世界に復讐を誓った少年
68.出発
「なぁ、なぁ! 俺と勝負しようぜ! 早く血を浴びたいぜ!」
僕の目の前でワクワクとした表情で拳を握るドラゴニュート族の女。レルシェンド・ドラギオンと言ったか。雰囲気からしてリーシャとは違った戦闘狂のようだ。
リーシャは強い奴と戦いたいというのがあるけど、こいつは、その上で血を見たいという欲求があるようだ。だから前世は鮮血竜とか呼ばれたのだろう。
「……ふむ、せっかく綺麗だった大神木がここまで侵食されているとは。ナルガミ様も嘆いておられるだろう」
もう1人のイケメンのエルフの男、エルフィオン・メルキューアは、視界に入る大神木を見て嘆いていた。さっきから男神ナルガミや、名前のメルキューアの部分。どう考えてもこの国の重要人物だろう。
「坊や! さっきの揺れは何!?」
2人に話しかけようとした時に、後ろから走ってくる足音が。振り返るとこちらに向かってくる女王たちの姿があった。僕が召喚した際の音が響いたのだろう。
そして、見覚えの無い亜人たちを見て動きを止める彼ら。それも仕方ないか。突然見覚えの無い亜人たちが、国の中にいるのだから。それも、1人1人は中々の実力者で、その中でも飛び抜けているのが2人いるのだから。
しかし、僕の予想は外れて、女王がエルフィオンを見ると、驚きの表情を浮かべて膝をついた。流石にこの行動には僕も驚き、周りはそれ以上に驚いた。
「あ、あなた様は、初代国王、エルフィオン・メルキューア様ではございませんか! な、なぜこの場所に!?」
おっと、僕の思っていた以上に偉い人だった。初代って事はこの亜人国の建国者って事だろ? 確かこの国が出来たのって、名前や領土が何度か変わっているけど、ミレーヌ先生から教えてもらって6千年ほど前のはず。それに
「おおお、お前は『鮮血竜』! 300年前に一族総出で殺したはずなのにどうして生きている!」
「おっ、お前はリドラじゃねえか! えらく老けたなぁ!」
ドラゴニュート族の族長がレルシェンドを見て叫ぶ。こいつ、一族に殺されるような事をしたのかよ。僕の配下で縛っておかなきゃ仲間でも襲いそうだな。レルシェンドは族長を見て何故か構えているし。
「マスター、そろそろ行こう」
「ん、そうだな」
僕は女王たちに説明をしてから、新たな配下になった2人と話す。まず1番気になったのが、エルフィオンが僕の配下になった事だ。今回も両方が同意しないと、配下にはならないようにしていたため、エルフィオンが同意した事が気になったのだ。
レルシェンドは戦いたいとかだろうからいいとしても、エルフィオンが同意したのがどうしても気になる。その事を聞いて見ると
「私も今代の女王と同じで予知が出来るのですよ。ただ、かなり先のですが。その中で、神が変わる事も、その神を打倒しようとする者が現れる事を知っていました。我々はナルガミ様に造られた存在。そのナルガミ様を倒した女神をどうにかしたかったのです」
「それじゃあ、僕の事も?」
「ええ。知っていました」
なるほど。女王とはまた違った予知があるようだ。しかし、ナルガミか。多分……いや、絶対にダルクスが言っていた女神に殺された男神の事だろう。
「なあなあ! 今から戦いに行くんだってな! 早く行こうぜ!」
エルフィオンの話を聞いていたら、リーシャから聞いたのか、レルシェンドが僕の右手を取ってぶんぶんと振ってくる。どれだけ戦いたいんだか。でも、その気持ちが僕たちから離れたのはいい事か。
2人には僕の配下になる事を確認して移動する。亜人たちを蘇らせるのと同時に、足用にボーンワイバーンを10体ほど蘇らせた。
まあ、死霊たちに体力はないため地上を走らせても良いのだけど。
「それじゃあ、女王。行こうか。攻めてきているんでしょ?」
「え、ええ。その通りだけど」
女王はエルフィオンの事が気になるみたいだけど、それは後で。今は王都から北にある平原へと向かっている帝国軍の撃退が先だ。
今回は軍を分けずに、集まってきているため、1つの山場となるだろう。
