落とされた勇者 悪霊たちと最強になる
1話 日常の終わり
「……がぁっ……げぇっ……はぁ……はぁ……お……まえ……ら……なん……で……?」
俺は口に広がる鉄の味と腹に剣や槍、矢など様々な武器に刺された焼けるような痛みに歯を食いしばりながらも、たどたどしく尋ねた。
俺の目の前にいる彼ら……突然この世界に連れて来られて、心細かったが、みんなで力を合わせて協力しようと誓ったクラスメイトが、それぞれの武器を俺に突き刺して笑っているのだ。
「お前ばっかりずりぃんだよ。早川さんにミーリア王女に……色々な女たちに勇者ってだけでよぉ、チヤホヤされやがって!」
「そうだ! 勇者だからって、聖女や賢者とパーティーを組まないといけないなんておかしいだろ! それが俺らと同じ普通のお前がよ!」
そんな事を言ってくる寝屋川に佐山。この場にいるクラスメイトの奴らの殆どが、2人と同じように俺に妬んだ目で睨んできた。本当にそんな程度の事で俺は殺されるのか?
「しょ……うき……お……まえ……も?」
「……悪いな、真也。お前の代わりに陽奈は俺が守ってやるよ」
他の奴らと同じように下卑た笑みを浮かべる翔輝……こいつもなのか。ずっと親友だと思っていたのに。
翔輝は、手に持つ禍々しく光る球体を俺に押し付けて来た。その瞬間、頭が割れるほどの痛みが俺を襲う。同時に力が抜けていくのを感じる。
「これで勇者の力は俺の物だ。お前はただの異世界人。もう、勇者としての力は無い。ただでさえ大怪我を負っているお前が、ここから落ちたらどうなるだろうな?」
翔輝の言葉に続けるように、それぞれが俺の体に突き刺していた武器を引き抜く。俺は様々な痛みと血の流しすぎに意識が朦朧として来た。
「じゃあな、真也」
そして、翔輝に体を押されて俺は崖から落ちていく。意識が薄れていく中、最後に目の前に浮かんだのは、一緒に頑張ろうね、と微笑む陽奈の笑顔と、ありがとうございます、と照れるミーリアの顔だった。
◇◇◇
「あっ、チャイムが鳴りましたね。これで授業を終わります!」
元気にそう宣言する先生。その言葉に今日の日直当番が号令をかけて挨拶をする。ふぅ〜、やっと午前の授業が終わった。月曜日の朝は何故かしんどいな。
教卓のところでは、年が近いためか(近いと言っても先生の年齢は24歳でこのクラスは高2だから17歳で7歳差はあるのだが)、先生と話をするクラスメイトたち。その様子をぼーっと眺めていると
「真ちゃん、また、女の子ばっか眺めてる!」
と、俺ーー藤里 真也ーーの名前を呼ぶ声が聞こえてくる。声のする方を見ると、そこには弁当箱を2つ持った幼馴染が俺の親友とその幼馴染と立っていた。
3人の真ん中で弁当箱を持っている幼馴染が、ダーブラウンのボブカットで目がタレ目でくりっとしていて、身長は153センチの小柄な割には胸が大きい俺の幼馴染、早川 陽奈。
その陽奈の隣に立つのが、俺の中学からの同級生で、どうして俺みたいな普通の奴の親友になったかは知らないが、学校1のイケメンで、モデル業などもしており、2年生ながらもサッカー部のキャプテンをしている茶髪の男、天王 翔輝。
そして、翔輝の幼馴染で陽奈の友達でもあるこの高校の生徒会副会長、弓道部キャプテンで、黒髪のロングをポニーテールにしており、スレンダーな女性、実家は鳳財閥という大企業の娘である、鳳 凛。
このいつもの3人が立っていたのだ。俺はガシガシと頭を書きながら席を立つ。
「別に女の子ばっかり見てないさ。三浦先生と彼女らが仲よさそうだなぁと見ていただけだよ」
「ふぅ〜ん……まぁ、彼女じゃ無いから良いけどねっ! はいっ、今日のお弁当っ!」
何故かぷりぷりと怒りながら左手に持つ青い弁当袋を俺に渡してくる陽奈。両親が共に海外出張中で、料理もせずにコンビニの菓子パンや弁当ばかり食べる俺に、陽奈が毎日作ってくれるのだ。別に構わないと言っているのだが、自分の分を作るついでだと言って。
美味しくて有難いのだが、この渡す瞬間、周りの嫉妬に塗れた視線が鬱陶しい。これに気がついているのは凛さんだけだ。今も俺を見て苦笑いしている。
「ほら、メシ食おうぜ、陽奈ちゃん。凛も真也も座って」
翔輝の言葉に俺は陽奈から弁当箱を受け取り自分の席に座り、陽奈たちが近くから椅子を持って来ようとしたその時……突然地面が光り出した。
「 陽奈っ!」
俺は咄嗟に陽奈の手を掴むが、視界一面真っ白な光に覆われてしまった。最後に聞こえたのは弁当箱の落ちる音だけだった。
俺は口に広がる鉄の味と腹に剣や槍、矢など様々な武器に刺された焼けるような痛みに歯を食いしばりながらも、たどたどしく尋ねた。
俺の目の前にいる彼ら……突然この世界に連れて来られて、心細かったが、みんなで力を合わせて協力しようと誓ったクラスメイトが、それぞれの武器を俺に突き刺して笑っているのだ。
「お前ばっかりずりぃんだよ。早川さんにミーリア王女に……色々な女たちに勇者ってだけでよぉ、チヤホヤされやがって!」
「そうだ! 勇者だからって、聖女や賢者とパーティーを組まないといけないなんておかしいだろ! それが俺らと同じ普通のお前がよ!」
そんな事を言ってくる寝屋川に佐山。この場にいるクラスメイトの奴らの殆どが、2人と同じように俺に妬んだ目で睨んできた。本当にそんな程度の事で俺は殺されるのか?
