女神と天才の異世界冒険譚

たぬきち

ともだちひゃくにん⑥

「……と、いう訳なのじゃ!」

 アリスの説明はめちゃくちゃ分かり辛く、理解するのにちょっと時間がかかったが、なんとなくわかった。

「で、俺は何をすればいいんだ?」

「金を出すのじゃ!」

「どこの強盗だよ!」

 というか、金貨五十枚は流石にない。取り敢えずそこから何とかしないといけない。

 つまりは……ギャンブルだ。

「ふーん……なるほどね」

 ここ、D棟のカジノには見覚えのあるものからないものまで、多種多様なゲームが揃っている。

 それに黒服が着けているグラサン。あれもただのグラサンじゃないみたいだ。背後から覗いた所、サーモグラフィーの様な変なものが見えた。

 まあ、そうじゃなきゃ室内で着けるわけないか。

「取り敢えず、分かれて金を稼ぐぞ」

「それなんじゃが、ちょっと今ワシ運が奪われておるからちょっと……」

 珍しく自信なさげなアリス。

「……ギャンブルは運の要素が少ないものもある。そういうのを選んでやればいいだろ?」

「まあ、そうじゃのう……」

「とにかく急ぐぞ。俺は正直眠い」

 金だけ稼いだら後はアリスに任せよう。疲れてるし。ラックスティーラーとやらは気になるが、勝ち方はもう分かっている。

 認識を誤認させればいいのだ。例えばラックスティーラーと戦う奴にじゃんけんでグーはパーに勝つと認識させておけば、負けようとその通りに手を出すだろう。

 結果、本人にはそのつもりはなくとも勝てると言う訳だ。そんなつまらない相手と戦うのは無駄だ。

 手早くアリスと金貨を分け、二手に別れると、早速参加するギャンブルを選ぶ。

「さてと……」

 ここは当然、知らないゲームをするべきだ。じゃないと、面白くないからな。

「……む。マジックカード?」

 足を止めたのは一人の男子生徒が行っているギャンブルだ。

 そのテーブルには火、水、風、土、雷。五つの属性をモチーフにした五種類のカードが並べられている。

「ねえ、これってどんなゲームなの?」

「あ、やってみる?」

「うん。金貨しか持ってないんだけど……」

「……取り敢えず、チップに両替してきなよ」

 男子生徒は呆れたようにカウンターを指差す。

 よく見るとアリスもチップに金を交換しているようだ。その表情からして奴も注意されたみたいだな。

 素人感を晒してしまったが、まあしょうがない。まさか異世界でも地球のカジノと同じような手口を使っているとは思わなかった。

 カウンターらしき場所の黒服に金貨を渡すと、金色のチップが返ってくる。

「これ交換する意味あんまりないだろ……」

 返ってきた金色のチップ二枚を見て、思わず呟く。

 地球のカジノでチップに金を替えるのは二つの理由がある。

 一つは金を使っている感覚を失わせる為。

 もう一つは金を使うと回収が面倒だからだ。特に額が大きくなればなおさら。

 だが、ここでは銀貨なら銀のチップ。金貨なら金のチップというだけで枚数は変わらない。

 この事から分かるのは、ここのシステムを作った奴が地球の真似をしたものの、その理由はわかっていない間抜けだということだ。

「これでいいか?」

 俺は変えた金のチップを先程の男子生徒の所へ持っていく。

「ああ。じゃあルールの説明だ」

 そういって説明されたルールはそう難しいものではなかった。

 カードの枚数はそれぞれの属性が十枚ずつの五十枚。まずはその中から五枚、それぞれ好きな属性のカードを選ぶ。

 その組み合わせは全て違う属性でもいいし、同じ属性を複数枚選んでもいい。

