竜殺しと人殺し
クソガキ竜殺し
王都  
竜に村を滅ぼされそして生き残ったシオンは何者かに助けられ、目が覚めると王都の宿屋に居た。
初めて見る天井、初めて見る壁
村とは建物の様式が違うようだ。
頭を整理するために過去のことを思い出す。
「リュカ…」
あの光景を思い出すと今でも体の震えが止まらなくなる、しかし姉を殺したのは間違いなく竜なのだ、そして今自分は王都にいる、この歳でも志願出来るのかはわからないが、今自分の中にあるのは竜への復讐心だけだった。
「竜はやっぱりいちゃいけないんだ、俺から全てを奪ったあいつらは絶対に殺さなきゃダメだ…」
宿から出ると村とははるかに違う数の人たちが居た。その雰囲気に圧倒されつつも、騎士団に志願するために…
志願するために
「どこに行けばいいんだ…」
土地勘とお金もなく歳も10歳そこそこのシオンは何をどうすればいいのか全くわからずに途方にくれる羽目になる
「ちょっとだけ泣きそうだな」
トボトボと宿屋へと向かっていると
ドンッ
「あ?痛えなあ、騎士様にぶつかっといて謝罪もなしか?」
ぶつかって来たのはお前だろ。と言いたげに相手を見上げ睨むと更に気を悪くしたようで
「おいなんだクソガキ…てめえ立場ってもんわかってんのか?」
「騎士になれば竜を殺せるのか」
「あ?」
「俺は竜を殺したい、騎士になれば殺せるのか?」
「てめえ!人の話聞いてんのか!竜なんざ殺しまくりだが、その前にてめえに痛い目に見せてやろうかぁ」
おい、もうやめとけってガキ相手に恥ずかしい
更に後ろからもう一人騎士団の鎧を身にまとった大柄の男が現れた
「わりぃな坊主、今王都はちぃとばかり物騒でなあ、それはそうとおめえ騎士団に入りてえのか?」
「入りたい」
「騎士団としては戦力は囮でも使えるからな、大歓迎だが、ガキを戦場に送るのは個人的にはやりたくねえんだそれでも志願するってのか?」
「俺はガキじゃねえし剣も振れる!だから志願する!」
「気に入った!なら明日テストをしよう内容は当日に発表する」
「しかし団長!!」
感じの悪いもう一人の騎士が抗議しようと詰め寄るが一蹴されてしまう
「俺は王立騎士団団長、フォーグだ。
こっちはジルバだ、よろしくな。」
「俺は…シオン」
まさかの団長と名乗られその圧におされてしまったが、これでいい、願っても無いチャンスだこれで騎士団に入って竜を殺せる
それから団長の計らいで宿をとってもらいベットに入るとふと思った。
「誰が眠ってる間の世話をしてくれてたんだろう」
暦を確認すると恐らくあの日から半年は経っている。その間どうして居たのだろうと気になったシオンは宿の受付に聞いて見ることにした。
シオンの部屋は二階1人で泊まるには少し広い部屋だ。部屋を出ると廊下があり左の突き当たりの階段を降りるとすぐに受付が見えてくる
「あのすみません俺っていつからここにいますか」
店主は何のことやらと言った様子で
昨日からですよと答えた、シオンはこの宿に昨日運び込まれ一晩しか経っていないというのだ。
じゃあおれ半年間もどこにいたんだろう…
部屋に戻り色々なことが頭をよぎるそうこうしているうちに睡魔に襲われシオンは深く眠ってしまった。
翌朝
フォーグに指定されたのは騎士団本部の中にある訓練場だった。
「よく来たな坊主!!!」
「坊主じゃねえよシオンだ覚えろよおっさん!」
「ハッハッハおれをおっさん呼ばわりたぁ!根性あるな…おっしテストを始めるぞ」
フォーグは訓練用の木刀をシオンに渡すとある人物を呼び出す。
「あってめぇ!昨日の!!!!!」
「朝っぱらからウルセェぞクソガキ!団長の指示じゃなけりゃぶん殴ってるとこだ、いいか団長からのテストはこうだ、その木刀で俺から一本取れ」
「いいさ、どうせ出来っこねえって思って決めた内容だろうガキだと思って舐めんじゃねえ!」
合図もなく飛び出したシオンにジルバは動じる様子もなく構える、両の手で構えると腰を落としシオンの剣を迎え撃つ
カンッと木の弾ける音と共にシオンは体ごと跳ね返されて居た。
「なっ、くそっ!」
「思ったより筋がいいじゃねえか、だがまだまだガキだなっ」
しかしジルバが少し目を離した隙にシオンの姿が消えていた。
「どこ行った!?くそがき!」
「ここだぁ!!!」
シオンは弾き返された瞬間時が止まったような感覚に陥る
「なんだ、相手が止まってる…」
 
よくわかんねえけどいまだ
そしてジルバから一本
シオンは正式に騎士団の一員として迎えられる
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