世界に復讐を誓った少年
81.出会ったのは
「……ようやく落ち着いて来た頃かな?」
「……そうですね。でも、まさかあのスザク様が負けるなんて思っても見ませんでした」
皇城のとある一室。目的である第1皇女の元へと向かおうとしていたところ、兵士たちが走って来るのに気が付いた僕たちは、近くにあった部屋に隠れた。
そこに隠れている間、通り過ぎる兵士同士の話を聞いていたら、城の中が騒ぎになっている理由を聞く事が出来た。
城の中が騒がしくなっている理由は、亜人国の戦争に参加していた四獣家の1人、朱雀家の当主が敗北して帰って来たからだ。
負けるはずの無い亜人国との戦争で最大戦力の1人が敗退したのだ。それは大騒ぎになるだろう。ボスは隠れる気は無さそうだね。
それからしばらく隠れていると、兵士たちの気配も無くなったので、僕たちは再び皇女の元を目指す。いくら騒ぎになったからと言っても、既に夜遅くだ。そこまで兵士がいるわけでは無い。攻められたわけでも無いしね。
僕とシーシャは無言で城の中の廊下を歩いて行く。3階くらいまで上がったところで気が付いたけど
「……これは気が付かれているね」
「えっ?」
僕の呟きに驚きの声を上げるシーシャ。それと同時に降り注ぐ殺気。僕はシーシャを抱き締めてその場から飛び退く。すると、地面から黒い影が僕たちのいたところから飛び出して来た。
「こ、これは、皇女様の魔法!?」
へえ。これは明らかに闇魔法だ。なるほど。もっと詳しくシーシャに聞いておけば良かったね。そして、僕たちがいる通路が闇に包まれる。逃げられなくされてしまった。
「なぜ、城の中にレイスがいるのかは知らないけど、侵入した貴方を消させて貰うわ」
さっきの影のように地面から現れる女性。黒い影から現れた姿は、周りの暗い色から想像が出来ないほど華やかな女性だった。
桃色の髪が腰まであり、ウェーブがかかった髪をしている。ドレス姿はまさしく皇女の姿だ。
「えっ? レ、レイス?」
腕の中で驚きの声を上げるシーシャ。そういえば、僕の正体を伝えていなかったね。だけど、今はそれどころじゃ無い。次々と地面から僕たちを串刺しにしようと影が伸びて来る。
僕だけなら何とかなるけど、今は腕の中にシーシャがいる。ここまで来た以上、彼女を見捨てようなんて思わない。
「いけ、オプスキラー!」
僕は魔結晶を皇女の頭上へと投げる。そして、空中で転移の魔法が発動しオプスキラーが皇女を押し潰そうと現れる。
「なっ!? この魔物は!」
エリーゼ皇女は何かに驚きながらもオプスキラーへと影を伸ばしてオプスキラーを串刺しにして行く。オプスキラーを串刺しにした皇女は、再び僕たちに影を伸ばして来るのか? と、思いきや、串刺しにしたオプスキラーを自分の元へと引き寄せて観察をしていた。
「なるほど! ただ、一体の死体を操るのでは無くて、合体させて強化しているのね。でも、これをするにはそれ相応の魔力が必要になるはず。これを作られた方はとんでもない程の魔力を持っているのね!」
そんな風にオプスキラーをしばらく観察した後、グリンと僕たちの方を見て詰め寄って来た。
「あなた! どうしてあの魔物を持っているの!? あなたは、あのお方と知り合いなの!?」
「あのお方?」
「もうっ、とぼけないでよ! あの魔物を作った方に決まっているじゃないの! あっ、あなたが作ったって嘘は通用しないわ。亜人国との戦争を私は使い魔を通して見ているから、あのお方が死体を合体させた魔物を作っているのは知っているんだから!」
鼻息荒く質問してくる皇女。なるほど、ボスの事を知っているのか。さっきから使っている影の魔法から見ても、この皇女様は闇魔法に精通している。
同様……いや、自分以上の力を持つボスに興味を持ったってところかな。
「それじゃあ、まず話せるところに行こうよ。廊下だと誰か来てしまうし」
「むっ、それもそうね。それじゃあ、私の部屋に行きましょう。そこなら、私の許可なく入って来られ無いわ」
エリーゼ皇女はそう言うと周りを囲んでいた闇が消え去り、僕たちが歩いて来た廊下に戻る。
部屋へと戻ろうとするエリーゼ皇女の後を付いて行こうとしたら、袖を引っ張られる感覚。振り向くとそこには不安そうに見上げてくるシーシャがいた。
「クロノさん。さっきの話は……」
「うん、ちゃんと話すからね。今はこれだけ信じて欲しい。僕は君の味方だ。必ず守るから」
僕の言葉に頷くシーシャ。不安そうな表情を浮かべるシーシャの手を引きながら僕は皇女の後に付いて行く。
シーシャ、何があろうと君は守り抜く。それだけは信じて欲しい。
「……そうですね。でも、まさかあのスザク様が負けるなんて思っても見ませんでした」
