世界に復讐を誓った少年
121.堅牢な国の事情
「陛下、お考え直し下さい! このまま外との関わりを絶っていたとしても、聖王国に攻められるのは目に見えています! そうなる前に他国と協力して……」
「ならぬ。我が国は周りを山に囲まれた天然の要塞により建国より他国を寄せ付けなかった。聖王国もしかり。更にモダラの力により更に堅牢なものとなった。それなのにわざわざ他国の者を招き入れる必要はない。貴様は国を滅ぼしたいのか、ラグザよ」
「そのような事は考えておりません! それどころか、私は国を思って……」
「なら、話は終わりだ。国の方針は変えん。出て行くのだ」
陛下にそう断言されてしまってはそれ以上何も言う事が出来なかった。私は黙って玉座の間から出る。玉座の間の外では、私の部下として支えてくれるアダルガが待っていてくれた。熊人族の男で私と同い年の友である。
「お疲れ様です、ラグザ殿下。陛下のご反応は如何でしたか?」
「全く駄目だった。私の話は一切聞いてもらえなかったよ」
「……そうでしたか」
私の答えを聞いたアダルガが残念そうに呟く。だが、これは予想されていた事だ。この国、獣国アゼルスは国が出来てから200年近く外との関わりを断絶して来た。
他国と国交を待たずして200年も近く国として存在出来る理由として、他国が攻める事の難しい天然の要塞となる山々に囲まれている事と、その山々から取る事の出来る食糧のおかげだ。
周りの山々は、険しい山が多く獣道しかないため、軍が行軍するのもかなり難しい。その上、魔物の量は多く道を整備することも難しい。人員と金を使えば出来るのだろうが、態々道を作って我が国と国交を結ぼうとする利点がないため、どの国もそんな事はしない。
そして、他国に厳しい山だが、囲まれている我が国には恩恵を与えてくれる。他国側、獣国アゼルスから見れば外側には魔物がいるため、普通の動物は内側に逃げて来ているのだ。
それに、山の天辺に積もる雪が溶けて流れる水が川となり魚が取れ、山の栄養で育った山菜なども採る事が出来る。山の恩恵により獣国アゼルスは他国に関わる事なく、国として成り立つ事が出来たのだ。
ただ、当然ながら問題はある。200年も外との関わりを持たなかったせいで、他国との技術力にかなりの差が開いてしまっているのと、国の近くの山で取れる作物の量が年々減っていってしまっている事だ。
技術力の差は、それはもう酷い事になっている。実際この目で見てしまったからな。私は半年ほど国を出た事がある。山を越えるのには苦労したがお供数人と何とか近くの国へと訪れる事が出来た。
そこで色々と話を聞く事は出来たが、私の訪れた国は、辺りでは小さめの国という。それなのに、私はその国の技術力に驚かせられたのだ。
我が国には存在しない魔法の力で動く道具の魔道具。計画的に建てられた建物。そして練度の高い兵士たち。
獣国での兵士の役割と言えば、せいぜい喧嘩の仲裁や、町に近づいて来た魔物の討伐ぐらいだろう。誰も他国がこの国へ攻めてくるとは考えていないため、かなり練度が低い。
他国を見てわかったが、我が国が昔に聖王国を退ける事が出来たのも奇跡なのだろう。国の中では攻めて来て追い払ったら弱い敵国となっているが、私が訪れた国では大陸の覇者として名を連ねていた。
昔の話なのでわからないが、向こうも本気では無かったのだろう。そうでなければ我が国の10倍近くある人口を持つ国が負けるわけがないのだから。
食糧に関しても、今はまだそれほど大きな問題は出て来ていないものの、少しずつではあるが近場で採る事のできる量が減って来ている報告が来ている。
周りの国から攻められる事も、魔物の脅威に晒されることも無く平和に暮らして来たため人口は増加傾向にある。そのため、食糧の生産量を人口が上回って来たのだ。
人口が増える事はいい事だ。小さな子供たちが走り回る姿を、先達者である老人たちが微笑ましそうに見守る姿。それだけでもこの国は平和で素晴らしい国だと感じる事が出来る。
だが、その平和を保つ事の出来る器に限界が来てしまっているのが現状なのだ。周りを山に囲まれているため、国をこれ以上広げる事は出来ない。無理矢理広げようとすれば、作物の生産地域を減らす事になる。
このままでは直ぐにではないにしろ、この国は終わってしまうと感じた私は、他国との関わりを持つ事を父である陛下に話したのだが、結果は先ほどの通り。
現状で満足してしまっている陛下たちには私の話は聞いてくれないのだ。それに危機を覚えている者は私を含めても少ないのが現状だ。
「殿下、これからどうされます?」
