英雄の妹、最強を目指す!
26話 謎の魔物
「ふぅ、結構倒したわね」
私は周りに倒れるゴブリンたちを見て呟く。新しいメンバー、リリーナを伴って塔に入ってからもう4時間ぐらい経つ。
リリーナは盾役としては優秀過ぎて、正直予想以上だった。デルスや私たちの位置を考えて動いてくれて、敵を上手い事引きつけてくれて、以前に比べてとてもやりやすい。
あの文句を言っていた男たちに感謝をしたいくらい。普通のパーティーなら絶対に抜けさせたりなんかしない程の実力を持っているんだもの。
「とても良い子ですね」
せっせとゴブリンの死体から必要な物を剥ぎ取るリリーナを見ていると、エリアがそんな事を言って来る。私も剥ぎ取りながら頷く。
「クリシアさん、剥ぎ取り出来……って、どうしたのです? 私の顔に何か付いていますか?」
2人でリリーナを眺めていたら、せっせと剥ぎ取っていたリリーナが剥ぎ取った物を持ってやって来た。いや、ヘルムをつけているあなたの顔に何か付いているなんてわからないでしょうが。
「お疲れ、リリーナちゃん。いや〜、リリーナちゃんがいるおかげでとっても楽になったよ!」
「い、いえ、そんな。私はただ出来る事をしているだけで!」
「そんな謙遜しなくても良いわよ。リリーナのおかげでデルスの負担は軽減されたし、私たちもかなり楽になったもの」
「えへへ〜、そ、そうですか〜」
私たちが皆褒めるので、照れるリリーナ。ただ、全身鎧姿でくねくねと照れる姿を見るのは中々シュールね。鎧の中が女だってわかっているから何とも思わないけど。
「少し休憩してしますか。ずっと戦いっぱなしでしたし」
「そうね。この部屋は当分湧いてこないでしょうからここで休みましょ」
ゴブリンの剥ぎ取りを終えて、全てが魔力に還ったのを確認してから、壁際で休む。今日の収穫は上々。毎日この数はしんどい部分もあるけど、これで1日分の宿代と食費ぐらいにはなる。それも1人ずつに渡るほど。
ただ、これじゃあプラスにはならないから、他の冒険者は上を目指す。それも当然ね。宿代や食費も大切だけど、それ以外の物を買うのにも色々と必要だもの。
磨耗した武器や鎧。回復アイテムに服。それ以外にも生活必需品は色々と。特に武器や鎧は冒険者にとって命と同じ。ここに手を抜くと生死に関わるもの。
「そういえば、6階層からは何が出るんだい?」
自分の黒賢杖を手入れしていると、デルスがそんな事を尋ねてきた。ええっと、6階層から出て来るのは確か
「ゴブリンの派生が増えますね。今はソルジャーだけですが、オークやコポルトといった人型の魔物も出て来ます」
「オークか〜。俺、あいつら嫌いなんだよな〜。ただの力馬鹿だから、防ぎ方をミスすると腕が痛くて」
「あっ、それわかります! 私も何度か痛めた事があります!」
やっぱり、盾役にしかわからない事があるのでしょうね。2人の話は何となくはわかるのだけど、入る事が出来ない。
「ふふ、2人は本当に仲良く話しますね。もしかしてもしかするとあるかもしれませんね」
「あるかもって、何が?」
「決まっているじゃないですか。男と女が仲良くなったらそういう関係になる事は」
……ああ、そういう事ね。確かにそういう事はあるかもしれないわね。でも、パーティー内恋愛か。別に構わないのだけど、後々の事を考えると、ねぇ。
そのまま、2人が仲良く続いてくれれば良いのだけど、当然別れる可能性もある。そうなった時は、絶対に今の関係には戻れない。絶対にギクシャクする。
そうなってしまえば、もうこのパーティーとしてはやっていけない。必ず破綻するのが目に見えているわ。そうなった話は幾つも聞いた事があるし。
「まあ、今はそこまで悩まなくても良いと思いますよ。そういう関係になってからでも」
「そうかもしれないけど、気が付いたら終わっていたなんて事もあるのよ? その時になって後悔するくらいなら、今手を打っておいた方が良くないかしら?」
