいないようだった。
ただ――。
「私、エルフ族長の部屋で妙なものを見つけました」
言ったエルフがいた。
そのエルフが差し出したのは銀色のプレートだった。手のひらにおさまる程度の大きさだ。そのプレートには目玉の模様が刻まれていた。
「これは……シルベ教の紋様か」
シルベ教の信者にひとり心当たりがある。もっとも、彼女がエルフに何かした犯人だとは限らないが、それでも何か引っかかるものを感じた。
「あのー。お義姉さま」
と、アンヌが寄ってきた。お義姉さまとは、いったい誰のことかと思った。どうやら、セイのことらしい。いや、アンヌからはあくまで、「セーコ」として見えているのだろう。
「どうかしましたか?」
と、セイは応じた。
会話の邪魔をされたのが不服なのか、ピュラはすこしむくれたような顔をしていた。
「お話しているところ申し訳ないのですが、ひとつ気がかりなことがありまして」
「なんです?」
「ケルベロスとかいうバケモノの臭いと、同じ臭いのする人がいたんですけど……」
アンヌの言葉に、セイは薄ら寒いものをおぼえた。
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