英雄の妹、最強を目指す!
10話 逃亡
「もし、神島の塔を挑む時は、気をつけるべき事がいくつかあります」
先生は、冒険者でも同じですが、と続けながら教室にいるみんなを見渡す。気をつけるべき事ね。何かしら? 魔物の奇襲とか罠の事かしら?
でま、その事は前の授業でも習ったし。うーん、わかんないや。
「中には話を聞いた事があるかも知れませんが、同業者でもある冒険者にも気をつけなければいけません。どういう事かわかりますか?」
同じ冒険者にも気をつけないといけないの? 隣に座るエリアを見るけど、エリアも首を傾げている。他のクラスメイトの何人かは気が付いている様だけど。
「当然ではありますが、冒険者の中にも良い人と悪い人がいます。命が危険になった時に助けてくれる人もいれば、色々と教えてくれる人もいます。ですが、中には、特に女性の方は気を付けなければなりませんが、性的目的で近寄ってくる人もいます。特に新人を狙って」
……先生の言葉を聞いて、顔を青ざめるクラスメイトが何人かいる。当然みんな女子。そういえばお母様から気をつける事の1つに、そんな話があったわね。
「ギルドの方も取り締まりは厳しくしている様ですが、皆さんも気を付けて下さい」
◇◇◇
「おう、嬢ちゃんたち、新人かい?」
私たちが2階へと繋がる階段の前の部屋で休憩をしていると、ニヤニヤと笑みを浮かべた男たちが、私たちの側に立っていた。
なんなのよ、こいつらは? 当然だけど、こんな人たちは知り合いでもなんでもない。
こいつらを見ていたら、昔の授業で言われた事を思い出したわ。エリアを見るとエリアも頷いている。明らかに怪しいわ。
剣士風の男と盗賊風の男が、牽制する様にデルスの側に立ち、斧を担いだ男が私たちに話しかけて来て、隣にももう1人剣士の男が、後ろには魔法師っぽいローブを来た男が立っていた。
「……何か用かしら? 私たちはこの後もう移動するのだけど?」
「おう、もし良かったら俺たちと進まねえか? 2階の穴場を教えてやるよ」
何故か斧を担いだ男がそう言うと、周りに立つ男たちが笑い出す。明らかに怪しいのだけど。デルスもバレない様にゆっくりとだけど、体に魔力を流し始める。
エリアも魔杖を手に持ち、いつでも動ける様にしている。もちろん私も黒賢杖を手に持って。
「悪いのだけど、私たちは今日初めて塔に来たから、今日は1階で終わりって決めているの。だから2階へはあなた達だけで行って。2人とも行きましょ」
私の言葉に立ち上がる2人。さっさとこの部屋から抜けてしまおうと、出口に向かおうとするけど、何故か私たちの前に立つ斧を担いだ男。
「何だよ。せっかく俺たちが誘ってやっているのに、断る事ねえだろ?」
「こっちも言ったはずよ。私たちの目的は終えたから帰るって」
私の言葉にこめかみに青筋を浮かべる男。気が付いたら他の冒険者はいなくなっていた。面倒事に巻き込まれるのは嫌だから、帰ったか、先に進んだかってところね。
私は2人に目で合図をする。エリアはわかったけど、デルスは少し考えていた。まあ、ついて来るでしょう。そして
「なっ!? ま、待ちやがれ!」
私たちは一気に駆け出した。エリアは当然、デルスも何とかついて来ていた。良かった。もし1人で取り残されたらどうしようかと思ったわ。
2人ともが部屋から出たのを確認してから、入口の床に魔法を発動する。氷魔法で床を凍らせただけだけど。
そのおかげで、後ろでは男たちのこける音と、怒声が聞こえてくる。まあ、当然無視だけど。
私たちは来た道を思い出して、初めの入り口へと向かう。時折すれ違う冒険者も無視して、邪魔する様に前に立って来るゴブリンは蹴り飛ばす。
思いっきり蹴り飛ばされたゴブリンは、顔を壁に強打して気を失ったのを見て、後ろでデルスがうわぁ、なんて言っているけど、急いでいるのだからしょうがないじゃないの。
そして、走る事30分。ゆっくりと時間をかけて辿り着いた2階層への階段から、まさか30分で辿り着くなんて。歩いてでも道さえ覚えていれば、1時間くらいかしら?
「ここまでくれば、安心ですね」
エリアは後ろを見ながらホッと胸をなで下ろす。この部屋の入り口を出れば、直ぐに塔の受付があった部屋に出る。あそこには警備員もいたので、万が一襲われても助けてくれるでしょう。
「せっかくの初迷宮が台無しだわ」
「はは、仕方ないよ。こういう事も含めて迷宮攻略なんじゃ無いかな?」
むぅ。なんかデルスに諭されたみたいでムカつく。ムカつくので、無視して迷宮を出よう。嫌な事を忘れるために、帰ったらシロナをもっふもふしましょ!
