復讐の魔王
48.厄介な相手
「それじゃあ、今日は僕とマリンティアさんで外を見てくるから、マリーシャたちはここを頼むよ」
「わかりましたアル兄さん。気を付けてくださいね」
マリーシャの言葉を受けて、部屋を出る僕とマリンティアさん。
僕たちがヘルティエンス伯爵の依頼を受けてから1日が経った。昨日は特に攻めてくる人も無くかなり暇な1日だったけど、護衛依頼なんてそんなものなのだろう。
ただ、護衛依頼中だというのに、酒を飲んでマリーシャたちに絡む馬鹿はいたけど。面倒だから適当にあしらってはいたけど、今後も絡んでくるとなると面倒だ。
そして今日は、僕とマリンティアさんが外を回る。回ると言っても、行くのは昨日マリンティアさんたちが怪しいと言った地下へとだけど。
昨日、マリンティアさんたちが帰ってきたから放った一言「地下に何かいる」という言葉。それが気になってしまったのが1番の理由だ。
マリンティアさんが危惧するほどの気配。僕も意識してみればわかった。確かにこの下からは何かの気配を感じる。しかも1つでは無くて複数も。
これは明らかに異常だ。人間でも魔物でも無い気配が下から複数も感じられる。明らかに怪しい。
なので、今日はそれの正体を探りに行く事にしたのだ。正直に言うと、護衛依頼よりも気になっている。
「それじゃあ行こうか、マリンティアさん」
「ええ、行きましょうか」
さてと、何処から探そうか。やっぱり気配が濃いところかな? 周りには兵士と冒険者たちが見回りをしている。余り怪しい行動は出来ない。
地下の気配を探っていると
「やあ、エルとマリンティアじゃ無いか」
と、物凄く気軽に話しかけてくる男性。昨日知り合ったばかりの冒険者、クロードだった。その隣には赤髪の女性、確かプラムだったか。彼女が立っていた。
「こんなところで奇遇だな。もしかして君達も見回りかい?」
えらく気安く話しかけてくるクロード。知らない冒険者なら無視していけるんだけど、自己紹介してしまったからなぁ。仕方ない。軽く話して別れるか。
「まあ、そんなところだね。それじゃあもう行くよ」
僕がそれだけ言って、クロードの横を通り過ぎようとすると、後ろから「きゃあっ!」と声がする。振り向くと、クロードがマリンティアさんの手を掴んでいる光景が見えた。
」まあ、そう言わずにもう少し話をしようよ。もし良かったら一緒に回るのも良いんじゃ無いかい?」
やばい、マリンティアさんの目が座ってきている。それも仕方ないけど。昨日出会ったばかりの男に気安く呼ばれて、手を掴まれているんだ。誰だって怒りはするだろう。
だけど、このままだとクロードを殺しかねない。流石に今ここで殺すのは面倒な事になる。
マリンティアさんが腰にある細剣に手をかける前に、マリンティアさんをクロードから引き離す。クロードは突然手に走った痛みに顔を歪める。俺がただ力強く握っただけだから折れてはいないはずだ。
「な、何をするんだエル」
「何をするはこっちのセリフだよ。昨日知り合ったばかりの相手の手を掴むなんてね。しかも嫌がっているのに」
「嫌がっている? なんで嫌がるんだ? 冒険者同士、これから親睦を深めるためにやっている事だというのに」
こいつは馬鹿なのだろうか? マリンティアさんの表情を見ても、嫌がっているのは一目瞭然だ。まずマリンティアさんの名前を呼び捨てした時に眉を顰めて、手を掴まれた時に殺気を放っている。
もしかして、それに気が付いていないのか? もしそうならかなり厄介だ。だって自分が嫌がる事をやっている自覚が無いのだから。
「エル、私の事を抱き締めて。あいつの目の前で」
面倒な相手であるクロードを睨んでいると、隣に立つマリンティアさんがそんな事を言ってくる。更に愛称で呼べとも。
僕にはわからないけど、マリンティアさんには何か考えがあるのだろう。ここは従っておこう。
僕は左手でマリンティアさんの左肩を掴み抱き寄せる。そして
「大丈夫かい、マリア?」
「ええ、怖かったわエル」
そんな事を言いながら見つめ合う僕とマリンティアさん。なんだか恥ずかしいな。マリンティアさんも同じなのか、頰を少し赤く染めている。
そして、そんな光景を見せられたクロードとは言うと、頰を引きつらせていた。今がチャンスかな。
「それじゃあ、僕たちはもう行くよ。次にこんな真似をしたら許さないからね」
僕とマリンティアさんは、クロードが黙っている内に
、足早にその場から立ち去る。はぁ、厄介な相手に目を付けられたものだ。この依頼中何度絡んでくるかわからないけど、用心に越した事は無い。みんなにも伝えておこう。
◇◇◇
「ヘルティエンス伯爵、何人かの冒険者が地下に気が付いたようです」
「そいつらは?」
