世界に復讐を誓った少年
17.始動
「……最近死霊系の魔物が増えている?」
私は見せられた報告書の内容を尋ねると、この事を報告しに来たリシューネ領団長が頷く。
「ええ。特に多いのが南の辺境の地で見かける事が多いのです。商人が複数の村で死霊系の魔物が出入りするのを見かけています。ただ、少しおかしいのです」
「おかしい? どう言う事です?」
「商人から報告を受けた兵士がその村に向かうと、特に何の異常もなく平穏なのですよ。これが1箇所だけなら見間違いか勘違いだと笑って忘れられる話なのですが、同じ村から数度、他の村からも、大きいところでは港町であるフリンクからも同じような報告が上がっております」
「……明らかにおかしいですね。わかりました。兵士たちには申し訳ないのですが、各村に行って来てください。それからギルドの方にも調査依頼を。この死霊系の魔物が増えた原因を調べてもらいます」
「わかりました」
◇◇◇
「うーん! やっぱり魚は美味いなぁ〜! 私は肉も好きだけど、魚も好きだぞ!」
「……ああ、そうかい。僕は目の前でそんな暴食されて逆に食欲がなくなって来たところだけどな」
目の前で右手にフォーク、左手にフォークを持って二刀流で魚料理を食べていく大食い首無し騎士、リーシャ。
本当に元貴族だったのかと聞きたいくらい粗暴な食べ方で。美味しそうにたくさん食べて、とは思えず、どうしてそんなに入るんだと軽く引いてしまっている。
その上
「なんだ、マスター。食欲が無いのか? なら私が食べてやろう! 残すのはダメだからな!」
僕の料理にまで手を出しやがった。そのため、リーシャが食べ終わるまでの間、次々と料理が消えていく光景を見ているしかなかった。今更、料理を頼む気も、リーシャから貰う気も無かったし。
「ふう、食べた食べた。やはり港町は良いものだな。新鮮な魚を沢山食べることが出来る。昔、聖王国にいた時は、内陸部だったため川しかなく、それも川魚は泥臭くて食べれたものでは無かった。
商人が運んでくる海の魚は腐らないように塩漬けされたものばかりで、塩辛くて味なんて無いに等しい。その上、運送料がかかりかなりの金額で、貴族の中でも上の者しか食べる事が出来なかった。私も聖騎士団長になって初めて食べたからな」
腕を組んで昔を思い出すリーシャ。僕は適当に聞き流しながら水を飲む。ついでに周りの声に耳を傾ける。店の客から聞こえてくるのは、最近兵士が多いとか、死霊系の魔物が増えたとか、領主がギルドに依頼しているとかだ。
ふむ、ここ数ヶ月はいくつかの村を回って来たけど、死霊たちが商人に見られていたか。村人たちには話したら殺すと脅してあるから話してはいないようだけど。
まあ、そろそろ頃合いか。この数ヶ月で吸魂のネックレスにはそこそこ魂も集まったし、死霊の兵士も集まった。
今の僕の魔力量はネックレスをもらった時の100倍はあるだろう。それに、毎日のように暗黒魔術を使っているため、魔力の消費量を押さえたりと、出来るようになった。
その元となる魂や死霊は、殺しても騒ぎにならない盗賊たちを重点的に狙った。
別に慈善事業のためでは無い。盗賊は人里から離れたところにいる事が多いから、目立つ事なく死霊たちを使えるのだ。わざわざ生き残らせる必要も無いし。
村人たちの中に死霊を仕込んだのは、いつでも動かせるようにと、人質にするためだ。万が一バレて兵を送って来ても、村人を縦にすればそうやすやすと手を出してこないだろうし。
まずはこの領地を取る。兵士を増やすためには兵士を置く場所が必要だからな。そのためには、宣戦布告としてこの町を取ろうか。僕は足から町全体に暗黒魔術を流す。準備して眠らせていた死霊たちを起こすためだ。
僕の魔力に反応したリーシャもワクワクとした顔を見せてくる。ここのところ、スケルトン100体に囲ませて戦わせても、つまらんと言うだけだったから、久々の戦いが楽しみなのだろう。まあ、今回のが戦いと言えるのかはわからないけど。
僕たちが立ち上がる頃には、町の中に叫び声が木霊する。僕もゾンビたちを操るようになって知ったのだけど、こいつらって別に何も食べなくても良いんだよね。その上、体が強くなっているから、どんな事をさせても殆ど耐えられるし。
今回は、この町の下まで土を掘って待機するように指示を出していた。とは言え、簡単な命令しか聞けないゾンビたちだ。この位置まで掘れ、と言ってもわからないと思うので、クロノに頼んで僕の魔力が微弱に出る道具を作ってもらったのだ。
僕の配下となった死霊たちは、主である僕の魔力を識別できるみたいで、それを利用してこの町の4点に設置して移動させたのだ。
僕もゾンビたちの反応を確認して、指示したゾンビたちが全員目的の場所に移動したのを確認しているので大丈夫だ。
後の心配は、地面にいたゾンビたちが無事地上に出て来られるかだったけど、この声を聞く限りは成功したのだろう。
この町の兵士は200ほど。しかも、その200全員が出ているわけではない。それに対してこちらの死霊どもはゾンビ系が40体、スケルトン系が25体、レイスが20体。後とっておきが1体に、切り札のリーシャがいる。余程の敵が出て来ない限り負けないだろう。
「さてと、リーシャ。たらふく食った分十分に働いてもらうぞ」
「勿論だ、マスター。私の凄さ見せてやろう!」
