世界に復讐を誓った少年
90.天使の力
「本当にムカつくわね、あなた。この私を閉じ込めるなんて」
「ムカついているのはこっちだよ、フィストリア。悪いが逃しはしないぞ。僕の大切なものを汚した罰を受けてもらう」
僕は黒槍を自分の周りに出現させフィストリアへと放つ。フィストリアは手を前に出すとさっきリーシャの剣を防いだように障壁を出して、黒槍を防ぐ。
フィストリアの周りを覆うように現れた障壁。あれをまずなんとかしないと。
「はぁ。仕方ないわね。私も集めた神力を消費するからあまり戦いたくはないけど、抜け出すためには必要経費と割り切るしかないわね。来なさい、エルナリティ」
フィストリアが右手を横に伸ばすと、そこには純白の槍が現れた。とてつもない魔力が込められた槍だ。
「穿ちなさい」
フィストリアが現れた槍を握り、穂先を僕に向けた瞬間、背筋に悪寒が走る。僕はその場からすぐに飛び退くと、さっきまで僕がいた場所に穴が空いた。そこから次々と穴が空く地面。ちっ、あの槍の力か?
「はぁっ!」
そこに切りかかるリーシャ。だが、発動している障壁に阻まれた。フィストリアはリーシャへと穂先を向け、槍から何かを放つ。リーシャは放たれたものを感知し剣で弾く。
僕はその内に侵食ノ太陽を円盤型にし足場作り、フィストリアへと向かう。手には漆黒の大鎌を持ち、フィストリアへと振りかざす。
予想通り障壁に阻まれるが、四方から短剣を放つ。それに合わせてリーシャも剣に風を纏わせて切りかかる、が
「ふん、それがどうしたっていうのよ!」
フィストリアが両手を広げると、それに合わせるように障壁も広がり、僕とリーシャは吹き飛ばされた。
「仮の体でも、神の力には変わりないわ。その程度の攻撃、意味を成さないわよ」
「意味が無いかはやってみないとわからないだろう!」
僕は再び短剣を放つ。呆れたような表情を浮かべるフィストリアは、真っ直ぐと向かって来た。短剣はフィストリアに当たる前に障壁に弾かれ、フィストリアはそのまま槍を振り下ろして来た。
僕は大鎌で受け止めるが、受け止めた瞬間大鎌が霧散した。これは……魔力が散った?
「ちっ!」
わけがわからないまま槍が迫ってくるので、周りに飛ぶ短剣を両手に持ち槍を弾く。しかし、短剣も槍に触れた瞬間霧散した。面倒な能力だな。
「無駄よ。このエルナリティは触れたものの魔力を吸い取る力があるの。あなたの魔力の武器なんてこのエルナリティの補給にしかならないわ!」
くそ、なんて面倒な武器だ。僕は基本武器を持たず魔力で作った武器を使う。相性悪過ぎるだろ。
……だけど、文句ばかり言っていられない。何度も突きを放ってくるフィストリアの槍を避ける。近づき掴もうとすると障壁に阻まれ、向こうの攻撃は避けなければならない。この状況を何とか打破しなければ。そう思っていると
「三剣・炎撃ノ爆紅剣!」
フィストリアの背後からリーシャが新たな剣を召喚し切りかかる。先ほどと同じように障壁に阻まれるが、障壁に紅く輝く剣が触れると、爆発した。
障壁のせいで無傷のフィストリアだが、リーシャは諦めることなく何度も切りかかる。僕もそれに習って侵食ノ太陽を放つ。
いくつもの球体をフィストリアへと飛ばす。全て障壁に阻まれ弾かれるが、弾かれたところから再びフィストリアへと向かう。
何度も何度も何度も何度も、いくら弾かれようと、いくら防がれようとも、何度も放つ。いくら神の力だと言っても、ミレーヌの体では限界があるはず。それでなくとも奴は偽物の神だ。どこか綻びが出来るはず。
「……本当に鬱陶しわね! エルナリティ、バースト!」
イライラとしたフィストリアは、槍の穂先を地面に突き刺す。すると、フィストリアを中心に衝撃波が周りへと放たれた。
その衝撃波に僕もリーシャも吹き飛ばされていく。周りの建物も崩れ、舗装された地面も割れ、全て吹き飛ばされる。
「……痛て」
どれぐらい吹き飛ばされただろうか。わからないが、全身に痛みが走る。瓦礫をぶつけたのか、額から血が流れて視界が赤く染まる。土煙が立ち込める中、ブワッと飛び出した人影。人影が振るう槍が真っ直ぐと僕へと伸びて来た。
真っ直ぐ心臓へと伸びてくる槍。僕は咄嗟に短剣を作り穂先を逸らす。穂先に触れた瞬間短剣は霧散したけど、心臓からは逸らす事が出来た。そして脇腹へと刺さる槍。槍が刺さった瞬間、力が抜けていくのがわかる。
脇腹から走る痛みに歯を食いしばりながらも、これはチャンスだと思った僕は突き刺さる槍に逆らうように槍の持ち主、フィストリアの方へと立ち上がる。
当然、脇腹に刺さった槍は深く突き刺さり、背中から貫通するけど、僕は気にする事なく立ち上がり、槍を握る腕を掴む。
「なっ!? あなた馬鹿なの!? エルナリティが刺さっているのに自分から……」
「お前を捕まえるためならこの程度の傷、どうって事はない。ミレーヌ! まだ、中に残っているのなら思い出せ! 君の中に残る僕が与えた痛みを! 幻痛!」
僕は空いている右手でフィストリア……いや、ミレーヌの頭を掴む。そして、魔術を発動。これで思い出せ、ミレーヌ。僕が君に与えた痛みを。僕たちだけの歪んだ繋がりを!
