復讐の魔王
75.魔王の力
「……それがお前の答えか。仕方ない、ここは力づくで従わせるか」
クロヴィスがそう言った瞬間、目の前から姿を消した。これは光魔法の転移か? いや、そんなはずはないか。あれは勇者のみが使えるものだ。奴が使えるわけがない。
「遅いな」
僕は後ろからの声に反応して憤怒の炎心剣を振り上げる。ガキィンとぶつかり合う俺の剣とクロヴィスの傲慢の光心剣。
体勢が悪いため奴から距離を取るが、一瞬で詰められた。こいつ、なんて速さだ!
「なったばかりの新米魔王に俺が負けるわけがないだろう。しっ!」
くっ、突然右肩と左わき腹に切り傷が出来る。いつの間に。だけど、このままやられるつもりはない。奴が僕から離れるように自分の周りに炎を放つ。
僕の周りに立ち上がる火柱。これで奴の動きは制限された上にわかるはず。そう思っていたが
「なっ!?」
火柱に触れた様子もなく、目の前に現れるクロヴィス。咄嗟に炎心剣を振るが、軽く避けられ逆に胸元から左肩にかけて斜めに切られた。くそっ、奴の動きが読めない。
「どうした。ハヤテ・シュバルツはこの程度の攻撃じゃあ傷などつけられなかったぞ? この程度なら仲間にしなくて正解だったな」
「くっ、こっちから願い下げだ!」
胸の痛みを我慢して剣を振り下ろす。その時には既に僕から距離を取っているクロヴィスは、光心剣に魔力を集めていた。
「貫け、光剣」
そして、放たれた光の刃。僕が反応する暇もなく脇腹を貫かれる。辛うじて急所は逸らしたが、それでもダメージは大きい。口から血を吐き、その場に膝をつく僕。
……ここまで手も足も出ないのはヘルガーさん以来か。口の中の鉄臭い血を吐いて顔を上げると、隙なく構えてこちらに向かってくるクロヴィスが。
「呆気なかったな。これで終わりだ」
クロヴィスがそう言いながら剣を振り下ろしてきた。
……何をしているんだ、僕は。こんなところで終わっていいのか? まだ、何も終えていないんだぞ!
僕は自分自身に怒りが湧いてくる。そしてその怒りが憤怒の炎心剣へと流れ込んで行く。こんなところでくたばるわけにはいかないんだよ!
「それでもまだまだだな」
「がっ!?」
立ち上がろうとした時、既に目の前にはクロヴィスが。そして胸元には傲慢の光心剣が突き刺さっていた。先ほど以上に口の奥から血が込み上げてくる。
「お前程度では俺には勝てない。このまま死ね」
更に深く突き刺さる剣。僕の意識が薄れて行く中、僕のじゃない声が聞こえてきた。
『全く、力を使えていないな。憤怒の力も光魔法の力も。俺とシスティーナの子孫が、そう簡単に負けるんじゃねえよ。手本を見せてやるから変われ』
その声を聞いた瞬間、僕の視界が一気に変わった。気が付けば、クロヴィスから離れていて、傷は治されていた。自分がやっているのに、自分の体じゃないみたいに勝手に動く。
「……いつの間に移動した?」
「うん? ウィルが瞬きしている間さ。うーん、久し振りに体を動かすが慣れねえな。それに、前とは違う魔力だ。変な感じがする。だが、こんなのでもシスティーナの魔力が感じられるのは嬉しいものだが」
僕の体を乗っ取った男ってもしかして……だけど、どうして? 彼は当然死んでいるはずだ。僕と同じ事を思っているのか、クロヴィスも驚いた表情を浮かべていた。
「……まさか、再開するとはな。お前も転生したのか? ハヤテ」
「いやいや、俺は終わった人間だ。未来の事は子孫に託した……だけど、この体の持ち主が力の使い方がなっちゃいなくてな。見るに見ていられなくてつい出て来ちまった。まあ、時間制限ありだが、楽しもうや」
僕の体に現れたハヤテ・シュバルツ。彼がそう言った瞬間、視界が一瞬で移動する。これは……転移を使ったのか? 目まぐるしく変わる視界。なんてスピードで戦っているんだ、この人は。
「まずは、転移だが、お前は移動にしか使ってねえだろ。こんな力があるんだからもっと使っていけよ。確かにある事が当たり前になっちゃいけねえがな。それに、転移は自分だけじゃなく、相手や魔法すら転移出来るんだから、もっと幅広く使って行くんだ。こんな風に」
ハヤテがそう言いながら僕が放つのよりも何倍も威力の強い炎の斬撃を放つ。しかも、ただ放つだけでなく、転移を使いクロヴィスの周りから飛ぶように放って行く。
なんて威力とスピードだ。当たらなかった炎は再び転移させて、まるでクロヴィスを追いかけているみたいだ。
「そこからよく見ていろよ。俺たちの子孫よ」
クロヴィスがそう言った瞬間、目の前から姿を消した。これは光魔法の転移か? いや、そんなはずはないか。あれは勇者のみが使えるものだ。奴が使えるわけがない。
「遅いな」
僕は後ろからの声に反応して憤怒の炎心剣を振り上げる。ガキィンとぶつかり合う俺の剣とクロヴィスの傲慢の光心剣。
体勢が悪いため奴から距離を取るが、一瞬で詰められた。こいつ、なんて速さだ!
