悪役令嬢を助けるために俺は乙女ゲームの世界を生き抜く!
54.兄の実力(2)
「ガァァァッ!!」
吠えながら兄上へと迫るリークレット。一定量魔物の肉を食べると、その魔物の力を使う事が出来る魔喰魔法。強い魔物程食べる肉の量は増える魔法で、今はオーガの力を使っているリークレット。
オーガの堅牢な皮膚にリークレットの魔力が合わさりかなり強固な体となっているが、それに対して兄上は、10センチほどの雷の球をいくつも放つだけだ。
「行け、雷球」
放たれた雷の球は全てリークレットへと向かっていく。リークレットは向かってくる雷の球を全てオーガの拳で叩き落とした。結構無茶するなあいつ。
雷の球が潰れる度にバチっと雷が弾ける音がするが、リークレットにはあの雷の球が放つ電気程度は意味が無いようだ。
「ふむ、この程度は意味が無いか。なら、これはどうだ? 雷小剣」
雷の球をこれ以上放っても意味が無いと感じた兄上は、雷の球の形を変えて、雷の小剣として再び放つ。リークレットは雷の球の時と変わらずに叩き落とそうとして拳が振るうが、叩き落とす事が出来ずにリークレットの拳が切られた。
リークレットは一瞬固まるが、直ぐに動き迫る雷の小剣を避けようとするが、小剣の方が速く、次々と体が切り裂かれていく。
「なんだ、この程度で傷つくのか。やはり、雑魚だな」
その姿を見た兄上は更に雷の小剣を放つ。リークレットは避けきれずに体へと次々と刺さっていく。
「ぐぅっ……モードストーンゴレーム!」
そして、その雷の小剣に耐え切れなくなったリークレットは魔物の力をオーガからストーンゴレームへと変えて防御力を上げて防ぐ。
リークレットは更に体の岩を厚くして更に防御力を上げていく。それを削るように降り注ぐ兄上の雷の小剣。
岩を纏ったリークレットだが、次第に削られていき、そして……誰もいなかった。残ったのはリークレットを模った岩の下半身だけだった。これには流石の兄上も驚いたようで軽く目を見開いている。その一瞬の隙に、リークレットは現れた……地面から。
「おらぁっ!」
兄上の真下から飛び出して来たリークレットは、兄上の顔面を殴り飛ばした。どうやら地面の中を進んできたようだ。勢い良く吹き飛ばされる兄上。それを見たAクラスの生徒たちが悲鳴を上げるが、リークレットは御構い無しと兄上の方へと向かう。
今のリークレットの姿は、爪が長く、肌が茶色の動物のような魔物の姿から、狼のような魔物の姿へと変わった。茶色の動物の魔物の力で地面の中を進んできたようで、今は狼の魔物の姿で兄上に連撃を加えていた。
兄上は何故か迫るリークレットに対して何もせずに殴られ続け、その光景を見たAクラスの生徒たちは悲鳴をあげる。
「はぁぁっ!」
そして、魔力で強化した右腕で兄上の左頬を殴り吹き飛ばした。吹き飛ばされた兄上は何度か地面を転がり大の字で倒れる。誰もが鎮まる中、リークレットの荒い息だけが聞こえて来た。
誰もが兄上が負けてリークレットが勝ったと思った。兄上の所属するAクラス、攻略対象たち、ティール先生ですら顔を歪ませていたのだから。しかしバンッ! と、兄上の方から光が弾けた瞬間、リークレットが吹き飛ばされたのだ。
誰もが急な事に唖然としている中、兄上は何も無かったかのように立ち上がる。土などで服は汚れてはいるが、傷が一切なかった。……あれだけリークレットに殴られたというのに無傷なのか。
「少しは面白いかと思ってくらってみたが、この程度で終わりか。興醒めだな。終わらせてやる」
兄上がそう言った瞬間、リークレットの体に雷の蛇が巻きつく。リークレットは振り解こうとするが、リークレットが動く度に雷の蛇が轟き、リークレットの体に雷が走る。
「穿て、雷王方天戟」
雷で動きを封じられたリークレットに向けて、巨大な雷の方天戟が放たれた。リークレットはせめてもと、ストーンゴレームに魔物の力を変えるが、兄上の方天戟は容易くリークレットを貫いた。
方天戟がリークレットを貫いた瞬間、雷が迸り爆発する。まさに雷が落ちたような爆音を轟かせ、爆風が辺りを吹き荒れる。
爆発と共に辺りを照らす雷の光が収まるとそこには、爆発によって出来たクレーターの中に黒焦げになったリークレットの姿があった。
リークレットの体は青白く光っており、身代わりの札が発動したのが見てわかる。しかし、兄上は更に方天戟を作り放とうとしていた。
それを見た俺は背筋に悪寒が走る。身代わりの札が発動する程の一撃をもう1発放とうとしているのがわかったからだ。
当然、コレット先生が止めようとするが、コレット先生の前に雷が落ちる。あいつ!
