悪役令嬢を助けるために俺は乙女ゲームの世界を生き抜く!
40.記憶持ち同士
「……おっと、鐘が鳴ったな。これで今日の授業は終わりだ。道草しても良いが、日が暮れるまでには帰る事な。それじゃあ、解散」
若干適当な挨拶をして教室を出ていくフレック先生。そんな感じで良いのか? と、思ってしまうが、これがフレック先生なのだろう。気にする事はないか。
各々が帰る用意をする中、俺は目的を果たそうと後ろに座るエレネに話しかけようとした瞬間
「さあ、旦那様、帰りましょう」
と、いつの間にか教室にやって来ていたクロエとエンフィが側に立っていた。お前ら来るの早すぎだろ。今授業終わったばかりだぞ? もう少しクラスで話す事とかあるだろうに。まあ、丁度良かった。俺も2人に用があったし。
「丁度良かったよ、2人とも。俺も2人に伝えないといけない事があったんだよ」
「私たちにですか? エンフィもと言うと愛の囁きではなさそうですね。それなら、いつでも囁いて欲しいですが」
そう言ってクネクネするクロエ。いやいや、教室の中で何を言っているんだよ、この子は。周りの視線が痛いぞ。それと、煩いぞエレネ。
「……伝えたかったと言うのは、今日は2人には先に帰って欲しいんだ。俺は少し用事があってね」
「用事ですか? それなら、私たちはここでお待ちを……」
「いや、どれくらいかかるかわからないんだ。だから、先に帰っていてほしい。それと、エレネ。少し話があるから来てくれ」
俺がエレネに向かってそう言った瞬間、教室の温度が一気に下がったような錯覚に陥る。そして、俺の背後には刀を抜いたクロエが立っていた。
周りはクロエの殺気に反応して構える人もいたが、俺たちから距離を取ろうとする者ばかりだった。
「……クロエ、刀をしまってくれ。周りが怖がっているじゃないか」
「……それなら、どうしてその女と話をするのですか? それに、普通の話であれば別に私たちがいても良いのでは?」
「ちょっと2人で話したい事があるんだよ。クロエ、今度時間を作るから今日は許してくれ」
「え? ちょ、わ、私巻き込まないでくれる? クロエちゃん、物凄く怖いんだけど」
俺が言っても睨みつけて来るクロエに、エレネがビビり始める。まあ、こんな冷たい目で見られたらビビるよな。俺も内心ビビってるし。
俺は立ち上がって、クロエの側まで行き抱き締める。刀の刃が剥き出しなので少し怖かったが、抱き締める事が出来た。
「本当に少し話をするだけなんだ。終わったら直ぐに帰るからさ。そうだ、今日は2人で勉強しようか。な?」
俺が抱き締めながら頭を撫でてそう言うと、少し殺気が収まった。離れると、渋々刀を仕舞い俺を見て来る。
「……わかりました。ですが、私たちは馬車の中で待ちますので、来て下さい。何時間でも待ちますのでっ!」
クロエの中で先に帰るっていう選択肢は無いようだ。エンフィは苦笑いしながら俺に頭を下げてクロエの後を追う。俺はその後ろ姿に向かって手を振る。すると
「ちょ、ちょっと! ジーク君たちの痴話喧嘩に私を巻き込まないでよ! 危うく漏らしそうだったじゃ無い!」
俺に怒鳴って来るエレネ。お前、女の子なのだからもう少し言い方があるだろうが。
「悪かったよ。でも、お前と話があるのは本当なんだ。少し良いか?」
「えっ、ほ、本当なの? わ、私まだ死にたく無いわよ?」
何をバカな事言ってるんだよ。俺は彼女について来いとだけ言って教室を出る。やって来たのは人気の無い中庭。ぽつぽつといるのはいるのだが、この程度なら話ても聞こえないだろう。
「それで、話って何? 私クロエちゃん殺されたく無いんだけど?」
「悪かったよ。クロエにはちゃんと話しておくから大丈夫だ。それよりも、俺がエレネをここに呼んだ理由はな……お前、ゲームの記憶を持っているだろ?」
俺の言葉にビクッとして、一気に警戒するエレネ。訓練の時に使う筆を握っていつでも魔法が使えるように。いきなり過ぎて警戒させてしまったか。
「落ち着いてくれ。敵意はない。少し話がしたいだけなんだ」
「……よくよく考えれば、私以外にもいてもおかしくないわよね。でも、まさかこんな近くにいたなんて」
「俺も予想外だったよ。しかも、自分から白状してくれるなんてな」
初対面でいきなりゲームやらなんやらと言われたからな。記憶持ちなら嫌でも気がつく。俺の言葉にあちゃー、と額に手を置くエレネ。
「……はぁ、バレたのなら仕方ないわね。そうよ。私は前世の記憶を持ってるわ。と言うことはあなたもよね?」
「ああ、俺もだ。それに、このゲームもした事がある。それで、俺に協力してほしい事があるんだ」
「なに? 王位簒奪とかは嫌よ。私、ゲームキャラのみんなを外から見て楽しんで……」
「セシリアを助けるのに協力してくれ」
「……いるのが楽し……はぁ?」
