世界に復讐を誓った少年
37.聖女御一行
「ホーリーショット!」
「グギャッ!」
私の攻撃により怯んだゴブリン。その隙を狙うかのように迫るリーグ。素早くゴブリンに接近して下から振り上げた剣がゴブリンの首を切り落とした。
「はっ、やっぱり俺の敵じゃねえな」
リーグがそう言って調子に乗っていると
「リーグ、そう舐めた口を利くんじゃ無い」
「痛っ!」
後ろからリーグの頭を叩くアルノードさん。あの2人は同じ聖騎士の職業を持つ師弟関係だからそこそこ仲が良い。それに
「はぁ、はぁ、ま、魔物退治は辛いですね」
「グ……ガガ……ギ……ゴ……」
ゴブリンたちの中でひときわ大きく、この群れのリーダーであるゴブリンロードを倒したしょうじ……おっと、少年。
見た目は誰もが間違えそうになるほど可愛らしい顔をしていて、黒髪を頭の後ろで1本に束ねている。身長は160いかないくらいで、誰がどう見ても女の子にしか見えない男の子。年は私と同じ13歳。
彼の名前はノエル。人族の勇者である。
リーグたちの聖騎士なんかよりももっと特殊な職業で、私の聖女のように数百年に1度しか現れないらしい。しかもその現れる時は、必ず聖女が現れた時と重なる事から、この2つの職業は、2つで1つの職業だと言われているみたい。
そして、今回はかなり運の良い事に聖王国の中で見つかったみたい。これが他の国だったら手続きなどで結構手間がかかるらしい。
国民に私たちを紹介する時に初めて顔を合わせてから1年、私たちはずっとチームを組んできた。将来有望な聖騎士のリーグに、聖女の私、勇者のノエルに指導役のアルノードさん。他にもメンバーいるのだけど、今は離れて私たちだけ。
どうして私たちがチームを組んで魔物を討伐しているかと言うと、聖王様からの命令で、魔王討伐の命が下されたから。
魔王とは、魔族の王である。私たちの世界には、私たち人族、体の一部が獣だったり、そのままだったような者たちが獣人、私たちより長命で魔法が得意なエルフや、筋力が飛んでもなく手先が器用なドワーフのような亜人族、そして、人間のようだったり、怪物のようだったりと様々な姿があるけど、全員揃っているのが頭の何処かに角があって、目が赤い。それが魔族。
様々な種族がこの世界で生きている中、どうして聖王様が魔王討伐の命を出したか。簡単な話、人族至上主義である聖王国は、人族では無い魔族が許せないのだ。
国民のみんなは、聖王様のその話を信じて私たちの旅を支持してくれている。確かに魔族は人とはかけ離れている姿をしている人もいるけど、悪魔と呼ばれるほどじゃ無いと私は思っていたりするけど……。
それに、魔国が人族以外の国の中で聖王国から1番近いのも理由かもしれない。
「ステラ、どうした、そんな難しい顔して」
私が今回の旅の事を考えていると、リーグが話しかけてくる。その後ろにはアルノードさんとノエルも私を見ていた。
「いえ、少し考え事をしていただけだわ」
「そうか? まあ、無理はするなよ」
「そ、そうですよ、ステラさん」
ノエルも私を心配してくれる。その姿を見てリーグは舌打ちをするけど、どうしてリーグはそんなにノエルの事が嫌いなのだろうか?
それにチラチラとリーグやアルノードさんを見るノエル。これは、チームになった時からだけど時折頰を赤く染めて見ている。これはまるで……
「ほら、あまり敵地で話しこまない。ここは魔国と接する魔の森の中です。魔物も多く先ほどの戦闘音や血の匂いで他の魔物が寄ってこないとは限りません。直ぐに離れる準備を」
アルノードさんの言葉を聞いた私たちは、直ぐにこの場から移動する準備をする。陰気な雰囲気が漂う森の中、はぁ、早く会いたいなぁ、ハルト。
◇◇◇
俺はステラが魔法で怯ませたゴブリンへと迫り、首を切り落とす……ったく、俺がいないとダメだな、ステラは。
「はっ、やっぱり俺の敵じゃねえな」
何十、何百と倒しても全く疲れねぇ。まあ、この程度で疲れていたら何もできねえが。そう考えていると
「リーグ、そう舐めた口を利くんじゃ無い」
と、頭が叩かれた。ちっ、俺が一番嫌いな奴だ。俺たちの旅の指導役で付いてきているアルノード。今は確かに俺より強いかもしれねえが、絶対に追い抜いてやる。
それにあいつも気にくわない。1番奥でゴブリンロードを倒した男。女みたいななりして気持ち悪いが、ステラの職業である聖女と並んで特殊な職業、勇者を持つ男、ノエル。俺たちの聖騎士よりも特別でこいつが現れたせいで、俺なんて霞んでしまった。
こいつのせいで、ステラの視線が向いてしまうようなら殺そうと思っていたが、どこか女っぽいこいつには、見向きもしないようだ。
時折、ノエルの方が俺やアルノードを見ている事があるし、話しかけてくるが基本は無視だ。お前なんかと話しているよりもステラと話した方が有意義たからな。
ステラは何か考え事をしているが、俺がお前の側にいるから大丈夫だ。必ず守ってやるし、勇者なんかじゃなくて、俺が魔王を殺してやる!
