復讐の魔王
51.騒動
「……ここで待っているだけなのも暇だな」
「まあ、ルイーザは昨日は外を見て来ていましたからね。慣れないとそんなものですよ。今頃、エル兄さんとマリンティアさんはどうしているのでしょうか?」
私は、今ここにはいない2人の事を思う。あの2人だから危険になる事は無いと思うのだけど。
「た、多分大丈夫だとお、思います。あの2人は、強いですから」
少し怯えながらミミがそんな事を言って来る。彼女がこのメンバーに加わって1ヶ月。初めは勇者であるミミと話すのも、顔を見るのも嫌だったけど、この1ヶ月一緒にいたら、この子が他の勇者と同じ様に出来ないのはわかった。
こんな気の小さい子が、あんな事を気にせず出来るのなら、私はもう誰も信じられなくなっちゃうわね。
今は普通に話す仲……の筈なのだけど、未だに緊張した風に話して来る。まあ、これが彼女の普通なのかもしれないけど。
「そんな事より、マリーシャ、ミカ、気が付いたか?」
ミミと話をしていると、ルイーザが顔を寄せてそう呟く。私は頷くけど、ミミは私とルイーザを交互に見る。
こんなの気がつくに決まっているじゃ無い。エル兄さん以外、大っ嫌いな男たちが私たちに近づいて来ているんだから。
普段は我慢しているし、エル兄さんがいるから近づいて来ないけど、向こうから近づいて来られると、もう駄目だ。全身に鳥肌が立って……殺したくなる。
直ぐにでも、周りにいる男たちに向かって、魔法を放ちたくなった私だけど、そんな私の手を握ってくれる人がいる。
それは、親友のルイーザ……では無くて、おどおどとしたミミだった。ルイーザは、男たちがそれ以上近寄って来ない様に、私の前に立ってくれる。
「ママママ、マリーシャさん。おおおお、落ちちゃいてくだしゃい! めめ、目があか、赤くなっています!」
……取り敢えずあなたが落ち着きなさいよ。どうして私以上に慌てているのよ。だけど、そんなミミを見ていたら、鳥肌も収まった。男たちが気持ち悪いのには変わりないけど、まだ大丈夫。
「何の用だ、お前たち。見回りはどうした?」
「おっ、姉ちゃん。俺たちはあんたらと同じで2つに分けてな。今は同じ休憩中なんだよ。もし良かったら俺たちと話さねえか?」
「話さない。終わりだ」
私が落ち着いていると、いつの間にルイーザが男たちをバッサリと切って、私の方へと寄って来て、心配してくれる。
「マリーシャ、ミカ。部屋を出よう。エル兄上たちがいなくて心配するかもしれないが、このまま絡まれるよりはマシだ」
「そうですね。それが良いかもしれませんね」
ルイーザの提案に私もミミも頷く。さっさとこんなところは出てしまおう。そう思ったけど
「おい、せっかく俺たち『最強の剣』が声かけてやっているのに、何だよ、その態度は!」
話しかけて来た男が、私たちの道を塞ぐ様に立つ。そしてその仲間たちに囲まれてしまった。はぁ、本当に殺してしまおうかしら。殺しても誰も怒らないわよね?
そう思って、手に持つ杖の握る力を入れた時
ズドドドォン!
と、何かが連続して爆発する音が屋敷中に鳴り響いた。そして大きく揺れる屋敷。一体何が起きているの?
