世間知らずの魔女 〜私、やり過ぎましたか?〜
20.予想外
「……これは酷いな。小競り合いなんてレベルじゃないぞ」
王都を出て2週間。問題が起きている西の国、ヘパストス王国との国境へと向かっていたのだが、まさかここまで入り込まれていたとは。
俺が率いる100人ほどの騎馬隊の先には、隊列を組むヘパストス王国軍。数は4千ほど。何故今まで王都に報告が無かったのか不思議で仕方ないが、今はそんな事より早く救援を呼ばなければならない。
「リカルド王子、どうします? 正直俺たちの手に負えるとは思えないのですが」
この隊の副官であるラルフが尋ねてくるが、俺でもなんと答えれば良いかわからない。まだ国境付近なのが唯一の救いだった。
「一旦引くぞ。私たちだけではどうしようも出来ない。近隣の貴族たちは声をかけて兵を集めなければ」
それから私たちは、1番近くの領地、ケイントス辺境伯の領地へと向かう。領地の中へと入ると兵士たちが慌ただしく走り回っていた。ここも、今日気が付いたのか?
そのまま、中心にある領主の館へと向かう。当然だが領主の館もかなり騒々しかった。私の顔を知らない兵士が私たちを止めようとするが、王家の紋章が描かれている短剣を見せて先へと進む。
館の1番大きな部屋に入ると、中には鎧を着た者たちが議論を交わしていた。顔を知らない私が入ると訝しげに見てくるが、1番奥に座っていた40代ほどの男性が勢いよく立ち上がった。
「リ、リカルド王子!? ど、どうしてこのような場所に!?」
「ヘパストス王国との小競り合いが最近多いと聞いたからやって来たのだが、あれはどういう事だ?」
私は辺境伯が何かを言う前に直ぐに尋ねる。今は言い訳などを聞いている暇はない。
「……はっ、お恥ずかしい話なのですが、今回のヘパストス王国の兵士は事前に内側へと入っていた者たちのようです。正式に」
「あの人数全員をか!? 4千人近くいたのだぞ?」
私はあまりの事に驚きの声を上げると、辺境伯は顔を逸らしてしまう。そして、私の想像以上の事を言い始めたのだ。
「あ、あれは、3つあるうちの1つです。他にも同じような数の敵兵の集まりが2つあるのです……かっこ
私はもう笑う事も出来なかった。ここまでくれば職務怠慢どころの話ではない。放棄していると言われても仕方ないだろう。
私が周りを見回すと全員が私から目を逸らす。全員わかっていながら放っておいたと言う感じだな。いろいろと言いたいことはあるが、今仲間内で争っても仕方ない。
結局は辺境伯の軍に頼るしか今は方法がないからな。取り敢えず、彼らを座らせて私も辺境伯の向かいの空いている席に座る。
「……今はその事について問いつめるつもりはない。この争いが終われば自然と追求され罰せられるだろうからな。だから、今はそれよりもヘパストス王国軍をどのようにして追い返すか話し合いたい。取り敢えず、現在辺境伯の動かせる兵士たちはどのくらいいる?」
「現在の街にいるのは3千程度です。周りの街から集めても5千程でしょう」
王都から増援を呼ぶまでの間は何とか持ちそうな数か。ヘパストス王国軍がどれほど力を持っているかわからないため楽観的な事は言えないのだが。
しかし、何とかしないと。話によれば砦の兵士は2千程度らしい。それがヘパストス王国軍に挟まれて、直ぐにでも突破されそうなのだとか。それを抜けられると、こちらの軍が集まる前にかなり進まれる事になる。
今以上に敵軍が増えられては困るからな。とにかく内側にいるヘパストス王国軍を何とかしなければ。
「辺境伯、2日以内に直ぐに兵士を集めるだ。砦の兵士たちはそれ以上は持たないだろう。砦が突破される前に何としてでもヘパストス王国軍をどうにかせねば。最低でも、砦から離れさせなければ援軍も行かせられない」
私の言葉に頷く辺境伯。これはかなり厄介な事になったぞ。
王都を出て2週間。問題が起きている西の国、ヘパストス王国との国境へと向かっていたのだが、まさかここまで入り込まれていたとは。
俺が率いる100人ほどの騎馬隊の先には、隊列を組むヘパストス王国軍。数は4千ほど。何故今まで王都に報告が無かったのか不思議で仕方ないが、今はそんな事より早く救援を呼ばなければならない。
「リカルド王子、どうします? 正直俺たちの手に負えるとは思えないのですが」
この隊の副官であるラルフが尋ねてくるが、俺でもなんと答えれば良いかわからない。まだ国境付近なのが唯一の救いだった。
「一旦引くぞ。私たちだけではどうしようも出来ない。近隣の貴族たちは声をかけて兵を集めなければ」
それから私たちは、1番近くの領地、ケイントス辺境伯の領地へと向かう。領地の中へと入ると兵士たちが慌ただしく走り回っていた。ここも、今日気が付いたのか?