「なったばかりの新米魔王に俺が負けるわけがないだろう。しっ!」
くっ、突然右肩と左わき腹に切り傷が出来る。いつの間に。だけど、このままやられるつもりはない。奴が僕から離れるように自分の周りに炎を放つ。
僕の周りに立ち上がる火柱。これで奴の動きは制限された上にわかるはず。そう思っていたが
「なっ!?」
火柱に触れた様子もなく、目の前に現れるクロヴィス。咄嗟に炎心剣を振るが、軽く避けられ逆に胸元から左肩にかけて斜めに切られた。くそっ、奴の動きが読めない。
「どうした。ハヤテ・シュバルツはこの程度の攻撃じゃあ傷などつけられなかったぞ? この程度なら仲間にしなくて正解だったな」
「くっ、こっちから願い下げだ!」
胸の痛みを我慢して剣を振り下ろす。その時には既に僕から距離を取っているクロヴィスは、光心剣に魔力を集めていた。
「貫け、光剣」
そして、放たれた光の刃。僕が反応する暇もなく脇腹を貫かれる。辛うじて急所は逸らしたが、それでもダメージは大きい。口から血を吐き、その場に膝をつく僕。
……ここまで手も足も出ないのはヘルガーさん以来か。口の中の鉄臭い血を吐いて顔を上げると、隙なく構えてこちらに向かってくるクロヴィスが。
「呆気なかったな。これで終わりだ」
クロヴィスがそう言いながら剣を振り下ろしてきた。
……何をしているんだ、僕は。こんなところで終わっていいのか? まだ、何も終えていないんだぞ!
僕は自分自身に怒りが湧いてくる。そしてその怒りが憤怒の炎心剣へと流れ込んで行く。こんなところでくたばるわけにはいかないんだよ!
「それでもまだまだだな」
「がっ!?」
立ち上がろうとした時、既に目の前にはクロヴィスが。そして胸元には傲慢の光心剣が突き刺さっていた。先ほど以上に口の奥から血が込み上げてくる。
「お前程度では俺には勝てない。このまま死ね」
更に深く突き刺さる剣。僕の意識が薄れて行く中、僕のじゃない声が聞こえてきた。
『全く、力を使えていないな。憤怒の力も光魔法の力も。俺とシスティーナの子孫が、そう簡単に負けるんじゃねえよ。手本を見せてやるから変われ』
その声を聞いた瞬間、僕の視界が一気に変わった。気が付けば、クロヴィスから離れていて、傷は治されていた。自分がやっているのに、自分の体じゃないみたいに勝手に動く。
「……いつの間に移動した?」
「うん? ウィルが瞬きしている間さ。うーん、久し振りに体を動かすが慣れねえな。それに、前とは違う魔力だ。変な感じがする。だが、こんなのでもシスティーナの魔力が感じられるのは嬉しいものだが」
僕の体を乗っ取った男ってもしかして……だけど、どうして? 彼は当然死んでいるはずだ。僕と同じ事を思っているのか、クロヴィスも驚いた表情を浮かべていた。
「……まさか、再開するとはな。お前も転生したのか? ハヤテ」
「いやいや、俺は終わった人間だ。未来の事は子孫に託した……だけど、この体の持ち主が力の使い方がなっちゃいなくてな。見るに見ていられなくてつい出て来ちまった。まあ、時間制限ありだが、楽しもうや」
僕の体に現れたハヤテ・シュバルツ。彼がそう言った瞬間、視界が一瞬で移動する。これは……転移を使ったのか? 目まぐるしく変わる視界。なんてスピードで戦っているんだ、この人は。
「まずは、転移だが、お前は移動にしか使ってねえだろ。こんな力があるんだからもっと使っていけよ。確かにある事が当たり前になっちゃいけねえがな。それに、転移は自分だけじゃなく、相手や魔法すら転移出来るんだから、もっと幅広く使って行くんだ。こんな風に」
ハヤテがそう言いながら僕が放つのよりも何倍も威力の強い炎の斬撃を放つ。しかも、ただ放つだけでなく、転移を使いクロヴィスの周りから飛ぶように放って行く。
なんて威力とスピードだ。当たらなかった炎は再び転移させて、まるでクロヴィスを追いかけているみたいだ。
「そこからよく見ていろよ。俺たちの子孫よ」
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