復讐の魔王
11.力の確認
「さあ、魔族ども! 今すぐ砦を明け渡せ! さもなくば1人残さず皆殺しにするぞ!」
隊列の先頭で尊大にそんな事をのたまう金髪の男、グロブネス・ラシャナール。顔がいい事を売りに何人も女の子と出来ていたという噂を聞いた事がある。
「グレイ、全員で何人ぐらいかしら」
「はい、私の感知に入る分で3千ほどでしょうか」
3千か。それなら僕の力を試せるかもしれない。前の救出や盗賊ではあまり力を使う事が出来なかったからね。それに彼らなら本気でやれる。
「マリンティアさん、少しいいですか?」
「何かしら? 状況が状況だから手短にお願いね?」
「ええ、彼らは僕に任せてくれませんか?」
「えっ?」
僕の言葉にマリンティアさんが驚きの表情を浮かべて見てくる。ローナさんは表情が変わらずに、グレイさんは眉を寄せている。
「あなた、何を言っているかわかっているの? 敵は3千いるのよ。それを1人で相手なんてお父様ぐらいじゃないと出来ないわよ」
魔王なら出来るのか。それなら僕にも出来るはずだ。これでもなったばかりの魔王だからね。それに僕1人じゃ無い。
「まあ、見ていて下さい」
「あっ、ちょっと!?」
僕はマリンティアさんに笑顔でそう言い、王都に侵入した時に買った仮面を付ける。そして砦から飛び降りる。高さ5メートルほどのところから降りても全く痛く無い。
そして、僕1人が砦から飛び降りた事で、魔族側からは訝しげな声が、グランディーク兵からは嘲笑う声が聞こえる。
僕はどの声も無視して憤怒の炎心剣を発動。心なしか前発動した時より赤黒くなっているような。気のせいかな?
僕は憤怒の炎心剣に魔力を大量に込めて、地面に突き刺す。すると、僕の周りの地面から次々と炎が噴き出してくる。
その数はグランディーク兵たちよりかは少ないが、それでも500ほどにはなるだろうか。地面から勢い良く噴き出した炎は少しずつ形を変えていく。そして形変え終えた炎は人型へと変化していた。右手には炎の剣を持つ騎士風の格好をしている。
「炎心騎士。行け」
僕の指示により一斉に走り出す炎心騎士。それを見たグランディーク兵は直様武器を構えて、その後ろには魔法部隊が立って呪文を唱えている。そして放たれる魔法。割合的には炎相手だから水魔法が多いようだ。
だけど、考えが甘いね。僕の魔力をかなり溜め込んだ炎心騎士だ。普通の魔法だと
「なっ! 水魔法が蒸発しただと!?」
「魔法が燃やされた!」
この通り、当たる前に炎で燃やしてしまうのだ。普通の兵士は基本下級の魔法しか発動してこない。中級を放とうにもそんなに回数撃てないからだ。そして、中級魔法を放ったとしても
「良し! 奴らの体の一部が吹き飛ん……なっ、元に戻りやがった」
僕の与えた魔力が切れるまで燃え上がり元に戻るのだ。確実に炎を消し飛ばさない限り、最強の軍隊となる。
攻撃を当てる事が出来ないのに、炎心騎士がグランディーク兵に触れると、炎の熱で焼かれてしまうという、悪夢も真っ青な状況で、グランディーク兵たちは早々に戦意を喪失して逃げようとする。だけど
「逃がさないよ、蹴散らせ、炎心ノ巨人」
グランディーク兵が逃げようとする道に立ちふさがるように2体の炎の巨人が現れる。この2体で500体の炎心騎士と同じ魔力を使う。
そして、グランディーク兵たちは逃げる事が出来ずに、次々と炎心ノ巨人に殴り潰される。前からは炎心騎士、後ろからは炎心ノ巨人が襲いかかる。その中で煌びやかな鎧を着た男が逃げ惑う。あいつは
「炎心騎士たちよ。あの男だけは捕らえろ」
グロブネスは逃げ切れずに兵士たちに紛れ込んでいるが、そんな光って目立つ鎧を着ていたら駄目だろう。直様炎心騎士に取り囲まれて、殴られる姿が見える。
