英雄の妹、最強を目指す!
28話 圧倒的
「ふぅ、何とか間に合ったな。しかし、まさかクリシアがいるとは思わなかったよ」
そう言って私たちの方を見る目の前に立つ私の兄、名前はレイヴェルト・ランウォーカー。私より12歳年上の兄になる。
銀髪の髪をして、後ろで一括り、目は紅く身長は180ほど。動きやすそうな冒険者風な格好だけど、使われている素材はどれも一級品のとんでもない価値があるもの。
そして、尋常じゃないほどお兄様から溢れ出る魔力。こ、こんなの師匠からも感じた事が無い。その魔力だけでデュラハンは近づく事すら出来ない。
「その子怪我しているな。少し見せてみろ」
お兄様は私が抱えているリリーナを見てから、近くに落ちていたリリーナの左手を持って側に寄って来る。そして、左肩の傷口に左腕の切断面を合わせて、お兄様が魔法を発動すると、瞬く間に左腕が繋がった。
……嘘でしょ。私が回復魔法を使っても腕を引っ付けるなんて事は出来ない。あっという間に傷跡も無くなって、その上、壊れた鎧まで直っていた。それを見たお兄様は満足そうに頷くと、再びデュラハンの方へと向く。
「さてと、何でこんなところにデュラハンがいるのかわからないが、さっさと倒させてもらうぞ。悪く思うなよ」
お兄様はそう言うとどこからともなく槍を取り出した。アイテムボックスね。それにあの槍は確か、雷竜槍ガラドルグだったかしら。雷竜王の牙を使用して作られたお兄様愛用の槍。
常時雷を纏っており、雷耐性が無い人が持てば感電してしまう使用者を選ぶ武器。その槍を持ってお兄様は動き……って、一瞬にしてデュラハンの前まで移動した。全く見えなかった。
そして、気が付いたらデュラハンの頭を持っていた左腕が宙を飛んでいた。本当に一瞬の出来事。いつお兄様が槍を振ったのかもわからないままデュラハンは次々と傷ついて行く。
「す、凄いですね、あの方」
「リリーナ! 目を覚ましたのね!」
お兄様を見ていたら、抱きかかえていたリリーナが目を覚ましたみたい。顔色がわかるようにヘルムを外すと、左腕が切り落とされた時の痛みのせいで汗をかいたのか、汗で顔に髪の毛が張り付いたりはしているけど、顔色はそこまで悪くは無いわね。
「はい、痛みに気を失っていたのですけど!突然暖かい光に包まれて、気が付いたら左腕も治っていて……あの方はどなたなのですか?」
「あ〜、あの人はね〜、その〜」
私が言い淀んでいると、ズドォン! と部屋の中が大きく揺れた。
音のした方を見てみるとそこには壁に吹き飛ばされているデュラハンと、光になって消えていくデュラハンの黒馬の姿があった。
お兄様は以前余裕そうな表情で、デュラハンの方へと歩いていく。私たちがみんなでも手も足が出なかったのに、お兄様は1人で軽く……。
「これで終わりだ」
そのままお兄様は手に持つ槍をデュラハンへと突き立てる。デュラハンへの胸元へと抵抗も無く突き刺さる。そして、黒馬と同じように光へと消えていった。
お兄様はそのまま辺りを見回して、端で震えている冒険者たちの方へと行き、回復魔法を使う。そしてそのまま転移させてしまった。
そしてそのままエリアのところに行く。私もリリーナを支えながら立ち上がる。リリーナも歩けるほどまで回復したみたいだし。
「大丈夫か、エリアちゃん」
「あ、は、はい、私は後衛ですから。それよりもデルスをお願いします!」
私がエリアたちの側についた時にはデルスの傷も全て治っていた。ただ、気を失ったままなのでお兄様が片手で担ぐけど。
「良し、一旦塔を出るぞ。クリシアたちも色々と話したい事はあると思うが、ここだと落ち着いて話も出来ないからな」
私たちは黙ってお兄様の言葉に頷く。リリーナも傷は治っているけど、疲労は残っているでしょうし、デルスはまだ目を覚まさないから、このまま塔を登る事は出来ないわね。
私たちが頷くと、お兄様は魔法を発動する。そのまま私たちの視界は変わっていく。
◇◇◇
「お父様ぁっ!!!」
「おおっ、シロナ、元気だったか!」
塔から転移した私たちはロイさんの屋敷に移動した。ロイさんの屋敷に転移した瞬間、お兄様に飛びつく影は当然ながらシロナ。
お兄様にガシッと抱きついて両腕両足でお兄様を抱き締めて頰にスリスリと擦り寄る。可愛い。隣に立つエリアとリリーナも父親であるお兄様に甘えるシロナを見て惚けた顔をしている。
「さあ、クリシアちゃんたちはこっちに来てください。他に怪我がないか見ますから」
そう言って私たちに微笑んでくれるとても綺麗な女性。黒髪の長髪を左側でくくって左肩から前に出している。すらっとした体型でどの男の人が見ても見惚れるほどの美しさを持つ美人な女性。お兄様の奥さんの1人で名前をカナ・ランウォーカーさん。
元々は別の世界の人だったらしいのだけど、この世界に勇者召喚されてこの世界に来たみたい。回復系が得意らしくて、ランウォーカー王国でかなり大きな病院を経営している人。
そんなカナさんに私たちは順番に診てもらう。と言っても殆どお兄様が治してくれたおかげで、改めて治療するところもないのだけど。
ただ、吹き飛ばされたりしたリリーナとデルスは入念に診てもらわないと。元々前衛で傷付きやすい2人だから、こういう時に怪我がないか診てもらわないとね。
それから、傷も治り一息ついた私たちは、塔で起きた事を初めから順番にお兄様たちに話していくのだった。まあ、巻き込まれただけなんでほとんど話せる事もないのだけど。
