王国最強の元暗殺者
閑話.歪んだ愛
第12都市メルカイア
「はぁぁっ……はぁ、んっ! ヘルさまぁ……あっ……うんっ! ヘルさまぁぁぁぁぁっ!!」
……
…………
……………………
「……また、やっちゃった」
シャワーを浴びる中、私は1人で呟く。あの方がいなくなってから2年間、ずっと1人で慰めている。止めよう止めようと思っても、あの方の顔を思い出すとどうしても疼いてしまう。
私の大切な想い人、ヘル様。親に殺されそうになった私を助けてくれた命の恩人。あの人がいなかったら私はここにはいなかった。
ヘル様のおかげで命が救われた私は、あの人のためだけに生きようと思い入ったのに、あの人は簡単に出て行った。私に何も言わずに。
ヘル様が出て行って2年が経った今でもあの人を探せていない。原因はわかっている。あのクソ女が情報を隠蔽しているからだ。
アルフレイド師団、第1師団長及び総師団長クリフィーネ・セントラスト。ヘル様に色目を使うクソ女。あの女さえいなかったら今頃ヘル様と一緒に過ごしていたのに!
……落ち着きなさい、私。毎日毎日あの女に怒っても仕方ないわ。それよりも早くヘル様を探さないと。そろそろ探す範囲を広げるべきかしら? でも、他国に師団員を送るわけにはいかないし。どうしたものかしら。
シャワー室から出た私は、ソファで1人で考えるけど、良い案が浮かんでこない。1人で悩んでいると
コンコン
と、扉を叩く音が聞こえて来る。普通なら開けるところだけど、私は近くにあった簪を取る。魔力を流し武器として構えながら扉へと近づく。
「誰?」
「ふふっ、僕ですよ。久し振りです、レオナさん」
その声を聞いた瞬間私は扉から離れる。それと同時に開かれる扉。扉を開けて入ってきたのは、ニコニコと笑みを浮かべる女と見間違うほどの容姿をした男。
「……どうしてあなたは生きているのかしら? ヘル様に殺されたはずじゃあ?」
「はい、愛しのヘル様に殺されたんですけど色々あって生きているんですよ」
元12師団の一員、ルイス。昔から大嫌いだった男。いつも男の癖にヘル様に色目を使う気持ちの悪い奴。しかも、男の特権とか言ってヘル様と一緒にお風呂に入ったり……やばっ、ヘル様の裸の姿を妄想したら鼻血が。
「ははっ、そんな怒らないでよ。僕もあの人と引っ付こうとする君なんかと会いたくないんだから。殺してやりたいぐらいだよ」
「……それで何の用よ。どうやってここに来たの? 外には兵士がいるはず。それも侵入対策をしっかりと学んでいる兵士が」
「僕の新しい仲間が手伝ってくれたんだよ。僕だけじゃあ入れなかったからね。あっ、誰も殺してないから安心してね『女郎蜘蛛』」
「……私その呼び方嫌いなのよね。あなたがここに来た要件を聞く前に殺してやろうかしら?」
私が魔力を纏わせながら威圧すると、ルイスは両手を前に出してぶんぶんと振る。
「いや〜、今日は勘弁してほしいな。体調が完全じゃないから厳しいし。ただ、君にも伝えておこうかと思ってね」
「伝えておく? あなたの話なんか聞きたくないわ。さっさと殺してやる」
「本当に良いのかな? 愛しの人の事なんだけど?」
飛び出そうとした私の耳に聞こえて来たルイスの一言。こいつの事は嫌いだけど、唯一同じ共通点がある。それは、ヘル様の事が好きだって事。不本意だけど。
そんなルイスが言っている愛しの人といえば当然ながらへル様の事に決まっている。そのことがわかった私は飛び出そうとした足を止めてしまった。
「……ヘル様の事について何か知っているの?」
「あれ〜? 僕の話なんて聞きたくないんじゃ無かったの〜?」
……こいつ、本当にムカつくわね。だけど、あの人の情報が手に入るなら背に腹は変えられないわ。本当に不本意ながらだけど。
「さっさと言いなさいよ。私も我慢強い方じゃないから」
「はは、わかったよ。この前第9都市でヘル様と戦ったんだ。いやぁ、あのゾクゾクと体の芯から震わす殺意、気持ち良かったなぁ〜」
気持ち悪い顔を赤らめて更に気持ちの悪い顔になるルイス。でも、この表情からルイスが言っている事は嘘じゃないとわかる。
「でも、もう出ちゃっているかもね。あの人は僕の事を追いかけてくれるだろうし」
そう言ってクスクスと笑うルイス。こいつの事殺したいほど嫉妬しているけど、別に構わない。こいつのところに行く前に私が見つけてしまえば良いだけなんだから。
ふふふ、今から楽しみだわ。ヘル様を捕まえたら逃げないように縛り上げて閉じ込めないと。私もこんな仕事辞めてヘル様と一緒に住んで1日中ヘル様のお世話をするんだから!
ふふ、ふふふ! 待っていてくださいね、ヘル様。レオナがお迎えに行きますから!
