復讐の魔王
18.近隣諸国
「ゆ……ゆふぃー……さま」
「ま、また、お会いする事が……ぐすっ……できる……なんて……」
僕の肩に乗るユフィーを見て、涙を流すルイーザとマリーシャ。2人がなぜ泣いているかわからずに首を傾げるユフィー。対照的な光景だけど、2人の気持ちはわかる。
2人も、ユフィーの護衛をしたりしていたので、当然ユフィーの事は知っている。2人もユフィーを守れなかった自責の念があるのだろう。それは僕も一緒だ。ユフィーの最後の時に僕は側にいずに助けられなかったのだから。
「あるじさまぁ〜、どうしてお2人は泣いているのですか?」
「それはね。ユフィーに出会えて嬉しいからだよ。こっちの剣を腰に挿したほうがルイーザ、杖を持っている方がマリーシャだよ」
「そうなんだ! 私の名前はユフィーですっ! あるじさまに付けてもらいました! よろしくお願いします、ルーちゃん、まーちゃん!」
ごく自然に2人の名前を言うユフィー。2人も驚いて目を丸くしている。ユフィーも自分で言って気が付いたのか「うん? うん?」と唸っている。
「ユフィー、今の名前って?」
「うーん、お2人のお名前を聞いたら自然と出て来たんです。何ででしょうか〜?」
やっぱり、彼女はユフィーなのだろう。ヘルガーさんの話では元々守護霊で僕に憑いていたものが、憤怒の炎心剣に当てられて精霊になったと言っていた。
記憶は失っているけど、どこかで2人の事を覚えているのだろう……いつか僕の事もエル、と呼んでくれるのだろうか? それに記憶も戻ったりするのだろうか?
そんな事を思いながらルイーザたちと遊ぶユフィーを見ていると、マリンティアさんとローナさんがやって来た。
「あそこまで自我を持っている妖精は珍しいわね」
「そうですね、多分ですが炎心剣が妖精としての格も上げたのでしょう」
「そんなに違うのですか?」
僕が何気無しに尋ねると、ローナさんが頷く。ローナさんの話を聞くと、どうやら本来の妖精は意思はあるのだけど、話したりできないらしい。
話せる妖精もいるけど、それは精霊として格の高い精霊しか話せないらしい。しかも、話せる精霊となればほとんど人前には姿は表さないとか。だから、ローナさんもユフィーの姿を見て感動しているそうだ。
「でも、ローナさん、精霊に詳しいですね。どうしてなのですか?」
「それは私たちエルフは精霊を信仰としていますから。子供の頃からずっと精霊が側にいて、助け合って暮らしていたのです。ここ最近は戦争ばかりのせいで皆、隠れてしまっていますが」
へぇ〜、エルフって精霊を信仰しているのか。人族以外の種族は全て魔族に分類されるから今まで知らなかったけど、そういう種族もいるのか。
そんな風にみんなで話をしていたら、地下王宮内が騒がしくなって来た。何かあったのだろうか? ユフィーも僕の肩まで戻り、ルイーザとマリーシャも僕の側に寄る。
マリンティアさんはローナさんを伴って部屋を出て行ってしまった。僕たちはどうするか顔を見合わせていると、マリンティアさんたちが直ぐに戻って来た。ただ、表情が硬い。
「何かあったのですか、マリンティアさん?」
「……ええ、隣国の死王国の魔王リッテルがやって来たの」
別の国の魔王か。この前マリンティアさんに聞いたけど、魔国ベルヘイムの周りの国は東にグランディーク王国、直ぐ上に獣王国リグレム。西にさっき出てきた死王国デスティム。南に蛇王国スルムがある。
獣王国リグレムは獣人族が多い国らしく、人国はグランディークだけでなく、ゼルテア帝国とも接している。
死王国は珍しく魔物が進化して知識を持った人物が建てた国らしい。確か種族はノーライフキングで、闇魔法の中でも特殊な死霊魔法を使うらしい。人口は少ないけど、それを補う死霊軍団があるとか。
南の蛇王国スルムは、ラミアクイーンが女王として君臨している。その名の通り、国の種族はラミア族が中心となり、ほかにはリザードマンやタートルマンなど爬虫類種もいる。
ただ、この国は他国とも貿易が盛んらしく、人族とも貿易をしているとか。戦争を好まなく、中立を謳っているらしい。
ほかにも色々と国はあるけど、取り敢えず直接関係ある魔族の国はこの3つだ。その内の1つの国、死王国デスティムの魔王がやって来ている。って事はノーライフキングが来ているのか。少し見て見たいな。
「ねぇ、マリンティアさん。その死王国の魔王とは会えたりするの?」
「えっ、あなた会う気なの? ……悪い事は言わないからやめていた方が良いわよ。あの人は常に死の魔力を放っているか、近づくだけで辛いわよ?」
マリンティアさんはそう言って苦々しそうな表情を浮かべる。昔に何かあったのだろうか。そう思いマリンティアさんの顔を見ていたら
「エル様」
と、後ろから侍女に呼ばれる。僕が振り向くと、侍女は綺麗なお辞儀をして来て、僕に近づく。そして
「ヘルガー様がお呼びです。死王国の魔王様がお会いしたいとの事です」
……なんと、向こうから呼ばれてしまった。仕方ない、呼ばれたなら行かないと。しかし、魔王に呼ばれる理由なんてあるのかな? そんな事を思いながら僕は部屋を出て、ヘルガーさんたちがいる応接室を目指すのだった。