「しょ……うき……お……まえ……も?」
「……悪いな、真也。お前の代わりに陽奈は俺が守ってやるよ」
他の奴らと同じように下卑た笑みを浮かべる翔輝……こいつもなのか。ずっと親友だと思っていたのに。
翔輝は、手に持つ禍々しく光る球体を俺に押し付けて来た。その瞬間、頭が割れるほどの痛みが俺を襲う。同時に力が抜けていくのを感じる。
「これで勇者の力は俺の物だ。お前はただの異世界人。もう、勇者としての力は無い。ただでさえ大怪我を負っているお前が、ここから落ちたらどうなるだろうな?」
翔輝の言葉に続けるように、それぞれが俺の体に突き刺していた武器を引き抜く。俺は様々な痛みと血の流しすぎに意識が朦朧として来た。
「じゃあな、真也」
そして、翔輝に体を押されて俺は崖から落ちていく。意識が薄れていく中、最後に目の前に浮かんだのは、一緒に頑張ろうね、と微笑む陽奈の笑顔と、ありがとうございます、と照れるミーリアの顔だった。
◇◇◇
「あっ、チャイムが鳴りましたね。これで授業を終わります!」
元気にそう宣言する先生。その言葉に今日の日直当番が号令をかけて挨拶をする。ふぅ〜、やっと午前の授業が終わった。月曜日の朝は何故かしんどいな。
教卓のところでは、年が近いためか(近いと言っても先生の年齢は24歳でこのクラスは高2だから17歳で7歳差はあるのだが)、先生と話をするクラスメイトたち。その様子をぼーっと眺めていると
「真ちゃん、また、女の子ばっか眺めてる!」
と、俺ーー藤里 真也ーーの名前を呼ぶ声が聞こえてくる。声のする方を見ると、そこには弁当箱を2つ持った幼馴染が俺の親友とその幼馴染と立っていた。
3人の真ん中で弁当箱を持っている幼馴染が、ダーブラウンのボブカットで目がタレ目でくりっとしていて、身長は153センチの小柄な割には胸が大きい俺の幼馴染、早川 陽奈。
その陽奈の隣に立つのが、俺の中学からの同級生で、どうして俺みたいな普通の奴の親友になったかは知らないが、学校1のイケメンで、モデル業などもしており、2年生ながらもサッカー部のキャプテンをしている茶髪の男、天王 翔輝。
そして、翔輝の幼馴染で陽奈の友達でもあるこの高校の生徒会副会長、弓道部キャプテンで、黒髪のロングをポニーテールにしており、スレンダーな女性、実家は鳳財閥という大企業の娘である、鳳 凛。
このいつもの3人が立っていたのだ。俺はガシガシと頭を書きながら席を立つ。
「別に女の子ばっかり見てないさ。三浦先生と彼女らが仲よさそうだなぁと見ていただけだよ」
「ふぅ〜ん……まぁ、彼女じゃ無いから良いけどねっ! はいっ、今日のお弁当っ!」
何故かぷりぷりと怒りながら左手に持つ青い弁当袋を俺に渡してくる陽奈。両親が共に海外出張中で、料理もせずにコンビニの菓子パンや弁当ばかり食べる俺に、陽奈が毎日作ってくれるのだ。別に構わないと言っているのだが、自分の分を作るついでだと言って。
美味しくて有難いのだが、この渡す瞬間、周りの嫉妬に塗れた視線が鬱陶しい。これに気がついているのは凛さんだけだ。今も俺を見て苦笑いしている。
「ほら、メシ食おうぜ、陽奈ちゃん。凛も真也も座って」
翔輝の言葉に俺は陽奈から弁当箱を受け取り自分の席に座り、陽奈たちが近くから椅子を持って来ようとしたその時……突然地面が光り出した。
「 陽奈っ!」
俺は咄嗟に陽奈の手を掴むが、視界一面真っ白な光に覆われてしまった。最後に聞こえたのは弁当箱の落ちる音だけだった。
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