英雄の妹、最強を目指す!
29話 長い1日の終わり
「それじゃあ、偶々って事か」
「はい、私たちがあの部屋で休んでいたら冒険者たちが中に入って来て、その冒険者たちがリュラハンに追われていたのです」
部屋の中には私とエリア、向かいにお兄様とロイさんにカナさんが座っている。シロナには気を失っているデルスとリリーナを見てもらっているのでこの場にはいない。
「兄貴、これは一回天辺まで行かないといけないんじゃないか?」
「そうだな。こんな事自然に起こるとは思えない。俺とアステル、クリーナの神力を使って建てた塔だ。たった10年そこらで綻びが出るとは思えない」
うーん、お兄様たちの話はわからない事が多過ぎる。この塔は女神アステル様が建てた塔のはずなのに、お兄様たちは塔の事を知っているようだし、アステル様の事呼び捨てで呼んでいるし、何より誰も到達した事の無い塔の天辺に行けるような言い方までしている。
確かにお兄様は世界を救った英雄として言われており、ロイさんも私なんかじゃ、手も足も出ないぐらい強い。それでも天辺まで行けるのかしら? っていうのが正直な感想なのだけど。
「まあ、それは他のみんなと相談してからにしよう。取り敢えず、無事で良かったよ、クリシア。クリシアに何かあったら俺もフィーリアも父上たちも悲しいからな」
そう言い微笑むお兄様。フィーリアというのは私の姉でありお兄様の妹で奥さんの1人になる。
私はお兄様の言葉に頷いて返すだけ。正直に言えば真正面でどのように話して良いかわからないのが本音。さっき見たいな事務連絡みたいなものなら良いのだけど。
だって、物心がついた頃には既に家にはいなくて、英雄と崇められている人なのよ。既に雲の上の人になっていたし、家にはそんなに帰って来ないし、年も10歳以上離れている。
お兄様は何か話したそうにするけど、私は何を話せば良いかわからないので下を向くしか出来ない。それを見ていたカナさんとエリアは同時に笑って来た。な、何よ?
「可愛いですね〜、レイ君」
「可愛いです〜、クリシア」
そして、合わせたかのようにカナさんがお兄様の頭を、クリシアが私の頭を撫でて来た。ちょっ、や、やめなさい! は、恥ずかしいじゃないの!
「やめろよ、カナ。みんなが見てるだろ?」
「え〜、良いじゃないですか。クリシアちゃんも英雄と呼ばれているお堅いレイ君じゃなくて、お兄ちゃんとしてのレイ君と接したいんだから」
そう言いお兄様の頭を撫で続けるカナさん。お兄様はぶすっとした表情をしてカナさんの耳元で何かを呟く。すると、カナさんは顔を赤くさせて手を引っ込めてしまった。なんて言ったのかしら?
「とにかく、塔の事は話して見てそれから調べてみよう。さっきは綻びが出るとは思えないと言ったが、封印もある。もしかしたら奴らが手出しをしている可能性もある」
「……邪神教だな」
「だから、ロイの方もこの島の中で何か無いか調べといてくれ。クリシア、塔に登るのは気を付けろよ。今回の事が無くても危険な場所には変わりない。一つの油断で自分だけで無く仲間も危険に晒すからな」
「わかっています。みんなと協力しながら塔を進みますから」
私の言葉に満足そうに頷くお兄様。そのまま立ち上がると、お兄様の腕にカナさんが抱きつく。そしてお兄様たちの足元が光り出し、一瞬で姿を消してしまった。
「本当に便利ですね、空間魔法は」
「そうね。はぁ〜、羨ましい」
私はお兄様たちがいた場所を見てため息を吐く。本当に羨ましいわね。兄妹の中で私が1番平凡なんじゃないかしら? お兄様たちがいたところを見てため息を吐いていると
「もうっ! 本当にクリシアは可愛いですね!」
と言いながらエリアが私の頭を胸元に抱き寄せて来た。私の顔は憎たらしいほど大きいエリアの胸にフィット。鼻も口もエリアの胸の谷間に収まって息が出来ない……。
私があまりの息苦しさでタップをしても、返ってくるのはエリアの返事では無く、エリアの胸の弾力だけだった。こ、このままだと息が……。
「ほら、エリアちゃん。そこまでにしといた方が良いぞ。クリシアちゃんの顔が真っ青だ」
「ふふっ、わかっていますよ。この後のクリシアの涙目がまた可愛いんです!」
か、確信犯か! 私を慰めてくれているのかと思ったのに! 私はそのままエリアの胸を鷲掴みして、無理矢理胸から頭を引き剥がす。その時、頭の上から「あぁん!」という声が聞こえたけど無視。
「もう、強引なんですから」
「はぁ、はぁ、うるさいわよ! 全くもう!」
胸を抱き締めていやんいやんと悶えるエリア。全身丸ごと凍らしてやろうかしら?
