英雄の妹、最強を目指す!
11話 最初の壁
「そっちに行ったよ!」
「わかってるわよ! せいっ!」
私は剣術スキルを持つゴブリン、ゴブリンソルジャーを迎え撃つ。1階層で出て来た、ただ剣を持っているだけのゴブリンとは、見るからに動きが違い、鋭い剣戟を放ってくる。
でも、まあ、私の知る最強の剣士に比べたら、像と蟻なのだけど。あの誰をも見惚れさせる程の動きに比べたら、ゴブリンソルジャーの剣は、物凄く遅い。
私は、突きを放ってくるゴブリンソルジャーの剣を、黒賢杖を回して、上に弾く。ゴブリンソルジャーは打ち上げられた勢いに負けて、後ろにたたらを踏む。
がら空きになったゴブリンソルジャーのお腹に向けて、黒賢杖で突き、杖を回し、お腹を抑えるように前屈みになったところで、頭に向かって振り下ろす。ただ振り下ろすのではなく、杖の先端を氷で固めて。
グシャッ、と頭が潰れる感触が手に残るけど、後ろから新たに2体のゴブリンが走ってくる。そこに
「ファイアウォール!」
火の壁が地面から噴き出てくる。エリアの火魔法だ。突然地面から噴き出た火に、ゴブリンは全身火だるまになり、地面を転がる。
追い討ちをかけるように、エリアはファイアボールを放って、ゴブリンたちの息の根を止める。
「はぁ!」
デルスも、ゴブリンソルジャーの剣を、左手に持つ盾で弾き、ゴブリンソルジャーの足を切る。痛みに膝をついたゴブリンソルジャーを蹴り飛ばし、反対から迫るゴブリンの顔を盾で殴る。
顔を押さえて蹲るゴブリンの頭を縦に切り裂き、立ち上がろうとするゴブリンソルジャーの胸へと剣を突き刺す。
「……これで終わりかな?」
「そうね。ようやくたどり着いたわね」
私たちが塔に登り始めて1週間。ようやくここまでたどり着いた。塔の5階層。6階へと繋がる階段の前にある部屋。守護者のいる部屋へと。
「聞いた話によると、5階層の守護者は、ゴブリンたちの上位種で、ゴブリンジェネラルでしたよね?」
「ええ、その他にも部下として、ゴブリンソルジャー、ゴブリンアーチャー、この部屋で初めて出てくるゴブリンマジシャンとか、様々なゴブリンが出てくるわ」
この部屋を挑むに当たって、ギルドや酒場で色々な話を聞いたわ。この5階層が、1つの壁になるそう。ゴブリンジェネラルは、Cランクの魔物。
この塔に入れる基準はDランク。今までのゴブリンたちとは違った、明らかに格上の魔物。大抵の冒険者は、この部屋で振るい落とされる。ここからが、本当の塔の攻略だと。
私たちは、負けないように塔を登りながら色々と話を聞いた。現れる魔物の数や、攻撃パターン。使われる武器など。
私は深呼吸をする。この塔に登る以前、学園にいた頃も魔物と戦う事はあったけど、Cランクの魔物を相手にするのは初めて。
今までの魔物とはまた違うのでしょう。緊張で喉が渇いて、心臓が鳴っている。守護者の部屋の扉を見ていると、左手に暖かく柔らかい感触がする。左を見ると、私を見て微笑むエリアの姿があった。
「ふふっ、大丈夫ですよクリシア。負けませんよ」
私は、なぜか自信満々にそんな事を言ってくるエリアの顔を見て、笑いそうになった。それと同時に、緊張していた体も、少し軽くなった気がする。
「……全く、どこからそんな自身が出るのよ。でも、ありがと、エリア。私もそんな気がして来たわ」
私とエリアは見つめ合って微笑む。蚊帳の外に置かれているデルスは、やれやれといった風だ。そして、そのまま守護者の部屋の扉へと向かう。扉の取っ手に手をかけ
「それじゃあ、扉を開けるよ? 準備は良いかい?」
と、尋ねてくる。私もエリアも頷く。もうガチガチの体も動く。私は黒賢杖を強く握りしめる。
デルスは、扉を開ける。中から暖かい風が噴き出てくる。デルスは盾を構えてながら、ゆっくりと中へ入っていく。後にエリア、私と続く。
私たちが入り終えた瞬間、扉は閉まり、壁についている灯篭に火が灯る。広さは縦横20メートル程の広さをした部屋だ。
私たちは、警戒しながら部屋の中を進むと、部屋の中心が輝き出す。そして、天井に向かって光が登ると、光の中から深緑色の巨大な魔物が現れた。
体には鎧を装備して、頭を守る兜も付けている。身長は2メートル程。普通のゴブリンが1メートル前後に比べたら、かなり大きい。手には、私たちの身長はどの大きさもある斧を持っている。
その斧を杖にするように地面に突き、私たちを睨んでくる。そして、現れたゴブリンジェネラルを囲うように、周りに新しい光が立ち昇る。
先頭にゴブリンが10体。その後ろにゴブリンソルジャーが5体。その後ろにゴブリンアーチャー、ゴブリンマジシャンが3体ずつ。そしてゴブリンジェネラルが立つ。
ゴブリンジェネラルを倒すには、まずあの前にいるゴブリンたちを倒さないといけないのね。ゴブリンジェネラルが斧を掲げて叫ぶ。
その瞬間、走り出すゴブリンたち。やってやるわ!
