異世界で彼女を探して何千里?
37.匂いを追って
「……これで本当に見つかるのですか?」
「ええ、私たちに任せて」
今にも泣き出しそうな顔をする 院長に優しく微笑む桜木。桜木はそのまま院長から手渡された物を俺に渡してくる。
「頼むわね」
「ああ。フラン、この匂いを嗅いで持ち主のところへ案内してくれないか?」
「ワウ!」
フランは元気のよく吠える。俺に伝わってくる感情には「任せて!」「すぐ見つける!」「フリューレより速く!」といった感情が伝わってくる。
フリューレが一瞬ぴくっとしたけど、今の状況がわかっているのか何もしなかった。後でが怖いけどその時は間に入ってあげよう。
フランは俺の手の中にある子供の服をくんくんと匂い、そのまま孤児院の門まで走って行く。門のところまで行くと振り返って俺たちを見て「ワン!」と吠える。付いて来いって事か。
「フランがわかったようなので行ってきます。クリアさん行きましょう! チェルシュさんたちはここに……」
「私も行くわ」
「えっ?」
突然何を言いだすんだこの人は。フランの後を付いて行こうとした時に桜木はそんな事を言い出した。そして、何故か胸の谷間から杖を取り出す。先端には緑色に輝く宝石が付いていた。
「私はこれでも緑魔術に適性があるの。ゴロツキ相手には遅れを取らないわ!」
うーん、相手がまだゴロツキと決まったわけではないのだが、このまま何を言っても聞いてくれそうにはないな。クリアさんの顔を見ても、お前が決めろ、見たいな目で見てくるし。仕方ない
「わかりました。でも、付いて来ていなかったら置いて行きますから」
「ええ、それで構わないわ」
そして自分が着ている服のスカートを破る桜木。いやいや、そんな豪快に。しかも、何だよそのドヤ顔は。はぁ、まあ良いや。こんな事をしている間にも子供たちは痛い目に遭っているかもしれない。直ぐに行かないと。
俺たちはフランの後を追って街の中を走り出す。時折人にぶつかりそうになるし、フランを見失いそうになるけど、何とか追いかける。まあ、フランたちとは契約でつながっているから、場所は何となくはわかるのだが。
何より驚いたのが、桜木が俺たちのスピードに付いて来ている事だ。俺はともかくクリアさんが速度をある程度落としてくれているからなのだが、それでも付いては来られないと思っていたからな。
「クワァ〜」
おいこら、フリューレ。俺の頭に乗って暇だからって欠伸をするんじゃない。そんなに暇ならフランの隣で走らせてやるからな。
俺がそう思うと、フリューレに伝わったのか抗議の尻尾が後頭部を襲う。ぺしんぺしんするなよ、全く。
こんな時に少し緊張感に欠けてしまったが、そのままフランの後を追いかける。そして辿り着いたのがとある店だった。
「……何となくは予想はしていたわ」
この店を見た桜木の一言。俺もクリアさんもついつい納得してしまった。何故なら、俺たちが辿り着いた店というのは、色々な商品を扱う、桜木がやっているシロネコヤマト商会と同じ商会だったのだから。
名前はマウス商会。看板にはネズミの絵が描かれている。桜木から話を聞くと、この店は桜木が店を建てる前からあった店らしい。何代かに渡ってこの帝都で商いをやっている老舗だとか。
ただ、残念な事にライバルであるシロネコヤマト商会が出来てからは、右肩下がりだと言う。まあ、みんなシロネコヤマト商会に行くのだろう。残念な事にネコに食われたようだ。
それだけでも、ここの商会長は恨んでいるーーーまあ、ライバル店が出来た場合の打開策を考えてなかった本人が悪いーーーのだが、更に恨んでいるって事があるらしい。
それが、この店の商会長は、何とかしようと考えたのが、桜木と結婚して1つの店に合併しようと考えたらしい。
そうすれば、桜木の店の珍しい商品が、マウス商会の昔からあるツテを使ってより多く、高く売れる今よりも稼げるだろうと、桜木に力説したと言う。
しかし桜木は自分の店を自分でやって行くから楽しいし、何よりある理由で嫌だったので、その話を一蹴したらしい。
その商会長に何も言わせないまま断ったので、その事でも恨まれているんじゃ無いかと、桜木は言う。
因みにそのある理由というのが、下卑た笑みを浮かべながら胸ばかり見て来たからだそうだ。やっぱり胸見られている事はわかるんだな。俺も気を付けないと。目に入ったら見てしまうからな。
「さっさと入ろうぜ。中にいるんだろ?」
何故かうずうずとしながらそんな事を言ってくるクリアさん。いや、まだ暴れませんよ。匂いはここからするけど、まだ確定では無いから。
「取り敢えず中へ入りましょう。店の中全員がグルでは無いでしょうからね」
クリアさんはまどろっこしいなぁ〜と言いながらも納得してくれる。さて、中へ入るか。俺、桜木、クリアさんの順で。桜木が前から後ろから狙われても対処出来るようにこの並びにした。
しかも、桜木の頭の上にはフリューレを乗せて。これで頭上からの攻撃にも対処出来るだろう。
店の中に入ると視線が集まる……あっ、ミスったな。綺麗な桜木の上に可愛いフリューレを乗せたらダメじゃ無いか。かなり目立つ。
しかも、今の桜木の格好はスカートを破っているため、すらっとした足がチラチラ見える格好だ。男たちの視線を釘付けにしている。
女性たちはみんなフリューレかフラン、そして時折何故か俺を見てくる。フリューレやフランはわかるが何故俺も?
