異世界貴族は自由を望む

ノベルバユーザー196771

学園トーナメント

 リアがレイの秘密を知ってから数日。ついに学園内トーナメントの日を迎えた。
 その日は国の重鎮や騎士団、魔導士団に国王まで来るということで、学園内は大忙しである。
 そんな中でも準備は着々と進み、学園長によってついにトーナメントの開会が宣言された。






 レイたちのペアは、一回戦第一試合から二年生との対戦だ。
 試合はやはりというか、レイたちの圧勝で終わった。二年生ペアは、最初に二人の連携を崩せなかったのが失敗だった。


 その後も着々と試合は進んでいった。それまでは実況などもなく、淡々と進んでいった。
 そして二日目。実況が入った途端、その雰囲気は一変した。


『さーて! やっと私の出番がやってまいりましたよー! 私は二年の実況担当、メリアです! そして解説には生徒会長であるレイモンド先輩をお呼びしております』
『どうも、レイモンドだ。といっても、あまり役に立てるかはわからんがな』


 ちなみに、メリアはレイと戦ったガリルに新しくできた恋人である。


『またまた~ご謙遜を~。さて、今回残った8ペアですが、注目はどのペアでしょうか?』
『やはり最上級生である三年生の、ダイト・ガリルペアだな。ダイト選手は、グランド家の次期当主で神眼保持者だ。試合ではまだ一度も使用していないが、彼の神眼、『障壁』を使われると相手はかなり厳しいだろうな。そして既にガリル選手は魔導士団からの勧誘もされているし、番狂わせっでも起きないかぎりは、彼らが優勝だろう』
『番狂わせ、ですか』
『ああ、今回は特に、な』
『ふむふむ、例えば?』
『そうだな......二年生のテイル・フランペアか。彼らはコンビネーションという点ではダイト・ガリルペアに大きく劣るんだが、個人の戦闘能力に関しては、同等か、もしかしたら上回っている可能性すらある。特にフラン選手は二年生最強と呼ばれている。連携される前に個々に分断できれば、勝機はあるんじゃないかとは思っている』
『ほうほう......そういえば、今回は珍しく、一年生のペアが残っていますね。片方は生徒会推薦枠だそうですが、そちらはどうでしょうか』
『レイ・リアペアのことだな。レイ選手も、ヴァンディルグ家の次期当主で、神眼保持者だ。私は彼の神眼魔法を知らないので、なんとも言えんが。リア選手は、身体強化を使わないで、身体強化した者に対抗できる。個人の力なら、間違いなく学年トップの二人だろう。しかし彼らは、連携ができているようでできていない。そこがどう響くかが鍵になるな』
『そうなんですか? 私の目には、良い連携攻撃ができていたように見えたのですが』
『それは連携ではなかった。レイ選手がリア選手に合わせて動いているだけだ。これでは、レイ選手が本来の力を出し切れない。だがどうやらそれはリア選手も理解しているようだ、毎試合ごとに動きはよくなっている。なので、期待はしている』
『そうですか。さて、そろそろ準備が整ったようだ! さあ、最初の選手、カモーン!』


 こうして、準決勝の幕が上がった。


 レイとリアは、観客席にいた。二人の試合は後なので、優勝候補であるダイト・ガリルペアの試合を見に来たのだ。相手は同じ三年生のデント・ジャックペアである。
 準決勝第一試合が始まった。


 まず攻撃を仕掛けたのは、相手ペアのデントだった。
 手に持つ片手剣を横薙ぎに払う。それを躱すように後ろに跳んだダイトに、ペアであるジャックが火属性中級魔法『ファイアニードル』を放つ。デントは身体強化を使い、ガリルとの一騎打ちを繰り広げていた。
 ダイトは飛んできた魔法をマナを開放した単純な障壁で防ぎ、抜けてきたダメージのない爆風で後ろに転がり受け身を取りながら詠唱、体勢を立て直すと同時に水属性中級魔法『アクアニードル』を放つ。
 それを見たジャックは、回避を選択。その場に転がるように躱した。しかし転がった先に、ダイトが詠唱破棄で放った無属性中級魔法「バインド」が命中。詠唱破棄の魔法であるため身体強化を使えば抜け出すことは可能だ。しかし動きが止まり隙を見せたのも確かであった。
 ジャックが拘束を解き、ダイトの方を見た時には、ダイトの水属性上級魔法が完成していた。






 試合結果は、ダイト・ガリルペアが勝利した。あの後上級魔法がジャックに命中。倒れたと同時にガリルがデントを気絶させ、勝負が決まった。



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