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第3章 ちょっと属性盛りすぎですね!

木漏れ日の溢れる小さな屋敷
現在俺は家族会議中の食卓でのんびり食事をとっています

「先日の件も含め、この子には護衛をつけようと思う」

そう切り出したのは青い短髪に
綺麗に整えた髭が特徴の父クラウス

言葉が理解できるようになったのはドルガさんと共に猛勉強したおかげだろうか
そんな事を考えながら話半分に目の前に持ってこられた食事を口にいれる

「それは賛成・・・でもその護衛の方は信用できる?」

心配そうに父の話を遮る我が母アイス
水色の長い髪を背中で束ね、金色の眼に見つめられていると不思議と落ち着く

そんな母は忙しそうに匙で食事を掬い膝に座っている俺の前に持ってくる

先程から俺が匙を奪って自分で食べようとすると
ニマニマしながら頭を撫でてくるのだ

いや?自分で食べさせて貰えませんかねぇ?

「ああ、今日にはここに到着予定だ」

おっと?俺が自分で食べようと奮闘している間に話が大分進んでしまったようだ
随分と速い到着である

なかなかにぼろい家だと思ったが使用人ぽい人もいるし護衛をつけるとか実はかなりのお金持ちだったりするのだろうか?

しかし今はそれよりも・・・だ・・・

「護衛の人はどんな人なんですか?」

もしも変な人が来たら困るので一応聞いておくことにした

「ああ・・・そうだな、今回来るごえ・・・ん?」

父が首を傾げると辺りを見回す
おいおい!中途半端な所で説明を止めないでくれよ・・・

「で?どんな人なんですか?」

尚も辺りを見回していた父は
俺の顔を見ると目を見開く

「な!しゃ!」
「キェェェェェぇぁ!?しゃべったぁぁぁぁ!?」

父が何か言う前に使用人に発狂セットが入ってしまった

なんでだ・・・?
ああ・・・流石にいきなりペラペラしゃべり過ぎたか?
俺は咳払いをすると首を傾げながら両親の顔を交互に見ながらつぶやく

「ぱぱ・・・まま・・・どんな人・・・来る?」

こんな所だろうか?

「キャーーーー!貴方!この子天才よ!間違いないわ!キャーーーー!」

母が歓声をあげながら俺の頭をザシュザシュと撫でまわす
父と使用人が、今更おせえよ?みたいな顔をしているがまぁ気のせいだろう

コホンと何かを諦めたかのように咳払いをする父が護衛の人の話をして数日

いつものように二足歩行で廊下を徘徊していると、急な浮遊感に襲われる

「なんだなんだ!?何事ですか!?」
「何ってきたのよ!例の護衛の子が!!」

目の前には顔を輝かせる母
よく見ると俺は母に抱き抱えられているようだ

そんな普通に会話する俺と母を見て
後ろをついてきていた使用人が眩暈を起こしているがまぁいいだろう

「ほら!挨拶しなさい!」

母がそう言いながら俺を地面に立たせる
玄関には金髪サイドに和服アーマーの女の子
腰には小太刀、背中に大太刀を装備し

見た感じ小学校を卒業してきましたという感じな風体に
この子が護衛?等ツッコミどころは沢山あるが
俺が気になるのはそこではない

彼女の頭でピコピコ動いている獣耳である
獣人種?獣人種というやつですか?
少女はキラキラした目で見上げる俺の前まで来ると
おもむろにメモ帳らしき物を取り出す

[ルピーです、よろしくお願いします]

ルピーさんか、変な名前だな

「えーと、俺はアズ・・・よろしく」

頭をポリポリ掻きながら挨拶をすると母に頭をスパコーン!と叩かれる

「俺じゃないでしょ!あと名前!偽名なんて使わない!」

そうは言ってもこっちの世界の名前は気に入らないんだよなぁ・・・

有無を言わさないような母の表情にコホンと咳払いを一つ
改めて挨拶をし直そうとした俺に訝し気な表情をするルピーさんの顔が映る

「えっと・・・なんか変な事言いましたか?」

訝し気な表情の理由を聞きたかった俺の質問に
後ろで控えていた使用人がすごい首を縦に振っているが気のせいだろう
ルピーさんは言おうか悩んだ末にメモ用紙を取り出す

[いえ・・・私の知り合いにそっくりで・・・偽名も一緒だったので]
「言うて俺はまだ1歳ちょっとだからそっくりって言われても・・・それにアズなんて結構いるでしょうに」