皇城のとある一室。目的である第1皇女の元へと向かおうとしていたところ、兵士たちが走って来るのに気が付いた僕たちは、近くにあった部屋に隠れた。
そこに隠れている間、通り過ぎる兵士同士の話を聞いていたら、城の中が騒ぎになっている理由を聞く事が出来た。
城の中が騒がしくなっている理由は、亜人国の戦争に参加していた四獣家の1人、朱雀家の当主が敗北して帰って来たからだ。
負けるはずの無い亜人国との戦争で最大戦力の1人が敗退したのだ。それは大騒ぎになるだろう。ボスは隠れる気は無さそうだね。
それからしばらく隠れていると、兵士たちの気配も無くなったので、僕たちは再び皇女の元を目指す。いくら騒ぎになったからと言っても、既に夜遅くだ。そこまで兵士がいるわけでは無い。攻められたわけでも無いしね。
僕とシーシャは無言で城の中の廊下を歩いて行く。3階くらいまで上がったところで気が付いたけど
「……これは気が付かれているね」
「えっ?」
僕の呟きに驚きの声を上げるシーシャ。それと同時に降り注ぐ殺気。僕はシーシャを抱き締めてその場から飛び退く。すると、地面から黒い影が僕たちのいたところから飛び出して来た。
「こ、これは、皇女様の魔法!?」
へえ。これは明らかに闇魔法だ。なるほど。もっと詳しくシーシャに聞いておけば良かったね。そして、僕たちがいる通路が闇に包まれる。逃げられなくされてしまった。
「なぜ、城の中にレイスがいるのかは知らないけど、侵入した貴方を消させて貰うわ」
さっきの影のように地面から現れる女性。黒い影から現れた姿は、周りの暗い色から想像が出来ないほど華やかな女性だった。
桃色の髪が腰まであり、ウェーブがかかった髪をしている。ドレス姿はまさしく皇女の姿だ。
「えっ? レ、レイス?」
腕の中で驚きの声を上げるシーシャ。そういえば、僕の正体を伝えていなかったね。だけど、今はそれどころじゃ無い。次々と地面から僕たちを串刺しにしようと影が伸びて来る。
僕だけなら何とかなるけど、今は腕の中にシーシャがいる。ここまで来た以上、彼女を見捨てようなんて思わない。
「いけ、オプスキラー!」
僕は魔結晶を皇女の頭上へと投げる。そして、空中で転移の魔法が発動しオプスキラーが皇女を押し潰そうと現れる。
「なっ!? この魔物は!」
エリーゼ皇女は何かに驚きながらもオプスキラーへと影を伸ばしてオプスキラーを串刺しにして行く。オプスキラーを串刺しにした皇女は、再び僕たちに影を伸ばして来るのか? と、思いきや、串刺しにしたオプスキラーを自分の元へと引き寄せて観察をしていた。
「なるほど! ただ、一体の死体を操るのでは無くて、合体させて強化しているのね。でも、これをするにはそれ相応の魔力が必要になるはず。これを作られた方はとんでもない程の魔力を持っているのね!」
そんな風にオプスキラーをしばらく観察した後、グリンと僕たちの方を見て詰め寄って来た。
「あなた! どうしてあの魔物を持っているの!? あなたは、あのお方と知り合いなの!?」
「あのお方?」
「もうっ、とぼけないでよ! あの魔物を作った方に決まっているじゃないの! あっ、あなたが作ったって嘘は通用しないわ。亜人国との戦争を私は使い魔を通して見ているから、あのお方が死体を合体させた魔物を作っているのは知っているんだから!」
鼻息荒く質問してくる皇女。なるほど、ボスの事を知っているのか。さっきから使っている影の魔法から見ても、この皇女様は闇魔法に精通している。
同様……いや、自分以上の力を持つボスに興味を持ったってところかな。
「それじゃあ、まず話せるところに行こうよ。廊下だと誰か来てしまうし」
「むっ、それもそうね。それじゃあ、私の部屋に行きましょう。そこなら、私の許可なく入って来られ無いわ」
エリーゼ皇女はそう言うと周りを囲んでいた闇が消え去り、僕たちが歩いて来た廊下に戻る。
部屋へと戻ろうとするエリーゼ皇女の後を付いて行こうとしたら、袖を引っ張られる感覚。振り向くとそこには不安そうに見上げてくるシーシャがいた。
「クロノさん。さっきの話は……」
「うん、ちゃんと話すからね。今はこれだけ信じて欲しい。僕は君の味方だ。必ず守るから」
僕の言葉に頷くシーシャ。不安そうな表情を浮かべるシーシャの手を引きながら僕は皇女の後に付いて行く。
シーシャ、何があろうと君は守り抜く。それだけは信じて欲しい。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
26950
-
-
0
-
-
23252
-
-
238
-
-
125
-
-
4405
-
-
337
-
-
2
-
-
34
コメント