黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
161話 魔山での戦闘
「陣形を崩すな! 3人1組で対処するんだ!」
大声で叫ぶグリムド。グリムドの言葉通り3人で1組になった兵士たちは、迫る魔獣、ゴブリンたちを次々と倒していく。
兵士の数は20人。12人はグリムドの言葉通り3人1組になり、6人はそれぞれ食料などを持っているため、その兵士たちの内側にいる。残り2人の内1人、弓の達人であるグレイブは、その食料担当の周りで矢を放つ。
俺も食料担当に混じって見学。ロナも一緒で、案内役の金色の光のメンバーも同じように見学をしている。ゴブリン程度なら兵士たちで十分だからだ。
ケストリア子爵領を出発してから3日が経った。まだ、魔山には深く入っていないが、それでも、魔獣が次々と出て来る。
目の前のゴブリンやウルフ。それからオークなんかも。どれもそれほど強くは無いため、全部蹴散らしているのだが、魔山らしく数が多い。
そんな魔山の中で、俺たちが目指しているのは、魔山の中腹にある洞窟に住むと言われているロックドラゴン。地竜の事だ。
名前の通り、空を飛ぶための翼は退化してしまって、空を飛ぶ事は出来ないが、容易く破る事の出来ない鱗をしており、土魔法が得意で、地面に潜ったりもするらしい。
脅威なのが土属性のブレスで、大量の石飛礫を放って来るらしい。それを食らったら、体中石飛礫に穿たれ、跡形も無く死んでしまうとか。全部、金色の光のリーダーであるレイグに教えて貰ったのだが。
「レディウス様、ゴブリンの討伐終了しました。今は二手に分かれて、死体の処理と負傷者の確認をさせています」
「わかった。もう少し進んだら休憩にしよう。それまで頑張ってくれ」
「わかりました」
グリムドは俺の言葉を聞き次第足早に指示を出しに戻る。レイグの見立てでは予定通り3日でケストリア子爵領から魔山の入り口まで辿り着いて、ここから3日山の中を歩いたところにロックドラゴンがいる洞窟に辿り着くと言う。
1日2日は予定が過ぎても大丈夫なように日程は組んでいるので、焦る必要も無いだろう。焦って兵士たちにさせなくてもいい怪我をさせても仕方ない。
それから2日ほど魔山の中を歩き回った。様々な魔獣と出くわしながらも、途中で脱落者も無く進む事が出来て、そろそろ兵士たちも気を抜く頃、懐かしい場所へと出た。
木々が少なくなり、それに比例して岩肌が剥き出しで、ゴツゴツとした岩が多く転がっている魔山の中腹へと辿り着いたのだ。
そして、目の前にはこれはまた懐かしい魔獣の姿が。転がっている岩をガリガリと齧る巨大な鶏。体長は2メートルほどで鋭いトサカ。ギョロっとした目で、一尾の蛇。
昔アレスと倒したコカトリスだ。一尾なので昔倒したものに比べれば、少し弱いはず。
兵士たちの中にも緊張が走る。森の中ではオークやウルフの群ればかりと戦っていたからな。あの魔獣たちとは雰囲気が違う。
でも、グリムドが鍛えるだけあって、直ぐに戦う準備を行う。その気配を感じたのか、コカトリスもこちらに気が付いた。その瞬間、ビュッ! と、音がし、次の瞬間コカトリスの左目に矢が突き刺さる。
突然の痛みと左側の視界が無くなった事に、慌て叫ぶコカトリス、当然それをやった正体はグレイブだ。矢に纏を使い強化させ、コカトリスに向けて放ったのだ。
コカトリスは痛みを振り払おうと頭を振るが、奥深くまで刺さっている矢は、そう簡単には抜けない。その隙に
「放て!」
兵士たちが隊列を組み、コカトリスに向かって魔法を放つ。様々な魔法がコカトリスにぶつかり、コカトリスを怯ませるが、コカトリスもそう簡単にはやられてくれない。
体中を傷まみれにしながらも、鋭い目を俺たちへと向けて来る。尻尾の蛇も口を開けて威嚇して来る。ガシッ、ガシッ、と地面を足踏みして、鋭い刃のようなトサカを、前に突き出すようにして走って来た。
「多重障壁発動!」
グリムドが声を上げると、兵士たち5人が前に出て、魔法を発動。迫るコカトリスに向かって列になるように障壁を発動する。それも1枚では無くて何枚も。
コカトリスは、そんなの御構い無しに障壁へとトサカをぶつける。当然薄く張られた障壁は割られるが、別の兵士が作った障壁が次に続く。コカトリスがそれを割る。
そしてその次が……と、俺たちに届くまで何十という障壁を割ったコカトリスの動きは目に見えてわかるほど遅くなっていた。
これがグリムドが兵士たちに訓練させていたものか。1人では防ぎきれない上に、かなりの量の魔力を消費するが、これなら1人1人の負担は軽くなる。まだ、範囲が狭かったりするので、改良の余地はあるのだろうが、十分使える。
そして、コカトリスの足が止まったところで、向かって来る間、ずっと魔力を溜めていたグリムドが魔法を放つ。
「グランドブレイド!」
グリムドが地面に手をつき魔法を発動すると、地面が隆起し、コカトリスの四方から剣が突き出る。その土の剣がコカトリスへと突き刺さる。
下半身をグサグサと刺されたコカトリスは立っていられずその場に崩れ落ちる。倒れてしまえば、頭にも剣が届く。
土の剣が飛び出し、コカトリスの首をはねた。思っていた以上に危なげなく倒せたな。ロックドラゴンの前哨戦にしては、まずまずの成果だろう。
それから、コカトリスの死体を片付けて、今日は休む事にした。レイグによると、目的の洞窟は明日歩けば着くらしい。ロックドラゴンと戦う前に体力・気力共に回復しておかないと。
