黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
120話 親善戦開始
「おおっ、これはまた凄い人数だなぁ」
俺は周りを見回して、率直な感想を述べる。周りのどこを見渡しても人、人、人。観客席は満員になり、立ち見席すらかなりの人数が立っている。
「それはそうですよ。この親善戦が好きな人はこの時期になると参加者と同じ様に両国の間を行き来するのですから」
俺の隣でそう言ってくるヴィクトリア。胸元には3日前にヴィクトリアに贈ったクローバーのネックレスが輝いている。
「ひゃ〜、これは対抗戦を思い出すな。あの時は緊張でガッチガチになってしまったけど、今回は大丈夫だぜ。オークキングに比べたら全くだ」
ヴィクトリアとは反対側の俺の隣でガウェインが笑っている。そりゃあ、オークキングに比べたらこんなの全く緊張しないだろ。
「オークキング? なんだそれは?」
「それって、トルネス王国のアルフレッドって人がが倒したやつじゃ無いの?」
ガウェインの言葉に反応するティリシアとクララ。そういえばオークキングの事話してなかったっけ?
あの日は、帰って来たら速攻でヴィクトリアに捕まったし、後にロンドルが分けた報酬を持って来てくれたぐらいか。それからはあいつらとも会ってないしな。
「……何ですか、オークキングって?」
そんな事を考えていたら、背後から殺気を感じる。俺が振り向くとそこには物凄い笑顔のヴィクトリアが立っていた。ただ、表情は笑顔なのだが、目が笑っていない。絶対零度の目をしている。
「ええっと、その……」
俺は何とか濁そうとするが、気がつけば目の前にヴィクトリアが……。チラッとガウェインを見るが、ガウェインはそっぽを向いて口笛を吹いてやがる。後で覚えておけよ。
「……はぁ、良いです。どうせ聞いても答えてくれませんし」
俺が言おうかどうか迷っていたら、ヴィクトリアの方が折れてくれた……折れてくれたのだが、そんな悲しそうな表情されたら辛い。俺はヴィクトリアの手を取り
「……悪かったよ、ヴィクトリア。次からはちゃんと話すから」
「……絶対ですよ?」
「ああ」
俺がヴィクトリアと約束すると、ようやくヴィクトリアの機嫌が直ってくれた。良かった。その後ろで
「なぁ、あの2人なんだか物凄く仲が良くなってないか?」
「ああ、あの買い物に行った以来距離が縮んでいる」
「あのクローバーのネックレスもレディウスがあげたっていうしね〜」
何の話をしているかは聞こえないが、あのニヤニヤした顔が腹立つ。俺がガウェインたちを取っ捕まえてやろうかと思った時
『それじゃあ、選手入場だぁ!』
今まで前振りをしていた司会が入場のコールをする。遂に出番か。ガウェインたちを取っ捕まえるのは後だな。
「さあ、行きましょうか」
俺たちはリーダーであるヴィクトリアを先頭に会場へと足を進める。俺たちが会場に出るのと同時に、アルフレッドたちも会場に現れる。
真ん中にアルフレッド、左側にロンドル、右側にシャルン、左端にメイリーン、右端にビーンズの順だ。
「やあ、4日ぶりだね、レディウス、ガウェイン」
俺たちの顔を見て微笑むアルフレッド。その姿を見た女性観客がキャー、と声を上げる。おおっ、凄い人気だな。
「……チッ、爆発すれば良いのに」
その光景に僻むガウェイン。ガウェインはそのままアルフレッドに向かってビシッと指を指して
「お前の顔面腫れるまでぶん殴ってやる!」
と、高らかに宣言しやがった……馬鹿野郎。当然、アルフレッドの応援客たちは激怒。ガウェインに対して野次が飛ぶ。今更狼狽えるなよ、ガウェイン。予想できてただろうが。
「ガッハッハッ! おもしれえ奴だぜ! アルフレッド、気を付けろよ?」
「ああ、わかっているよ」
ロンドルはガウェインの言葉に大爆笑でアルフレッドは苦笑いだ。
だけど、いつまでも話していられない。会場の周りには魔法師が数人立ち、数人がかりで結界を張る。客席に被害がいかないようにか。
『それでは武器を構えて準備をお願いします! ルールは各学園の時と同じ、身に付けているバッチを壊されるか、取られれば失格となります。リーダーバッチを取られた時点でそのチームは敗北、取った若しくは破壊したチームの勝利となります!』
俺たちも司会の言葉に倣い、剣を抜く。アルフレッドも同じように抜く……おっ、アルフレッドの剣が変わってやがる。
オークキングの時に少し借りたから、あれが違う剣だとすぐにわかった……何だか禍々しい雰囲気をあの剣から感じるのは気のせいだろうか?
