英雄の妹、最強を目指す!
37話 隠された真実(1)
「体調はどうだ、クリシア?」
私がいるベッドの横に椅子を持って来て座るお兄様とアスナさん。お姉様とアスナさんがお兄様を挟むように座っている。体調か……起きてから気が付いたのだけどあまり魔力が感じられなくて、体が重たい。どうしてだろう?
「体調は微妙です。どうしてか魔力が感じられなくて体が重たいんです」
「やっぱりか。それは急激な魔力の消費が原因だろう。元々持っていた魔力量を大幅に使用した反動が今体に来ているんだろう。でも、まだマシな方だな。酷かったら2週間近くは目を覚まさないで、下手すれば死んでいたのだから」
私はお兄様の言葉にゾッと背筋が寒くなった。もしかしたら死んでいたかもしれないの、私。死んでいたかもしれないという事に恐怖していたら、くすくすと笑うエアリスお姉様。どうして?
「まあ、死ぬ事なんてそうそう無いから大丈夫よ、クリシア。隣の誰かさんは何度死にかけているか」
「……やめろよ。昔の事だろ?」
お姉様の言葉にアスナさんも笑い、お兄様はそっぽを向いてしまった。へぇ、お兄様にもそんな時期があったんだ。なんだか信じられない。私が大きくなった頃は既に英雄として知られていたものね。
「……それよりもクリシアの事だ。クリシア、自分の身に何が起きたか覚えているか?」
お兄様は少し誤魔化すようにだけど、私に尋ねてくる。何があったか……確か、エリアが切られるのを見て私は物凄く後悔していたんだっけ。力が無い、親友を助ける事な出来なかった自分を。
その時声が聞こえたんだ。物凄く綺麗な声。その声に言われるがまますると、体の奥底から溢れる魔力、それに意識が飲み込まれたんだ。
それからは……あまり覚えていない。気が付いたら私は倒れていて、周りはロイさんたち囲まれていた。私たちを襲って来た冒険者たちもボロボロになっていたし。
「その感じだとあまりよく覚えてなさそうだな。俺たちもクリシアの仲間から聞いた話だから詳しくはわからないが、簡単に言うと、クリシアの中に眠る力が発動したんだ。そして、クリシアたちを襲っていた冒険者たちを倒した」
……私の中に眠る力? 全く意味がわからずに首を傾げていると
「まず、その事を話す前に私たちの事を話しておきましょうよ。クリシアちゃん。この事は内緒にしていてくださいね?」
そう言い立ち上がるアスナさん。私はぼーっと眺めているだけ。すると、突然輝き始めるアスナさん。な、何がおきているの!? 物凄く神々しい気配。私はその気配を受けただけで頭を下げてしまった。頭を下げるのが当然かのように自然と。
「アステル、少し力が強いぞ」
「あら? クリシアちゃんに少しかっこいいところを見せようと力を使っちゃいましたね」
お兄様が言うと、アスナさんから発せられる力が小さくなった。頭を上げると、あはは、と笑うアスナさん。
「改めて自己紹介をします。私の名前はアスナではありません。本当の名前はアステル。アステル・ランウォーカーです。皆さんが知る名前としては女神アステルと言った方が良いでしょうか?」
アスナさんの口から出た名前に私は驚く事しか出来なかった。
◇◇◇
「皆さま、もう既にご存知の通り、我らが神の力の一部が目覚ました」
「ああ、あれは忌々しき封印の塔の中だったな。塔の封印が解けたのか?」
「いいえ、昔の人間どもが神を復活させようとした際の入れ物があるのですよ。それに力の一部が封印されているのですが、今回はそれが使われたようです」
「それじゃあ、そいつを捕らえれば良いんだな?」
「……それが出来れば苦労しないのですよ。残念な事に目標は今ランウォーカー王国にいるのですよ。側にはあの男も」
「はっ! いつまでもビビってんじゃねえよ。俺が行ってやるよ。ついでにランウォーカー王国も潰してやる!」
「……あっ、行ってしまったわ。良いの?」
「構いません。我々は我々で準備をします。確実に手に入れるために」
私がいるベッドの横に椅子を持って来て座るお兄様とアスナさん。お姉様とアスナさんがお兄様を挟むように座っている。体調か……起きてから気が付いたのだけどあまり魔力が感じられなくて、体が重たい。どうしてだろう?