気が付けば俺は走り出していた。オーバードライブ、オーバーソウルを限界近く発動して、会場へと向かう。
兄上は俺を見てコレット先生の時と同じように雷を放ってくるが、来るとわかっているならどうとでも出来る。
腰から抜いた黒剣で振り払い兄上の方へと向かう。向かってくる俺に兄上は苛立ちながらも、リークレットに放つ予定だった方天戟を俺へと放ってきた。
その方天戟に向けて黒剣を振り下ろす。オーバーソウルの辺りの魔力で強化する効果のせいか、俺の体と黒剣に雷が迸る。
方天戟と俺の黒剣がぶつかった瞬間、雷が弾ける。同時に俺の体が悲鳴を上げる。限界近くまでオーバードライブを発動している弊害か。
しかし、俺はそのまま方天戟を切り裂き、兄上の方へと向かう。兄上は舌打ちをしながらも、冷静に魔法を発動とする。それは、方天戟とは比べ物にならないくらい強力なものだった。だが、避けようなものなら、それはリークレットに放たれるのは目に見えている。
俺に向かって魔法を発動とする兄上と下から振り上げようとする俺。しかし、それがぶつかり合う事は無かった。
「そこまでです」
俺の目の前には白髪の美女が俺の剣を自身の持つ白銀の剣で防ぎ、兄上の前にはフレック先生がいたのだった。
吠えながら兄上へと迫るリークレット。一定量魔物の肉を食べると、その魔物の力を使う事が出来る魔喰魔法。強い魔物程食べる肉の量は増える魔法で、今はオーガの力を使っているリークレット。
オーガの堅牢な皮膚にリークレットの魔力が合わさりかなり強固な体となっているが、それに対して兄上は、10センチほどの雷の球をいくつも放つだけだ。
「行け、雷球」
放たれた雷の球は全てリークレットへと向かっていく。リークレットは向かってくる雷の球を全てオーガの拳で叩き落とした。結構無茶するなあいつ。
雷の球が潰れる度にバチっと雷が弾ける音がするが、リークレットにはあの雷の球が放つ電気程度は意味が無いようだ。
「ふむ、この程度は意味が無いか。なら、これはどうだ? 雷小剣」
雷の球をこれ以上放っても意味が無いと感じた兄上は、雷の球の形を変えて、雷の小剣として再び放つ。リークレットは雷の球の時と変わらずに叩き落とそうとして拳が振るうが、叩き落とす事が出来ずにリークレットの拳が切られた。
リークレットは一瞬固まるが、直ぐに動き迫る雷の小剣を避けようとするが、小剣の方が速く、次々と体が切り裂かれていく。
「なんだ、この程度で傷つくのか。やはり、雑魚だな」
その姿を見た兄上は更に雷の小剣を放つ。リークレットは避けきれずに体へと次々と刺さっていく。
「ぐぅっ……モードストーンゴレーム!」
そして、その雷の小剣に耐え切れなくなったリークレットは魔物の力をオーガからストーンゴレームへと変えて防御力を上げて防ぐ。
リークレットは更に体の岩を厚くして更に防御力を上げていく。それを削るように降り注ぐ兄上の雷の小剣。
岩を纏ったリークレットだが、次第に削られていき、そして……誰もいなかった。残ったのはリークレットを模った岩の下半身だけだった。これには流石の兄上も驚いたようで軽く目を見開いている。その一瞬の隙に、リークレットは現れた……地面から。
「おらぁっ!」
兄上の真下から飛び出して来たリークレットは、兄上の顔面を殴り飛ばした。どうやら地面の中を進んできたようだ。勢い良く吹き飛ばされる兄上。それを見たAクラスの生徒たちが悲鳴を上げるが、リークレットは御構い無しと兄上の方へと向かう。