『それでは両者構えて………………始め!』
司会の開始の合図と同時に、魔法を放ってくるビーンズとメイリーン。ビーンズが風魔法を、メイリーンが火魔法を放って来て、その上2つの魔法が合わさり巨大な火炎竜巻となって襲いかかってくる。
「任せろ! アイスランパート!」
火炎竜巻が迫る中、ティリシアが氷の城壁を発動させる。2つの属性の複合魔法を見事に防ぎきった。しかしその隙にロンドルとアルフレッドがヴィクトリアにせまる。させるかよ!
「はぁっ!」
俺はバトルアックスを振り下ろそうとするロンドルとヴィクトリアの間に、アルフレッドはガウェインが間に入る。ティリシアとクララはその内にリーダーバッチを付けているメイリーンに向かう。
てっきりアルフレッドが付けているものかと思ったがどうやら違うようだ。
メイリーンに向かうティリシアとクララを牽制するように、シャルンはメイリーンとビーンズの前に立ち
「スネークウィップ!」
まるで蛇のように動く鞭で2人を近寄らせない。その間にメイリーンとビーンズはティリシアとクララに魔法を連続して放つ。
「おらっ、よそ見してて良いのかよ!」
俺がティリシアたちを気にしていたらロンドルのバトルアックスが迫る。俺は黒剣で逸らして、ロンドルに蹴りを入れるが、身体強化した腕で塞がれて、距離を取られる。
「せっかくの勝負だ。楽しもうぜ!」
バトルアックスを肩に担ぐように持ちながらそんな事を言ってくるロンドル。確かに楽しまないと損だな!
俺は周りを見回して、率直な感想を述べる。周りのどこを見渡しても人、人、人。観客席は満員になり、立ち見席すらかなりの人数が立っている。
「それはそうですよ。この親善戦が好きな人はこの時期になると参加者と同じ様に両国の間を行き来するのですから」
俺の隣でそう言ってくるヴィクトリア。胸元には3日前にヴィクトリアに贈ったクローバーのネックレスが輝いている。
「ひゃ〜、これは対抗戦を思い出すな。あの時は緊張でガッチガチになってしまったけど、今回は大丈夫だぜ。オークキングに比べたら全くだ」
ヴィクトリアとは反対側の俺の隣でガウェインが笑っている。そりゃあ、オークキングに比べたらこんなの全く緊張しないだろ。
「オークキング? なんだそれは?」
「それって、トルネス王国のアルフレッドって人がが倒したやつじゃ無いの?」
ガウェインの言葉に反応するティリシアとクララ。そういえばオークキングの事話してなかったっけ?