◇◇◇
はぁ、はぁ、ま魔物退治はまだ辛いですね」
私は目の前に横たわるゴブリンロードを眺めながら呟く。ふぅ、全くどれだけ魔物と戦えば良いのよ! 私がこの世界に転生して13年、まさかこんな職業を手に入れるなんて!?
……おっと、心の中で興奮してしまったわ。落ち着かないと。男である私が女である事をバレない為にも。
別に変な事を言っているわけじゃ無いのよ? 私はこの世界でも珍しい転生者。前の世界で死んだ私は、よくわからない男神にこの世界に連れてこられたの。
なんでも、自分の力だったものを持っている人たちを探して欲しいんだとか。そのため私の職業は表向きは勇者だけど、その力を持っている人に出会ったら変わるって言われて、今は渋々勇者をしている。
しかも何故か男として転生させられた。そのせいでこの姿に慣れるまで、変態って何度言われた事か。でも、私はそんな事では挫けないわ。ドM舐めないでよね!
時折、ゴブリンやオークたちに襲われるのを妄想してしまうけど、それよりも、イケメンに縛られたい! 出来れば探している中で私を縛ってくれる人を見つかれば良いのだけど。
まずは、この体をどうにかしないとね。男として生まれてしまったけど、見た目が可愛い女の子みたいで良かったわ。見た目だけなら女の子だから、このぞうさんをどうにかすれば……。
取り敢えず今は近くにいるイケメンたちを眺めておこう。聖女を心配する振りをしてイケメンたちへと近づく。リーグ君が私を嫌そうな顔で見てくるけど、それも少しゾクゾクとする。まあ、私の希望する基準には満たしてないけどね!
……はぁ、どこか私を縛ってくれるイケメンはいないかしら? 魔王に期待ね。
「グギャッ!」
私の攻撃により怯んだゴブリン。その隙を狙うかのように迫るリーグ。素早くゴブリンに接近して下から振り上げた剣がゴブリンの首を切り落とした。
「はっ、やっぱり俺の敵じゃねえな」
リーグがそう言って調子に乗っていると
「リーグ、そう舐めた口を利くんじゃ無い」
「痛っ!」
後ろからリーグの頭を叩くアルノードさん。あの2人は同じ聖騎士の職業を持つ師弟関係だからそこそこ仲が良い。それに
「はぁ、はぁ、ま、魔物退治は辛いですね」
「グ……ガガ……ギ……ゴ……」
ゴブリンたちの中でひときわ大きく、この群れのリーダーであるゴブリンロードを倒したしょうじ……おっと、少年。
見た目は誰もが間違えそうになるほど可愛らしい顔をしていて、黒髪を頭の後ろで1本に束ねている。身長は160いかないくらいで、誰がどう見ても女の子にしか見えない男の子。年は私と同じ13歳。
彼の名前はノエル。人族の勇者である。
リーグたちの聖騎士なんかよりももっと特殊な職業で、私の聖女のように数百年に1度しか現れないらしい。しかもその現れる時は、必ず聖女が現れた時と重なる事から、この2つの職業は、2つで1つの職業だと言われているみたい。
そして、今回はかなり運の良い事に聖王国の中で見つかったみたい。これが他の国だったら手続きなどで結構手間がかかるらしい。
国民に私たちを紹介する時に初めて顔を合わせてから1年、私たちはずっとチームを組んできた。将来有望な聖騎士のリーグに、聖女の私、勇者のノエルに指導役のアルノードさん。他にもメンバーいるのだけど、今は離れて私たちだけ。
どうして私たちがチームを組んで魔物を討伐しているかと言うと、聖王様からの命令で、魔王討伐の命が下されたから。
魔王とは、魔族の王である。私たちの世界には、私たち人族、体の一部が獣だったり、そのままだったような者たちが獣人、私たちより長命で魔法が得意なエルフや、筋力が飛んでもなく手先が器用なドワーフのような亜人族、そして、人間のようだったり、怪物のようだったりと様々な姿があるけど、全員揃っているのが頭の何処かに角があって、目が赤い。それが魔族。
様々な種族がこの世界で生きている中、どうして聖王様が魔王討伐の命を出したか。簡単な話、人族至上主義である聖王国は、人族では無い魔族が許せないのだ。
国民のみんなは、聖王様のその話を信じて私たちの旅を支持してくれている。確かに魔族は人とはかけ離れている姿をしている人もいるけど、悪魔と呼ばれるほどじゃ無いと私は思っていたりするけど……。
それに、魔国が人族以外の国の中で聖王国から1番近いのも理由かもしれない。
「ステラ、どうした、そんな難しい顔して」
私が今回の旅の事を考えていると、リーグが話しかけてくる。その後ろにはアルノードさんとノエルも私を見ていた。
「いえ、少し考え事をしていただけだわ」
「そうか? まあ、無理はするなよ」
「そ、そうですよ、ステラさん」
ノエルも私を心配してくれる。その姿を見てリーグは舌打ちをするけど、どうしてリーグはそんなにノエルの事が嫌いなのだろうか?
