世界に復讐を誓った少年
46.とある家族の話(4)
「これでいいだろう、ハルト殿よ。約束は果たした」
俺の前にいるローブの男に向かって話しかける豪華な服を着た男。ローブの男は話しかけられた事を無視して俺たちを訝しげに見てくる。
「ねぇ、どうしてこの家族は男しかいないんだ? 父親、母親、姉妹などは?」
「……こやつらはスラムに住む孤児たちだ。その中でこやつらだけで生活していたところを連れてきたのだ」
「ふぅ〜ん?」
ローブの男は豪華な服を着た男の話を信じていないようだ。それに、何故か俺たちは男たちだけで住んでいた事になっている。どう言う事だ?
訳がわからずに考えていると、この重苦しい空気に耐えれなかったのか、まだ5歳のテルが泣き出してしまった。そして
「家族は僕たちだけじゃ無いもん! エマお姉ちゃんもティエラお姉ちゃんたちもいるもん!」
と、男たちへ向かって叫んでしまった。豪華な服を着た男はテルの叫び声を止めさせようとしたが、ローブの男が指示を出すと、俺たちの周りに半透明に輝く光の壁が出来て包まれた。
「ふふ、ハルト様に嘘をつかれたのですか、メストア国王?」
綺麗な金髪の女性は、微笑みながらも豪華な服を着た男を睨んでいた。というか、あの人が国王様だったのか。こうして見てみると普通のおじさんにしか見えない。
「へぇ、国王は僕を騙そうと?」
「ち、違うぞ! おい、これはどういう事だ!?」
急に慌てふためく国王様。それを無視してローブの男が俺たちのところへとやって来た。ローブの男は真っ直ぐと泣くテルの元へ。
「それで、君たちには他にも家族がいるのかい?」
「……ぐすっ……うん、お姉ちゃんたちがいたんだけど、変なおじさんたちに連れていかれて……」
「ティエラお姉ちゃんも連れていかれたんだよ!」
子供たちが次々とローブの男へと話しかける。ローブの男は黙って話を聞いてから、俺の方へとやって来た。
「君がこの子たちのリーダー?」
「……リーダーってわけじゃない。こいつらは俺の大切な家族だ」
俺が正直に話すと、ローブの男は何故か眩しそうに俺を見てくる。その横に寄り添うように側に寄る金髪の女性。
「まあいいや。とりあえず彼らを連れて行こう。ミレーヌ、フィア、連れて来て」
「わかりました」
「……わかった」
俺たちは金髪の女性と赤髪の女性に連れられて部屋を出る。先頭にはローブの男が。金髪の女性はニコニコと、赤髪の女性は物凄く不安そうな表情を浮かべており、あまりにも対象的な表情が気になってしまった。
そんな事を考えながら俺たちが連れてこられたのは、地下だった。多分、国王様がいるから城だと思うのだが、まさか城の地下にこんなところがあったなんて。そして何より
「帰ッテ来タカ、創造主」
俺も初めてみる魔物、ローブを着た骸骨やゾンビがあちらこちらにいたのだ。あの国が魔物に襲われたって噂は本当だったのか。
「ああ、ネロ。何かあった?」
「イヤ、予定通リ進マセテイル」
「そうか、なら良かった。それじゃあ、君たち、家族の事について話してもらおうか」
周りを魔物たちに囲まれた俺たちは、このローブの男の指示に従うしか出来なかった。それから、俺たちが今日までに起きた出来事を話す。
ローブの男たちは黙って俺たちの話を聞いてくれた。赤髪の女性は俺たちの話を聞くにつれて物凄く不機嫌になっていくのが気になったけど。
「へぇ、精霊魔術師ねぇ。これはいい見つけものをした。それに黒騎士っていう珍しい職業も」
「ふふっ、楽しそうですね、ハルト様!」
「勿論だよ。思いがけずいい戦力が手に入った」
ローブの男は金髪の女性と嬉しそうに話しながら俺の方へとやって来る。そして
「君に選ばしてあげるよ。彼らの餌になるか。君の家族とやらを守るために僕の配下になるか」
そんな事を言われたら、もう俺に選択肢は無いじゃないかよ。
◇◇◇
「ふへへ、やはり可愛いな、お前は」
「……汚い手で触らないで」
私は目の前にいる男、デブネの手を払う。その度にじゃらっと音がなる手錠。本当に鬱陶しいわね。外したいわ。
「くくっ、お前みたいな気の強い女は好きだぞ。その強気の顔を歪めさせたくなる」
……本当に気持ちが悪いわね。こんな奴が本当に私たちと同い年なのかしら。
「おい、ダル。お前も見たいだろ?」
デブネがそう言い声をかけるのは、私たちを裏切った元家族、ダルだった。ダルは無言のまま私たちを見てくる。
「ふん、面白くない奴だ。まあいい。色々と手続きのせいで今日まで延びたが、ついにお前で楽しめるな」
そう言ってデブネは私の手を掴んでベッドに押し倒してくる。いくら暴れても足が動かなくて、力の無い私じゃあ、デブネを押しのける事が出来ない。
「ぐっ、の、退きなさい!」
「退くわけがなかろう。くく、お前の処女楽しませて貰うぞ!」
デブネはそのまま私にのしかかってきて、私の胸を掴む。私はあまりの悔しさ涙が出そうになるけど、何とか我慢する。
マルス、私我慢するから。いくらこの男に辱めを受けようとも絶対に屈しない。私はあなたとの思い出を糧に……
「おらっ!」
その時、扉が勢い良く開けられた。いや、蹴破られと言っても間違いじゃないと思う。そして現れたのが
「ティエラ!」
本当ならこんなところにいないはずのマルスだった。
俺の前にいるローブの男に向かって話しかける豪華な服を着た男。ローブの男は話しかけられた事を無視して俺たちを訝しげに見てくる。
「ねぇ、どうしてこの家族は男しかいないんだ? 父親、母親、姉妹などは?」
「……こやつらはスラムに住む孤児たちだ。その中でこやつらだけで生活していたところを連れてきたのだ」
「ふぅ〜ん?」
ローブの男は豪華な服を着た男の話を信じていないようだ。それに、何故か俺たちは男たちだけで住んでいた事になっている。どう言う事だ?