「なっ!? 何でここに!?」
その事に首を傾げていたら、奥からそんな声が聞こえて来た。奥の方を見ると、小柄な男性が立っていた……ねずみだ。
「ええ、私たちに任せて」
今にも泣き出しそうな顔をする 院長に優しく微笑む桜木。桜木はそのまま院長から手渡された物を俺に渡してくる。
「頼むわね」
「ああ。フラン、この匂いを嗅いで持ち主のところへ案内してくれないか?」
「ワウ!」
フランは元気のよく吠える。俺に伝わってくる感情には「任せて!」「すぐ見つける!」「フリューレより速く!」といった感情が伝わってくる。
フリューレが一瞬ぴくっとしたけど、今の状況がわかっているのか何もしなかった。後でが怖いけどその時は間に入ってあげよう。
フランは俺の手の中にある子供の服をくんくんと匂い、そのまま孤児院の門まで走って行く。門のところまで行くと振り返って俺たちを見て「ワン!」と吠える。付いて来いって事か。
「フランがわかったようなので行ってきます。クリアさん行きましょう! チェルシュさんたちはここに……」
「私も行くわ」
「えっ?」
突然何を言いだすんだこの人は。フランの後を付いて行こうとした時に桜木はそんな事を言い出した。そして、何故か胸の谷間から杖を取り出す。先端には緑色に輝く宝石が付いていた。
「私はこれでも緑魔術に適性があるの。ゴロツキ相手には遅れを取らないわ!」
うーん、相手がまだゴロツキと決まったわけではないのだが、このまま何を言っても聞いてくれそうにはないな。クリアさんの顔を見ても、お前が決めろ、見たいな目で見てくるし。仕方ない
「わかりました。でも、付いて来ていなかったら置いて行きますから」
「ええ、それで構わないわ」
そして自分が着ている服のスカートを破る桜木。いやいや、そんな豪快に。しかも、何だよそのドヤ顔は。はぁ、まあ良いや。こんな事をしている間にも子供たちは痛い目に遭っているかもしれない。直ぐに行かないと。
俺たちはフランの後を追って街の中を走り出す。時折人にぶつかりそうになるし、フランを見失いそうになるけど、何とか追いかける。まあ、フランたちとは契約でつながっているから、場所は何となくはわかるのだが。
何より驚いたのが、桜木が俺たちのスピードに付いて来ている事だ。俺はともかくクリアさんが速度をある程度落としてくれているからなのだが、それでも付いては来られないと思っていたからな。
「クワァ〜」
おいこら、フリューレ。俺の頭に乗って暇だからって欠伸をするんじゃない。そんなに暇ならフランの隣で走らせてやるからな。
俺がそう思うと、フリューレに伝わったのか抗議の尻尾が後頭部を襲う。ぺしんぺしんするなよ、全く。
こんな時に少し緊張感に欠けてしまったが、そのままフランの後を追いかける。そして辿り着いたのがとある店だった。
「……何となくは予想はしていたわ」
この店を見た桜木の一言。俺もクリアさんもついつい納得してしまった。何故なら、俺たちが辿り着いた店というのは、色々な商品を扱う、桜木がやっているシロネコヤマト商会と同じ商会だったのだから。
名前はマウス商会。看板にはネズミの絵が描かれている。桜木から話を聞くと、この店は桜木が店を建てる前からあった店らしい。何代かに渡ってこの帝都で商いをやっている老舗だとか。
ただ、残念な事にライバルであるシロネコヤマト商会が出来てからは、右肩下がりだと言う。まあ、みんなシロネコヤマト商会に行くのだろう。残念な事にネコに食われたようだ。
それだけでも、ここの商会長は恨んでいるーーーまあ、ライバル店が出来た場合の打開策を考えてなかった本人が悪いーーーのだが、更に恨んでいるって事があるらしい。
それが、この店の商会長は、何とかしようと考えたのが、桜木と結婚して1つの店に合併しようと考えたらしい。
そうすれば、桜木の店の珍しい商品が、マウス商会の昔からあるツテを使ってより多く、高く売れる今よりも稼げるだろうと、桜木に力説したと言う。
しかし桜木は自分の店を自分でやって行くから楽しいし、何よりある理由で嫌だったので、その話を一蹴したらしい。
その商会長に何も言わせないまま断ったので、その事でも恨まれているんじゃ無いかと、桜木は言う。
因みにそのある理由というのが、下卑た笑みを浮かべながら胸ばかり見て来たからだそうだ。やっぱり胸見られている事はわかるんだな。俺も気を付けないと。目に入ったら見てしまうからな。
「さっさと入ろうぜ。中にいるんだろ?」
何故かうずうずとしながらそんな事を言ってくるクリアさん。いや、まだ暴れませんよ。匂いはここからするけど、まだ確定では無いから。
「取り敢えず中へ入りましょう。店の中全員がグルでは無いでしょうからね」
クリアさんはまどろっこしいなぁ〜と言いながらも納得してくれる。さて、中へ入るか。俺、桜木、クリアさんの順で。桜木が前から後ろから狙われても対処出来るようにこの並びにした。
しかも、桜木の頭の上にはフリューレを乗せて。これで頭上からの攻撃にも対処出来るだろう。
店の中に入ると視線が集まる……あっ、ミスったな。綺麗な桜木の上に可愛いフリューレを乗せたらダメじゃ無いか。かなり目立つ。
しかも、今の桜木の格好はスカートを破っているため、すらっとした足がチラチラ見える格好だ。男たちの視線を釘付けにしている。
女性たちはみんなフリューレかフラン、そして時折何故か俺を見てくる。フリューレやフランはわかるが何故俺も?
「なっ!? 何でここに!?」
その事に首を傾げていたら、奥からそんな声が聞こえて来た。奥の方を見ると、小柄な男性が立っていた……ねずみだ。
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