黄金(きん)と壮麗の華

リナ

Wonder 現在編-8 本当の財宝とは?

読んで下さり、ありがとうございます。
それでは本編始まります!


噂の幽霊館は駅から15分、徒歩20分の少し離れたところにあった。

外見からして、いかにも出そうなおどろおどろしい雰囲気を醸し出している館だった。

ギィィィィィ

扉を押すと不快な音が辺りに響いた。

碧)「うぅ、頑張って気合い入れて来たけどやっぱり怖いよぉ。」

麗花)「大丈夫だよ。何かいたとしても悪さをしてくるわけじゃないと思うし…。」

蘇芳)「あれ、麗花は怖くないの?」

麗花)「うん。そこまで怖いわけじゃないよ。ホラー全般いけるし…。」

琥珀)「へぇ、そうなんだ。」

蒼馬)「つーか、電気のスイッチどこにあるか分からないな。」

凜紅)「ああ。懐中電灯持ってきて良かったな。」


ゆっくり進んでいると、急にガシャンッという音が聞こえた。

碧)「ひゃぁゃぁぁ!何、今の音?」

蘇芳)「何かが倒れた音、だよな?」

麗花)「うん、たぶん……。」

麗花)「あっ、奥に部屋があるよ。入ってみよう!」

麗花にそう言われて私達が入ったその部屋は書斎だった。

凜紅)「ここには何も無さそうだな。次、行く?」

麗花)「・・・・・・・。」

凜紅のその言葉に麗花だけが反応しなかった。

凜紅)「あれ、麗花?」

麗花)「ああ、えーと、ちょっと試してみたいことがあるんだけどいい?」

蘇芳)「え?ああ。」

そう蘇芳に聞くと麗花は本棚を押したり、引っ張ったりし始めた。

最後に本棚を横にスライドさせた。

すると、本棚が横に動いて階段が現れた。

多分、地下室に繋がる階段だろう。

碧)「すごい!よく分かったね!」

麗花)「トリックの本とかでこういう仕組みの仕掛けがあったのを思い出して、
もしかしたらと思ったの。」


階段を下りると扉があった。

すかさず蘇芳が持ってきた針金で鍵をこじ開ける。


扉の中に入るとそこにはドンと宝箱が置いてあった。

開けて中を見てみるとそこには……

全員)「「「「「「手紙!?」」」」」」

そう、宝箱の中には手紙が入っていた。


手紙を見てみると、それは娘からお母さんへの感謝の手紙だった。


今回の依頼者はとある貴族の女主人だった。

後から聞いた話によると、依頼者の娘さんは小さい頃から病気がちでわずか10歳という若さで亡くなってしまったのだという。

その娘さんと過ごした思い出をそのままにしておくためにこの館は取り壊さずに引っ越したらしい。

ただ、その後で大切な手紙が無いことに気がついた依頼者は取りに行きたくても、足が悪いので行くことができなかった。

使用人に頼もうとしたが幽霊館の噂が広まっていたので誰かに強制するわけにも行かなかった。

そこで私達に頼むことにしたのだという。


碧)「依頼者にとってこの手紙は財宝だったんだよね。」

琥珀)「ああ、いい話だよな…。」


帰り道

碧)「ねぇ、麗花。明日空いてる?遊ばない?」

麗花)「ごめん、碧。明日は大切な用事があるの。また誘って?」

碧)「そっかぁ、残念。また遊ぼうね。」


こうして依頼者に手紙を渡した後、私達は各自、家へ帰ったのだった。



日曜日

私はショッピングを一人で楽しんでいた。

碧)[そういえば、麗花の大切な用事って何だろう?]

そう思いながらもう帰ろう、と近道をするために、裏路に入ると誰かの話し声が聞こえた。

何か不穏な空気がして私はとっさに建物の影に隠れた。

こっそりと声のする方を見ると、それは、、、


麗花だった。

何か困った様子でもう一人の男に話している。

碧)[友人?では無さそうだよね…。もしかして、絡まれてる!?]

碧)[助けに行かないと……、でも、私一人じゃ麗花の足手まといになるだけだし…。]

いろいろ考えた末導き出されたのは、蘇芳達を呼ぶという方法だけだった。


プルルルル

碧)「もしもし、蘇芳?琥珀達を連れて○○通りに来て!!今、麗花が大変なの!!」

私は少しボリュームを落とした声でそう言った。

蘇芳)「麗花が!?分かった。すぐ行く。」


不幸中の幸い、蘇芳達も割と近くにいたらしく、来るまでにそれほどの時間はかからなかった。

碧)「あっ、蘇芳!みんな!突然呼び出してごめんね…。麗花が絡まれてるみたいで…。」

琥珀)「大丈夫。じゃ、行こう!」


こうして私達は麗花を助けに一歩を踏み出したのだった。


読んで下さりありがとうございました。
次話もよろしくお願いします!











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