復讐の魔王
49.地下への階段
かなり面倒な相手であるクロードと別れてから僕たちは、この屋敷の中で、地下から発せられる謎の気配が1番感じられる場所へとやって来た。
「……ここが1番怪しいわね」
マリンティアさんが目を細めてとある場所を見ているけど、僕は目を瞑っている。この場所で流石に男である僕が目を開ける事は出来ない。
どうして目を開ける事が出来ないか。理由は簡単だ。この場所は本来男が入ることの出来ない、女性用のお手洗いだからだ。
「ほら、いつまで目を閉じてるのよエルは。ここには私たち以外は誰もいないのだから、目を開けなさいよ」
「いや、誰もいなくても、流石に女性用のお手洗いを見るわけには」
僕が何を言われても目を開けない事に、マリンティアさんのため息が耳から聞こえてくる。でも、このまま目を閉じていても仕方ないのも確かだ。
どうやって、目を開けずに進もうか考えていると、外から3つの気配が。その気配は真っ直ぐとこちらへ向かってくる……って不味い! マリンティアさんがだけならともかく、僕が見つかったら色々と面倒な事になる。
僕が慌てているのがわかったマリンティアさんは、僕の手を引っ張り、こっちだとどこかに入れられた。そしてガチャと鍵が閉められる音が。それと入れ替わるように、若い女性の声が、中へと入って来た。
入って来たのは、ここで働く侍女の様で、化粧直しに来たみたい。冒険者が絡んでくるの面倒、偶に触られる、など侍女たちが話しているのを聞きながら、早く出るのを待っていると、何だか甘い匂いがしてくる。
初めて嗅ぐ匂いでは無く、時折ふわっと香る匂いだ。そして、先ほどよりかなり近く感じられるマリンティアさんの気配。
どうしようか迷ったけど、うすーーーく目を開けて確認すると、目の前には、綺麗なマリンティアさんの顔があった。
僕は思わず叫びそうになったけど、何とか我慢出来た……ってここ、女性用のお手洗いの個室じゃ無いか!
個室は当然1人用なので、2人も入ると結構狭い。そんなところで僕とマリンティアさんは、向かい合う状態で、篭っていた。
僕とマリンティアさんの身長差は、僕の鼻ぐらいのところがマリンティアさんの頭のてっぺんになる。そのせいか、マリンティアさんの良い匂いが、鼻の中へとすーっと入ってくる。
更にマリンティアさんが身動きをする度に、髪の毛が揺れるので、マリンティアさんの綺麗な髪の毛が、僕の首筋や鼻先に触れてこそばゆい。
(ちょっと、エル。じっとしててよ)
(ご、ごめん。でも、マリンティアさんの髪の毛が当たってこそばゆいんだ)
僕が小さな声で弁明すると、何故か頬を膨らませて怒りを表すマリンティアさん。何で?
(どうしたの、マリンティアさん?)
(マリアよ)
(えっ?)
(さっきみたいにマリアって呼びなさい!)
声を小さくしながらも起こるという、器用な事をするマリンティアさん。だけど、言っている内容が恥ずかしいのか、顔を赤く染める。当然そんな事を言われたら僕も恥ずかしい。
(……)
(……)
2人の間で続く沈黙。そんな話をしていたら、侍女たちはようやくお手洗いから出て行った。マリンティアさんが外を確認して大丈夫だとはんだんすると、僕も出た。
「ふぅ、助かった。ありがとう、マリアさん」
「……別に良いわよ」
僕がお礼を言うのと一緒に、マリンティアさん……マリアさんの名前を呼ぶと、マリアさんはそっぽを向いてしまった。嫌がっては無いので良かった。
それから辺りを見回して気が付いたけど……目、開けちゃった。今更目を閉じても仕方ないので、心の中で誰かに謝りながらも、マリアさんと手分けしてお手洗いの中を探る。
「……中々見つからないわね」
腕を組んで考えるマリアさん。何と無く入り口はわかるのだけど、そこの開け方がわからないのだ。壊すわけにもいかないので、どうしようか迷って色々なものを触っていると
「あれ、この紋様って」
侍女たちが化粧直しをしていたと思われる洗面台の下側に、ヘルティエンス伯爵の家紋が入ってあった。こんな場所に普通はつけない。
怪しく思った僕は、これに触れると紋様が光り出し、僕らが考えていた場所が横にずれて階段が現れた。まあ、こんな洗面台の下なんて誰も見ないよね。ましてや女性用のお手洗いなんて。
「それじゃあ、行こうか」
「ええ」
