異世界貴族は自由を望む
ちょっぴりの反省と面倒
昼休み。レイはファルの作った弁当を屋上で食べていた。ファルも隣に座らされている。誰もいないし、と言うことでレイが座らせた。当のファルはどこか不服そうだ。
しかしそれを理由まで知っていてあえて無視していたレイは、唐突にファルに話を振った。
「...ちょっと...大人げ...なかった...かな...?」
「何がですか? 今日の演習のことでしょうか?」
「そう...それ」
レイも、今思い返せば、あそこまでする必要はなかったのではないか? と疑問に思ったようだ。ちなみに勿論やり過ぎである。
それはファルも思っていたようで、
「確かに、やり過ぎた感はありますが...」
と答えた。それに対しレイも、「...やっぱり...」と、気落ちした声で返す。
しかしレイの僕にして信者であるファルに、レイを落としたままにするという選択肢は無いわけで......
「ですが、当主様の指示の、目立つというのは、これで達成なのではないでしょうか? そう考えると、一概にやり過ぎという訳でもありません」
と、フォローも忘れない。
レイもその言葉に「...ありがとう」と、微笑みながら返したのだが、それを間近で見たファルが、内心物凄く悶えているのは、レイの預かり知らぬことである。
レイが、この話を続けるつもりがないのか、別の話題に切り替えた。
「...そう...言えば...あれは...?」
レイがファルに訪ねる。しかし突然あれと言われても、何のことか分からないファルは、顔に疑問符を浮かべる。
声をあまり出せないレイは、言葉足らずなところがあるため、よく勘違いされたり、話を理解して貰えない時があるのだ。とはいっても何の脈絡もなく「あれは」と聞かれて答えられる者などいないだろうが。
レイもそれに気づいて、少し申し訳なさそうな顔になってから、一言付け加えた。
「...家」
そのワードさえあれば、ファルなら分かる。これだけで分かるのは僕だからか、それとも信者だからか。
「およそ七十パーセントほど終了しています。ちなみにこの報告が来たのは一昨日です」
「...分かった」
この話は、あまり外では言えない事。計画に関わるからだ。
二人の計画は、自由になること、貴族という立場に縛られないこと。その為にわざわざ他大陸に家を立てさせているのだ。全ては自由になるために。
これが自分のただのわがままだと、レイも理解している。しかしレイには、この貴族の世界を生きていくつもりは毛頭なかった。
「なら...少し...ペース...を...上げ...れる...? ...夏休...み...まで...には...出て...いき...たい」
「そう言われると思って既に手配済みです」
「なら...いい...」
そういって二人の会話が終わる。
二人にとってこの無言の時間というのは珍しくもない。レイが喋りずらいというのもあるが、この時間を心地よいと感じている二人の、のんびりとした時間だ。
故に、二人とも気を抜いていたのか、第三者の接近に気がつかなかった。
「ねえねえ、何してるの?」
レイとファルが飛び上がりかける。
二人が後ろを向けば、リアが居た。
このリア、レイの力を見て、他の生徒のように萎縮する訳でもなく、今までと同じように、むしろ今までよりもより、レイに関わってくるようになった。
しかも厄介なのは、彼女が純粋であること。彼女が下心を持って接してきたのなら、ばっさり切り捨てればいい。しかし彼女は、下心を持たず、ただ力を称賛してくるのだ。それ故邪険に扱いずらい。演技だと言われれば、それはそれで称賛に値するレベルで純粋なのだ。
これが一つの厄介事。そしてレイには更なる厄介事が待ち受けていた。
しかしそれを理由まで知っていてあえて無視していたレイは、唐突にファルに話を振った。
「...ちょっと...大人げ...なかった...かな...?」
「何がですか? 今日の演習のことでしょうか?」
「そう...それ」
レイも、今思い返せば、あそこまでする必要はなかったのではないか? と疑問に思ったようだ。ちなみに勿論やり過ぎである。
それはファルも思っていたようで、
「確かに、やり過ぎた感はありますが...」
と答えた。それに対しレイも、「...やっぱり...」と、気落ちした声で返す。
しかしレイの僕にして信者であるファルに、レイを落としたままにするという選択肢は無いわけで......
「ですが、当主様の指示の、目立つというのは、これで達成なのではないでしょうか? そう考えると、一概にやり過ぎという訳でもありません」
と、フォローも忘れない。
レイもその言葉に「...ありがとう」と、微笑みながら返したのだが、それを間近で見たファルが、内心物凄く悶えているのは、レイの預かり知らぬことである。
レイが、この話を続けるつもりがないのか、別の話題に切り替えた。
「...そう...言えば...あれは...?」
レイがファルに訪ねる。しかし突然あれと言われても、何のことか分からないファルは、顔に疑問符を浮かべる。
声をあまり出せないレイは、言葉足らずなところがあるため、よく勘違いされたり、話を理解して貰えない時があるのだ。とはいっても何の脈絡もなく「あれは」と聞かれて答えられる者などいないだろうが。
レイもそれに気づいて、少し申し訳なさそうな顔になってから、一言付け加えた。
「...家」
そのワードさえあれば、ファルなら分かる。これだけで分かるのは僕だからか、それとも信者だからか。
「およそ七十パーセントほど終了しています。ちなみにこの報告が来たのは一昨日です」
「...分かった」
この話は、あまり外では言えない事。計画に関わるからだ。
二人の計画は、自由になること、貴族という立場に縛られないこと。その為にわざわざ他大陸に家を立てさせているのだ。全ては自由になるために。
これが自分のただのわがままだと、レイも理解している。しかしレイには、この貴族の世界を生きていくつもりは毛頭なかった。
「なら...少し...ペース...を...上げ...れる...? ...夏休...み...まで...には...出て...いき...たい」
「そう言われると思って既に手配済みです」
「なら...いい...」
そういって二人の会話が終わる。
二人にとってこの無言の時間というのは珍しくもない。レイが喋りずらいというのもあるが、この時間を心地よいと感じている二人の、のんびりとした時間だ。
故に、二人とも気を抜いていたのか、第三者の接近に気がつかなかった。
「ねえねえ、何してるの?」
レイとファルが飛び上がりかける。
二人が後ろを向けば、リアが居た。
このリア、レイの力を見て、他の生徒のように萎縮する訳でもなく、今までと同じように、むしろ今までよりもより、レイに関わってくるようになった。
しかも厄介なのは、彼女が純粋であること。彼女が下心を持って接してきたのなら、ばっさり切り捨てればいい。しかし彼女は、下心を持たず、ただ力を称賛してくるのだ。それ故邪険に扱いずらい。演技だと言われれば、それはそれで称賛に値するレベルで純粋なのだ。
これが一つの厄介事。そしてレイには更なる厄介事が待ち受けていた。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
267
-
-
0
-
-
140
-
-
24251
-
-
63
-
-
4
-
-
159
-
-
93
-
-
29
コメント