あの日は、帰って来たら速攻でヴィクトリアに捕まったし、後にロンドルが分けた報酬を持って来てくれたぐらいか。それからはあいつらとも会ってないしな。
「……何ですか、オークキングって?」
そんな事を考えていたら、背後から殺気を感じる。俺が振り向くとそこには物凄い笑顔のヴィクトリアが立っていた。ただ、表情は笑顔なのだが、目が笑っていない。絶対零度の目をしている。
「ええっと、その……」
俺は何とか濁そうとするが、気がつけば目の前にヴィクトリアが……。チラッとガウェインを見るが、ガウェインはそっぽを向いて口笛を吹いてやがる。後で覚えておけよ。
「……はぁ、良いです。どうせ聞いても答えてくれませんし」
俺が言おうかどうか迷っていたら、ヴィクトリアの方が折れてくれた……折れてくれたのだが、そんな悲しそうな表情されたら辛い。俺はヴィクトリアの手を取り
「……悪かったよ、ヴィクトリア。次からはちゃんと話すから」
「……絶対ですよ?」
「ああ」
俺がヴィクトリアと約束すると、ようやくヴィクトリアの機嫌が直ってくれた。良かった。その後ろで
「なぁ、あの2人なんだか物凄く仲が良くなってないか?」
「ああ、あの買い物に行った以来距離が縮んでいる」
「あのクローバーのネックレスもレディウスがあげたっていうしね〜」
何の話をしているかは聞こえないが、あのニヤニヤした顔が腹立つ。俺がガウェインたちを取っ捕まえてやろうかと思った時
『それじゃあ、選手入場だぁ!』
今まで前振りをしていた司会が入場のコールをする。遂に出番か。ガウェインたちを取っ捕まえるのは後だな。
「さあ、行きましょうか」
俺たちはリーダーであるヴィクトリアを先頭に会場へと足を進める。俺たちが会場に出るのと同時に、アルフレッドたちも会場に現れる。
真ん中にアルフレッド、左側にロンドル、右側にシャルン、左端にメイリーン、右端にビーンズの順だ。
「やあ、4日ぶりだね、レディウス、ガウェイン」
俺たちの顔を見て微笑むアルフレッド。その姿を見た女性観客がキャー、と声を上げる。おおっ、凄い人気だな。
「……チッ、爆発すれば良いのに」
その光景に僻むガウェイン。ガウェインはそのままアルフレッドに向かってビシッと指を指して
「お前の顔面腫れるまでぶん殴ってやる!」
と、高らかに宣言しやがった……馬鹿野郎。当然、アルフレッドの応援客たちは激怒。ガウェインに対して野次が飛ぶ。今更狼狽えるなよ、ガウェイン。予想できてただろうが。
「ガッハッハッ! おもしれえ奴だぜ! アルフレッド、気を付けろよ?」
「ああ、わかっているよ」
ロンドルはガウェインの言葉に大爆笑でアルフレッドは苦笑いだ。
だけど、いつまでも話していられない。会場の周りには魔法師が数人立ち、数人がかりで結界を張る。客席に被害がいかないようにか。
『それでは武器を構えて準備をお願いします! ルールは各学園の時と同じ、身に付けているバッチを壊されるか、取られれば失格となります。リーダーバッチを取られた時点でそのチームは敗北、取った若しくは破壊したチームの勝利となります!』
俺たちも司会の言葉に倣い、剣を抜く。アルフレッドも同じように抜く……おっ、アルフレッドの剣が変わってやがる。
オークキングの時に少し借りたから、あれが違う剣だとすぐにわかった……何だか禍々しい雰囲気をあの剣から感じるのは気のせいだろうか?
『それでは両者構えて………………始め!』
司会の開始の合図と同時に、魔法を放ってくるビーンズとメイリーン。ビーンズが風魔法を、メイリーンが火魔法を放って来て、その上2つの魔法が合わさり巨大な火炎竜巻となって襲いかかってくる。
「任せろ! アイスランパート!」
火炎竜巻が迫る中、ティリシアが氷の城壁を発動させる。2つの属性の複合魔法を見事に防ぎきった。しかしその隙にロンドルとアルフレッドがヴィクトリアにせまる。させるかよ!
「はぁっ!」
俺はバトルアックスを振り下ろそうとするロンドルとヴィクトリアの間に、アルフレッドはガウェインが間に入る。ティリシアとクララはその内にリーダーバッチを付けているメイリーンに向かう。
てっきりアルフレッドが付けているものかと思ったがどうやら違うようだ。
メイリーンに向かうティリシアとクララを牽制するように、シャルンはメイリーンとビーンズの前に立ち
「スネークウィップ!」
まるで蛇のように動く鞭で2人を近寄らせない。その間にメイリーンとビーンズはティリシアとクララに魔法を連続して放つ。
「おらっ、よそ見してて良いのかよ!」
俺がティリシアたちを気にしていたらロンドルのバトルアックスが迫る。俺は黒剣で逸らして、ロンドルに蹴りを入れるが、身体強化した腕で塞がれて、距離を取られる。
「せっかくの勝負だ。楽しもうぜ!」
バトルアックスを肩に担ぐように持ちながらそんな事を言ってくるロンドル。確かに楽しまないと損だな!
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