先生は、冒険者でも同じですが、と続けながら教室にいるみんなを見渡す。気をつけるべき事ね。何かしら? 魔物の奇襲とか罠の事かしら?
でま、その事は前の授業でも習ったし。うーん、わかんないや。
「中には話を聞いた事があるかも知れませんが、同業者でもある冒険者にも気をつけなければいけません。どういう事かわかりますか?」
同じ冒険者にも気をつけないといけないの? 隣に座るエリアを見るけど、エリアも首を傾げている。他のクラスメイトの何人かは気が付いている様だけど。
「当然ではありますが、冒険者の中にも良い人と悪い人がいます。命が危険になった時に助けてくれる人もいれば、色々と教えてくれる人もいます。ですが、中には、特に女性の方は気を付けなければなりませんが、性的目的で近寄ってくる人もいます。特に新人を狙って」
……先生の言葉を聞いて、顔を青ざめるクラスメイトが何人かいる。当然みんな女子。そういえばお母様から気をつける事の1つに、そんな話があったわね。
「ギルドの方も取り締まりは厳しくしている様ですが、皆さんも気を付けて下さい」
◇◇◇
「おう、嬢ちゃんたち、新人かい?」
私たちが2階へと繋がる階段の前の部屋で休憩をしていると、ニヤニヤと笑みを浮かべた男たちが、私たちの側に立っていた。
なんなのよ、こいつらは? 当然だけど、こんな人たちは知り合いでもなんでもない。
こいつらを見ていたら、昔の授業で言われた事を思い出したわ。エリアを見るとエリアも頷いている。明らかに怪しいわ。
剣士風の男と盗賊風の男が、牽制する様にデルスの側に立ち、斧を担いだ男が私たちに話しかけて来て、隣にももう1人剣士の男が、後ろには魔法師っぽいローブを来た男が立っていた。
「……何か用かしら? 私たちはこの後もう移動するのだけど?」
「おう、もし良かったら俺たちと進まねえか? 2階の穴場を教えてやるよ」
何故か斧を担いだ男がそう言うと、周りに立つ男たちが笑い出す。明らかに怪しいのだけど。デルスもバレない様にゆっくりとだけど、体に魔力を流し始める。
エリアも魔杖を手に持ち、いつでも動ける様にしている。もちろん私も黒賢杖を手に持って。
「悪いのだけど、私たちは今日初めて塔に来たから、今日は1階で終わりって決めているの。だから2階へはあなた達だけで行って。2人とも行きましょ」
私の言葉に立ち上がる2人。さっさとこの部屋から抜けてしまおうと、出口に向かおうとするけど、何故か私たちの前に立つ斧を担いだ男。
「何だよ。せっかく俺たちが誘ってやっているのに、断る事ねえだろ?」
「こっちも言ったはずよ。私たちの目的は終えたから帰るって」
私の言葉にこめかみに青筋を浮かべる男。気が付いたら他の冒険者はいなくなっていた。面倒事に巻き込まれるのは嫌だから、帰ったか、先に進んだかってところね。
私は2人に目で合図をする。エリアはわかったけど、デルスは少し考えていた。まあ、ついて来るでしょう。そして
「なっ!? ま、待ちやがれ!」
私たちは一気に駆け出した。エリアは当然、デルスも何とかついて来ていた。良かった。もし1人で取り残されたらどうしようかと思ったわ。
2人ともが部屋から出たのを確認してから、入口の床に魔法を発動する。氷魔法で床を凍らせただけだけど。
そのおかげで、後ろでは男たちのこける音と、怒声が聞こえてくる。まあ、当然無視だけど。
私たちは来た道を思い出して、初めの入り口へと向かう。時折すれ違う冒険者も無視して、邪魔する様に前に立って来るゴブリンは蹴り飛ばす。
思いっきり蹴り飛ばされたゴブリンは、顔を壁に強打して気を失ったのを見て、後ろでデルスがうわぁ、なんて言っているけど、急いでいるのだからしょうがないじゃないの。
そして、走る事30分。ゆっくりと時間をかけて辿り着いた2階層への階段から、まさか30分で辿り着くなんて。歩いてでも道さえ覚えていれば、1時間くらいかしら?
「ここまでくれば、安心ですね」
エリアは後ろを見ながらホッと胸をなで下ろす。この部屋の入り口を出れば、直ぐに塔の受付があった部屋に出る。あそこには警備員もいたので、万が一襲われても助けてくれるでしょう。
「せっかくの初迷宮が台無しだわ」
「はは、仕方ないよ。こういう事も含めて迷宮攻略なんじゃ無いかな?」
むぅ。なんかデルスに諭されたみたいでムカつく。ムカつくので、無視して迷宮を出よう。嫌な事を忘れるために、帰ったらシロナをもっふもふしましょ!
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