悪役令嬢を助けるために俺は乙女ゲームの世界を生き抜く!
59.不安定な少女
「……ええっと」
俺をじーっと見てくるルーティア。俺の中にある2つの魔力って……明らかに俺が転生した事が原因だよな。今は転生前の記憶を思い出して、8歳より前の記憶と混ざっているが、それが原因で魔力が2つもあるのかもしれない。
「こら、ルーティア。殿下のお顔をそんなにじっと見ないのです」
「申し訳ありません、ジークレント殿下。つい気になってしまったもので」
「いや、それは構わない。こんな綺麗な子に見つめられるのは嬉しいからな。それよりも、君は魔力を見る事が出来るのか?」
俺の問いに困ったような表情を浮かべるルーティア。ルーティアはそのままチラッとハーデンベルツ夫人を見るが、ハーデンベルツ夫人は頷くだけだ。
「私は生まれた時から目が悪くて、そのせいで両親に捨てられた事があるのです。その時のショックのせいか、それから辺りを漂う魔力を見る事が出来るようになり、人の魔力も見る事が出来るようになったのですよ」
「魔力を見る事が出来るように……って、目が見えないのか? それから両親に捨てられたって」
俺はルーティアの話に驚いて思わずハーデンベルツ夫人を見てしまった。だが、見てから考えたがこの人がそんな事をするわけが無い。現に今はこの家にいるのだから。
「ルーティアは私が拾ったのですよ。スラム街で死にかけているところを」
詳しく聞くと、死にかけの男たちが倒れている周りに死にかけていたルーティアを拾ったらしい。多分、その時から才能があったのだろう。さっきのを見る限りかなりの実力だものな。
しかし、魔力が見える眼か。それって俺にも見られるようになる事は出来るのだろうが? 腕を組んでその事を考えていると、気がついた時には何故か目の前でルーティアが頭を地面に擦り付けるほど下げていた……えっ、どうしてこんな事になってんの!?
「……申し訳ございません。下賎な私が殿下に話しかけてしまい気分を害されたかもしれませんが、お許しを」
ルーティアはそう言うと更に頭を下げてしまった。……もしかして、俺が黙り込んで考え事をしてしまったから、怒っていると勘違いしてしまったのか?
心無しか周りの視線も冷たい。俺は直ぐに彼女の顔を上げさせるためにその場に膝をつく。
「勘違いさせて申し訳なかった。別に怒っていたわけじゃなくて、少し考え込んでしまって。俺の方こそ謝るべきだ。すまない、ルーティア」
自分なりに怒っていない事をアピールするためなるべく優しい声で声をかけるが、ルーティアはそのまま微動だにしない。それどころか体を震わせていた。……もしかして、身分の事で何か言われた事があるのかもしれない。それがトラウマになっているのかも。
このままでは埒があかないと思った俺は、彼女の両肩に手を当て無理矢理顔を上げさせる。そしてそのまま抱き寄せた。ルーティアはビクッと震えて固まってしまったが、そのまま俺は背中をさすりながら落ち着かせる。
「ごめんな、怖がらせてしまって。俺は全く怒ってないから、な?」
落ち着かせるように背中をさすりながら謝ると、次第に力が抜けていきそのまま気を失うように眠ってしまった。普通に話していると思ったが、思っていたより緊張させてしまったのだろう。
「すみません、殿下。ルーティアは目の事もあり、少し不安定なところがあるのです。これでも養子にした時に比べたらかなり良くはなったのですが、他の貴族に合わせた時に目の事と身分の事を言われた事があって」
俺の胸の中で気を失ったルーティアを申し訳なさそうに受け取るハーデンベルツ夫人。そのルーティアを罵った貴族はリグレットが殴り飛ばしたらしいが。
……なんだ。会うのを嫌そうにしてもちゃんと妹と認めているだな。思わずニヤニヤして見てしまったぞ。リグレットも俺の表情に気が付いて物凄く嫌そうな顔をしているが。
「そんな事があったなら仕方ない。俺も悪かったしな。ハーデンベルツ夫人、今日のところは帰るよ」
「わざわざお越しいただいたのに申し訳ございません。次からは訓練を始めましょう」
俺はハーデンベルツ夫人の言葉に頷く。それから、俺は2日置きぐらいにハーデンベルツ家を訪れるようになった。
はじめの方はまだ緊張していたルーティアも、回数を重ねていく程に慣れてくれたようで、普通に話せるようになった。
そして、俺が行く日は必ずいるミゾルデと、凄く嫌そうなリグレットを含めて訓練をする日々が続いた。行かない日はレイチェルさんと訓練をするなど、学園を通いながら充実した日々を過ごして1月が経った頃、学園内にとある噂が流れるようになった。
それは……セシリアがメルフィーレを虐めているというものだった。
