異世界で彼女を探して何千里?
45.最後の修行
「ギルアンさん。それで最後の修行というのは?」
ギルアンさんに言われた次の日、俺たちは森の中へとやって来た。来ているのは俺、フラン、フリューレ、フラム、クリアさん、ギルアンさんだ。
「うむ、最後の修行はな、この森の主を倒してもらおうと思うのじゃ」
「この森の主ですか?」
この森の主って言えば確か……
「昔に話した事があったじゃろ? 地竜じゃよ」
……地竜。空を飛ぶ翼がない代わりに、普通の竜以上に堅牢な鱗に、土の中を自由自在に動き回る竜種。確か、俺とフランが出会った頃、フランがボロボロだった元凶だよな。ランクはAランクの魔獣だったはずだ。
「その地竜を倒すのですか」
「うむ。勿論、フランたちと共にで良い。今お主が持ちうる力を全て使って倒せば、修行は終わりじゃ。クリアはわしと一緒に見学じゃ」
「わかったよ……ゼスト、負けんじゃねえぞ」
そっぽを向きながらも心配してくれるクリアさん。俺は笑みを浮かべて頷くと、ふんと言って目も合わせてくれないけど。
ここからは俺たちだけで行くらしい。先を進めば地竜の縄張りに入るとか。
俺はギルアンさんとクリアさんに見送られながら森の中を進む。腰の白銀の剣を抜き周りを警戒しながら。この白銀の剣は俺の創造魔術で創ったものではなく、とある素材を使って作ってもらったものだ。
そのとある素材というのが、俺の頭の上に乗るフラムの母親、白竜の牙を使っている。全て帝国に素材を持っていかれたのだけど、俺の前世のクラスメイトであり、シロネコヤマト商会という店を作っているチェルシュさんが、この1本だけ確保してくれたのだ。そして、俺のためにと1本の剣に鍛えてくれた。
この1年間、肌身離さず持っている俺の大切な剣である。竜の牙だけあってかなり鋭く、頑丈で魔力の通りも良く、かなり強力な武器だ。
「グルルゥ」
その剣を構えながら森の中を進んでいると、突然フランが唸りだした。気がつけば森は抜けていて、フランの視線の先だけ凸凹とした地面だけの場所に出た。明らか怪しぞ、ここ。
フリューレやフラムも感じたのか、俺の側から離れて臨戦態勢を取っていた。俺は創造魔術で創った短剣を、フランが睨む先へと投げる。すると、ズドン! と地面から姿を現わす巨体。
下顎から伸びる2本の牙。後ろ足の倍ぐらいある大きな前足。頭から尻尾までは15メートルほど。かなり高い。獲物である俺たちを見ると、大きな口を開けて吠える竜。
これが地竜か。やり甲斐がありそうじゃないか。俺は創造魔術を発動し、風精ノ蓮脚を発動する。そして、向かってくる地竜へと走り出す。
向かって来た俺に右足を振り下ろしてくるが、蓮脚の風に乗り宙に避ける。ズシンッ! と、大きく揺れる地面だが、地竜が叩いた地面から氷柱が生えた。原因はフリューレの攻撃のせいだ。
フリューレの攻撃によって右足を氷で固められた地竜は暴れるが、中々氷は割れない。その間に俺は地竜の背に乗って、白銀の剣を振り下ろす。
剣はほんの少しの抵抗を感じさせるだけで、地竜の背の鱗を貫いた。しかし、思ったよりも厚いのか地竜が痛む様子は見られない。その上、地竜は背中から棘のようなものを飛ばして来た。
俺は咄嗟に跳んで風の防壁を発動したが、数発貫通してくる。数が少なかったため剣で弾く事が出来たが、せっかく乗った背から降りてしまった。
「グルゥ!」
俺が降りた瞬間にフランが雷を放つ。雷は真っ直ぐと地竜へとぶつかったが、地竜はあまり効いた様子が無い。まさか、フランが勝てなかった理由って、地竜の厚い鱗じゃあ雷が通らなかったからか?
そんな事を考えている暇に、空を飛ぶフラムが自分の周りに光の球体を作り、地竜へと降らしていた。あれは母親の白竜がしていた技だ。威力や数はまだ子供だけど、それでもかなりの威力だ……普通の魔獣なら。
フランの時と同じく、分厚い鱗に光の球体は阻まれたのだ。まずはあの鱗をどうにかしないといけないな。
唯一通じたのはフリューレの氷柱のみ。それも攻撃ではなく、地竜の動きを封じるためのものだ。今まで通りでは勝てないって事か。
俺たちは距離を取りながらどうにかしてダメージを与える方法を考えていると、地竜が突然ダンゴムシのように丸まり始めた。そしてその場で回転し始める。
何を? と思った次の瞬間、辺り構わず飛んでくる棘。そういう事かよ!
