異世界貴族は自由を望む
二人の距離
レイは、疑問を感じていた。
リアが何時もと違ったからだ。何処か避けられている様に感じたのだ。
レイの目的を考えると、むしろ願ったり叶ったりなことなのだが、今の状況ではそうもいかない。何せ二人はペアなのだ。ここで連携が崩れたら、父親の指示を達成できないからだ。それにレイの中に友人という認識が無意識ではあるが存在していることもある。
しかし、レイには避けられるようなことをリアにした記憶はない。そのため、声を掛けようにも掛けられない。
結果、朝は二人の距離は若干空いていた。
リアは、悩んでいた。
それは、昨日見たレイのこと、そして事件のことだ。
直接姿を見た訳ではないが、リアには分かる。あの時感じた魔力波は間違いなくレイのものだったと断言できる。
そして、その時ちょうど起きた事件。その事件は、狙撃事件だったそうだ。それも矢が使われていなかったと言うことで、騎士団や魔導師団まで出てきているらしい。騎士団や魔導士団が出てきているのは別の理由なのだが、リアがそれを知るよしもない。
不自然な時間に高い所にいたレイ。その手に持っていた物体。レイが屋根の上にいた時間に起きた事件。使われた凶器は、未知の遠距離攻撃武器。
そして、優秀なリアに与えられた、それらの情報を整理する時間。
それは、リアに一つの仮説を立てさせるのには十分だった。
(昨日の事件は、レイ君が起こしたものだとしたら......。あの時持っていたものは、私の知らない遠距離攻撃武器だとしたら......。レイ君が得意なことは、......弓での狙撃。もしかしたら......)
これが、昨日の内にリアが立てた仮説だった。
そして、その仮説は当たっているのだが、それが正解だと、リアは知らない。
確証もない仮説なのに、面と向かって、「貴方、昨日の夜狙撃事件起こしましたね?」とは聞けない。
だから、踏み込めない。
結果、昼も二人の距離は若干空いていた。
そして、放課後。いつもの通り、練習しようと集まった時だった。
「ねえ、レイ君。ちょっといい?」
「ん...なに...?」
リアが、周りに人がいないことを確認しながら、レイに話を振った。
「私ね......その......知っちゃったの」
「何...を...?」
「レイくんの秘密」
「ん...確かに...秘密...の...一つ...や...二つ...位...ある...けど...」
「昨日...ね...見ちゃったんだ。レイ君が、見たことない物を持って、高台の上にいたのを。それから、いろいろ聞いたりして......ね」
それを聞いた瞬間、レイの顔から表情が抜け落ちた。
レイは即座に思考を回転させる。何故見つかった? 何処まで知っている? 何を考えている?
レイの中では、同じような考えが、ぐるぐると回っていた。
「でね、ちょっとだけ、お願いが有るんだけど......聞いてくれない?」
このタイミングでのお願いなど、レイに拒否することは出来ない。言外に、脅されているのだから。ここでは頷くしかない。
「ありがと。それで、お願いなんだけど、ね。私の......か、かかか、彼氏になって......欲しいなぁ......って」
リアが、顔を真っ赤にしながら、爆弾を投下した。
語尾が小さくなって聞き取りずらかったが、大事な部分はしっかりと聞き取れた。
「え...いや...え...?」
レイは混乱していた。
何を無茶ぶりされるかと思い身構えていたら、まさかの告白。
レイが珍しく、狼狽した表情を表に出した。
「駄目......?」
レイが復帰。
答えを返さない訳にもいかず、ただ、「構...わ...ない」と返すので精一杯。悲しいかな、レイには恋愛の経験など無かった。
返事を聞いたリアのかおが、パアッと明るくなり、再び爆弾を投下した。
「それじゃあ、これからよろしくね! レイくん」
チュッ、と
レイの頬に柔らかい感触が伝わる。
それが何かを自覚して、レイの顔が赤く染まる。リアの顔も、真っ赤に染まっていた。
レイは、そのあとのことを覚えていない。