そして、気が付けば周りには黒焦げになったしたいだけが転がっていた。余りにも悲惨な光景だが、全く心が痛まない。
そして、その中で炎心騎士に引きずられるグロブネス。煌びやかだった鎧も自慢の土や燃やされた死体の灰などで汚れていた。
「は、離せ、貴様! 私がだ、誰だかわかっているのか!」
ぎゃあぎゃあ煩く喚く男だ。僕は黙らすために左肩に憤怒の炎心剣を突き刺す。
「ぎゃぁぁぁぁぁっ! 痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
……黙らそうとしたのに、余計に煩くなった。これは失敗したな。そうこうしていると、砦からルイーザとマリーシャ、それにマリンティアさんが現れた。
「……本当に1人で倒してしまうなんて。おば様が使っていた力ってこんなに凄かったのね」
「いや、僕より慣れていた分、ルシアーナさんの方が凄かったと思いますね。それでルイーザ、マリーシャ、この男はどうする?」
2人が男の顔を見る目は憤怒の色に染まっていた。なんだか僕の眷属らしくて良いね。そして、男も2人に気が付いて「ひぃっ!」と情けない声を出す。
「この男が後悔するような殺し方がしたい」
「私は自分で殺して下さいというようなものがいいです」
うーん、中々難しい注文だね。でもそれなら
「幻夢ノ炎」
僕は憤怒の炎心剣を発動して、グロブネスの顔に桃色の炎を当てる。グロブネスは慌てて顔を触れるが、少し時間が経つと、その場で倒れて1人で騒ぎ始めた。
「エル兄上、これはどうしたのだ?」
「グロブネスは今、幻覚を見ているんだよ。害虫に少しずつ体を食べれる夢を。ただし感覚は感じるからかなりの激痛が走っているはずだ。でも、痛みを感じるだけで死なない。この状態が何時間、何日も続く。その内、殺してくれと自分で懇願するだろう」
僕がそう言って2人を見ると、2人も納得してくれたのか、頷いてくれる。
しかし、本当にいいところに来てくれた。今の段階でどれほど戦えるかわからなかったけど、普通の兵士程度なら軽く潰せる事がわかっただけでも、彼は役に立った。感謝するよ、グロブネス。
隊列の先頭で尊大にそんな事をのたまう金髪の男、グロブネス・ラシャナール。顔がいい事を売りに何人も女の子と出来ていたという噂を聞いた事がある。
「グレイ、全員で何人ぐらいかしら」
「はい、私の感知に入る分で3千ほどでしょうか」
3千か。それなら僕の力を試せるかもしれない。前の救出や盗賊ではあまり力を使う事が出来なかったからね。それに彼らなら本気でやれる。
「マリンティアさん、少しいいですか?」
「何かしら? 状況が状況だから手短にお願いね?」
「ええ、彼らは僕に任せてくれませんか?」
「えっ?」
僕の言葉にマリンティアさんが驚きの表情を浮かべて見てくる。ローナさんは表情が変わらずに、グレイさんは眉を寄せている。
「あなた、何を言っているかわかっているの? 敵は3千いるのよ。それを1人で相手なんてお父様ぐらいじゃないと出来ないわよ」
魔王なら出来るのか。それなら僕にも出来るはずだ。これでもなったばかりの魔王だからね。それに僕1人じゃ無い。
「まあ、見ていて下さい」
「あっ、ちょっと!?」
僕はマリンティアさんに笑顔でそう言い、王都に侵入した時に買った仮面を付ける。そして砦から飛び降りる。高さ5メートルほどのところから降りても全く痛く無い。
そして、僕1人が砦から飛び降りた事で、魔族側からは訝しげな声が、グランディーク兵からは嘲笑う声が聞こえる。
僕はどの声も無視して憤怒の炎心剣を発動。心なしか前発動した時より赤黒くなっているような。気のせいかな?