「わかってるわよ! せいっ!」
私は剣術スキルを持つゴブリン、ゴブリンソルジャーを迎え撃つ。1階層で出て来た、ただ剣を持っているだけのゴブリンとは、見るからに動きが違い、鋭い剣戟を放ってくる。
でも、まあ、私の知る最強の剣士に比べたら、像と蟻なのだけど。あの誰をも見惚れさせる程の動きに比べたら、ゴブリンソルジャーの剣は、物凄く遅い。
私は、突きを放ってくるゴブリンソルジャーの剣を、黒賢杖を回して、上に弾く。ゴブリンソルジャーは打ち上げられた勢いに負けて、後ろにたたらを踏む。
がら空きになったゴブリンソルジャーのお腹に向けて、黒賢杖で突き、杖を回し、お腹を抑えるように前屈みになったところで、頭に向かって振り下ろす。ただ振り下ろすのではなく、杖の先端を氷で固めて。
グシャッ、と頭が潰れる感触が手に残るけど、後ろから新たに2体のゴブリンが走ってくる。そこに
「ファイアウォール!」
火の壁が地面から噴き出てくる。エリアの火魔法だ。突然地面から噴き出た火に、ゴブリンは全身火だるまになり、地面を転がる。
追い討ちをかけるように、エリアはファイアボールを放って、ゴブリンたちの息の根を止める。
「はぁ!」
デルスも、ゴブリンソルジャーの剣を、左手に持つ盾で弾き、ゴブリンソルジャーの足を切る。痛みに膝をついたゴブリンソルジャーを蹴り飛ばし、反対から迫るゴブリンの顔を盾で殴る。
顔を押さえて蹲るゴブリンの頭を縦に切り裂き、立ち上がろうとするゴブリンソルジャーの胸へと剣を突き刺す。
「……これで終わりかな?」
「そうね。ようやくたどり着いたわね」
私たちが塔に登り始めて1週間。ようやくここまでたどり着いた。塔の5階層。6階へと繋がる階段の前にある部屋。守護者のいる部屋へと。
「聞いた話によると、5階層の守護者は、ゴブリンたちの上位種で、ゴブリンジェネラルでしたよね?」
「ええ、その他にも部下として、ゴブリンソルジャー、ゴブリンアーチャー、この部屋で初めて出てくるゴブリンマジシャンとか、様々なゴブリンが出てくるわ」
この部屋を挑むに当たって、ギルドや酒場で色々な話を聞いたわ。この5階層が、1つの壁になるそう。ゴブリンジェネラルは、Cランクの魔物。
この塔に入れる基準はDランク。今までのゴブリンたちとは違った、明らかに格上の魔物。大抵の冒険者は、この部屋で振るい落とされる。ここからが、本当の塔の攻略だと。
私たちは、負けないように塔を登りながら色々と話を聞いた。現れる魔物の数や、攻撃パターン。使われる武器など。
私は深呼吸をする。この塔に登る以前、学園にいた頃も魔物と戦う事はあったけど、Cランクの魔物を相手にするのは初めて。
今までの魔物とはまた違うのでしょう。緊張で喉が渇いて、心臓が鳴っている。守護者の部屋の扉を見ていると、左手に暖かく柔らかい感触がする。左を見ると、私を見て微笑むエリアの姿があった。
「ふふっ、大丈夫ですよクリシア。負けませんよ」
私は、なぜか自信満々にそんな事を言ってくるエリアの顔を見て、笑いそうになった。それと同時に、緊張していた体も、少し軽くなった気がする。
「……全く、どこからそんな自身が出るのよ。でも、ありがと、エリア。私もそんな気がして来たわ」
私とエリアは見つめ合って微笑む。蚊帳の外に置かれているデルスは、やれやれといった風だ。そして、そのまま守護者の部屋の扉へと向かう。扉の取っ手に手をかけ
「それじゃあ、扉を開けるよ? 準備は良いかい?」
と、尋ねてくる。私もエリアも頷く。もうガチガチの体も動く。私は黒賢杖を強く握りしめる。
デルスは、扉を開ける。中から暖かい風が噴き出てくる。デルスは盾を構えてながら、ゆっくりと中へ入っていく。後にエリア、私と続く。
私たちが入り終えた瞬間、扉は閉まり、壁についている灯篭に火が灯る。広さは縦横20メートル程の広さをした部屋だ。
私たちは、警戒しながら部屋の中を進むと、部屋の中心が輝き出す。そして、天井に向かって光が登ると、光の中から深緑色の巨大な魔物が現れた。
体には鎧を装備して、頭を守る兜も付けている。身長は2メートル程。普通のゴブリンが1メートル前後に比べたら、かなり大きい。手には、私たちの身長はどの大きさもある斧を持っている。
その斧を杖にするように地面に突き、私たちを睨んでくる。そして、現れたゴブリンジェネラルを囲うように、周りに新しい光が立ち昇る。
先頭にゴブリンが10体。その後ろにゴブリンソルジャーが5体。その後ろにゴブリンアーチャー、ゴブリンマジシャンが3体ずつ。そしてゴブリンジェネラルが立つ。
ゴブリンジェネラルを倒すには、まずあの前にいるゴブリンたちを倒さないといけないのね。ゴブリンジェネラルが斧を掲げて叫ぶ。
その瞬間、走り出すゴブリンたち。やってやるわ!
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