俺は風で逸らして、フリューレは氷の防壁で防ぎ、フランは雷で撃ち落とす。フラムは棘が届かない位置から光の球体を放つ。
しばらくしてようやく回転をやめた地竜だが、こちらからの攻撃をどうにかして通さないとジリ貧だな。なんとかしなければ。
ギルアンさんに言われた次の日、俺たちは森の中へとやって来た。来ているのは俺、フラン、フリューレ、フラム、クリアさん、ギルアンさんだ。
「うむ、最後の修行はな、この森の主を倒してもらおうと思うのじゃ」
「この森の主ですか?」
この森の主って言えば確か……
「昔に話した事があったじゃろ? 地竜じゃよ」
……地竜。空を飛ぶ翼がない代わりに、普通の竜以上に堅牢な鱗に、土の中を自由自在に動き回る竜種。確か、俺とフランが出会った頃、フランがボロボロだった元凶だよな。ランクはAランクの魔獣だったはずだ。
「その地竜を倒すのですか」
「うむ。勿論、フランたちと共にで良い。今お主が持ちうる力を全て使って倒せば、修行は終わりじゃ。クリアはわしと一緒に見学じゃ」
「わかったよ……ゼスト、負けんじゃねえぞ」
そっぽを向きながらも心配してくれるクリアさん。俺は笑みを浮かべて頷くと、ふんと言って目も合わせてくれないけど。
ここからは俺たちだけで行くらしい。先を進めば地竜の縄張りに入るとか。
俺はギルアンさんとクリアさんに見送られながら森の中を進む。腰の白銀の剣を抜き周りを警戒しながら。この白銀の剣は俺の創造魔術で創ったものではなく、とある素材を使って作ってもらったものだ。
そのとある素材というのが、俺の頭の上に乗るフラムの母親、白竜の牙を使っている。全て帝国に素材を持っていかれたのだけど、俺の前世のクラスメイトであり、シロネコヤマト商会という店を作っているチェルシュさんが、この1本だけ確保してくれたのだ。そして、俺のためにと1本の剣に鍛えてくれた。
この1年間、肌身離さず持っている俺の大切な剣である。竜の牙だけあってかなり鋭く、頑丈で魔力の通りも良く、かなり強力な武器だ。
「グルルゥ」
その剣を構えながら森の中を進んでいると、突然フランが唸りだした。気がつけば森は抜けていて、フランの視線の先だけ凸凹とした地面だけの場所に出た。明らか怪しぞ、ここ。
フリューレやフラムも感じたのか、俺の側から離れて臨戦態勢を取っていた。俺は創造魔術で創った短剣を、フランが睨む先へと投げる。すると、ズドン! と地面から姿を現わす巨体。
下顎から伸びる2本の牙。後ろ足の倍ぐらいある大きな前足。頭から尻尾までは15メートルほど。かなり高い。獲物である俺たちを見ると、大きな口を開けて吠える竜。
これが地竜か。やり甲斐がありそうじゃないか。俺は創造魔術を発動し、風精ノ蓮脚を発動する。そして、向かってくる地竜へと走り出す。
向かって来た俺に右足を振り下ろしてくるが、蓮脚の風に乗り宙に避ける。ズシンッ! と、大きく揺れる地面だが、地竜が叩いた地面から氷柱が生えた。原因はフリューレの攻撃のせいだ。
フリューレの攻撃によって右足を氷で固められた地竜は暴れるが、中々氷は割れない。その間に俺は地竜の背に乗って、白銀の剣を振り下ろす。
剣はほんの少しの抵抗を感じさせるだけで、地竜の背の鱗を貫いた。しかし、思ったよりも厚いのか地竜が痛む様子は見られない。その上、地竜は背中から棘のようなものを飛ばして来た。
俺は咄嗟に跳んで風の防壁を発動したが、数発貫通してくる。数が少なかったため剣で弾く事が出来たが、せっかく乗った背から降りてしまった。
「グルゥ!」
俺が降りた瞬間にフランが雷を放つ。雷は真っ直ぐと地竜へとぶつかったが、地竜はあまり効いた様子が無い。まさか、フランが勝てなかった理由って、地竜の厚い鱗じゃあ雷が通らなかったからか?
そんな事を考えている暇に、空を飛ぶフラムが自分の周りに光の球体を作り、地竜へと降らしていた。あれは母親の白竜がしていた技だ。威力や数はまだ子供だけど、それでもかなりの威力だ……普通の魔獣なら。
フランの時と同じく、分厚い鱗に光の球体は阻まれたのだ。まずはあの鱗をどうにかしないといけないな。
唯一通じたのはフリューレの氷柱のみ。それも攻撃ではなく、地竜の動きを封じるためのものだ。今まで通りでは勝てないって事か。
俺たちは距離を取りながらどうにかしてダメージを与える方法を考えていると、地竜が突然ダンゴムシのように丸まり始めた。そしてその場で回転し始める。
何を? と思った次の瞬間、辺り構わず飛んでくる棘。そういう事かよ!
俺は風で逸らして、フリューレは氷の防壁で防ぎ、フランは雷で撃ち落とす。フラムは棘が届かない位置から光の球体を放つ。
しばらくしてようやく回転をやめた地竜だが、こちらからの攻撃をどうにかして通さないとジリ貧だな。なんとかしなければ。
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