妻に出て行かれた男、とある少女と出会う
12
初めて見た感想はパッとしない普通の男性だった。だけど、それ以上に、あっ、お母様の日記に書かれた通りの雰囲気を持った人だと感じた。
モーズさんは受付から立ち上がって男性の元へ向かう。少し話をしてから戻って来ると私たちの事を紹介してくれる。
目の前の男性の名前を聞かされた時は、ああ、やっぱりと納得した自分がいた。この人が日記に書かれていた男性で私の本当の父親になるレンスさんなんだって。
モーズさんに紹介されている時もじっとレンスさんを見てしまった。どんな風に話しかけようか、どうな風に接しようかと悩んでいると、レンスさんも私の事を見ていた。
……も、もしかして私の事に気が付いた? ドキドキしながらレンスさんの顔を伺っていると、少し悲しそうな顔をする。どうしてそんな表情するのかはわからなかったけど、そんな顔して欲しくなかった私はつい
「何ジッと見ているのよ?」
と、言ってしまった。ああっ!? 何を言っているのよ、私!? これじゃあ第1印象最悪じゃない! 顔には動揺を出さないようにして、平静を装っているけど、内心はドキドキな私。だけど、私の言葉に悲しそうな顔をしていたレンスさんは苦笑いをして謝って来た。ううっ、レンスさんが悪いわけじゃないのに。
レンスさんは苦笑いしながら話を変えるように咳払いをしてこれから行う依頼について話す。話すと言っても、自分たちで受けたい依頼を見つけて来るというものだ。
私たちはそれぞれ依頼が貼られている掲示板へと向かう。うーん、何がいいかしら? 物語とかだとやっぱり初めの依頼はゴブリン退治かしら。
私は常時依頼であるゴブリン討伐の依頼書を取り、レンスさんの元へと戻る。レリックもシオンも同じように依頼を見つけたようでレリックさんの元へ戻っていた。
私が最後だったみたいで、揃ってからそれぞれ依頼書を見せる。レリックは人食い狼の討伐、シオンが眠れ草の採取だった。
その中でレンスさんは1番初めの依頼で森にも慣れるためにと、シオンの眠れ草を選んだ。
私的にはやっぱり討伐系とかの方が良かったけど、森の中を歩くのに慣れていないのに、いきなり討伐系は危ないと、私の考えが読まれているかのように先に言われてしまった。
新人指導をたまにすると、私やレリックのように初めなのに討伐系の依頼を受けたがる新人がいふから慣れているのだとか。
それから、私たちは依頼を受けるために近くの森へと向かう。歩いて行ける距離なので、レンスさんが先頭を歩きながら森での動き方を教えてくれた。
日記に書かれていた頃から自由兵をしているのなら、かなりのベテランだ。教えてもらった話はどれもこれから役にたつ話ばかりだ。
森についてからも、眠れ草の取り方や見分け方を教えてもらって、それぞれが探しに行く事になった。
自由組合で見本は見せてもらったけど、いざ探すとなると、これが難しい。似たようなものは見つかるけど、本物が見つけられない。見つけたとしても、上手い事引っこ抜く事が出来なくて、真ん中で折れたりと。
1番上手く多く集められたのはシオンだった。シオンは元々器用だものね。納得だわ。私は見つける事が出来たけど、どれも上手く取れなくて、レンスさんに苦笑いされてしまった。
それから1時間ほどかけて眠れ草を集めた。その頃には間違えて取ってきていたレリックも眠れ草を取れるようになっていた。初めは討伐系じゃなくて、拗ねていたレリックも見つける事が出来るようになってからは嬉しそうだった。
これで、眠れ草の依頼量は達成できたので、次の指示をレンスさんが出そうとした時に、森の奥から何かが走って来た。
森の奥から走って来たものに、私とシオンは悲鳴を上げてしまった。初めて見る緑色の小人。顔を醜く歪ませ、全裸で走って来るそれは、私が依頼を受けようとしていたゴブリンだった。
全部で5体のゴブリンがこちらに向かって走って来るのを見ると、私は足がすくんで動けなかった。シオンも同じように動けず、レリックだけが何とか武器を構えて私たちの前に立つけど、私たち3人とも魔物を見るのは初めてだ。レリックも少し震えていた。
だけど、その中でもごく普通に自然体の人もいた。当然その人は私たちの始動役であるレンスさんだ。レンスさんだけが物凄く落ち着いた雰囲気で向かって来るゴブリンへと向かう。
……それからゴブリンが倒されるのはあっという間だった。一瞬で倒されたゴブリン。ゴブリンは何もする事が出来ないまま死んでいった。
初めて見る生き物の死体で少し気持ちが悪くなったけど、それ以上に、初めて出会ったお父さんの戦う背中はとても大きかった。
◇◇◇
「……本当に似てやがったなぁ」
俺は、4人が出て行った扉を見ながら2人の顔を思い出す。レンスに頼んだ3人の新人たち。その中の1人であるレーカは、レンスに会わせて確信した。
彼女はメリィとレンスの娘だろう。あの2人の顔を知っている俺からすれば似ているところが多過ぎる。
それに手紙に書かれていた家名。レンスが酔い潰れた時に話したメリィが向かった家、シーリス伯爵家が書かれていたしな。ほぼ間違い無いだろう。
ようやく忘れかけた頃にやって来た娘に、レンスはどうするのか。まあ、何があろうと、レンスを助けてやるのが親友である俺の役目ではあるが。