「ま、また、お会いする事が……ぐすっ……できる……なんて……」
僕の肩に乗るユフィーを見て、涙を流すルイーザとマリーシャ。2人がなぜ泣いているかわからずに首を傾げるユフィー。対照的な光景だけど、2人の気持ちはわかる。
2人も、ユフィーの護衛をしたりしていたので、当然ユフィーの事は知っている。2人もユフィーを守れなかった自責の念があるのだろう。それは僕も一緒だ。ユフィーの最後の時に僕は側にいずに助けられなかったのだから。
「あるじさまぁ〜、どうしてお2人は泣いているのですか?」
「それはね。ユフィーに出会えて嬉しいからだよ。こっちの剣を腰に挿したほうがルイーザ、杖を持っている方がマリーシャだよ」
「そうなんだ! 私の名前はユフィーですっ! あるじさまに付けてもらいました! よろしくお願いします、ルーちゃん、まーちゃん!」
ごく自然に2人の名前を言うユフィー。2人も驚いて目を丸くしている。ユフィーも自分で言って気が付いたのか「うん? うん?」と唸っている。
「ユフィー、今の名前って?」
「うーん、お2人のお名前を聞いたら自然と出て来たんです。何ででしょうか〜?」
やっぱり、彼女はユフィーなのだろう。ヘルガーさんの話では元々守護霊で僕に憑いていたものが、憤怒の炎心剣に当てられて精霊になったと言っていた。
記憶は失っているけど、どこかで2人の事を覚えているのだろう……いつか僕の事もエル、と呼んでくれるのだろうか? それに記憶も戻ったりするのだろうか?
そんな事を思いながらルイーザたちと遊ぶユフィーを見ていると、マリンティアさんとローナさんがやって来た。
「あそこまで自我を持っている妖精は珍しいわね」
「そうですね、多分ですが炎心剣が妖精としての格も上げたのでしょう」
「そんなに違うのですか?」
僕が何気無しに尋ねると、ローナさんが頷く。ローナさんの話を聞くと、どうやら本来の妖精は意思はあるのだけど、話したりできないらしい。
話せる妖精もいるけど、それは精霊として格の高い精霊しか話せないらしい。しかも、話せる精霊となればほとんど人前には姿は表さないとか。だから、ローナさんもユフィーの姿を見て感動しているそうだ。
「でも、ローナさん、精霊に詳しいですね。どうしてなのですか?」
「それは私たちエルフは精霊を信仰としていますから。子供の頃からずっと精霊が側にいて、助け合って暮らしていたのです。ここ最近は戦争ばかりのせいで皆、隠れてしまっていますが」
へぇ〜、エルフって精霊を信仰しているのか。人族以外の種族は全て魔族に分類されるから今まで知らなかったけど、そういう種族もいるのか。
そんな風にみんなで話をしていたら、地下王宮内が騒がしくなって来た。何かあったのだろうか? ユフィーも僕の肩まで戻り、ルイーザとマリーシャも僕の側に寄る。
マリンティアさんはローナさんを伴って部屋を出て行ってしまった。僕たちはどうするか顔を見合わせていると、マリンティアさんたちが直ぐに戻って来た。ただ、表情が硬い。
「何かあったのですか、マリンティアさん?」
「……ええ、隣国の死王国の魔王リッテルがやって来たの」
別の国の魔王か。この前マリンティアさんに聞いたけど、魔国ベルヘイムの周りの国は東にグランディーク王国、直ぐ上に獣王国リグレム。西にさっき出てきた死王国デスティム。南に蛇王国スルムがある。
獣王国リグレムは獣人族が多い国らしく、人国はグランディークだけでなく、ゼルテア帝国とも接している。
死王国は珍しく魔物が進化して知識を持った人物が建てた国らしい。確か種族はノーライフキングで、闇魔法の中でも特殊な死霊魔法を使うらしい。人口は少ないけど、それを補う死霊軍団があるとか。
南の蛇王国スルムは、ラミアクイーンが女王として君臨している。その名の通り、国の種族はラミア族が中心となり、ほかにはリザードマンやタートルマンなど爬虫類種もいる。
ただ、この国は他国とも貿易が盛んらしく、人族とも貿易をしているとか。戦争を好まなく、中立を謳っているらしい。
ほかにも色々と国はあるけど、取り敢えず直接関係ある魔族の国はこの3つだ。その内の1つの国、死王国デスティムの魔王がやって来ている。って事はノーライフキングが来ているのか。少し見て見たいな。
「ねぇ、マリンティアさん。その死王国の魔王とは会えたりするの?」
「えっ、あなた会う気なの? ……悪い事は言わないからやめていた方が良いわよ。あの人は常に死の魔力を放っているか、近づくだけで辛いわよ?」
マリンティアさんはそう言って苦々しそうな表情を浮かべる。昔に何かあったのだろうか。そう思いマリンティアさんの顔を見ていたら
「エル様」
と、後ろから侍女に呼ばれる。僕が振り向くと、侍女は綺麗なお辞儀をして来て、僕に近づく。そして
「ヘルガー様がお呼びです。死王国の魔王様がお会いしたいとの事です」
……なんと、向こうから呼ばれてしまった。仕方ない、呼ばれたなら行かないと。しかし、魔王に呼ばれる理由なんてあるのかな? そんな事を思いながら僕は部屋を出て、ヘルガーさんたちがいる応接室を目指すのだった。
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