 ただし、同じ属性は三枚までしか選べない。

 そして残ったカードをお互いにシャッフルし、半分の二十枚ずつ配る。

 後は先行、後攻を決め、カードを出していき、先に全て使い切った方の勝ちだ。

 カードには相性があり、出されたカードに勝てるカードしか出すことが出来ない。つまり、最初に火のカードが出されたなら水しか出せないという訳だ。

 相性は分かりやすく、火→風→土→雷→水→火となっている。

「まあ、まずは一回やってみよう」

 男子生徒は俺に金色のチップを返すと、カードを手慣れた手つきでシャッフルし、こちらに渡す。

 練習という訳か。良い奴だな。

 いや、待てよ……。
  
「……お前の分の二十五枚だ」

 五十枚まとめて渡してきた男子生徒に、それぞれの属性を五枚ずつに分けた二十五枚を返す。

 あのまま流れで俺が五十枚から五枚選んでいれば、次に選ぶ男子生徒は俺が何を選んだか残りのカードから推測出来てしまう。

 なるほど。近くの黒服が何も言わないと言うことは、こういった相手のミスを誘うようなプレイは認められているという訳か。

 油断ならないな。

「ちっ……」

 小さく舌打ちをした男子生徒は五枚選ぶと、残りの二十枚を場に置く。

 同じように俺も場に置き、カードを合わせ、交互にシャッフルする。

 そして二十枚ずつ配り直し、準備完了だ。

「あ、黒服のサングラスは特殊な魔法のかかった物で、ここにあるカードやダイス何かの道具は透けて見える。だから、すり替え何かは出来ないぞ」

「安心しろ。そのつもりはない」

 対戦と言うことで口調も戻し、眠たい頭を叩き起こす。

「先行、後攻はどう決めるんだ?」

「残りの二十枚から一枚引いて、勝った方が先行だ」

「どちらも相性の関係にない場合は? 風と雷みたいに」

「その時は二枚目、三枚目と繰り返しだ。使ったカードは残りの一番下に戻す」

 なるほど……。そこを覚えておけば……。例えば相手の一番下が風なら、先に土を十枚使い切っておけば出されることはない。

 もちろん、どちらに何枚あるかわからない以上、そう上手くはいかないだろうが、行動の指針にはなる。

「じゃあ……早速」

 お互いに残りのカードから一枚引き、場に出す。

「俺が先行か」

 相手は水。自分は雷だった。出来れば何度か続けたかったが、そこは仕方ない。

 最初か……。俺の手札はそれぞれの属性一枚ずつ。

 何を出しても変わらんが、相手の一番下が水である以上、取り敢えず火を出しておこう。

 カードは出すごとに一枚引いていく。今回はまた火のカードか。

「ふーん……」

 何やら思わせぶりな態度で男子生徒は手札から水のカードを出す。

「ちなみに一枚で出されたカードに対して、二枚以上で出すのはありなのか?」

「いや、一枚に対しては一枚だけだ」

 ふむ。で、あれば一枚しか出さなかったから相手の手札には一枚しかない、といった考え方は出来ないか。

 それに先行が取れるなら五枚全て別の属性がいいようだな。

 火、水、雷、土、風とお互いが出していければ最初の五枚は全て消費出来る。

 更に。

「パスだ」

 こうやって相手が出せなくなれば、攻め方も見えてくる。

 土が出せなかったのだから、相手の手札は火、水、雷、風の組み合わせ。

 そして、水は一度使っている。ならば、

「火だ」

 火のカードを出し、また一枚カードを引く。今度は雷だ。

 現在の手札は水、雷、土、風、風。

 五属性が全て揃っている状態をキープしておきたかったが、仕方ない。

「パス」

 水も無し? それとも出さないだけか? 