さて、この奥には何があるのか。
「……ここが1番怪しいわね」
マリンティアさんが目を細めてとある場所を見ているけど、僕は目を瞑っている。この場所で流石に男である僕が目を開ける事は出来ない。
どうして目を開ける事が出来ないか。理由は簡単だ。この場所は本来男が入ることの出来ない、女性用のお手洗いだからだ。
「ほら、いつまで目を閉じてるのよエルは。ここには私たち以外は誰もいないのだから、目を開けなさいよ」
「いや、誰もいなくても、流石に女性用のお手洗いを見るわけには」
僕が何を言われても目を開けない事に、マリンティアさんのため息が耳から聞こえてくる。でも、このまま目を閉じていても仕方ないのも確かだ。
どうやって、目を開けずに進もうか考えていると、外から3つの気配が。その気配は真っ直ぐとこちらへ向かってくる……って不味い! マリンティアさんがだけならともかく、僕が見つかったら色々と面倒な事になる。
僕が慌てているのがわかったマリンティアさんは、僕の手を引っ張り、こっちだとどこかに入れられた。そしてガチャと鍵が閉められる音が。それと入れ替わるように、若い女性の声が、中へと入って来た。
入って来たのは、ここで働く侍女の様で、化粧直しに来たみたい。冒険者が絡んでくるの面倒、偶に触られる、など侍女たちが話しているのを聞きながら、早く出るのを待っていると、何だか甘い匂いがしてくる。
初めて嗅ぐ匂いでは無く、時折ふわっと香る匂いだ。そして、先ほどよりかなり近く感じられるマリンティアさんの気配。
どうしようか迷ったけど、うすーーーく目を開けて確認すると、目の前には、綺麗なマリンティアさんの顔があった。
僕は思わず叫びそうになったけど、何とか我慢出来た……ってここ、女性用のお手洗いの個室じゃ無いか!
個室は当然1人用なので、2人も入ると結構狭い。そんなところで僕とマリンティアさんは、向かい合う状態で、篭っていた。
僕とマリンティアさんの身長差は、僕の鼻ぐらいのところがマリンティアさんの頭のてっぺんになる。そのせいか、マリンティアさんの良い匂いが、鼻の中へとすーっと入ってくる。
更にマリンティアさんが身動きをする度に、髪の毛が揺れるので、マリンティアさんの綺麗な髪の毛が、僕の首筋や鼻先に触れてこそばゆい。
(ちょっと、エル。じっとしててよ)
(ご、ごめん。でも、マリンティアさんの髪の毛が当たってこそばゆいんだ)
僕が小さな声で弁明すると、何故か頬を膨らませて怒りを表すマリンティアさん。何で?
(どうしたの、マリンティアさん?)
(マリアよ)
(えっ?)
(さっきみたいにマリアって呼びなさい!)
声を小さくしながらも起こるという、器用な事をするマリンティアさん。だけど、言っている内容が恥ずかしいのか、顔を赤く染める。当然そんな事を言われたら僕も恥ずかしい。
(……)
(……)
2人の間で続く沈黙。そんな話をしていたら、侍女たちはようやくお手洗いから出て行った。マリンティアさんが外を確認して大丈夫だとはんだんすると、僕も出た。
「ふぅ、助かった。ありがとう、マリアさん」
「……別に良いわよ」
僕がお礼を言うのと一緒に、マリンティアさん……マリアさんの名前を呼ぶと、マリアさんはそっぽを向いてしまった。嫌がっては無いので良かった。
それから辺りを見回して気が付いたけど……目、開けちゃった。今更目を閉じても仕方ないので、心の中で誰かに謝りながらも、マリアさんと手分けしてお手洗いの中を探る。
「……中々見つからないわね」
腕を組んで考えるマリアさん。何と無く入り口はわかるのだけど、そこの開け方がわからないのだ。壊すわけにもいかないので、どうしようか迷って色々なものを触っていると
「あれ、この紋様って」
侍女たちが化粧直しをしていたと思われる洗面台の下側に、ヘルティエンス伯爵の家紋が入ってあった。こんな場所に普通はつけない。
怪しく思った僕は、これに触れると紋様が光り出し、僕らが考えていた場所が横にずれて階段が現れた。まあ、こんな洗面台の下なんて誰も見ないよね。ましてや女性用のお手洗いなんて。
「それじゃあ、行こうか」
「ええ」
さて、この奥には何があるのか。
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