「何、この状況?」
「さ、さぁ?」
「あれ? お父様は?」
そこにシロナ、リリーナ、目を覚ましたデルスが部屋へとやって来た。デルスが怪訝な顔をして、リリーナが首を傾げる。シロナはお兄様を探していた。
デルスとリリーナには何でもないと言い、シロナには既に帰った事を伝える。シロナは残念そうに耳と尻尾を垂れさせるけど、ロイさんがまた近いうちにシロナに会いに来ると伝えると、耳と尻尾がピンと立って喜んでいた。
それからロイさんたちの言葉に甘えて夕食を頂き、メイさんやミクルーアさんとミイアちゃんたちに、エリアとリリーナにシロナと一緒にお風呂に入り、夜はミイアちゃんが一緒に寝たいと言うので、みんなで川の字に寝て、今日を終えた。
すっかり忘れていたけど、リリーナは当然合格。無事に私たちのチームメンバーになる事ができた。逆にこっちから誘いたいぐらいだものね。
色々と塔については考えないといけない事があると思うけど、今はこの至福の時を満喫しないと。あぁ〜、シロナ、甘い匂いがするぅ〜。
「はい、私たちがあの部屋で休んでいたら冒険者たちが中に入って来て、その冒険者たちがリュラハンに追われていたのです」
部屋の中には私とエリア、向かいにお兄様とロイさんにカナさんが座っている。シロナには気を失っているデルスとリリーナを見てもらっているのでこの場にはいない。
「兄貴、これは一回天辺まで行かないといけないんじゃないか?」
「そうだな。こんな事自然に起こるとは思えない。俺とアステル、クリーナの神力を使って建てた塔だ。たった10年そこらで綻びが出るとは思えない」
うーん、お兄様たちの話はわからない事が多過ぎる。この塔は女神アステル様が建てた塔のはずなのに、お兄様たちは塔の事を知っているようだし、アステル様の事呼び捨てで呼んでいるし、何より誰も到達した事の無い塔の天辺に行けるような言い方までしている。
確かにお兄様は世界を救った英雄として言われており、ロイさんも私なんかじゃ、手も足も出ないぐらい強い。それでも天辺まで行けるのかしら? っていうのが正直な感想なのだけど。
「まあ、それは他のみんなと相談してからにしよう。取り敢えず、無事で良かったよ、クリシア。クリシアに何かあったら俺もフィーリアも父上たちも悲しいからな」
そう言い微笑むお兄様。フィーリアというのは私の姉でありお兄様の妹で奥さんの1人になる。
私はお兄様の言葉に頷いて返すだけ。正直に言えば真正面でどのように話して良いかわからないのが本音。さっき見たいな事務連絡みたいなものなら良いのだけど。
だって、物心がついた頃には既に家にはいなくて、英雄と崇められている人なのよ。既に雲の上の人になっていたし、家にはそんなに帰って来ないし、年も10歳以上離れている。
お兄様は何か話したそうにするけど、私は何を話せば良いかわからないので下を向くしか出来ない。それを見ていたカナさんとエリアは同時に笑って来た。な、何よ?
