復讐の魔王
70.憤怒VS強欲(4)
「全く、せっかくこっちは魔王同士で楽しんでいるのに邪魔しないで欲しいな!」
ヘルはそう言いながら無数に作り出した魔力の巨腕をマリアたちへと振り下ろす。僕は直ぐに転移を発動して3人の前に移動する。そして振り下ろされる巨腕を弾くが、ぐっ! 一発が重たい。上から振り下ろされる腕を弾くと、次は右から迫る。
僕の持つ憤怒の炎心剣だけじゃあ間に合わない。僕は両手持ちにしていた炎心剣を右手に持ち替え、久し振りに使う魔法を発動。
本来なら持っていなかった属性だけど、この体になってから使えるようになった。今までは使う事が無かったけど、出し惜しみは無しだ。
空いた左手で、左腰に差してあるクロバを逆手で引き抜く。新しく使えるようになった魔法、闇魔法は魔族になってから使えるようになった魔法で、他のに比べたらあまり慣れていない。
それを補ってくれるのが、このクロバだ。このクロバはただの剣ではなく魔剣だ。能力は闇属性強化や発動補助などがある。
そのクロバへと闇属性の魔力を流してヘルの巨腕にぶつける。ドシンッ! と、大きな音と共に衝撃が走る。
ヘルの巨腕を弾くと、すかさず別の巨腕が降ってくる。再び炎心剣で弾くけどまた別のがと切りがない。そう思っていたら
「ほら!」
ヘルが大鎌を振り上げて迫ってきた。てっきり巨腕を動かしているとあまり動かないと思っていたけど、全く関係ないようだ。
左斜めから振り下ろされる大鎌をしゃがんで避けると、そこへと再び巨腕が降ってくる。横に跳んで避けるが、下から掬い上げるように再び巨腕が。
僕は後ろへ下り、振り上げる方へと力を逃すようにクロバで逸らす。同時に炎心剣で炎の斬撃をヘルへと放つ。
ヘルは巨腕で防ぐが、その内に転移でヘルの背後へと移動。炎心剣に高密度の炎と闇を纏わせ、黒炎を作る。全てを燃やし消し去る炎。漆黒の炎を纏った炎心剣で、下から切り上げる!
「黒炎ノ斬撃!」
僕の放った斬撃は高密度のヘルの魔力で作った巨腕をいとも簡単に切り裂き、ヘルへと迫った。だが、自分の体と斬撃の間に風心鎌を挟み斬撃を防ぐ。ただ、斬撃の威力には耐えられずに、壁へと吹き飛んでいった。
これで少しはダメージを与えれば良かったのだが、壁から出て来たヘルは、大墳墓から魔力を吸収して傷を治していた。本当に面倒な相手だ。いくら攻撃しようとも魔力が尽きない限り倒せない。
心臓を潰すか、首を落とすか、日輪大葬で一瞬で消しとばすかしないと無理だろう。いくら回復するからといってもそこまででは無いはず。ただ、弱点の心臓や首をそう簡単に攻撃するのは難しいだろう。
しかし、そのあと僕の予想の出来なかった事が起きた。それは
グサッ
「えっ?」
「なっ!」
ヘルの胸元から剣が突き出て来たのだ。ヘルは胸元を押さえながら後ろを向くと、後ろにはニヤニヤと腹の立つ表情を浮かべるマコトが立っていた。奴は、ヘルを裏切ったのか。
「な……何のつもりだよ……お……まえ!」
「何のつもりって、ただ、レベルを上げるためのだよ。君を倒せば経験値が沢山貰えそうだから、ね!」
「ぐふぅっ! き、さまぁぁぁぁ!」
ヘルは胸元から突き出る剣を握り抜こうとするが、マコトは空いている左手でヘルを掴みより深く剣を突き刺す。胸元から止めどなく溢れる血。口元から血を流れる事も気にせずに、マコトを睨み付ける。
「もう死んどけよ。俺の糧となって」
マコトはそれだけ言うと剣を上へと振り上げた。ヘルは突き刺された胸元から突き出ていた剣は、ヘルを切り裂いた。胸元から頭へと縦に割れて血が吹き出す。
「あは……あははははっ! これは凄い! かなりレベルが上がったぞ! くくくっ、これは竜二たちに自慢が出来るな!」
倒したヘルを一瞥する事もなく空中に浮かぶ何かを見て大喜びをするマコト。ニヤニヤと腹の立つ笑みを浮かべやがって。
別にヘルをライバル視していたわけじゃないが、戦いに横槍も入れやがって。今ここであいつを殺す!