「雷……」

 まあいい。取り敢えずこのまま勝つしかない――。


◆◇◆


 それから、男子生徒は殆どカードを出すことなく俺の勝利で終わった。

「じゃあ、本番始めるぞ。ずいぶんと記憶力がいいみたいだけど、このゲームはそれだけじゃ勝てねーぜ」

 なるほど。奴にとっては練習する必要は無いわけだし、極力プレイスタイルや癖なんかを見られないようにしていたわけか。

 逆にこちらはゲームを理解するためにも本気で勝ちにいった。

 それを見るためにわざわざ練習させてくれた訳だ。小賢しい。

「さてと、まずは一枚でいいよな?」

「いや、二枚だ」

 面倒な事は早く終わらせるに限る。倍々ゲームですぐ終わらせる。金のチップを二枚置く。

「強気だなぁ。気に入った! 二枚で勝負だ!」

 そして、始まった本番。

 結果は当然ながら俺の勝ちだ。

 そもそも、アリスと勝負してばっかりで忘れていたが、俺は昔から勝負事は大概有利な状況で始まる事が多い。

 つまり、

「な、なんで十九枚連続相性関係無しなんて起きるんだよ」

「それはお互い様だし、まあ二十枚目で勝った俺の勝ちだな」

 相手の山札も、こちらの山札も把握できれば相手の手札も当然把握出来る。

 となれば、先行が勝つのが当然だ。

 もちろん全てのカードを記憶しておかないといけないが、それも種類が五種類だけでは簡単すぎる。

 つまらない。やはりこっちの世界でも、こういうゲームだとこんな事になるのか。

「も、もう一回だ! 次は勝つ!」

「次は四枚だぞ?」

「それでいい!」

 男子生徒は諦めきれないようで、再戦を望む。その理由は恐らく勝てるイカサマを仕込んでいるからだろう。

 怪しいのは黒服の視線がこっちに向いた時に、たまに目を閉じていることか。

 この世界には魔術とやらがあるようだし、視界リンクとかそんな感じの魔術を使っているのだろう。

「じゃあ始めよう」

 そして、始まった第二戦。当然の如く俺の勝ちだ。完封に近い。

「何故だ!? 今回は属性関係無しも五回で済んだし、把握できてないコイツに負けるわけが……」

「で、まだやる?」

「い、イカサマだ! 黒服! こいつを調べろ!」

 凄い言いがかりだな。まあ、当然の反応かも知れないが。

 だが、

「申し訳ありませんが、プレイ中におかしな点は御座いませんでした。である以上、調べる必要性はないと考えます」

 黒服は坦々とそう答えるだけ。

「うるさい! いいから早く調べろ! 魔術的な何かだろう!」

 なるほどな。自分がやってるイカサマもバレていない以上、黒服も完璧では無い。特に魔術に関しては。

 だから、相手も同じように魔術でイカサマをやっている。と、こう考えたわけだ。

「そこまで言われたんじゃ俺も気分が悪い。それにここでこうまで騒がれたんじゃ、ハッキリさせないと他のゲームが出来ないだろうしな」

 辺りの黒服や生徒達がコソコソとこちらの様子を伺っている。

 こんな状態でイカサマ師扱いされたんじゃ、今後に響く。

 ハッキリさせておくべきだろう。

「だが、人を疑うからにはそちらもリスクを負って貰う。間違っていたなら手持ちのチップを全て渡して貰う」

「え? それは……ちょっと」

 あ、こいつ何を弱気になってやがる。不味いな。ここで引き下がられたんじゃ俺の損だ。

「まあ、どうせわかるわけないがな……っ。イカサマなんてしてないんだから」

「……あれ? 今……」

 よし、考え出したな。後は俺の演技力が勝つか、コイツの洞察力が勝つかだな。

 しばらく考え込んでいた男子生徒は俺に指を突きつけ、言った。

「今のは失言だったな! 『わかるわけがない、イカサマなんてしてないんだからな』さっきのお前の発言だ。ちょっとおかしいよな? 文章として。よっぽど慌てたみたいだな。黒服! コイツの魔力残滓を調べろ!」