そう言って私たちの方を見る目の前に立つ私の兄、名前はレイヴェルト・ランウォーカー。私より12歳年上の兄になる。
銀髪の髪をして、後ろで一括り、目は紅く身長は180ほど。動きやすそうな冒険者風な格好だけど、使われている素材はどれも一級品のとんでもない価値があるもの。
そして、尋常じゃないほどお兄様から溢れ出る魔力。こ、こんなの師匠からも感じた事が無い。その魔力だけでデュラハンは近づく事すら出来ない。
「その子怪我しているな。少し見せてみろ」
お兄様は私が抱えているリリーナを見てから、近くに落ちていたリリーナの左手を持って側に寄って来る。そして、左肩の傷口に左腕の切断面を合わせて、お兄様が魔法を発動すると、瞬く間に左腕が繋がった。
……嘘でしょ。私が回復魔法を使っても腕を引っ付けるなんて事は出来ない。あっという間に傷跡も無くなって、その上、壊れた鎧まで直っていた。それを見たお兄様は満足そうに頷くと、再びデュラハンの方へと向く。
「さてと、何でこんなところにデュラハンがいるのかわからないが、さっさと倒させてもらうぞ。悪く思うなよ」
お兄様はそう言うとどこからともなく槍を取り出した。アイテムボックスね。それにあの槍は確か、雷竜槍ガラドルグだったかしら。雷竜王の牙を使用して作られたお兄様愛用の槍。
常時雷を纏っており、雷耐性が無い人が持てば感電してしまう使用者を選ぶ武器。その槍を持ってお兄様は動き……って、一瞬にしてデュラハンの前まで移動した。全く見えなかった。
そして、気が付いたらデュラハンの頭を持っていた左腕が宙を飛んでいた。本当に一瞬の出来事。いつお兄様が槍を振ったのかもわからないままデュラハンは次々と傷ついて行く。
「す、凄いですね、あの方」
「リリーナ! 目を覚ましたのね!」
お兄様を見ていたら、抱きかかえていたリリーナが目を覚ましたみたい。顔色がわかるようにヘルムを外すと、左腕が切り落とされた時の痛みのせいで汗をかいたのか、汗で顔に髪の毛が張り付いたりはしているけど、顔色はそこまで悪くは無いわね。
「はい、痛みに気を失っていたのですけど!突然暖かい光に包まれて、気が付いたら左腕も治っていて……あの方はどなたなのですか?」
「あ〜、あの人はね〜、その〜」
私が言い淀んでいると、ズドォン! と部屋の中が大きく揺れた。
音のした方を見てみるとそこには壁に吹き飛ばされているデュラハンと、光になって消えていくデュラハンの黒馬の姿があった。
お兄様は以前余裕そうな表情で、デュラハンの方へと歩いていく。私たちがみんなでも手も足が出なかったのに、お兄様は1人で軽く……。
「これで終わりだ」
そのままお兄様は手に持つ槍をデュラハンへと突き立てる。デュラハンへの胸元へと抵抗も無く突き刺さる。そして、黒馬と同じように光へと消えていった。
お兄様はそのまま辺りを見回して、端で震えている冒険者たちの方へと行き、回復魔法を使う。そしてそのまま転移させてしまった。
そしてそのままエリアのところに行く。私もリリーナを支えながら立ち上がる。リリーナも歩けるほどまで回復したみたいだし。
「大丈夫か、エリアちゃん」
「あ、は、はい、私は後衛ですから。それよりもデルスをお願いします!」
私がエリアたちの側についた時にはデルスの傷も全て治っていた。ただ、気を失ったままなのでお兄様が片手で担ぐけど。
「良し、一旦塔を出るぞ。クリシアたちも色々と話したい事はあると思うが、ここだと落ち着いて話も出来ないからな」
私たちは黙ってお兄様の言葉に頷く。リリーナも傷は治っているけど、疲労は残っているでしょうし、デルスはまだ目を覚まさないから、このまま塔を登る事は出来ないわね。
私たちが頷くと、お兄様は魔法を発動する。そのまま私たちの視界は変わっていく。
◇◇◇
「お父様ぁっ!!!」
「おおっ、シロナ、元気だったか!」
塔から転移した私たちはロイさんの屋敷に移動した。ロイさんの屋敷に転移した瞬間、お兄様に飛びつく影は当然ながらシロナ。
お兄様にガシッと抱きついて両腕両足でお兄様を抱き締めて頰にスリスリと擦り寄る。可愛い。隣に立つエリアとリリーナも父親であるお兄様に甘えるシロナを見て惚けた顔をしている。
「さあ、クリシアちゃんたちはこっちに来てください。他に怪我がないか見ますから」
そう言って私たちに微笑んでくれるとても綺麗な女性。黒髪の長髪を左側でくくって左肩から前に出している。すらっとした体型でどの男の人が見ても見惚れるほどの美しさを持つ美人な女性。お兄様の奥さんの1人で名前をカナ・ランウォーカーさん。
元々は別の世界の人だったらしいのだけど、この世界に勇者召喚されてこの世界に来たみたい。回復系が得意らしくて、ランウォーカー王国でかなり大きな病院を経営している人。
そんなカナさんに私たちは順番に診てもらう。と言っても殆どお兄様が治してくれたおかげで、改めて治療するところもないのだけど。
ただ、吹き飛ばされたりしたリリーナとデルスは入念に診てもらわないと。元々前衛で傷付きやすい2人だから、こういう時に怪我がないか診てもらわないとね。
それから、傷も治り一息ついた私たちは、塔で起きた事を初めから順番にお兄様たちに話していくのだった。まあ、巻き込まれただけなんでほとんど話せる事もないのだけど。
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