「ロウ、行くよ」
「わふ!」
僕とリーシャはロウの背中に乗り、エルフィオンは魔法で宙を浮き、レルシェンドは屈伸をしていた……あいつも走る気か。
そこから2日かけて北へと向かう。さて、楔はどうなっているだろうかね。
僕の目の前でワクワクとした表情で拳を握るドラゴニュート族の女。レルシェンド・ドラギオンと言ったか。雰囲気からしてリーシャとは違った戦闘狂のようだ。
リーシャは強い奴と戦いたいというのがあるけど、こいつは、その上で血を見たいという欲求があるようだ。だから前世は鮮血竜とか呼ばれたのだろう。
「……ふむ、せっかく綺麗だった大神木がここまで侵食されているとは。ナルガミ様も嘆いておられるだろう」
もう1人のイケメンのエルフの男、エルフィオン・メルキューアは、視界に入る大神木を見て嘆いていた。さっきから男神ナルガミや、名前のメルキューアの部分。どう考えてもこの国の重要人物だろう。
「坊や! さっきの揺れは何!?」
2人に話しかけようとした時に、後ろから走ってくる足音が。振り返るとこちらに向かってくる女王たちの姿があった。僕が召喚した際の音が響いたのだろう。
そして、見覚えの無い亜人たちを見て動きを止める彼ら。それも仕方ないか。突然見覚えの無い亜人たちが、国の中にいるのだから。それも、1人1人は中々の実力者で、その中でも飛び抜けているのが2人いるのだから。
しかし、僕の予想は外れて、女王がエルフィオンを見ると、驚きの表情を浮かべて膝をついた。流石にこの行動には僕も驚き、周りはそれ以上に驚いた。
「あ、あなた様は、初代国王、エルフィオン・メルキューア様ではございませんか! な、なぜこの場所に!?」
おっと、僕の思っていた以上に偉い人だった。初代って事はこの亜人国の建国者って事だろ? 確かこの国が出来たのって、名前や領土が何度か変わっているけど、ミレーヌ先生から教えてもらって6千年ほど前のはず。それに
「おおお、お前は『鮮血竜』! 300年前に一族総出で殺したはずなのにどうして生きている!」
「おっ、お前はリドラじゃねえか! えらく老けたなぁ!」
ドラゴニュート族の族長がレルシェンドを見て叫ぶ。こいつ、一族に殺されるような事をしたのかよ。僕の配下で縛っておかなきゃ仲間でも襲いそうだな。レルシェンドは族長を見て何故か構えているし。
「マスター、そろそろ行こう」
「ん、そうだな」
僕は女王たちに説明をしてから、新たな配下になった2人と話す。まず1番気になったのが、エルフィオンが僕の配下になった事だ。今回も両方が同意しないと、配下にはならないようにしていたため、エルフィオンが同意した事が気になったのだ。
レルシェンドは戦いたいとかだろうからいいとしても、エルフィオンが同意したのがどうしても気になる。その事を聞いて見ると
「私も今代の女王と同じで予知が出来るのですよ。ただ、かなり先のですが。その中で、神が変わる事も、その神を打倒しようとする者が現れる事を知っていました。我々はナルガミ様に造られた存在。そのナルガミ様を倒した女神をどうにかしたかったのです」
「それじゃあ、僕の事も?」
「ええ。知っていました」
なるほど。女王とはまた違った予知があるようだ。しかし、ナルガミか。多分……いや、絶対にダルクスが言っていた女神に殺された男神の事だろう。
「なあなあ! 今から戦いに行くんだってな! 早く行こうぜ!」
エルフィオンの話を聞いていたら、リーシャから聞いたのか、レルシェンドが僕の右手を取ってぶんぶんと振ってくる。どれだけ戦いたいんだか。でも、その気持ちが僕たちから離れたのはいい事か。
2人には僕の配下になる事を確認して移動する。亜人たちを蘇らせるのと同時に、足用にボーンワイバーンを10体ほど蘇らせた。
まあ、死霊たちに体力はないため地上を走らせても良いのだけど。
「それじゃあ、女王。行こうか。攻めてきているんでしょ?」
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