僕はクロバと炎心剣を構えて、マコトへと向かう。マコトは僕を見ると、チッ、と舌打ちをして転移を発動。一緒に来ていたマユミの側へと移動する。
「悔しいけど、いくらレベルが上がったと言ってもまだ真正面からやっても敵わないからな。今は引かせてもらうよ。まあ、次に出会った時はお前を殺して経験値をもらって、後ろの女たちで遊ばせてもらうよ」
「もう! マコトの浮気者! マコトに色目使う女なんか殺してやるんだから!」
「あはは、マユミはその中でも1番さ。愛してるから怒らないでくれよ、未来の王妃様」
いきなり2人でいちゃつき始める2人だが、僕はそれどころではない。後ろの女たちで遊ばせてもらう? 女を殺す? また、お前たちは僕の大切な人たちに手を出そうとするのか?
僕は心の奥底から溢れる怒りと憎しみを抑える事が出来なかった。炎心剣とクロバに自分の持つ魔力の殆どを注ぐ。僕は周りの事を忘れて魔法を発動してしまった。
「消し飛べ! 日輪大葬!」
怒りで放った僕の一撃は、前より集中せずに怒り任せで放ったせいか集束が甘く威力も弱い。だけど、あいつを殺すには十分な威力だ。
マコトたちは何とか魔法で防ごうとするが、魔法など意味も無く消し飛ばした。マコトたちも光に飲み込まれたが、一瞬で反応が消えた……転移で逃げられたか。
「エル! 今の一撃で大墳墓が!」
あいつのせいで湧き上がったこの怒りをどうしようかと悩んでいると、後ろからマリアの声が聞こえる。日輪大葬を使ったせいで、殆ど崩れかけだった大墳墓が、遂に崩れ始めてしまった。
僕は倒れているヘルの遺体を見て、それからみんなの元へと向かう。早く脱出しなければ。
僕はその時、震える風心鎌に気づかなかった。
ヘルはそう言いながら無数に作り出した魔力の巨腕をマリアたちへと振り下ろす。僕は直ぐに転移を発動して3人の前に移動する。そして振り下ろされる巨腕を弾くが、ぐっ! 一発が重たい。上から振り下ろされる腕を弾くと、次は右から迫る。
僕の持つ憤怒の炎心剣だけじゃあ間に合わない。僕は両手持ちにしていた炎心剣を右手に持ち替え、久し振りに使う魔法を発動。
本来なら持っていなかった属性だけど、この体になってから使えるようになった。今までは使う事が無かったけど、出し惜しみは無しだ。
空いた左手で、左腰に差してあるクロバを逆手で引き抜く。新しく使えるようになった魔法、闇魔法は魔族になってから使えるようになった魔法で、他のに比べたらあまり慣れていない。
それを補ってくれるのが、このクロバだ。このクロバはただの剣ではなく魔剣だ。能力は闇属性強化や発動補助などがある。
そのクロバへと闇属性の魔力を流してヘルの巨腕にぶつける。ドシンッ! と、大きな音と共に衝撃が走る。
ヘルの巨腕を弾くと、すかさず別の巨腕が降ってくる。再び炎心剣で弾くけどまた別のがと切りがない。そう思っていたら
「ほら!」
ヘルが大鎌を振り上げて迫ってきた。てっきり巨腕を動かしているとあまり動かないと思っていたけど、全く関係ないようだ。
左斜めから振り下ろされる大鎌をしゃがんで避けると、そこへと再び巨腕が降ってくる。横に跳んで避けるが、下から掬い上げるように再び巨腕が。
僕は後ろへ下り、振り上げる方へと力を逃すようにクロバで逸らす。同時に炎心剣で炎の斬撃をヘルへと放つ。
ヘルは巨腕で防ぐが、その内に転移でヘルの背後へと移動。炎心剣に高密度の炎と闇を纏わせ、黒炎を作る。全てを燃やし消し去る炎。漆黒の炎を纏った炎心剣で、下から切り上げる!