リアが何時もと違ったからだ。何処か避けられている様に感じたのだ。
レイの目的を考えると、むしろ願ったり叶ったりなことなのだが、今の状況ではそうもいかない。何せ二人はペアなのだ。ここで連携が崩れたら、父親の指示を達成できないからだ。それにレイの中に友人という認識が無意識ではあるが存在していることもある。
しかし、レイには避けられるようなことをリアにした記憶はない。そのため、声を掛けようにも掛けられない。
結果、朝は二人の距離は若干空いていた。
リアは、悩んでいた。
それは、昨日見たレイのこと、そして事件のことだ。
直接姿を見た訳ではないが、リアには分かる。あの時感じた魔力波は間違いなくレイのものだったと断言できる。
そして、その時ちょうど起きた事件。その事件は、狙撃事件だったそうだ。それも矢が使われていなかったと言うことで、騎士団や魔導師団まで出てきているらしい。騎士団や魔導士団が出てきているのは別の理由なのだが、リアがそれを知るよしもない。
不自然な時間に高い所にいたレイ。その手に持っていた物体。レイが屋根の上にいた時間に起きた事件。使われた凶器は、未知の遠距離攻撃武器。
そして、優秀なリアに与えられた、それらの情報を整理する時間。
それは、リアに一つの仮説を立てさせるのには十分だった。
(昨日の事件は、レイ君が起こしたものだとしたら......。あの時持っていたものは、私の知らない遠距離攻撃武器だとしたら......。レイ君が得意なことは、......弓での狙撃。もしかしたら......)
これが、昨日の内にリアが立てた仮説だった。
そして、その仮説は当たっているのだが、それが正解だと、リアは知らない。
確証もない仮説なのに、面と向かって、「貴方、昨日の夜狙撃事件起こしましたね?」とは聞けない。
だから、踏み込めない。
結果、昼も二人の距離は若干空いていた。
そして、放課後。いつもの通り、練習しようと集まった時だった。
「ねえ、レイ君。ちょっといい?」
「ん...なに...?」
リアが、周りに人がいないことを確認しながら、レイに話を振った。
「私ね......その......知っちゃったの」
「何...を...?」
「レイくんの秘密」
「ん...確かに...秘密...の...一つ...や...二つ...位...ある...けど...」
「昨日...ね...見ちゃったんだ。レイ君が、見たことない物を持って、高台の上にいたのを。それから、いろいろ聞いたりして......ね」
それを聞いた瞬間、レイの顔から表情が抜け落ちた。
レイは即座に思考を回転させる。何故見つかった? 何処まで知っている? 何を考えている?
レイの中では、同じような考えが、ぐるぐると回っていた。
「でね、ちょっとだけ、お願いが有るんだけど......聞いてくれない?」
このタイミングでのお願いなど、レイに拒否することは出来ない。言外に、脅されているのだから。ここでは頷くしかない。
「ありがと。それで、お願いなんだけど、ね。私の......か、かかか、彼氏になって......欲しいなぁ......って」
リアが、顔を真っ赤にしながら、爆弾を投下した。
語尾が小さくなって聞き取りずらかったが、大事な部分はしっかりと聞き取れた。
「え...いや...え...?」
レイは混乱していた。
何を無茶ぶりされるかと思い身構えていたら、まさかの告白。
レイが珍しく、狼狽した表情を表に出した。
「駄目......?」
レイが復帰。
答えを返さない訳にもいかず、ただ、「構...わ...ない」と返すので精一杯。悲しいかな、レイには恋愛の経験など無かった。
返事を聞いたリアのかおが、パアッと明るくなり、再び爆弾を投下した。
「それじゃあ、これからよろしくね! レイくん」
チュッ、と
レイの頬に柔らかい感触が伝わる。
それが何かを自覚して、レイの顔が赤く染まる。リアの顔も、真っ赤に染まっていた。
レイは、そのあとのことを覚えていない。
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