今のリークレットの姿は、爪が長く、肌が茶色の動物のような魔物の姿から、狼のような魔物の姿へと変わった。茶色の動物の魔物の力で地面の中を進んできたようで、今は狼の魔物の姿で兄上に連撃を加えていた。
兄上は何故か迫るリークレットに対して何もせずに殴られ続け、その光景を見たAクラスの生徒たちは悲鳴をあげる。
「はぁぁっ!」
そして、魔力で強化した右腕で兄上の左頬を殴り吹き飛ばした。吹き飛ばされた兄上は何度か地面を転がり大の字で倒れる。誰もが鎮まる中、リークレットの荒い息だけが聞こえて来た。
誰もが兄上が負けてリークレットが勝ったと思った。兄上の所属するAクラス、攻略対象たち、ティール先生ですら顔を歪ませていたのだから。しかしバンッ! と、兄上の方から光が弾けた瞬間、リークレットが吹き飛ばされたのだ。
誰もが急な事に唖然としている中、兄上は何も無かったかのように立ち上がる。土などで服は汚れてはいるが、傷が一切なかった。……あれだけリークレットに殴られたというのに無傷なのか。
「少しは面白いかと思ってくらってみたが、この程度で終わりか。興醒めだな。終わらせてやる」
兄上がそう言った瞬間、リークレットの体に雷の蛇が巻きつく。リークレットは振り解こうとするが、リークレットが動く度に雷の蛇が轟き、リークレットの体に雷が走る。
「穿て、雷王方天戟」
雷で動きを封じられたリークレットに向けて、巨大な雷の方天戟が放たれた。リークレットはせめてもと、ストーンゴレームに魔物の力を変えるが、兄上の方天戟は容易くリークレットを貫いた。
方天戟がリークレットを貫いた瞬間、雷が迸り爆発する。まさに雷が落ちたような爆音を轟かせ、爆風が辺りを吹き荒れる。
爆発と共に辺りを照らす雷の光が収まるとそこには、爆発によって出来たクレーターの中に黒焦げになったリークレットの姿があった。
リークレットの体は青白く光っており、身代わりの札が発動したのが見てわかる。しかし、兄上は更に方天戟を作り放とうとしていた。
それを見た俺は背筋に悪寒が走る。身代わりの札が発動する程の一撃をもう1発放とうとしているのがわかったからだ。
当然、コレット先生が止めようとするが、コレット先生の前に雷が落ちる。あいつ!
気が付けば俺は走り出していた。オーバードライブ、オーバーソウルを限界近く発動して、会場へと向かう。
兄上は俺を見てコレット先生の時と同じように雷を放ってくるが、来るとわかっているならどうとでも出来る。
腰から抜いた黒剣で振り払い兄上の方へと向かう。向かってくる俺に兄上は苛立ちながらも、リークレットに放つ予定だった方天戟を俺へと放ってきた。
その方天戟に向けて黒剣を振り下ろす。オーバーソウルの辺りの魔力で強化する効果のせいか、俺の体と黒剣に雷が迸る。
方天戟と俺の黒剣がぶつかった瞬間、雷が弾ける。同時に俺の体が悲鳴を上げる。限界近くまでオーバードライブを発動している弊害か。
しかし、俺はそのまま方天戟を切り裂き、兄上の方へと向かう。兄上は舌打ちをしながらも、冷静に魔法を発動とする。それは、方天戟とは比べ物にならないくらい強力なものだった。だが、避けようなものなら、それはリークレットに放たれるのは目に見えている。
俺に向かって魔法を発動とする兄上と下から振り上げようとする俺。しかし、それがぶつかり合う事は無かった。
「そこまでです」
俺の目の前には白髪の美女が俺の剣を自身の持つ白銀の剣で防ぎ、兄上の前にはフレック先生がいたのだった。
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