そのまま、中心にある領主の館へと向かう。当然だが領主の館もかなり騒々しかった。私の顔を知らない兵士が私たちを止めようとするが、王家の紋章が描かれている短剣を見せて先へと進む。
館の1番大きな部屋に入ると、中には鎧を着た者たちが議論を交わしていた。顔を知らない私が入ると訝しげに見てくるが、1番奥に座っていた40代ほどの男性が勢いよく立ち上がった。
「リ、リカルド王子!? ど、どうしてこのような場所に!?」
「ヘパストス王国との小競り合いが最近多いと聞いたからやって来たのだが、あれはどういう事だ?」
私は辺境伯が何かを言う前に直ぐに尋ねる。今は言い訳などを聞いている暇はない。
「……はっ、お恥ずかしい話なのですが、今回のヘパストス王国の兵士は事前に内側へと入っていた者たちのようです。正式に」
「あの人数全員をか!? 4千人近くいたのだぞ?」
私はあまりの事に驚きの声を上げると、辺境伯は顔を逸らしてしまう。そして、私の想像以上の事を言い始めたのだ。
「あ、あれは、3つあるうちの1つです。他にも同じような数の敵兵の集まりが2つあるのです……かっこ
私はもう笑う事も出来なかった。ここまでくれば職務怠慢どころの話ではない。放棄していると言われても仕方ないだろう。
私が周りを見回すと全員が私から目を逸らす。全員わかっていながら放っておいたと言う感じだな。いろいろと言いたいことはあるが、今仲間内で争っても仕方ない。
結局は辺境伯の軍に頼るしか今は方法がないからな。取り敢えず、彼らを座らせて私も辺境伯の向かいの空いている席に座る。
「……今はその事について問いつめるつもりはない。この争いが終われば自然と追求され罰せられるだろうからな。だから、今はそれよりもヘパストス王国軍をどのようにして追い返すか話し合いたい。取り敢えず、現在辺境伯の動かせる兵士たちはどのくらいいる?」
「現在の街にいるのは3千程度です。周りの街から集めても5千程でしょう」
王都から増援を呼ぶまでの間は何とか持ちそうな数か。ヘパストス王国軍がどれほど力を持っているかわからないため楽観的な事は言えないのだが。
しかし、何とかしないと。話によれば砦の兵士は2千程度らしい。それがヘパストス王国軍に挟まれて、直ぐにでも突破されそうなのだとか。それを抜けられると、こちらの軍が集まる前にかなり進まれる事になる。
今以上に敵軍が増えられては困るからな。とにかく内側にいるヘパストス王国軍を何とかしなければ。
「辺境伯、2日以内に直ぐに兵士を集めるだ。砦の兵士たちはそれ以上は持たないだろう。砦が突破される前に何としてでもヘパストス王国軍をどうにかせねば。最低でも、砦から離れさせなければ援軍も行かせられない」
私の言葉に頷く辺境伯。これはかなり厄介な事になったぞ。
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