多分、今回は見る機会が無いと思うが。
私は見せられた報告書の内容を尋ねると、この事を報告しに来たリシューネ領団長が頷く。
「ええ。特に多いのが南の辺境の地で見かける事が多いのです。商人が複数の村で死霊系の魔物が出入りするのを見かけています。ただ、少しおかしいのです」
「おかしい? どう言う事です?」
「商人から報告を受けた兵士がその村に向かうと、特に何の異常もなく平穏なのですよ。これが1箇所だけなら見間違いか勘違いだと笑って忘れられる話なのですが、同じ村から数度、他の村からも、大きいところでは港町であるフリンクからも同じような報告が上がっております」
「……明らかにおかしいですね。わかりました。兵士たちには申し訳ないのですが、各村に行って来てください。それからギルドの方にも調査依頼を。この死霊系の魔物が増えた原因を調べてもらいます」
「わかりました」
◇◇◇
「うーん! やっぱり魚は美味いなぁ〜! 私は肉も好きだけど、魚も好きだぞ!」
「……ああ、そうかい。僕は目の前でそんな暴食されて逆に食欲がなくなって来たところだけどな」
目の前で右手にフォーク、左手にフォークを持って二刀流で魚料理を食べていく大食い首無し騎士、リーシャ。
本当に元貴族だったのかと聞きたいくらい粗暴な食べ方で。美味しそうにたくさん食べて、とは思えず、どうしてそんなに入るんだと軽く引いてしまっている。
その上
「なんだ、マスター。食欲が無いのか? なら私が食べてやろう! 残すのはダメだからな!」
僕の料理にまで手を出しやがった。そのため、リーシャが食べ終わるまでの間、次々と料理が消えていく光景を見ているしかなかった。今更、料理を頼む気も、リーシャから貰う気も無かったし。
「ふう、食べた食べた。やはり港町は良いものだな。新鮮な魚を沢山食べることが出来る。昔、聖王国にいた時は、内陸部だったため川しかなく、それも川魚は泥臭くて食べれたものでは無かった。
商人が運んでくる海の魚は腐らないように塩漬けされたものばかりで、塩辛くて味なんて無いに等しい。その上、運送料がかかりかなりの金額で、貴族の中でも上の者しか食べる事が出来なかった。私も聖騎士団長になって初めて食べたからな」
腕を組んで昔を思い出すリーシャ。僕は適当に聞き流しながら水を飲む。ついでに周りの声に耳を傾ける。店の客から聞こえてくるのは、最近兵士が多いとか、死霊系の魔物が増えたとか、領主がギルドに依頼しているとかだ。
ふむ、ここ数ヶ月はいくつかの村を回って来たけど、死霊たちが商人に見られていたか。村人たちには話したら殺すと脅してあるから話してはいないようだけど。
まあ、そろそろ頃合いか。この数ヶ月で吸魂のネックレスにはそこそこ魂も集まったし、死霊の兵士も集まった。
今の僕の魔力量はネックレスをもらった時の100倍はあるだろう。それに、毎日のように暗黒魔術を使っているため、魔力の消費量を押さえたりと、出来るようになった。
その元となる魂や死霊は、殺しても騒ぎにならない盗賊たちを重点的に狙った。
別に慈善事業のためでは無い。盗賊は人里から離れたところにいる事が多いから、目立つ事なく死霊たちを使えるのだ。わざわざ生き残らせる必要も無いし。
村人たちの中に死霊を仕込んだのは、いつでも動かせるようにと、人質にするためだ。万が一バレて兵を送って来ても、村人を縦にすればそうやすやすと手を出してこないだろうし。
まずはこの領地を取る。兵士を増やすためには兵士を置く場所が必要だからな。そのためには、宣戦布告としてこの町を取ろうか。僕は足から町全体に暗黒魔術を流す。準備して眠らせていた死霊たちを起こすためだ。
僕の魔力に反応したリーシャもワクワクとした顔を見せてくる。ここのところ、スケルトン100体に囲ませて戦わせても、つまらんと言うだけだったから、久々の戦いが楽しみなのだろう。まあ、今回のが戦いと言えるのかはわからないけど。
僕たちが立ち上がる頃には、町の中に叫び声が木霊する。僕もゾンビたちを操るようになって知ったのだけど、こいつらって別に何も食べなくても良いんだよね。その上、体が強くなっているから、どんな事をさせても殆ど耐えられるし。
今回は、この町の下まで土を掘って待機するように指示を出していた。とは言え、簡単な命令しか聞けないゾンビたちだ。この位置まで掘れ、と言ってもわからないと思うので、クロノに頼んで僕の魔力が微弱に出る道具を作ってもらったのだ。
僕の配下となった死霊たちは、主である僕の魔力を識別できるみたいで、それを利用してこの町の4点に設置して移動させたのだ。
僕もゾンビたちの反応を確認して、指示したゾンビたちが全員目的の場所に移動したのを確認しているので大丈夫だ。
後の心配は、地面にいたゾンビたちが無事地上に出て来られるかだったけど、この声を聞く限りは成功したのだろう。
この町の兵士は200ほど。しかも、その200全員が出ているわけではない。それに対してこちらの死霊どもはゾンビ系が40体、スケルトン系が25体、レイスが20体。後とっておきが1体に、切り札のリーシャがいる。余程の敵が出て来ない限り負けないだろう。
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