異世界で彼女を探して何千里?
47.新たな魔王
ゼストが地竜を倒した頃
「最強の魔王もこの程度か。期待外れだな」
「ぐぐっ……き、貴様ぁ!!」
「おっと」
「がぁっ!?」
怒りに吼え、足の下で喚く魔王。あまりにうるさいので踏む力を更に込めて黙らせる。外ではまだ戦闘音が鳴っている。こいつを連れて行けば収まるか。
俺は這い蹲る魔王の首を掴み引きずっていく。何か喚いているが、敗者に口無しだ。扉を足で蹴り開け外に出ると、こちらを向く魔族たち。半分は俺見て歓喜の声を上げ、もう半分は俺に引きづられる魔王を見て戦意を喪失する。
「レグルス、やったのね!」
「ええ、姫。これであなたの目的が1つ達成されましたよ」
孤児だった俺を拾ってくれた姫、エルダ様。この方と出会わなかったら、俺はすぐに死んでいただろうな。エルダ様は真っ直ぐと俺が掴む魔王の元へと行く。
「父上……いえ、ヘルシャ・レオルギス。あなたには王位を退いてもらいます。あなたの圧政で苦しむ民をこれ以上増やさないためにも」
「くっ、エルダァ! 貴様、実の親に対してこのような仕打ち、許されると思っているのか!」
「なら、あなたが民に敷いた圧政は許されるとお思いですか? そのせいで何万という民が無くなりました。それを正そうとした母上すらあなたは殺しました! それなのに今更親など言わないで下さい!」
「くそっ、お前の兄であるヘルビスとダムロはどうした!? 奴らも裏切ったのか!?」
「いえ、兄上たちは父上の圧政で手に入れた蜜を喜んで吸っていたので、殺しました。持って来なさい」
エルダ様の命令で、配下の1人が2つの首を持って来た。今話に出たエルダ様の兄であるヘルビスとダムロだ。どちらも俺が殺した。
「これで私が本気なのはおわかりでしょう。父上が圧政を行い、国力が下がっているせいで、他の魔国からは狙われ、冷戦状態の人族大陸からは、1番近いこの国が狙われています。早急に立て直す必要がある以上、これ以上父上にはお任せできないので、私が女王としてまとめて行きます。さよなら、父上」
「ま、待て!」
魔王が何かを言う前に首を切る。地面に横たわる体と転がる首。玉座の間には血の匂いが立ち込めるが、エルダ様は気にした様子もなく俺に微笑んでくれた。
「ありがとうございます、レグルス。あなたがいなければ私の考えなど達成出来ませんでした」
「何を今更。それを言うなら姫がいなければ、俺は生きていません。姫のおかげで俺は生きているのですから。それよりも、これからですよ、姫。まずは牽制がてらに人族大陸へ攻めるのでしょう?」
「威嚇のようなものです。隣国のアルバルム国が手伝ってくれるといっていますので、それほど戦略に差が出るとは思っていませんが……無理はしないでくださいね?」 
そう言って俺の手を握るエルダ様。これから、魔人大陸へ攻めようとする人族たちへの牽制のために魔人大陸から1番近い国へと攻める。
そのために旗印としてこれから俺は新たな魔王となる。それがどう言う意味かはわかっている。
「もちろんですよ、エルダ様。これからはもっとエルダ様の側にいたいですから」
「……もう、レグルスの馬鹿」
そう言って抱きついてくるエルダ様。俺は彼女を抱き返す。前世前世も含めて初めて出来る大切な人。クラスの中でも所構わずイチャつくあいつらを嫉妬していた時期もあったが、あいつらもこんな気持ちだったのだろうか?
今ならお前が彼女を大切にしていた気持ちがわかるぜ、誠也。俺もこの腕の中の温もりを大切にしたいと思うからな。俺はどれだけ自分の手を汚しても必ずこの人は守る。たとえ、相手が知り合いであろうとも。
「最強の魔王もこの程度か。期待外れだな」
「ぐぐっ……き、貴様ぁ!!」
「おっと」
「がぁっ!?」
怒りに吼え、足の下で喚く魔王。あまりにうるさいので踏む力を更に込めて黙らせる。外ではまだ戦闘音が鳴っている。こいつを連れて行けば収まるか。
俺は這い蹲る魔王の首を掴み引きずっていく。何か喚いているが、敗者に口無しだ。扉を足で蹴り開け外に出ると、こちらを向く魔族たち。半分は俺見て歓喜の声を上げ、もう半分は俺に引きづられる魔王を見て戦意を喪失する。
「レグルス、やったのね!」
「ええ、姫。これであなたの目的が1つ達成されましたよ」
孤児だった俺を拾ってくれた姫、エルダ様。この方と出会わなかったら、俺はすぐに死んでいただろうな。エルダ様は真っ直ぐと俺が掴む魔王の元へと行く。
「父上……いえ、ヘルシャ・レオルギス。あなたには王位を退いてもらいます。あなたの圧政で苦しむ民をこれ以上増やさないためにも」
「くっ、エルダァ! 貴様、実の親に対してこのような仕打ち、許されると思っているのか!」
「なら、あなたが民に敷いた圧政は許されるとお思いですか? そのせいで何万という民が無くなりました。それを正そうとした母上すらあなたは殺しました! それなのに今更親など言わないで下さい!」
「くそっ、お前の兄であるヘルビスとダムロはどうした!? 奴らも裏切ったのか!?」
「いえ、兄上たちは父上の圧政で手に入れた蜜を喜んで吸っていたので、殺しました。持って来なさい」
エルダ様の命令で、配下の1人が2つの首を持って来た。今話に出たエルダ様の兄であるヘルビスとダムロだ。どちらも俺が殺した。
「これで私が本気なのはおわかりでしょう。父上が圧政を行い、国力が下がっているせいで、他の魔国からは狙われ、冷戦状態の人族大陸からは、1番近いこの国が狙われています。早急に立て直す必要がある以上、これ以上父上にはお任せできないので、私が女王としてまとめて行きます。さよなら、父上」
「ま、待て!」
魔王が何かを言う前に首を切る。地面に横たわる体と転がる首。玉座の間には血の匂いが立ち込めるが、エルダ様は気にした様子もなく俺に微笑んでくれた。
「ありがとうございます、レグルス。あなたがいなければ私の考えなど達成出来ませんでした」
「何を今更。それを言うなら姫がいなければ、俺は生きていません。姫のおかげで俺は生きているのですから。それよりも、これからですよ、姫。まずは牽制がてらに人族大陸へ攻めるのでしょう?」
「威嚇のようなものです。隣国のアルバルム国が手伝ってくれるといっていますので、それほど戦略に差が出るとは思っていませんが……無理はしないでくださいね?」 
そう言って俺の手を握るエルダ様。これから、魔人大陸へ攻めようとする人族たちへの牽制のために魔人大陸から1番近い国へと攻める。
そのために旗印としてこれから俺は新たな魔王となる。それがどう言う意味かはわかっている。
「もちろんですよ、エルダ様。これからはもっとエルダ様の側にいたいですから」
「……もう、レグルスの馬鹿」
そう言って抱きついてくるエルダ様。俺は彼女を抱き返す。前世前世も含めて初めて出来る大切な人。クラスの中でも所構わずイチャつくあいつらを嫉妬していた時期もあったが、あいつらもこんな気持ちだったのだろうか?
今ならお前が彼女を大切にしていた気持ちがわかるぜ、誠也。俺もこの腕の中の温もりを大切にしたいと思うからな。俺はどれだけ自分の手を汚しても必ずこの人は守る。たとえ、相手が知り合いであろうとも。
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