「地下への道を探っているようですが、見つける事は出来ないでしょう」
「そうだな。万が一見つけた時は殺せ」
「わかりましたアル兄さん。気を付けてくださいね」
マリーシャの言葉を受けて、部屋を出る僕とマリンティアさん。
僕たちがヘルティエンス伯爵の依頼を受けてから1日が経った。昨日は特に攻めてくる人も無くかなり暇な1日だったけど、護衛依頼なんてそんなものなのだろう。
ただ、護衛依頼中だというのに、酒を飲んでマリーシャたちに絡む馬鹿はいたけど。面倒だから適当にあしらってはいたけど、今後も絡んでくるとなると面倒だ。
そして今日は、僕とマリンティアさんが外を回る。回ると言っても、行くのは昨日マリンティアさんたちが怪しいと言った地下へとだけど。
昨日、マリンティアさんたちが帰ってきたから放った一言「地下に何かいる」という言葉。それが気になってしまったのが1番の理由だ。
マリンティアさんが危惧するほどの気配。僕も意識してみればわかった。確かにこの下からは何かの気配を感じる。しかも1つでは無くて複数も。
これは明らかに異常だ。人間でも魔物でも無い気配が下から複数も感じられる。明らかに怪しい。
なので、今日はそれの正体を探りに行く事にしたのだ。正直に言うと、護衛依頼よりも気になっている。
「それじゃあ行こうか、マリンティアさん」
「ええ、行きましょうか」
さてと、何処から探そうか。やっぱり気配が濃いところかな? 周りには兵士と冒険者たちが見回りをしている。余り怪しい行動は出来ない。
地下の気配を探っていると
「やあ、エルとマリンティアじゃ無いか」
と、物凄く気軽に話しかけてくる男性。昨日知り合ったばかりの冒険者、クロードだった。その隣には赤髪の女性、確かプラムだったか。彼女が立っていた。
「こんなところで奇遇だな。もしかして君達も見回りかい?」
えらく気安く話しかけてくるクロード。知らない冒険者なら無視していけるんだけど、自己紹介してしまったからなぁ。仕方ない。軽く話して別れるか。
「まあ、そんなところだね。それじゃあもう行くよ」
僕がそれだけ言って、クロードの横を通り過ぎようとすると、後ろから「きゃあっ!」と声がする。振り向くと、クロードがマリンティアさんの手を掴んでいる光景が見えた。
」まあ、そう言わずにもう少し話をしようよ。もし良かったら一緒に回るのも良いんじゃ無いかい?」
やばい、マリンティアさんの目が座ってきている。それも仕方ないけど。昨日出会ったばかりの男に気安く呼ばれて、手を掴まれているんだ。誰だって怒りはするだろう。
だけど、このままだとクロードを殺しかねない。流石に今ここで殺すのは面倒な事になる。
マリンティアさんが腰にある細剣に手をかける前に、マリンティアさんをクロードから引き離す。クロードは突然手に走った痛みに顔を歪める。俺がただ力強く握っただけだから折れてはいないはずだ。
「な、何をするんだエル」
「何をするはこっちのセリフだよ。昨日知り合ったばかりの相手の手を掴むなんてね。しかも嫌がっているのに」
「嫌がっている? なんで嫌がるんだ? 冒険者同士、これから親睦を深めるためにやっている事だというのに」
こいつは馬鹿なのだろうか? マリンティアさんの表情を見ても、嫌がっているのは一目瞭然だ。まずマリンティアさんの名前を呼び捨てした時に眉を顰めて、手を掴まれた時に殺気を放っている。
もしかして、それに気が付いていないのか? もしそうならかなり厄介だ。だって自分が嫌がる事をやっている自覚が無いのだから。
「エル、私の事を抱き締めて。あいつの目の前で」
面倒な相手であるクロードを睨んでいると、隣に立つマリンティアさんがそんな事を言ってくる。更に愛称で呼べとも。
僕にはわからないけど、マリンティアさんには何か考えがあるのだろう。ここは従っておこう。
僕は左手でマリンティアさんの左肩を掴み抱き寄せる。そして
「大丈夫かい、マリア?」
「ええ、怖かったわエル」
そんな事を言いながら見つめ合う僕とマリンティアさん。なんだか恥ずかしいな。マリンティアさんも同じなのか、頰を少し赤く染めている。
そして、そんな光景を見せられたクロードとは言うと、頰を引きつらせていた。今がチャンスかな。
「それじゃあ、僕たちはもう行くよ。次にこんな真似をしたら許さないからね」
僕とマリンティアさんは、クロードが黙っている内に
、足早にその場から立ち去る。はぁ、厄介な相手に目を付けられたものだ。この依頼中何度絡んでくるかわからないけど、用心に越した事は無い。みんなにも伝えておこう。
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