「い、いいんだな? 見つからなかったらお前の持ってるチップ全部貰うぞ?」 

 勝ったな。やはりコイツはアホだ。

 内心の歓喜を外に出さないよう気をつけながら、最後の確認を取る。

「構わない! 黒服!」

「両者がそれでいいなら……わかりました」

 黒服はポケットから指輪を取り出すと、それを指に嵌め、俺の心臓部に手を当てる。

 これ攻撃魔術か何か使われたら死ぬな……ちょっと緊張する。

「……あれ? ……これは!?」

 黒服の表情が変わる。疑問顔から驚愕の表情に。

 あれ? そういえばもしも、俺が無意識に魔術とやらを使っていればどうなるんだ? それにリングで武器を生み出すのにも魔力を使ったはずだ。

 さっき男子生徒は魔力残滓と言った。つまり、何の魔術を使ったかに限らず、とにかく魔力を使っていたなら反応してしまうんじゃ……。

「どうだった? 黒服!」

 俺の動揺と黒服の表情に勝ちを確信したらしい男子生徒がニヤリと笑っている。

 だが、

「それが……そもそも魔術回路自体が開かれていません。これでは魔術そのものが使えないでしょう」

「「え?」」

 俺と男子生徒の声が重なる。

「え? 俺って魔術使えないの? え? ずっと?」

「い、いえ、魔術回路さえ開けば使えるようになります。魔力自体は誰でも持っていますので。ですが、一般的に子供の内に開いているのが殆どの為。少し驚いてしまいました」

 焦ったぁ。せっかく異世界に来たのに魔術が使えないのかと思った。

 でも、どうやって開けばいいんだ? まあ今はいいか。

「さて、と。わかってるよね?」

 俺は呆然と座り込んでいる男子生徒の元へ歩くと、声をかける。

 ビクッと肩を震わせた男子生徒が、ギリギリと油の切れた機械のようにゆっくりとこちらを向く。

「ん」

 そういって手を差し出す。

「あ、ども」

「違うだろ!」

 その手を掴み、立ち上がろうとした男子生徒の足を蹴り、転ばせる。

「チップだよ! わかるだろ?」
 
「ごめんなさい! これで勘弁して下さい! 全部取られたんじゃ来週の場所代も払えないんです!」

 男子生徒は持っていた肩掛け鞄からチップを二十枚ほど取り出す。

「それ俺、関係ないよね? それに俺も今度ここでゲームを始めるから、場所が空くのは歓迎なんだけど?」

 友達を集め、自分の部屋でやろうかと思っていたが、こういう場所があるなら利用しない手は無い。

「あ、じゃあ、それ手伝います! だから! お願いします!」

 必死に頭を下げる男子生徒の姿にちょっと同情してしまうが、約束は約束だしなぁ。それに、
 
「俺を手伝うなら自分のゲームは出来ないだろ? それでいいのか?」

「ぶっちゃけ金儲けの為なんで。ここで全部奪われるよりは手伝って、報酬貰った方がマシかなって。あ、手伝ったら報酬貰えますよね?」 

「そりゃ、まあ、手伝ってくれるなら多少は……。人手もあるにこした事は無いし……」

「じゃあ、お願いします!」

「わかった。名前とクラスは?」

「ネンドルです。A組の」

 うん。他クラスの奴も引っ張りたかったし、ちょうどいい。

「そうか……じゃあ、明日訓練とか終わったらまたここに来るから、詳しい話はその時にしよう」

 取り敢えずこれで二十八枚は稼いだ。後はアリスが二十二枚稼いでいれば終わりだな。


◆◇◆


「フハハハハハ! また当たりなのじゃ~! ワシの一人勝ちなのじゃ~! さっさと金を出すのじゃ!」

 アリスを探して、辺りを見回すとデジャブと言うか何というか聞き覚えのある声が聞こえた。

 そこに視線を送ると、アリスがまた椅子に立って小躍りしている。

 やっているゲームは……ルーレットか。

 だが、様子がおかしいな。ディーラーはいないし、他の生徒と思われる男子や女子が顔を赤くしている。怒りで。