「モーズさん、そんな入り口を睨まれたら新人たちが怖がって入って来ませんよ」
……睨んでるわけじゃ無いんだがなぁ。
モーズさんは受付から立ち上がって男性の元へ向かう。少し話をしてから戻って来ると私たちの事を紹介してくれる。
目の前の男性の名前を聞かされた時は、ああ、やっぱりと納得した自分がいた。この人が日記に書かれていた男性で私の本当の父親になるレンスさんなんだって。
モーズさんに紹介されている時もじっとレンスさんを見てしまった。どんな風に話しかけようか、どうな風に接しようかと悩んでいると、レンスさんも私の事を見ていた。
……も、もしかして私の事に気が付いた? ドキドキしながらレンスさんの顔を伺っていると、少し悲しそうな顔をする。どうしてそんな表情するのかはわからなかったけど、そんな顔して欲しくなかった私はつい
「何ジッと見ているのよ?」
と、言ってしまった。ああっ!? 何を言っているのよ、私!? これじゃあ第1印象最悪じゃない! 顔には動揺を出さないようにして、平静を装っているけど、内心はドキドキな私。だけど、私の言葉に悲しそうな顔をしていたレンスさんは苦笑いをして謝って来た。ううっ、レンスさんが悪いわけじゃないのに。
レンスさんは苦笑いしながら話を変えるように咳払いをしてこれから行う依頼について話す。話すと言っても、自分たちで受けたい依頼を見つけて来るというものだ。
私たちはそれぞれ依頼が貼られている掲示板へと向かう。うーん、何がいいかしら? 物語とかだとやっぱり初めの依頼はゴブリン退治かしら。
私は常時依頼であるゴブリン討伐の依頼書を取り、レンスさんの元へと戻る。レリックもシオンも同じように依頼を見つけたようでレリックさんの元へ戻っていた。
私が最後だったみたいで、揃ってからそれぞれ依頼書を見せる。レリックは人食い狼の討伐、シオンが眠れ草の採取だった。
その中でレンスさんは1番初めの依頼で森にも慣れるためにと、シオンの眠れ草を選んだ。
私的にはやっぱり討伐系とかの方が良かったけど、森の中を歩くのに慣れていないのに、いきなり討伐系は危ないと、私の考えが読まれているかのように先に言われてしまった。
新人指導をたまにすると、私やレリックのように初めなのに討伐系の依頼を受けたがる新人がいふから慣れているのだとか。
それから、私たちは依頼を受けるために近くの森へと向かう。歩いて行ける距離なので、レンスさんが先頭を歩きながら森での動き方を教えてくれた。
日記に書かれていた頃から自由兵をしているのなら、かなりのベテランだ。教えてもらった話はどれもこれから役にたつ話ばかりだ。
森についてからも、眠れ草の取り方や見分け方を教えてもらって、それぞれが探しに行く事になった。
自由組合で見本は見せてもらったけど、いざ探すとなると、これが難しい。似たようなものは見つかるけど、本物が見つけられない。見つけたとしても、上手い事引っこ抜く事が出来なくて、真ん中で折れたりと。
1番上手く多く集められたのはシオンだった。シオンは元々器用だものね。納得だわ。私は見つける事が出来たけど、どれも上手く取れなくて、レンスさんに苦笑いされてしまった。
それから1時間ほどかけて眠れ草を集めた。その頃には間違えて取ってきていたレリックも眠れ草を取れるようになっていた。初めは討伐系じゃなくて、拗ねていたレリックも見つける事が出来るようになってからは嬉しそうだった。
これで、眠れ草の依頼量は達成できたので、次の指示をレンスさんが出そうとした時に、森の奥から何かが走って来た。
森の奥から走って来たものに、私とシオンは悲鳴を上げてしまった。初めて見る緑色の小人。顔を醜く歪ませ、全裸で走って来るそれは、私が依頼を受けようとしていたゴブリンだった。
全部で5体のゴブリンがこちらに向かって走って来るのを見ると、私は足がすくんで動けなかった。シオンも同じように動けず、レリックだけが何とか武器を構えて私たちの前に立つけど、私たち3人とも魔物を見るのは初めてだ。レリックも少し震えていた。
だけど、その中でもごく普通に自然体の人もいた。当然その人は私たちの始動役であるレンスさんだ。レンスさんだけが物凄く落ち着いた雰囲気で向かって来るゴブリンへと向かう。
……それからゴブリンが倒されるのはあっという間だった。一瞬で倒されたゴブリン。ゴブリンは何もする事が出来ないまま死んでいった。
初めて見る生き物の死体で少し気持ちが悪くなったけど、それ以上に、初めて出会ったお父さんの戦う背中はとても大きかった。
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「……本当に似てやがったなぁ」
俺は、4人が出て行った扉を見ながら2人の顔を思い出す。レンスに頼んだ3人の新人たち。その中の1人であるレーカは、レンスに会わせて確信した。
彼女はメリィとレンスの娘だろう。あの2人の顔を知っている俺からすれば似ているところが多過ぎる。
それに手紙に書かれていた家名。レンスが酔い潰れた時に話したメリィが向かった家、シーリス伯爵家が書かれていたしな。ほぼ間違い無いだろう。
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