「もしかして、攻めて来たのか!? くっく! おい、野郎ども! 兵士どもや他の冒険者より早く捕まえるぞ! そうすれば遊んで暮らせる金が入る!」
私たちを囲んでいた男たちは、さっさと部屋を出て行ってしまった。
それからも、時折揺れる屋敷。鳴り響く爆発音。慌ただしく走る足音。そして、ぶつかり合う剣戟の音。叫び声の中には、どうやら仲間同士で争っている声もある。
「一体何が起きているのだ?」
「わ、わかりませんが、ここにいては危ないのでは?」
「……そうですね。兄さんたちを探すのと同時に、ここから出ましょう。これからの事は、兄さんたちと合流してから考えましょう」
ルイーザもミミも頷いたので、部屋を出ると、廊下は血の海だった。この屋敷の兵士たちの死体に、さっき意気揚々と部屋を出て行った冒険者たちの死体もあった。そして、その自体の中心に立っているのは
「ん? なんだ、あの時の嬢ちゃんたちじゃねえか」
2本の剣を持って、死体の中心に立つ茶髪の男だった。確か『二剣のラゲル』だったかしら? 依頼初日に出会った人。
「貴殿がこれをやったのか?」
「この死体か? まあ、俺もやったし、仲間もやった、ってのが答えだな」
他にも仲間がいるってわけね。他のところでも争っている音が聞こえるので、この男が言っている事はあっているのでしょう。爆発の原因は、この男じゃないのね。
「見目麗しい嬢たちには悪いが、目撃者は殺す様に言われているんだ。仲間になるっていうなら別だが、どうする?」
「これが答えだ!」
ルイーザが、ラゲルへの答えという事で剣を抜き、風の斬撃を放つ。ラゲルは左に持つ剣で簡単に弾いてしまったけど、その内に私の準備は出来た。だけと
「ミカ、何をしているのです! 早く構えなさい!」
「……」
「ミカ!」
「っ! あっ、ご、ごめんなさい!」
別の方向を見て、ミカはぼっーとしたままだった。思わず怒鳴ってしまったけど、どうしたのかしら?
だけど、仕方ない。だって目の前にいるラゲルから放たれる殺気は、兄さまや前に見かけた獣王たちと比べても、劣らない程の殺気を放ってくるのだもの。
「ほう、俺の殺気をくらっても、平然と立っていられるか。少しは本気を出しても良さそうだな!」
そう言い剣を構えるラゲル。こんな時に面倒な!
「まあ、ルイーザは昨日は外を見て来ていましたからね。慣れないとそんなものですよ。今頃、エル兄さんとマリンティアさんはどうしているのでしょうか?」
私は、今ここにはいない2人の事を思う。あの2人だから危険になる事は無いと思うのだけど。
「た、多分大丈夫だとお、思います。あの2人は、強いですから」
少し怯えながらミミがそんな事を言って来る。彼女がこのメンバーに加わって1ヶ月。初めは勇者であるミミと話すのも、顔を見るのも嫌だったけど、この1ヶ月一緒にいたら、この子が他の勇者と同じ様に出来ないのはわかった。
こんな気の小さい子が、あんな事を気にせず出来るのなら、私はもう誰も信じられなくなっちゃうわね。
今は普通に話す仲……の筈なのだけど、未だに緊張した風に話して来る。まあ、これが彼女の普通なのかもしれないけど。
「そんな事より、マリーシャ、ミカ、気が付いたか?」
ミミと話をしていると、ルイーザが顔を寄せてそう呟く。私は頷くけど、ミミは私とルイーザを交互に見る。
こんなの気がつくに決まっているじゃ無い。エル兄さん以外、大っ嫌いな男たちが私たちに近づいて来ているんだから。
普段は我慢しているし、エル兄さんがいるから近づいて来ないけど、向こうから近づいて来られると、もう駄目だ。全身に鳥肌が立って……殺したくなる。
直ぐにでも、周りにいる男たちに向かって、魔法を放ちたくなった私だけど、そんな私の手を握ってくれる人がいる。
それは、親友のルイーザ……では無くて、おどおどとしたミミだった。ルイーザは、男たちがそれ以上近寄って来ない様に、私の前に立ってくれる。