「可愛いですね〜、レイ君」
「可愛いです〜、クリシア」
そして、合わせたかのようにカナさんがお兄様の頭を、クリシアが私の頭を撫でて来た。ちょっ、や、やめなさい! は、恥ずかしいじゃないの!
「やめろよ、カナ。みんなが見てるだろ?」
「え〜、良いじゃないですか。クリシアちゃんも英雄と呼ばれているお堅いレイ君じゃなくて、お兄ちゃんとしてのレイ君と接したいんだから」
そう言いお兄様の頭を撫で続けるカナさん。お兄様はぶすっとした表情をしてカナさんの耳元で何かを呟く。すると、カナさんは顔を赤くさせて手を引っ込めてしまった。なんて言ったのかしら?
「とにかく、塔の事は話して見てそれから調べてみよう。さっきは綻びが出るとは思えないと言ったが、封印もある。もしかしたら奴らが手出しをしている可能性もある」
「……邪神教だな」
「だから、ロイの方もこの島の中で何か無いか調べといてくれ。クリシア、塔に登るのは気を付けろよ。今回の事が無くても危険な場所には変わりない。一つの油断で自分だけで無く仲間も危険に晒すからな」
「わかっています。みんなと協力しながら塔を進みますから」
私の言葉に満足そうに頷くお兄様。そのまま立ち上がると、お兄様の腕にカナさんが抱きつく。そしてお兄様たちの足元が光り出し、一瞬で姿を消してしまった。
「本当に便利ですね、空間魔法は」
「そうね。はぁ〜、羨ましい」
私はお兄様たちがいた場所を見てため息を吐く。本当に羨ましいわね。兄妹の中で私が1番平凡なんじゃないかしら? お兄様たちがいたところを見てため息を吐いていると
「もうっ! 本当にクリシアは可愛いですね!」
と言いながらエリアが私の頭を胸元に抱き寄せて来た。私の顔は憎たらしいほど大きいエリアの胸にフィット。鼻も口もエリアの胸の谷間に収まって息が出来ない……。
私があまりの息苦しさでタップをしても、返ってくるのはエリアの返事では無く、エリアの胸の弾力だけだった。こ、このままだと息が……。
「ほら、エリアちゃん。そこまでにしといた方が良いぞ。クリシアちゃんの顔が真っ青だ」
「ふふっ、わかっていますよ。この後のクリシアの涙目がまた可愛いんです!」
か、確信犯か! 私を慰めてくれているのかと思ったのに! 私はそのままエリアの胸を鷲掴みして、無理矢理胸から頭を引き剥がす。その時、頭の上から「あぁん!」という声が聞こえたけど無視。
「もう、強引なんですから」
「はぁ、はぁ、うるさいわよ! 全くもう!」
胸を抱き締めていやんいやんと悶えるエリア。全身丸ごと凍らしてやろうかしら?
「何、この状況?」
「さ、さぁ?」
「あれ? お父様は?」
そこにシロナ、リリーナ、目を覚ましたデルスが部屋へとやって来た。デルスが怪訝な顔をして、リリーナが首を傾げる。シロナはお兄様を探していた。
デルスとリリーナには何でもないと言い、シロナには既に帰った事を伝える。シロナは残念そうに耳と尻尾を垂れさせるけど、ロイさんがまた近いうちにシロナに会いに来ると伝えると、耳と尻尾がピンと立って喜んでいた。
それからロイさんたちの言葉に甘えて夕食を頂き、メイさんやミクルーアさんとミイアちゃんたちに、エリアとリリーナにシロナと一緒にお風呂に入り、夜はミイアちゃんが一緒に寝たいと言うので、みんなで川の字に寝て、今日を終えた。
すっかり忘れていたけど、リリーナは当然合格。無事に私たちのチームメンバーになる事ができた。逆にこっちから誘いたいぐらいだものね。
色々と塔については考えないといけない事があると思うけど、今はこの至福の時を満喫しないと。あぁ〜、シロナ、甘い匂いがするぅ〜。
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