訳がわからずに考えていると、この重苦しい空気に耐えれなかったのか、まだ5歳のテルが泣き出してしまった。そして
「家族は僕たちだけじゃ無いもん! エマお姉ちゃんもティエラお姉ちゃんたちもいるもん!」
と、男たちへ向かって叫んでしまった。豪華な服を着た男はテルの叫び声を止めさせようとしたが、ローブの男が指示を出すと、俺たちの周りに半透明に輝く光の壁が出来て包まれた。
「ふふ、ハルト様に嘘をつかれたのですか、メストア国王?」
綺麗な金髪の女性は、微笑みながらも豪華な服を着た男を睨んでいた。というか、あの人が国王様だったのか。こうして見てみると普通のおじさんにしか見えない。
「へぇ、国王は僕を騙そうと?」
「ち、違うぞ! おい、これはどういう事だ!?」
急に慌てふためく国王様。それを無視してローブの男が俺たちのところへとやって来た。ローブの男は真っ直ぐと泣くテルの元へ。
「それで、君たちには他にも家族がいるのかい?」
「……ぐすっ……うん、お姉ちゃんたちがいたんだけど、変なおじさんたちに連れていかれて……」
「ティエラお姉ちゃんも連れていかれたんだよ!」
子供たちが次々とローブの男へと話しかける。ローブの男は黙って話を聞いてから、俺の方へとやって来た。
「君がこの子たちのリーダー?」
「……リーダーってわけじゃない。こいつらは俺の大切な家族だ」
俺が正直に話すと、ローブの男は何故か眩しそうに俺を見てくる。その横に寄り添うように側に寄る金髪の女性。
「まあいいや。とりあえず彼らを連れて行こう。ミレーヌ、フィア、連れて来て」
「わかりました」
「……わかった」
俺たちは金髪の女性と赤髪の女性に連れられて部屋を出る。先頭にはローブの男が。金髪の女性はニコニコと、赤髪の女性は物凄く不安そうな表情を浮かべており、あまりにも対象的な表情が気になってしまった。
そんな事を考えながら俺たちが連れてこられたのは、地下だった。多分、国王様がいるから城だと思うのだが、まさか城の地下にこんなところがあったなんて。そして何より
「帰ッテ来タカ、創造主」
俺も初めてみる魔物、ローブを着た骸骨やゾンビがあちらこちらにいたのだ。あの国が魔物に襲われたって噂は本当だったのか。
「ああ、ネロ。何かあった?」
「イヤ、予定通リ進マセテイル」
「そうか、なら良かった。それじゃあ、君たち、家族の事について話してもらおうか」
周りを魔物たちに囲まれた俺たちは、このローブの男の指示に従うしか出来なかった。それから、俺たちが今日までに起きた出来事を話す。
ローブの男たちは黙って俺たちの話を聞いてくれた。赤髪の女性は俺たちの話を聞くにつれて物凄く不機嫌になっていくのが気になったけど。
「へぇ、精霊魔術師ねぇ。これはいい見つけものをした。それに黒騎士っていう珍しい職業も」
「ふふっ、楽しそうですね、ハルト様!」
「勿論だよ。思いがけずいい戦力が手に入った」
ローブの男は金髪の女性と嬉しそうに話しながら俺の方へとやって来る。そして
「君に選ばしてあげるよ。彼らの餌になるか。君の家族とやらを守るために僕の配下になるか」
そんな事を言われたら、もう俺に選択肢は無いじゃないかよ。
◇◇◇
「ふへへ、やはり可愛いな、お前は」
「……汚い手で触らないで」
私は目の前にいる男、デブネの手を払う。その度にじゃらっと音がなる手錠。本当に鬱陶しいわね。外したいわ。
「くくっ、お前みたいな気の強い女は好きだぞ。その強気の顔を歪めさせたくなる」
……本当に気持ちが悪いわね。こんな奴が本当に私たちと同い年なのかしら。
「おい、ダル。お前も見たいだろ?」
デブネがそう言い声をかけるのは、私たちを裏切った元家族、ダルだった。ダルは無言のまま私たちを見てくる。
「ふん、面白くない奴だ。まあいい。色々と手続きのせいで今日まで延びたが、ついにお前で楽しめるな」
そう言ってデブネは私の手を掴んでベッドに押し倒してくる。いくら暴れても足が動かなくて、力の無い私じゃあ、デブネを押しのける事が出来ない。
「ぐっ、の、退きなさい!」
「退くわけがなかろう。くく、お前の処女楽しませて貰うぞ!」
デブネはそのまま私にのしかかってきて、私の胸を掴む。私はあまりの悔しさ涙が出そうになるけど、何とか我慢する。
マルス、私我慢するから。いくらこの男に辱めを受けようとも絶対に屈しない。私はあなたとの思い出を糧に……
「おらっ!」
その時、扉が勢い良く開けられた。いや、蹴破られと言っても間違いじゃないと思う。そして現れたのが
「ティエラ!」
本当ならこんなところにいないはずのマルスだった。
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