大声で叫ぶグリムド。グリムドの言葉通り3人で1組になった兵士たちは、迫る魔獣、ゴブリンたちを次々と倒していく。
兵士の数は20人。12人はグリムドの言葉通り3人1組になり、6人はそれぞれ食料などを持っているため、その兵士たちの内側にいる。残り2人の内1人、弓の達人であるグレイブは、その食料担当の周りで矢を放つ。
俺も食料担当に混じって見学。ロナも一緒で、案内役の金色の光のメンバーも同じように見学をしている。ゴブリン程度なら兵士たちで十分だからだ。
ケストリア子爵領を出発してから3日が経った。まだ、魔山には深く入っていないが、それでも、魔獣が次々と出て来る。
目の前のゴブリンやウルフ。それからオークなんかも。どれもそれほど強くは無いため、全部蹴散らしているのだが、魔山らしく数が多い。
そんな魔山の中で、俺たちが目指しているのは、魔山の中腹にある洞窟に住むと言われているロックドラゴン。地竜の事だ。
名前の通り、空を飛ぶための翼は退化してしまって、空を飛ぶ事は出来ないが、容易く破る事の出来ない鱗をしており、土魔法が得意で、地面に潜ったりもするらしい。
脅威なのが土属性のブレスで、大量の石飛礫を放って来るらしい。それを食らったら、体中石飛礫に穿たれ、跡形も無く死んでしまうとか。全部、金色の光のリーダーであるレイグに教えて貰ったのだが。
「レディウス様、ゴブリンの討伐終了しました。今は二手に分かれて、死体の処理と負傷者の確認をさせています」
「わかった。もう少し進んだら休憩にしよう。それまで頑張ってくれ」
「わかりました」
グリムドは俺の言葉を聞き次第足早に指示を出しに戻る。レイグの見立てでは予定通り3日でケストリア子爵領から魔山の入り口まで辿り着いて、ここから3日山の中を歩いたところにロックドラゴンがいる洞窟に辿り着くと言う。
1日2日は予定が過ぎても大丈夫なように日程は組んでいるので、焦る必要も無いだろう。焦って兵士たちにさせなくてもいい怪我をさせても仕方ない。
それから2日ほど魔山の中を歩き回った。様々な魔獣と出くわしながらも、途中で脱落者も無く進む事が出来て、そろそろ兵士たちも気を抜く頃、懐かしい場所へと出た。
木々が少なくなり、それに比例して岩肌が剥き出しで、ゴツゴツとした岩が多く転がっている魔山の中腹へと辿り着いたのだ。
そして、目の前にはこれはまた懐かしい魔獣の姿が。転がっている岩をガリガリと齧る巨大な鶏。体長は2メートルほどで鋭いトサカ。ギョロっとした目で、一尾の蛇。
昔アレスと倒したコカトリスだ。一尾なので昔倒したものに比べれば、少し弱いはず。
兵士たちの中にも緊張が走る。森の中ではオークやウルフの群ればかりと戦っていたからな。あの魔獣たちとは雰囲気が違う。
でも、グリムドが鍛えるだけあって、直ぐに戦う準備を行う。その気配を感じたのか、コカトリスもこちらに気が付いた。その瞬間、ビュッ! と、音がし、次の瞬間コカトリスの左目に矢が突き刺さる。
突然の痛みと左側の視界が無くなった事に、慌て叫ぶコカトリス、当然それをやった正体はグレイブだ。矢に纏を使い強化させ、コカトリスに向けて放ったのだ。
コカトリスは痛みを振り払おうと頭を振るが、奥深くまで刺さっている矢は、そう簡単には抜けない。その隙に
「放て!」
兵士たちが隊列を組み、コカトリスに向かって魔法を放つ。様々な魔法がコカトリスにぶつかり、コカトリスを怯ませるが、コカトリスもそう簡単にはやられてくれない。
体中を傷まみれにしながらも、鋭い目を俺たちへと向けて来る。尻尾の蛇も口を開けて威嚇して来る。ガシッ、ガシッ、と地面を足踏みして、鋭い刃のようなトサカを、前に突き出すようにして走って来た。
「多重障壁発動!」
グリムドが声を上げると、兵士たち5人が前に出て、魔法を発動。迫るコカトリスに向かって列になるように障壁を発動する。それも1枚では無くて何枚も。
コカトリスは、そんなの御構い無しに障壁へとトサカをぶつける。当然薄く張られた障壁は割られるが、別の兵士が作った障壁が次に続く。コカトリスがそれを割る。
そしてその次が……と、俺たちに届くまで何十という障壁を割ったコカトリスの動きは目に見えてわかるほど遅くなっていた。
これがグリムドが兵士たちに訓練させていたものか。1人では防ぎきれない上に、かなりの量の魔力を消費するが、これなら1人1人の負担は軽くなる。まだ、範囲が狭かったりするので、改良の余地はあるのだろうが、十分使える。
そして、コカトリスの足が止まったところで、向かって来る間、ずっと魔力を溜めていたグリムドが魔法を放つ。
「グランドブレイド!」
グリムドが地面に手をつき魔法を発動すると、地面が隆起し、コカトリスの四方から剣が突き出る。その土の剣がコカトリスへと突き刺さる。
下半身をグサグサと刺されたコカトリスは立っていられずその場に崩れ落ちる。倒れてしまえば、頭にも剣が届く。
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それから、コカトリスの死体を片付けて、今日は休む事にした。レイグによると、目的の洞窟は明日歩けば着くらしい。ロックドラゴンと戦う前に体力・気力共に回復しておかないと。
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