僕は憤怒の炎心剣に魔力を大量に込めて、地面に突き刺す。すると、僕の周りの地面から次々と炎が噴き出してくる。
その数はグランディーク兵たちよりかは少ないが、それでも500ほどにはなるだろうか。地面から勢い良く噴き出した炎は少しずつ形を変えていく。そして形変え終えた炎は人型へと変化していた。右手には炎の剣を持つ騎士風の格好をしている。
「炎心騎士。行け」
僕の指示により一斉に走り出す炎心騎士。それを見たグランディーク兵は直様武器を構えて、その後ろには魔法部隊が立って呪文を唱えている。そして放たれる魔法。割合的には炎相手だから水魔法が多いようだ。
だけど、考えが甘いね。僕の魔力をかなり溜め込んだ炎心騎士だ。普通の魔法だと
「なっ! 水魔法が蒸発しただと!?」
「魔法が燃やされた!」
この通り、当たる前に炎で燃やしてしまうのだ。普通の兵士は基本下級の魔法しか発動してこない。中級を放とうにもそんなに回数撃てないからだ。そして、中級魔法を放ったとしても
「良し! 奴らの体の一部が吹き飛ん……なっ、元に戻りやがった」
僕の与えた魔力が切れるまで燃え上がり元に戻るのだ。確実に炎を消し飛ばさない限り、最強の軍隊となる。
攻撃を当てる事が出来ないのに、炎心騎士がグランディーク兵に触れると、炎の熱で焼かれてしまうという、悪夢も真っ青な状況で、グランディーク兵たちは早々に戦意を喪失して逃げようとする。だけど
「逃がさないよ、蹴散らせ、炎心ノ巨人」
グランディーク兵が逃げようとする道に立ちふさがるように2体の炎の巨人が現れる。この2体で500体の炎心騎士と同じ魔力を使う。
そして、グランディーク兵たちは逃げる事が出来ずに、次々と炎心ノ巨人に殴り潰される。前からは炎心騎士、後ろからは炎心ノ巨人が襲いかかる。その中で煌びやかな鎧を着た男が逃げ惑う。あいつは
「炎心騎士たちよ。あの男だけは捕らえろ」
グロブネスは逃げ切れずに兵士たちに紛れ込んでいるが、そんな光って目立つ鎧を着ていたら駄目だろう。直様炎心騎士に取り囲まれて、殴られる姿が見える。
そして、気が付けば周りには黒焦げになったしたいだけが転がっていた。余りにも悲惨な光景だが、全く心が痛まない。
そして、その中で炎心騎士に引きずられるグロブネス。煌びやかだった鎧も自慢の土や燃やされた死体の灰などで汚れていた。
「は、離せ、貴様! 私がだ、誰だかわかっているのか!」
ぎゃあぎゃあ煩く喚く男だ。僕は黙らすために左肩に憤怒の炎心剣を突き刺す。
「ぎゃぁぁぁぁぁっ! 痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
……黙らそうとしたのに、余計に煩くなった。これは失敗したな。そうこうしていると、砦からルイーザとマリーシャ、それにマリンティアさんが現れた。
「……本当に1人で倒してしまうなんて。おば様が使っていた力ってこんなに凄かったのね」
「いや、僕より慣れていた分、ルシアーナさんの方が凄かったと思いますね。それでルイーザ、マリーシャ、この男はどうする?」
2人が男の顔を見る目は憤怒の色に染まっていた。なんだか僕の眷属らしくて良いね。そして、男も2人に気が付いて「ひぃっ!」と情けない声を出す。
「この男が後悔するような殺し方がしたい」
「私は自分で殺して下さいというようなものがいいです」
うーん、中々難しい注文だね。でもそれなら
「幻夢ノ炎」
僕は憤怒の炎心剣を発動して、グロブネスの顔に桃色の炎を当てる。グロブネスは慌てて顔を触れるが、少し時間が経つと、その場で倒れて1人で騒ぎ始めた。
「エル兄上、これはどうしたのだ?」
「グロブネスは今、幻覚を見ているんだよ。害虫に少しずつ体を食べれる夢を。ただし感覚は感じるからかなりの激痛が走っているはずだ。でも、痛みを感じるだけで死なない。この状態が何時間、何日も続く。その内、殺してくれと自分で懇願するだろう」
僕がそう言って2人を見ると、2人も納得してくれたのか、頷いてくれる。
しかし、本当にいいところに来てくれた。今の段階でどれほど戦えるかわからなかったけど、普通の兵士程度なら軽く潰せる事がわかっただけでも、彼は役に立った。感謝するよ、グロブネス。
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