「ママママ、マリーシャさん。おおおお、落ちちゃいてくだしゃい! めめ、目があか、赤くなっています!」
……取り敢えずあなたが落ち着きなさいよ。どうして私以上に慌てているのよ。だけど、そんなミミを見ていたら、鳥肌も収まった。男たちが気持ち悪いのには変わりないけど、まだ大丈夫。
「何の用だ、お前たち。見回りはどうした?」
「おっ、姉ちゃん。俺たちはあんたらと同じで2つに分けてな。今は同じ休憩中なんだよ。もし良かったら俺たちと話さねえか?」
「話さない。終わりだ」
私が落ち着いていると、いつの間にルイーザが男たちをバッサリと切って、私の方へと寄って来て、心配してくれる。
「マリーシャ、ミカ。部屋を出よう。エル兄上たちがいなくて心配するかもしれないが、このまま絡まれるよりはマシだ」
「そうですね。それが良いかもしれませんね」
ルイーザの提案に私もミミも頷く。さっさとこんなところは出てしまおう。そう思ったけど
「おい、せっかく俺たち『最強の剣』が声かけてやっているのに、何だよ、その態度は!」
話しかけて来た男が、私たちの道を塞ぐ様に立つ。そしてその仲間たちに囲まれてしまった。はぁ、本当に殺してしまおうかしら。殺しても誰も怒らないわよね?
そう思って、手に持つ杖の握る力を入れた時
ズドドドォン!
と、何かが連続して爆発する音が屋敷中に鳴り響いた。そして大きく揺れる屋敷。一体何が起きているの?
「もしかして、攻めて来たのか!? くっく! おい、野郎ども! 兵士どもや他の冒険者より早く捕まえるぞ! そうすれば遊んで暮らせる金が入る!」
私たちを囲んでいた男たちは、さっさと部屋を出て行ってしまった。
それからも、時折揺れる屋敷。鳴り響く爆発音。慌ただしく走る足音。そして、ぶつかり合う剣戟の音。叫び声の中には、どうやら仲間同士で争っている声もある。
「一体何が起きているのだ?」
「わ、わかりませんが、ここにいては危ないのでは?」
「……そうですね。兄さんたちを探すのと同時に、ここから出ましょう。これからの事は、兄さんたちと合流してから考えましょう」
ルイーザもミミも頷いたので、部屋を出ると、廊下は血の海だった。この屋敷の兵士たちの死体に、さっき意気揚々と部屋を出て行った冒険者たちの死体もあった。そして、その自体の中心に立っているのは
「ん? なんだ、あの時の嬢ちゃんたちじゃねえか」
2本の剣を持って、死体の中心に立つ茶髪の男だった。確か『二剣のラゲル』だったかしら? 依頼初日に出会った人。
「貴殿がこれをやったのか?」
「この死体か? まあ、俺もやったし、仲間もやった、ってのが答えだな」
他にも仲間がいるってわけね。他のところでも争っている音が聞こえるので、この男が言っている事はあっているのでしょう。爆発の原因は、この男じゃないのね。
「見目麗しい嬢たちには悪いが、目撃者は殺す様に言われているんだ。仲間になるっていうなら別だが、どうする?」
「これが答えだ!」
ルイーザが、ラゲルへの答えという事で剣を抜き、風の斬撃を放つ。ラゲルは左に持つ剣で簡単に弾いてしまったけど、その内に私の準備は出来た。だけと
「ミカ、何をしているのです! 早く構えなさい!」
「……」
「ミカ!」
「っ! あっ、ご、ごめんなさい!」
別の方向を見て、ミカはぼっーとしたままだった。思わず怒鳴ってしまったけど、どうしたのかしら?
だけど、仕方ない。だって目の前にいるラゲルから放たれる殺気は、兄さまや前に見かけた獣王たちと比べても、劣らない程の殺気を放ってくるのだもの。
「ほう、俺の殺気をくらっても、平然と立っていられるか。少しは本気を出しても良さそうだな!」
そう言い剣を構えるラゲル。こんな時に面倒な!
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