 ルーレットならアリスがベットした所に賭ければみんな幸せなはずだけど。

「お、真人か。どうじゃ? ワシはもう三十は稼いだぞ?」

「へー。凄いな。俺は二十八だから、もう目標には届いたな。さっさと――」

 ラックとやらの所に行ってこいと言おうとした所で、一人の男子生徒が間に入ってくる。

「ま、マナトか! そ、そうだ。お前ならきっと! コイツを! このクソ女を懲らしめてくれ!」

 ライルかよ。お前、あの後ここに来てたのかよ。無駄にタフだな。

「そうだ……僕からも頼む」

 疲れ果てた顔のケインが近づいてくる。髪を掻き毟ったせいか、戦っている時もそれほど乱れてなかった髪がぐしゃぐしゃになっている。

「お願いだよ! マナトくん!」

 やっぱりアインも居たのか。こいつら俺抜きで遊びに来やがって……まあ、いいけど。

 ……アインの指から血が出ている。どうやら爪を噛みすぎたみたいだな。

 今もあのクソ女め……と、呟きながらない爪をかじっている。怖い。

「雑魚共がうるさいのう。それにしても真人か……確かに強敵じゃのう。じゃがそれでも、今の勢いに乗るワシには及ばないのじゃ! フハハハハハ!」

 ……言ってくれる。仕方ない。ここはまた格の違いを見せつけないといけないようだ。

 それに友達の為に戦うのも今後を思えば良いことだ。

「ルールを聞こうか」

「あ、あの、これは普通のルーレットと違って「ワシら同士で勝負なんじゃよ!」

 空いた椅子に座り、ゲームマスターと言うか、恐らくこのルーレットを始めた女子生徒に話を聞いていた所、途中でアリスが遮ってくる。

「ワシらが玉を投げて、ワシらが賭けて、当たったら外れた場所に賭けられたチップが貰えるのじゃ! 全員外れたらその女子生徒のものなのじゃ!」

「わ、私は賭け事は苦手だから……」

 等と呟く女子生徒だが、エグいことを考えたものである。

 賭けられたチップは全て客のもの。この女子生徒は一枚もチップを使うことなく、外れたときは総取りするのだ。

 しかも、本物のルーレットと違い、賭けれる場所は数字のみ。

 えげつねぇ。場所を提供する代金としては高すぎるだろ。

「賭ける場所は早い者勝ちじゃから、後から同じ番号には賭けられないのじゃ! そして、一人で五つまで賭けられるからノロノロしてると賭けたいところに賭けれないのじゃ!」

 なるほど……。椅子の数からプレイヤーは六人までか。

 回転盤は0と00と1から36までのアメリカンスタイル。

 一人五ヶ所まで賭けた場合、外れる確率は38分の8。
 
 およそ21%……五回に一回はあの女子生徒が総取り出来るわけだ。確率の上では。

 ……この女子生徒には気をつけておこう。
  
「玉を投げるのは持ち回りじゃ。さっきはワシじゃったから次はお主じゃな」

 アリスが隣の生徒へと玉を渡す。

「玉が放たれたらベットスタートなのじゃ!」

「じゃあ、いきますね!」

 受け取った生徒が玉を投げる。その瞬間、俺とアリスの動き出しは同時だった。


◆◇◆


 一方、その頃。ラックはなかなか来ないアリスを待っていた。

 内心めちゃくちゃ焦りながらも。

「やっぱり一旦帰った方が……いや、しかし、あれだけの運の持ち主はなかなか……だが、こうして時間を浪費するのは……」

 アリス一人の運で満足するべきだった。ラックは欲張った自信の愚かさを嘆く。普通に再戦しておけば……。

 実際、当初の作戦通り貴族共とゲームするべきなのだが、運の値が多く、なおかつどこか抜けているアリスというカモを前に諦めがつかない。

「くそっ!」

 そうこう考えている内に時間は過ぎていく。

 既にラックはアリスと関わったことを後悔していた……。

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