それにチラチラとリーグやアルノードさんを見るノエル。これは、チームになった時からだけど時折頰を赤く染めて見ている。これはまるで……
「ほら、あまり敵地で話しこまない。ここは魔国と接する魔の森の中です。魔物も多く先ほどの戦闘音や血の匂いで他の魔物が寄ってこないとは限りません。直ぐに離れる準備を」
アルノードさんの言葉を聞いた私たちは、直ぐにこの場から移動する準備をする。陰気な雰囲気が漂う森の中、はぁ、早く会いたいなぁ、ハルト。
◇◇◇
俺はステラが魔法で怯ませたゴブリンへと迫り、首を切り落とす……ったく、俺がいないとダメだな、ステラは。
「はっ、やっぱり俺の敵じゃねえな」
何十、何百と倒しても全く疲れねぇ。まあ、この程度で疲れていたら何もできねえが。そう考えていると
「リーグ、そう舐めた口を利くんじゃ無い」
と、頭が叩かれた。ちっ、俺が一番嫌いな奴だ。俺たちの旅の指導役で付いてきているアルノード。今は確かに俺より強いかもしれねえが、絶対に追い抜いてやる。
それにあいつも気にくわない。1番奥でゴブリンロードを倒した男。女みたいななりして気持ち悪いが、ステラの職業である聖女と並んで特殊な職業、勇者を持つ男、ノエル。俺たちの聖騎士よりも特別でこいつが現れたせいで、俺なんて霞んでしまった。
こいつのせいで、ステラの視線が向いてしまうようなら殺そうと思っていたが、どこか女っぽいこいつには、見向きもしないようだ。
時折、ノエルの方が俺やアルノードを見ている事があるし、話しかけてくるが基本は無視だ。お前なんかと話しているよりもステラと話した方が有意義たからな。
ステラは何か考え事をしているが、俺がお前の側にいるから大丈夫だ。必ず守ってやるし、勇者なんかじゃなくて、俺が魔王を殺してやる!
◇◇◇
はぁ、はぁ、ま魔物退治はまだ辛いですね」
私は目の前に横たわるゴブリンロードを眺めながら呟く。ふぅ、全くどれだけ魔物と戦えば良いのよ! 私がこの世界に転生して13年、まさかこんな職業を手に入れるなんて!?
……おっと、心の中で興奮してしまったわ。落ち着かないと。男である私が女である事をバレない為にも。
別に変な事を言っているわけじゃ無いのよ? 私はこの世界でも珍しい転生者。前の世界で死んだ私は、よくわからない男神にこの世界に連れてこられたの。
なんでも、自分の力だったものを持っている人たちを探して欲しいんだとか。そのため私の職業は表向きは勇者だけど、その力を持っている人に出会ったら変わるって言われて、今は渋々勇者をしている。
しかも何故か男として転生させられた。そのせいでこの姿に慣れるまで、変態って何度言われた事か。でも、私はそんな事では挫けないわ。ドM舐めないでよね!
時折、ゴブリンやオークたちに襲われるのを妄想してしまうけど、それよりも、イケメンに縛られたい! 出来れば探している中で私を縛ってくれる人を見つかれば良いのだけど。
まずは、この体をどうにかしないとね。男として生まれてしまったけど、見た目が可愛い女の子みたいで良かったわ。見た目だけなら女の子だから、このぞうさんをどうにかすれば……。
取り敢えず今は近くにいるイケメンたちを眺めておこう。聖女を心配する振りをしてイケメンたちへと近づく。リーグ君が私を嫌そうな顔で見てくるけど、それも少しゾクゾクとする。まあ、私の希望する基準には満たしてないけどね!
……はぁ、どこか私を縛ってくれるイケメンはいないかしら? 魔王に期待ね。
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コメント
ノベルバユーザー497704
ステラが一番狂ってるよね