「ムカついているのはこっちだよ、フィストリア。悪いが逃しはしないぞ。僕の大切なものを汚した罰を受けてもらう」
僕は黒槍を自分の周りに出現させフィストリアへと放つ。フィストリアは手を前に出すとさっきリーシャの剣を防いだように障壁を出して、黒槍を防ぐ。
フィストリアの周りを覆うように現れた障壁。あれをまずなんとかしないと。
「はぁ。仕方ないわね。私も集めた神力を消費するからあまり戦いたくはないけど、抜け出すためには必要経費と割り切るしかないわね。来なさい、エルナリティ」
フィストリアが右手を横に伸ばすと、そこには純白の槍が現れた。とてつもない魔力が込められた槍だ。
「穿ちなさい」
フィストリアが現れた槍を握り、穂先を僕に向けた瞬間、背筋に悪寒が走る。僕はその場からすぐに飛び退くと、さっきまで僕がいた場所に穴が空いた。そこから次々と穴が空く地面。ちっ、あの槍の力か?
「はぁっ!」
そこに切りかかるリーシャ。だが、発動している障壁に阻まれた。フィストリアはリーシャへと穂先を向け、槍から何かを放つ。リーシャは放たれたものを感知し剣で弾く。
僕はその内に侵食ノ太陽を円盤型にし足場作り、フィストリアへと向かう。手には漆黒の大鎌を持ち、フィストリアへと振りかざす。
予想通り障壁に阻まれるが、四方から短剣を放つ。それに合わせてリーシャも剣に風を纏わせて切りかかる、が
「ふん、それがどうしたっていうのよ!」
フィストリアが両手を広げると、それに合わせるように障壁も広がり、僕とリーシャは吹き飛ばされた。
「仮の体でも、神の力には変わりないわ。その程度の攻撃、意味を成さないわよ」
「意味が無いかはやってみないとわからないだろう!」
僕は再び短剣を放つ。呆れたような表情を浮かべるフィストリアは、真っ直ぐと向かって来た。短剣はフィストリアに当たる前に障壁に弾かれ、フィストリアはそのまま槍を振り下ろして来た。
僕は大鎌で受け止めるが、受け止めた瞬間大鎌が霧散した。これは……魔力が散った?
「ちっ!」
わけがわからないまま槍が迫ってくるので、周りに飛ぶ短剣を両手に持ち槍を弾く。しかし、短剣も槍に触れた瞬間霧散した。面倒な能力だな。
「無駄よ。このエルナリティは触れたものの魔力を吸い取る力があるの。あなたの魔力の武器なんてこのエルナリティの補給にしかならないわ!」
くそ、なんて面倒な武器だ。僕は基本武器を持たず魔力で作った武器を使う。相性悪過ぎるだろ。
……だけど、文句ばかり言っていられない。何度も突きを放ってくるフィストリアの槍を避ける。近づき掴もうとすると障壁に阻まれ、向こうの攻撃は避けなければならない。この状況を何とか打破しなければ。そう思っていると
「三剣・炎撃ノ爆紅剣!」
フィストリアの背後からリーシャが新たな剣を召喚し切りかかる。先ほどと同じように障壁に阻まれるが、障壁に紅く輝く剣が触れると、爆発した。
障壁のせいで無傷のフィストリアだが、リーシャは諦めることなく何度も切りかかる。僕もそれに習って侵食ノ太陽を放つ。
いくつもの球体をフィストリアへと飛ばす。全て障壁に阻まれ弾かれるが、弾かれたところから再びフィストリアへと向かう。
何度も何度も何度も何度も、いくら弾かれようと、いくら防がれようとも、何度も放つ。いくら神の力だと言っても、ミレーヌの体では限界があるはず。それでなくとも奴は偽物の神だ。どこか綻びが出来るはず。
「……本当に鬱陶しわね! エルナリティ、バースト!」
イライラとしたフィストリアは、槍の穂先を地面に突き刺す。すると、フィストリアを中心に衝撃波が周りへと放たれた。
その衝撃波に僕もリーシャも吹き飛ばされていく。周りの建物も崩れ、舗装された地面も割れ、全て吹き飛ばされる。
「……痛て」
どれぐらい吹き飛ばされただろうか。わからないが、全身に痛みが走る。瓦礫をぶつけたのか、額から血が流れて視界が赤く染まる。土煙が立ち込める中、ブワッと飛び出した人影。人影が振るう槍が真っ直ぐと僕へと伸びて来た。
真っ直ぐ心臓へと伸びてくる槍。僕は咄嗟に短剣を作り穂先を逸らす。穂先に触れた瞬間短剣は霧散したけど、心臓からは逸らす事が出来た。そして脇腹へと刺さる槍。槍が刺さった瞬間、力が抜けていくのがわかる。
脇腹から走る痛みに歯を食いしばりながらも、これはチャンスだと思った僕は突き刺さる槍に逆らうように槍の持ち主、フィストリアの方へと立ち上がる。
当然、脇腹に刺さった槍は深く突き刺さり、背中から貫通するけど、僕は気にする事なく立ち上がり、槍を握る腕を掴む。
「なっ!? あなた馬鹿なの!? エルナリティが刺さっているのに自分から……」
「お前を捕まえるためならこの程度の傷、どうって事はない。ミレーヌ! まだ、中に残っているのなら思い出せ! 君の中に残る僕が与えた痛みを! 幻痛!」
僕は空いている右手でフィストリア……いや、ミレーヌの頭を掴む。そして、魔術を発動。これで思い出せ、ミレーヌ。僕が君に与えた痛みを。僕たちだけの歪んだ繋がりを!
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