「取り敢えず皆の元へと行こう。結果が気になっているだろうからな」
「わかりました」
何とかして、陛下の考えを変えさせなければいけないが、何かきっかけとなるものが無いものか……。
「ならぬ。我が国は周りを山に囲まれた天然の要塞により建国より他国を寄せ付けなかった。聖王国もしかり。更にモダラの力により更に堅牢なものとなった。それなのにわざわざ他国の者を招き入れる必要はない。貴様は国を滅ぼしたいのか、ラグザよ」
「そのような事は考えておりません! それどころか、私は国を思って……」
「なら、話は終わりだ。国の方針は変えん。出て行くのだ」
陛下にそう断言されてしまってはそれ以上何も言う事が出来なかった。私は黙って玉座の間から出る。玉座の間の外では、私の部下として支えてくれるアダルガが待っていてくれた。熊人族の男で私と同い年の友である。
「お疲れ様です、ラグザ殿下。陛下のご反応は如何でしたか?」
「全く駄目だった。私の話は一切聞いてもらえなかったよ」
「……そうでしたか」
私の答えを聞いたアダルガが残念そうに呟く。だが、これは予想されていた事だ。この国、獣国アゼルスは国が出来てから200年近く外との関わりを断絶して来た。
他国と国交を待たずして200年も近く国として存在出来る理由として、他国が攻める事の難しい天然の要塞となる山々に囲まれている事と、その山々から取る事の出来る食糧のおかげだ。
周りの山々は、険しい山が多く獣道しかないため、軍が行軍するのもかなり難しい。その上、魔物の量は多く道を整備することも難しい。人員と金を使えば出来るのだろうが、態々道を作って我が国と国交を結ぼうとする利点がないため、どの国もそんな事はしない。
そして、他国に厳しい山だが、囲まれている我が国には恩恵を与えてくれる。他国側、獣国アゼルスから見れば外側には魔物がいるため、普通の動物は内側に逃げて来ているのだ。
それに、山の天辺に積もる雪が溶けて流れる水が川となり魚が取れ、山の栄養で育った山菜なども採る事が出来る。山の恩恵により獣国アゼルスは他国に関わる事なく、国として成り立つ事が出来たのだ。
ただ、当然ながら問題はある。200年も外との関わりを持たなかったせいで、他国との技術力にかなりの差が開いてしまっているのと、国の近くの山で取れる作物の量が年々減っていってしまっている事だ。
技術力の差は、それはもう酷い事になっている。実際この目で見てしまったからな。私は半年ほど国を出た事がある。山を越えるのには苦労したがお供数人と何とか近くの国へと訪れる事が出来た。
そこで色々と話を聞く事は出来たが、私の訪れた国は、辺りでは小さめの国という。それなのに、私はその国の技術力に驚かせられたのだ。
我が国には存在しない魔法の力で動く道具の魔道具。計画的に建てられた建物。そして練度の高い兵士たち。
獣国での兵士の役割と言えば、せいぜい喧嘩の仲裁や、町に近づいて来た魔物の討伐ぐらいだろう。誰も他国がこの国へ攻めてくるとは考えていないため、かなり練度が低い。
他国を見てわかったが、我が国が昔に聖王国を退ける事が出来たのも奇跡なのだろう。国の中では攻めて来て追い払ったら弱い敵国となっているが、私が訪れた国では大陸の覇者として名を連ねていた。
昔の話なのでわからないが、向こうも本気では無かったのだろう。そうでなければ我が国の10倍近くある人口を持つ国が負けるわけがないのだから。
食糧に関しても、今はまだそれほど大きな問題は出て来ていないものの、少しずつではあるが近場で採る事のできる量が減って来ている報告が来ている。
周りの国から攻められる事も、魔物の脅威に晒されることも無く平和に暮らして来たため人口は増加傾向にある。そのため、食糧の生産量を人口が上回って来たのだ。
人口が増える事はいい事だ。小さな子供たちが走り回る姿を、先達者である老人たちが微笑ましそうに見守る姿。それだけでもこの国は平和で素晴らしい国だと感じる事が出来る。
だが、その平和を保つ事の出来る器に限界が来てしまっているのが現状なのだ。周りを山に囲まれているため、国をこれ以上広げる事は出来ない。無理矢理広げようとすれば、作物の生産地域を減らす事になる。
このままでは直ぐにではないにしろ、この国は終わってしまうと感じた私は、他国との関わりを持つ事を父である陛下に話したのだが、結果は先ほどの通り。
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コメント
リムル様と尚文様は神!!サイタマも!!
鎖国か