「体調は微妙です。どうしてか魔力が感じられなくて体が重たいんです」
「やっぱりか。それは急激な魔力の消費が原因だろう。元々持っていた魔力量を大幅に使用した反動が今体に来ているんだろう。でも、まだマシな方だな。酷かったら2週間近くは目を覚まさないで、下手すれば死んでいたのだから」
私はお兄様の言葉にゾッと背筋が寒くなった。もしかしたら死んでいたかもしれないの、私。死んでいたかもしれないという事に恐怖していたら、くすくすと笑うエアリスお姉様。どうして?
「まあ、死ぬ事なんてそうそう無いから大丈夫よ、クリシア。隣の誰かさんは何度死にかけているか」
「……やめろよ。昔の事だろ?」
お姉様の言葉にアスナさんも笑い、お兄様はそっぽを向いてしまった。へぇ、お兄様にもそんな時期があったんだ。なんだか信じられない。私が大きくなった頃は既に英雄として知られていたものね。
「……それよりもクリシアの事だ。クリシア、自分の身に何が起きたか覚えているか?」
お兄様は少し誤魔化すようにだけど、私に尋ねてくる。何があったか……確か、エリアが切られるのを見て私は物凄く後悔していたんだっけ。力が無い、親友を助ける事な出来なかった自分を。
その時声が聞こえたんだ。物凄く綺麗な声。その声に言われるがまますると、体の奥底から溢れる魔力、それに意識が飲み込まれたんだ。
それからは……あまり覚えていない。気が付いたら私は倒れていて、周りはロイさんたち囲まれていた。私たちを襲って来た冒険者たちもボロボロになっていたし。
「その感じだとあまりよく覚えてなさそうだな。俺たちもクリシアの仲間から聞いた話だから詳しくはわからないが、簡単に言うと、クリシアの中に眠る力が発動したんだ。そして、クリシアたちを襲っていた冒険者たちを倒した」
……私の中に眠る力? 全く意味がわからずに首を傾げていると
「まず、その事を話す前に私たちの事を話しておきましょうよ。クリシアちゃん。この事は内緒にしていてくださいね?」
そう言い立ち上がるアスナさん。私はぼーっと眺めているだけ。すると、突然輝き始めるアスナさん。な、何がおきているの!? 物凄く神々しい気配。私はその気配を受けただけで頭を下げてしまった。頭を下げるのが当然かのように自然と。
「アステル、少し力が強いぞ」
「あら? クリシアちゃんに少しかっこいいところを見せようと力を使っちゃいましたね」
お兄様が言うと、アスナさんから発せられる力が小さくなった。頭を上げると、あはは、と笑うアスナさん。
「改めて自己紹介をします。私の名前はアスナではありません。本当の名前はアステル。アステル・ランウォーカーです。皆さんが知る名前としては女神アステルと言った方が良いでしょうか?」
アスナさんの口から出た名前に私は驚く事しか出来なかった。
◇◇◇
「皆さま、もう既にご存知の通り、我らが神の力の一部が目覚ました」
「ああ、あれは忌々しき封印の塔の中だったな。塔の封印が解けたのか?」
「いいえ、昔の人間どもが神を復活させようとした際の入れ物があるのですよ。それに力の一部が封印されているのですが、今回はそれが使われたようです」
「それじゃあ、そいつを捕らえれば良いんだな?」
「……それが出来れば苦労しないのですよ。残念な事に目標は今ランウォーカー王国にいるのですよ。側にはあの男も」
「はっ! いつまでもビビってんじゃねえよ。俺が行ってやるよ。ついでにランウォーカー王国も潰してやる!」
「……あっ、行ってしまったわ。良いの?」
「構いません。我々は我々で準備をします。確実に手に入れるために」
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