「はぁぁっ……はぁ、んっ! ヘルさまぁ……あっ……うんっ! ヘルさまぁぁぁぁぁっ!!」
……
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「……また、やっちゃった」
シャワーを浴びる中、私は1人で呟く。あの方がいなくなってから2年間、ずっと1人で慰めている。止めよう止めようと思っても、あの方の顔を思い出すとどうしても疼いてしまう。
私の大切な想い人、ヘル様。親に殺されそうになった私を助けてくれた命の恩人。あの人がいなかったら私はここにはいなかった。
ヘル様のおかげで命が救われた私は、あの人のためだけに生きようと思い入ったのに、あの人は簡単に出て行った。私に何も言わずに。
ヘル様が出て行って2年が経った今でもあの人を探せていない。原因はわかっている。あのクソ女が情報を隠蔽しているからだ。
アルフレイド師団、第1師団長及び総師団長クリフィーネ・セントラスト。ヘル様に色目を使うクソ女。あの女さえいなかったら今頃ヘル様と一緒に過ごしていたのに!
……落ち着きなさい、私。毎日毎日あの女に怒っても仕方ないわ。それよりも早くヘル様を探さないと。そろそろ探す範囲を広げるべきかしら? でも、他国に師団員を送るわけにはいかないし。どうしたものかしら。
シャワー室から出た私は、ソファで1人で考えるけど、良い案が浮かんでこない。1人で悩んでいると
コンコン
と、扉を叩く音が聞こえて来る。普通なら開けるところだけど、私は近くにあった簪を取る。魔力を流し武器として構えながら扉へと近づく。
「誰?」
「ふふっ、僕ですよ。久し振りです、レオナさん」
その声を聞いた瞬間私は扉から離れる。それと同時に開かれる扉。扉を開けて入ってきたのは、ニコニコと笑みを浮かべる女と見間違うほどの容姿をした男。
「……どうしてあなたは生きているのかしら? ヘル様に殺されたはずじゃあ?」
「はい、愛しのヘル様に殺されたんですけど色々あって生きているんですよ」
元12師団の一員、ルイス。昔から大嫌いだった男。いつも男の癖にヘル様に色目を使う気持ちの悪い奴。しかも、男の特権とか言ってヘル様と一緒にお風呂に入ったり……やばっ、ヘル様の裸の姿を妄想したら鼻血が。
「ははっ、そんな怒らないでよ。僕もあの人と引っ付こうとする君なんかと会いたくないんだから。殺してやりたいぐらいだよ」
「……それで何の用よ。どうやってここに来たの? 外には兵士がいるはず。それも侵入対策をしっかりと学んでいる兵士が」
「僕の新しい仲間が手伝ってくれたんだよ。僕だけじゃあ入れなかったからね。あっ、誰も殺してないから安心してね『女郎蜘蛛』」
「……私その呼び方嫌いなのよね。あなたがここに来た要件を聞く前に殺してやろうかしら?」
私が魔力を纏わせながら威圧すると、ルイスは両手を前に出してぶんぶんと振る。
「いや〜、今日は勘弁してほしいな。体調が完全じゃないから厳しいし。ただ、君にも伝えておこうかと思ってね」
「伝えておく? あなたの話なんか聞きたくないわ。さっさと殺してやる」
「本当に良いのかな? 愛しの人の事なんだけど?」
飛び出そうとした私の耳に聞こえて来たルイスの一言。こいつの事は嫌いだけど、唯一同じ共通点がある。それは、ヘル様の事が好きだって事。不本意だけど。
そんなルイスが言っている愛しの人といえば当然ながらへル様の事に決まっている。そのことがわかった私は飛び出そうとした足を止めてしまった。
「……ヘル様の事について何か知っているの?」
「あれ〜? 僕の話なんて聞きたくないんじゃ無かったの〜?」
……こいつ、本当にムカつくわね。だけど、あの人の情報が手に入るなら背に腹は変えられないわ。本当に不本意ながらだけど。
「さっさと言いなさいよ。私も我慢強い方じゃないから」
「はは、わかったよ。この前第9都市でヘル様と戦ったんだ。いやぁ、あのゾクゾクと体の芯から震わす殺意、気持ち良かったなぁ〜」
気持ち悪い顔を赤らめて更に気持ちの悪い顔になるルイス。でも、この表情からルイスが言っている事は嘘じゃないとわかる。
「でも、もう出ちゃっているかもね。あの人は僕の事を追いかけてくれるだろうし」
そう言ってクスクスと笑うルイス。こいつの事殺したいほど嫉妬しているけど、別に構わない。こいつのところに行く前に私が見つけてしまえば良いだけなんだから。
ふふふ、今から楽しみだわ。ヘル様を捕まえたら逃げないように縛り上げて閉じ込めないと。私もこんな仕事辞めてヘル様と一緒に住んで1日中ヘル様のお世話をするんだから!
ふふ、ふふふ! 待っていてくださいね、ヘル様。レオナがお迎えに行きますから!
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