それからも、2人であーだこーだと話し合ったけど、結局決まらなかった。まあ、少し話しただけで決まるようなら、誰も悩まないわよね。
それからみんなで遅めの昼食を食べて、この後の話をしていると、ドタドタドタッと走る足音が聞こえて来た。
みんな、その音に気が付いて武器をそれぞれ構える。何が入って来るのか構えて待っていると、入って来たのは冒険者だった。
私たちとそう年齢が変わらない人たちで、男が3人、女が1人の、私たちとは逆の性別の人数。ただ、それだけなら良かったのだけど、彼らは所々怪我をしていた。
「はっ、はっ、く、くそっ! 行き止まりじゃねえか!」
「う、嘘だろ! ど、どうするんだよ!?」
「おお、俺のせいじゃないぞ! 俺のせいじゃないからな!」
「し、死にたくないよぉ、死にたくない!」
しかも、様子がおかしい。何かに怯えている様子で、何処からか逃げて来たような感じだ。訳もわからずに見ていると、そいつが現れた。
「な、何だあれ?」
逃げ込んで来た冒険者の後ろから現れたのは、漆黒の騎士だった。ただ、普通の騎士ではない。首の無い馬に跨り、また、本人も首がなく手で抱えているのだから。
「デュ、デュラハンなんて……20層以上の魔物ですよ……」
リリーナが震えた声で、現れた魔物の名前を呟く。あ、あれがデュラハンなの? なんて禍々しい魔力。前に戦ったゴブリンジェネラルなんて、目にならない程の圧力。
「ーーーーーー!!!!」
声にならない音が部屋に鳴り響く。や、やるしか無いのね。
◇◇◇
「すまねえ、兄貴。遊んでいたところを呼び出して。ラビさんもすみません」
「私は大丈夫ですよ。ギルドマスターとして無視出来ない案件ですからね」
「俺も構わないよ、ロイ。この塔は俺も無関係じゃ無いからな。それで、その謎の敵は?」
「今確認出来ているのが6階層まで降りているのを確認出来た。そこからは何処にいるかがわからない」
「わかった。それじゃあ、行って来るよ」
私は周りに倒れるゴブリンたちを見て呟く。新しいメンバー、リリーナを伴って塔に入ってからもう4時間ぐらい経つ。
リリーナは盾役としては優秀過ぎて、正直予想以上だった。デルスや私たちの位置を考えて動いてくれて、敵を上手い事引きつけてくれて、以前に比べてとてもやりやすい。
あの文句を言っていた男たちに感謝をしたいくらい。普通のパーティーなら絶対に抜けさせたりなんかしない程の実力を持っているんだもの。
「とても良い子ですね」
せっせとゴブリンの死体から必要な物を剥ぎ取るリリーナを見ていると、エリアがそんな事を言って来る。私も剥ぎ取りながら頷く。
「クリシアさん、剥ぎ取り出来……って、どうしたのです? 私の顔に何か付いていますか?」
2人でリリーナを眺めていたら、せっせと剥ぎ取っていたリリーナが剥ぎ取った物を持ってやって来た。いや、ヘルムをつけているあなたの顔に何か付いているなんてわからないでしょうが。
「お疲れ、リリーナちゃん。いや〜、リリーナちゃんがいるおかげでとっても楽になったよ!」
「い、いえ、そんな。私はただ出来る事をしているだけで!」
「そんな謙遜しなくても良いわよ。リリーナのおかげでデルスの負担は軽減されたし、私たちもかなり楽になったもの」
「えへへ〜、そ、そうですか〜」
私たちが皆褒めるので、照れるリリーナ。ただ、全身鎧姿でくねくねと照れる姿を見るのは中々シュールね。鎧の中が女だってわかっているから何とも思わないけど。
「少し休憩してしますか。ずっと戦いっぱなしでしたし」
「そうね。この部屋は当分湧いてこないでしょうからここで休みましょ」
ゴブリンの剥ぎ取りを終えて、全てが魔力に還ったのを確認してから、壁際で休む。今日の収穫は上々。毎日この数はしんどい部分もあるけど、これで1日分の宿代と食費ぐらいにはなる。それも1人ずつに渡るほど。
ただ、これじゃあプラスにはならないから、他の冒険者は上を目指す。それも当然ね。宿代や食費も大切だけど、それ以外の物を買うのにも色々と必要だもの。