俺の言葉に「いや、そんなヘンテコな名前いないね」と良い笑顔をする父は気のせいだろう

尚も狐につままれたような顔をしているルピーさんをよそに父がパンパンと手を叩く

「これから沢山話す事になるだろうからとりあえず先に手続きのほうを済ませておいても良いかな?」

そう言ってルピーさんを案内する父の後ろ姿を見送る

「あら~?思ったより可愛い女の子が来たからびっくりしちゃった?」

とりあえず隣でニマニマしている母のすねに無言でブローを叩き込む

「あらあら?もしかして照れちゃ・・・痛い!地味に痛い!」

母が俺から距離をとりうずくまるのを冷ややかな目で見ながら子供部屋に戻る

「なんにせよ今やる事はひとつだな」

俺が窓を開けると部屋の中に大量の発光体が溢れかえる
視界にうつる緑色の発光体は
掴むとわずかな風が髪を揺らす

俺は発光体から風を生成、埃を窓の外に吹き飛ばす

普段使用人の人が掃除してるから汚い事は無いが
それでもしてしまうのが人という生き物なのだろう

俺は部屋を掃除すべく雑巾を取り出し・・・体が硬直する

「ば・・・ばかな!?この家にそんな・・・やつはいないはず・・・」

目の前には黒い光を発する昆虫が一匹
カサカサという嫌な音をたてながら
こちらを警戒して観察している

恐らく窓を開けた時に入ってきてしまったのであろう
俺はそいつから目を離さないようにドアに向かう
そんな俺の姿を見たGは俺を要注意人物から認識を改め・・・こちらに向かって飛翔してきた

「・・・ひぃっ!」

攻撃対象となった俺は涙目になりながらダイブする
おそるおそる頭上を見上げると、Gが張り付いた壁に穴があいている

そう、日常的に争いが絶えないこの世界ではGであっても地球より危険な生き物であり・・・
地球以上に好戦的な為こちらに飛んでくる事が多いのだ

「ちょ!まてよ!」

再度飛来してきたGに緑の発光体を当てると風が噴出
Gは驚いたように反対の壁に張り付く

一方俺はGを風で逸らした反動で床を転がり回っている
目を回しながらも対象を捕捉、現在の状況を分析する

現在Gは窓の傍でこちらを警戒している
突然の風は予想外だったらしい
ちらりと袖の部分を見ると裂けてしまっている
これは・・・一瞬の油断が命取りになる・・・!

俺とGはお互いの動きを観察しながら膠着状態に陥る

「・・・・」

ドクンドクンと心臓が高鳴る
まるでこの世界に俺とGしかいないような・・・
そんな錯覚が生まれる

言葉は通じなくてもわかる・・・
これが最後の一手になると・・・

「そうか・・・お前が・・・俺の・・・!」

俺が覚悟を決めて動いた瞬間Gも同時に動き出す
お互いの距離が急速に縮まり衝突する寸前
Gが突然軌道を変える

「なん・・・だと・・・!?」

予想外の動きに対処する事が出来ずそのまま壁に衝突する

「ぐああ・・・なんという知将!!」

痛みを堪えながら好敵手を睨みつけ・・・
無残にも真っ二つになった好敵手の姿を視認する

・・・恐らくGが突如軌道を変えたのは乱入者が部屋に入ってきたからだろう

俺は青い顔をして小太刀を構えたままのルピーの肩(足)を叩くとGを風で外にぽいする

「お前の敗因は・・・俺に勝負を挑んだ事だ・・・」

そう言いながら窓を閉めた俺にルピーが駆け寄って来る
さすがにかっこつけすぎただろうか?
今頃沸き上がって来る恥ずかしさに堪えていると
ルピーは急いで俺の体を調べ始め
怪我が無いとわかると安堵の溜息を吐いて積荷から肌着らしき物を取り出す

んんー?

「ちょっとルピーさん?なんでそんな物を?しかも随分と可愛らしい物を・・・いやー!?」

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