俺の言葉に驚くクロエ。そんな驚かなくても。
若干適当な挨拶をして教室を出ていくフレック先生。そんな感じで良いのか? と、思ってしまうが、これがフレック先生なのだろう。気にする事はないか。
各々が帰る用意をする中、俺は目的を果たそうと後ろに座るエレネに話しかけようとした瞬間
「さあ、旦那様、帰りましょう」
と、いつの間にか教室にやって来ていたクロエとエンフィが側に立っていた。お前ら来るの早すぎだろ。今授業終わったばかりだぞ? もう少しクラスで話す事とかあるだろうに。まあ、丁度良かった。俺も2人に用があったし。
「丁度良かったよ、2人とも。俺も2人に伝えないといけない事があったんだよ」
「私たちにですか? エンフィもと言うと愛の囁きではなさそうですね。それなら、いつでも囁いて欲しいですが」
そう言ってクネクネするクロエ。いやいや、教室の中で何を言っているんだよ、この子は。周りの視線が痛いぞ。それと、煩いぞエレネ。
「……伝えたかったと言うのは、今日は2人には先に帰って欲しいんだ。俺は少し用事があってね」
「用事ですか? それなら、私たちはここでお待ちを……」
「いや、どれくらいかかるかわからないんだ。だから、先に帰っていてほしい。それと、エレネ。少し話があるから来てくれ」
俺がエレネに向かってそう言った瞬間、教室の温度が一気に下がったような錯覚に陥る。そして、俺の背後には刀を抜いたクロエが立っていた。
周りはクロエの殺気に反応して構える人もいたが、俺たちから距離を取ろうとする者ばかりだった。
「……クロエ、刀をしまってくれ。周りが怖がっているじゃないか」
「……それなら、どうしてその女と話をするのですか? それに、普通の話であれば別に私たちがいても良いのでは?」
「ちょっと2人で話したい事があるんだよ。クロエ、今度時間を作るから今日は許してくれ」
「え? ちょ、わ、私巻き込まないでくれる? クロエちゃん、物凄く怖いんだけど」
俺が言っても睨みつけて来るクロエに、エレネがビビり始める。まあ、こんな冷たい目で見られたらビビるよな。俺も内心ビビってるし。
俺は立ち上がって、クロエの側まで行き抱き締める。刀の刃が剥き出しなので少し怖かったが、抱き締める事が出来た。
「本当に少し話をするだけなんだ。終わったら直ぐに帰るからさ。そうだ、今日は2人で勉強しようか。な?」
俺が抱き締めながら頭を撫でてそう言うと、少し殺気が収まった。離れると、渋々刀を仕舞い俺を見て来る。
「……わかりました。ですが、私たちは馬車の中で待ちますので、来て下さい。何時間でも待ちますのでっ!」
クロエの中で先に帰るっていう選択肢は無いようだ。エンフィは苦笑いしながら俺に頭を下げてクロエの後を追う。俺はその後ろ姿に向かって手を振る。すると
「ちょ、ちょっと! ジーク君たちの痴話喧嘩に私を巻き込まないでよ! 危うく漏らしそうだったじゃ無い!」
俺に怒鳴って来るエレネ。お前、女の子なのだからもう少し言い方があるだろうが。
「悪かったよ。でも、お前と話があるのは本当なんだ。少し良いか?」
「えっ、ほ、本当なの? わ、私まだ死にたく無いわよ?」
何をバカな事言ってるんだよ。俺は彼女について来いとだけ言って教室を出る。やって来たのは人気の無い中庭。ぽつぽつといるのはいるのだが、この程度なら話ても聞こえないだろう。
「それで、話って何? 私クロエちゃん殺されたく無いんだけど?」
「悪かったよ。クロエにはちゃんと話しておくから大丈夫だ。それよりも、俺がエレネをここに呼んだ理由はな……お前、ゲームの記憶を持っているだろ?」
俺の言葉にビクッとして、一気に警戒するエレネ。訓練の時に使う筆を握っていつでも魔法が使えるように。いきなり過ぎて警戒させてしまったか。
「落ち着いてくれ。敵意はない。少し話がしたいだけなんだ」
「……よくよく考えれば、私以外にもいてもおかしくないわよね。でも、まさかこんな近くにいたなんて」
「俺も予想外だったよ。しかも、自分から白状してくれるなんてな」
初対面でいきなりゲームやらなんやらと言われたからな。記憶持ちなら嫌でも気がつく。俺の言葉にあちゃー、と額に手を置くエレネ。
「……はぁ、バレたのなら仕方ないわね。そうよ。私は前世の記憶を持ってるわ。と言うことはあなたもよね?」
「ああ、俺もだ。それに、このゲームもした事がある。それで、俺に協力してほしい事があるんだ」
「なに? 王位簒奪とかは嫌よ。私、ゲームキャラのみんなを外から見て楽しんで……」
「セシリアを助けるのに協力してくれ」
「……いるのが楽し……はぁ?」
俺の言葉に驚くクロエ。そんな驚かなくても。
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