俺をじーっと見てくるルーティア。俺の中にある2つの魔力って……明らかに俺が転生した事が原因だよな。今は転生前の記憶を思い出して、8歳より前の記憶と混ざっているが、それが原因で魔力が2つもあるのかもしれない。
「こら、ルーティア。殿下のお顔をそんなにじっと見ないのです」
「申し訳ありません、ジークレント殿下。つい気になってしまったもので」
「いや、それは構わない。こんな綺麗な子に見つめられるのは嬉しいからな。それよりも、君は魔力を見る事が出来るのか?」
俺の問いに困ったような表情を浮かべるルーティア。ルーティアはそのままチラッとハーデンベルツ夫人を見るが、ハーデンベルツ夫人は頷くだけだ。
「私は生まれた時から目が悪くて、そのせいで両親に捨てられた事があるのです。その時のショックのせいか、それから辺りを漂う魔力を見る事が出来るようになり、人の魔力も見る事が出来るようになったのですよ」
「魔力を見る事が出来るように……って、目が見えないのか? それから両親に捨てられたって」
俺はルーティアの話に驚いて思わずハーデンベルツ夫人を見てしまった。だが、見てから考えたがこの人がそんな事をするわけが無い。現に今はこの家にいるのだから。
「ルーティアは私が拾ったのですよ。スラム街で死にかけているところを」
詳しく聞くと、死にかけの男たちが倒れている周りに死にかけていたルーティアを拾ったらしい。多分、その時から才能があったのだろう。さっきのを見る限りかなりの実力だものな。
しかし、魔力が見える眼か。それって俺にも見られるようになる事は出来るのだろうが? 腕を組んでその事を考えていると、気がついた時には何故か目の前でルーティアが頭を地面に擦り付けるほど下げていた……えっ、どうしてこんな事になってんの!?
「……申し訳ございません。下賎な私が殿下に話しかけてしまい気分を害されたかもしれませんが、お許しを」
ルーティアはそう言うと更に頭を下げてしまった。……もしかして、俺が黙り込んで考え事をしてしまったから、怒っていると勘違いしてしまったのか?
心無しか周りの視線も冷たい。俺は直ぐに彼女の顔を上げさせるためにその場に膝をつく。
「勘違いさせて申し訳なかった。別に怒っていたわけじゃなくて、少し考え込んでしまって。俺の方こそ謝るべきだ。すまない、ルーティア」
自分なりに怒っていない事をアピールするためなるべく優しい声で声をかけるが、ルーティアはそのまま微動だにしない。それどころか体を震わせていた。……もしかして、身分の事で何か言われた事があるのかもしれない。それがトラウマになっているのかも。
このままでは埒があかないと思った俺は、彼女の両肩に手を当て無理矢理顔を上げさせる。そしてそのまま抱き寄せた。ルーティアはビクッと震えて固まってしまったが、そのまま俺は背中をさすりながら落ち着かせる。
「ごめんな、怖がらせてしまって。俺は全く怒ってないから、な?」
落ち着かせるように背中をさすりながら謝ると、次第に力が抜けていきそのまま気を失うように眠ってしまった。普通に話していると思ったが、思っていたより緊張させてしまったのだろう。
「すみません、殿下。ルーティアは目の事もあり、少し不安定なところがあるのです。これでも養子にした時に比べたらかなり良くはなったのですが、他の貴族に合わせた時に目の事と身分の事を言われた事があって」
俺の胸の中で気を失ったルーティアを申し訳なさそうに受け取るハーデンベルツ夫人。そのルーティアを罵った貴族はリグレットが殴り飛ばしたらしいが。
……なんだ。会うのを嫌そうにしてもちゃんと妹と認めているだな。思わずニヤニヤして見てしまったぞ。リグレットも俺の表情に気が付いて物凄く嫌そうな顔をしているが。
「そんな事があったなら仕方ない。俺も悪かったしな。ハーデンベルツ夫人、今日のところは帰るよ」
「わざわざお越しいただいたのに申し訳ございません。次からは訓練を始めましょう」
俺はハーデンベルツ夫人の言葉に頷く。それから、俺は2日置きぐらいにハーデンベルツ家を訪れるようになった。
はじめの方はまだ緊張していたルーティアも、回数を重ねていく程に慣れてくれたようで、普通に話せるようになった。
そして、俺が行く日は必ずいるミゾルデと、凄く嫌そうなリグレットを含めて訓練をする日々が続いた。行かない日はレイチェルさんと訓練をするなど、学園を通いながら充実した日々を過ごして1月が経った頃、学園内にとある噂が流れるようになった。
それは……セシリアがメルフィーレを虐めているというものだった。
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