「黒炎ノ斬撃!」
僕の放った斬撃は高密度のヘルの魔力で作った巨腕をいとも簡単に切り裂き、ヘルへと迫った。だが、自分の体と斬撃の間に風心鎌を挟み斬撃を防ぐ。ただ、斬撃の威力には耐えられずに、壁へと吹き飛んでいった。
これで少しはダメージを与えれば良かったのだが、壁から出て来たヘルは、大墳墓から魔力を吸収して傷を治していた。本当に面倒な相手だ。いくら攻撃しようとも魔力が尽きない限り倒せない。
心臓を潰すか、首を落とすか、日輪大葬で一瞬で消しとばすかしないと無理だろう。いくら回復するからといってもそこまででは無いはず。ただ、弱点の心臓や首をそう簡単に攻撃するのは難しいだろう。
しかし、そのあと僕の予想の出来なかった事が起きた。それは
グサッ
「えっ?」
「なっ!」
ヘルの胸元から剣が突き出て来たのだ。ヘルは胸元を押さえながら後ろを向くと、後ろにはニヤニヤと腹の立つ表情を浮かべるマコトが立っていた。奴は、ヘルを裏切ったのか。
「な……何のつもりだよ……お……まえ!」
「何のつもりって、ただ、レベルを上げるためのだよ。君を倒せば経験値が沢山貰えそうだから、ね!」
「ぐふぅっ! き、さまぁぁぁぁ!」
ヘルは胸元から突き出る剣を握り抜こうとするが、マコトは空いている左手でヘルを掴みより深く剣を突き刺す。胸元から止めどなく溢れる血。口元から血を流れる事も気にせずに、マコトを睨み付ける。
「もう死んどけよ。俺の糧となって」
マコトはそれだけ言うと剣を上へと振り上げた。ヘルは突き刺された胸元から突き出ていた剣は、ヘルを切り裂いた。胸元から頭へと縦に割れて血が吹き出す。
「あは……あははははっ! これは凄い! かなりレベルが上がったぞ! くくくっ、これは竜二たちに自慢が出来るな!」
倒したヘルを一瞥する事もなく空中に浮かぶ何かを見て大喜びをするマコト。ニヤニヤと腹の立つ笑みを浮かべやがって。
別にヘルをライバル視していたわけじゃないが、戦いに横槍も入れやがって。今ここであいつを殺す!
僕はクロバと炎心剣を構えて、マコトへと向かう。マコトは僕を見ると、チッ、と舌打ちをして転移を発動。一緒に来ていたマユミの側へと移動する。
「悔しいけど、いくらレベルが上がったと言ってもまだ真正面からやっても敵わないからな。今は引かせてもらうよ。まあ、次に出会った時はお前を殺して経験値をもらって、後ろの女たちで遊ばせてもらうよ」
「もう! マコトの浮気者! マコトに色目使う女なんか殺してやるんだから!」
「あはは、マユミはその中でも1番さ。愛してるから怒らないでくれよ、未来の王妃様」
いきなり2人でいちゃつき始める2人だが、僕はそれどころではない。後ろの女たちで遊ばせてもらう? 女を殺す? また、お前たちは僕の大切な人たちに手を出そうとするのか?
僕は心の奥底から溢れる怒りと憎しみを抑える事が出来なかった。炎心剣とクロバに自分の持つ魔力の殆どを注ぐ。僕は周りの事を忘れて魔法を発動してしまった。
「消し飛べ! 日輪大葬!」
怒りで放った僕の一撃は、前より集中せずに怒り任せで放ったせいか集束が甘く威力も弱い。だけど、あいつを殺すには十分な威力だ。
マコトたちは何とか魔法で防ごうとするが、魔法など意味も無く消し飛ばした。マコトたちも光に飲み込まれたが、一瞬で反応が消えた……転移で逃げられたか。
「エル! 今の一撃で大墳墓が!」
あいつのせいで湧き上がったこの怒りをどうしようかと悩んでいると、後ろからマリアの声が聞こえる。日輪大葬を使ったせいで、殆ど崩れかけだった大墳墓が、遂に崩れ始めてしまった。
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