磨耗した武器や鎧。回復アイテムに服。それ以外にも生活必需品は色々と。特に武器や鎧は冒険者にとって命と同じ。ここに手を抜くと生死に関わるもの。
「そういえば、6階層からは何が出るんだい?」
自分の黒賢杖を手入れしていると、デルスがそんな事を尋ねてきた。ええっと、6階層から出て来るのは確か
「ゴブリンの派生が増えますね。今はソルジャーだけですが、オークやコポルトといった人型の魔物も出て来ます」
「オークか〜。俺、あいつら嫌いなんだよな〜。ただの力馬鹿だから、防ぎ方をミスすると腕が痛くて」
「あっ、それわかります! 私も何度か痛めた事があります!」
やっぱり、盾役にしかわからない事があるのでしょうね。2人の話は何となくはわかるのだけど、入る事が出来ない。
「ふふ、2人は本当に仲良く話しますね。もしかしてもしかするとあるかもしれませんね」
「あるかもって、何が?」
「決まっているじゃないですか。男と女が仲良くなったらそういう関係になる事は」
……ああ、そういう事ね。確かにそういう事はあるかもしれないわね。でも、パーティー内恋愛か。別に構わないのだけど、後々の事を考えると、ねぇ。
そのまま、2人が仲良く続いてくれれば良いのだけど、当然別れる可能性もある。そうなった時は、絶対に今の関係には戻れない。絶対にギクシャクする。
そうなってしまえば、もうこのパーティーとしてはやっていけない。必ず破綻するのが目に見えているわ。そうなった話は幾つも聞いた事があるし。
「まあ、今はそこまで悩まなくても良いと思いますよ。そういう関係になってからでも」
「そうかもしれないけど、気が付いたら終わっていたなんて事もあるのよ? その時になって後悔するくらいなら、今手を打っておいた方が良くないかしら?」
それからも、2人であーだこーだと話し合ったけど、結局決まらなかった。まあ、少し話しただけで決まるようなら、誰も悩まないわよね。
それからみんなで遅めの昼食を食べて、この後の話をしていると、ドタドタドタッと走る足音が聞こえて来た。
みんな、その音に気が付いて武器をそれぞれ構える。何が入って来るのか構えて待っていると、入って来たのは冒険者だった。
私たちとそう年齢が変わらない人たちで、男が3人、女が1人の、私たちとは逆の性別の人数。ただ、それだけなら良かったのだけど、彼らは所々怪我をしていた。
「はっ、はっ、く、くそっ! 行き止まりじゃねえか!」
「う、嘘だろ! ど、どうするんだよ!?」
「おお、俺のせいじゃないぞ! 俺のせいじゃないからな!」
「し、死にたくないよぉ、死にたくない!」
しかも、様子がおかしい。何かに怯えている様子で、何処からか逃げて来たような感じだ。訳もわからずに見ていると、そいつが現れた。
「な、何だあれ?」
逃げ込んで来た冒険者の後ろから現れたのは、漆黒の騎士だった。ただ、普通の騎士ではない。首の無い馬に跨り、また、本人も首がなく手で抱えているのだから。
「デュ、デュラハンなんて……20層以上の魔物ですよ……」
リリーナが震えた声で、現れた魔物の名前を呟く。あ、あれがデュラハンなの? なんて禍々しい魔力。前に戦ったゴブリンジェネラルなんて、目にならない程の圧力。
「ーーーーーー!!!!」
声にならない音が部屋に鳴り響く。や、やるしか無いのね。
◇◇◇
「すまねえ、兄貴。遊んでいたところを呼び出して。ラビさんもすみません」
「私は大丈夫ですよ。ギルドマスターとして無視出来ない案件ですからね」
「俺も構わないよ、ロイ。この塔は俺も無関係じゃ無いからな。それで、その謎の敵は?」
「今確認出来ているのが6階層まで降りているのを確認出来た。そこからは何処にいるかがわからない」
「わかった。それじゃあ、行って来るよ」
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