黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
80話 対抗戦(10)
「ティリシア!!」
「は、はは、はははは! 僕に逆らうからこうなるんだよティリシア! ヴィクトリア様を狙ったつもりだったが、これで1人消えた! アリッサにフォックスがやられたのは予想外だったが、1人は気を失い、もう1人はバッチを壊した。残るは2人だ! ランベルト!そいつを早く倒せ!」
俺がランベルトと打ち合っていると、ランバルクが魔法を放った。さっきまではヴィクトリアの魔法で防いでいたのだが、今のヴィクトリアはティリシアを治療中だった。その隙を突いたらしい。
ヴィクトリアは迫る魔法に気がつかず、ティリシアがヴィクトリアを庇う形になり、魔法で吹き飛ばされる。いくら傷を治してもらえるからって、あの野郎……。
「行きたければ、俺を倒せ」
俺がランバルクの下へ行こうとすると、突然ランベルトが邪魔をしてくる。何度も打ち合うがこのままじゃあ、ラチがあかない。
俺は再び纏・真を発動する。両手に剣を持ち、右手の剣でランベルトを指し、左手の剣を肩に担ぐ。体への負担が大きく、あまり使った事の無い技だが、今の俺なら使えるはずだ。
「行くぞ、ランベルト・リストニック」
俺は腰を低く構える。そしてランベルトに向かって走り出す。まずは左の剣を振り下ろす。威力は烈炎流、速さは旋風流。全てを打ち砕く神速の斬撃。
ランベルトはハルバートで防ぐが、振り下ろされた剣によって、ハルバートは切り落とされる。
俺は流れるように右手の剣で突きを放つ。ランベルトは右側を逸らして避けるが、脇腹を剣が掠る。振り下ろした左手の剣を、右脇の下で横払いに構えて放つ。ランベルトは残ったハルバートで防ぐが、耐え切れずに吹き飛ぶ。
元の技は、烈炎流桜火。はっきり言えばこの技に形はない。どの体勢どの技からでも強力な一撃が放てるように作られた技だ。
かなりの魔力を消費する程の強力な技を、俺は旋風流と組み合わせて、連撃するが出来るようになった。ただ、体への負担がかなり大きい。今も体中が悲鳴をあげている。
早く終わらせたいところだが、当然ランベルトもやられっぱなしでは無い。ランベルトは半分程の長さになってしまったハルバートを構えて向かってくる。
ここに来て身体強化を速度と攻撃力強化に絞ったようだ。防御無視の特攻か。俺の魔闘装した二刀の剣と強化魔法で強化したハルバートを打ち合う。
手数は俺の方が上だが、一撃の重さは若干だがランベルトの方が上のようだ。ランベルトの体は傷まみれになるが、俺の方は腕と剣に限界が来た。
右手に持つ剣が粉々に砕け散ったのだ。右手に持っていた剣は、修行の為ミストレアさんから貰ったものだった。
修行をつけてもらい始めた日から今日まで使い続けた剣。色々と思い出はあるが、感傷に浸っている場合では無い。
俺の剣は粉々に砕け散ったが、ランベルトのハルバートも無事では無かった。刃の部分にヒビが入っていたのだ。俺は見逃さず、ハルバートの横を狙う。
「はぁあ!」
俺は左手の剣を両手持ちに変え、上段からの一閃。ランベルトのハルバートは刃の半ば辺りで切り落とされた。そしてそのまま刃を返す。
「これで、終わりだ!」
右下からの左切り上げにより、ランベルトの体に斜めの傷が入る。剣は無事にランベルトのバッチを切り落とし、ランベルトを吹き飛ばした。今の技を名付けるとしたら
「桜火乱舞」
かな。そのまんまだけど。もう少し数を打てるようになりたいところだが、まあ、今は良いとしよう。これからの課題だな。
それよりも
「うそだ……うそだうそだうそだ! そ、そんなはずはない! ぼ、僕たちが負けるはずなんて!」
ランベルトが倒れたことにより、狼狽するランバルク。俺は右手の折れた剣を鞘に戻し、左手の剣だけで、ランバルクに近づく。
「くく、来るな! 来るな来るな来るな!」
ランバルクは俺に向かって次々と魔法を放ってくる。俺は魔法を剣で切って近づく。
「これでも喰らえ! エクスプロージョン!」
ここで範囲魔法か。眼前一杯に広がる魔力の塊。俺は慌てずに剣を上段に構える。剣に魔力を集め一気に
「死ねぇ!」
眼前が爆発によって一面真っ白になる。その瞬間に俺は剣を振り下ろす!
「烈炎流、大斬火!」
ズウォン! と音がし、ランバルクが放った爆発は、俺を中心に左右にわかれる。爆発のわかれた先には、俺が傷まみれだと思ってニヤついた顔つきのまま固まっているランバルクの姿があった。
俺はそのまま走り抜ける。ランバルクが正気に戻り必死に魔法を放つが、俺には当たらない。気が付けばランバルクは目の前にいた。俺は左手の指剣を腰に戻して、左手でランバルクの襟を掴む。
「覚悟しろよ、ランバルク・リストニック」
「は、離せ! 下賎な黒髪が僕に触れるんじゃない!」
ランバルクはジタバタと暴れるが、全く効かない。俺はランバルクの言葉を無視して、魔闘拳をした右腕で、殴る構えをする。さぁ、歯食いしばれよ!
「ややや、やめろぉぉぉぉ!!! ぐひゃあ!」
俺は手加減無しでランバルクを殴り飛ばした。ランバルクは涙目で何かを叫んでいたが俺は無視した。吹っ飛んだランバルクは何度か地面を跳ねて、会場の中心辺りでようやく止まった。
「ヴィクトリア」
俺はヴィクトリアを呼ぶ。ヴィクトリアは、ティリシアの治療を終えて、俺の側まで来たら、2人でランバルクの下まで行く。気が付けば、さっきまで聞こえていた歓声が無くなって、辺りは静寂に包まれている。
「レディウス。どうしたのですか?」
「んん? やっぱり最後はリーダーが締めなきゃなと思って。さぁ」
俺はヴィクトリアの背中を押す。ランバルクは白目をむいて気を失っているので、危険はない。俺の言いたい事がわかったヴィクトリアは、ランバルクの側まで行き、ランバルクの胸元に付いているリーダーバッチを取る。そしてそれを空高く掲げると
「「「「うぉおおおおおおおおおっ!!!!」」」」
と、会場が大歓声に包まれる。
『なななな、なんとぉぉお! 歴年の王者、ランバルクチームが敗れたぁ! 彼らを下して、優勝したのは…………ヴィクトリアチィィィーーーーーームゥゥゥ!!!!』
こうして、4年生の対抗戦は俺たちの優勝で幕を閉じる事が出来た。
「は、はは、はははは! 僕に逆らうからこうなるんだよティリシア! ヴィクトリア様を狙ったつもりだったが、これで1人消えた! アリッサにフォックスがやられたのは予想外だったが、1人は気を失い、もう1人はバッチを壊した。残るは2人だ! ランベルト!そいつを早く倒せ!」
俺がランベルトと打ち合っていると、ランバルクが魔法を放った。さっきまではヴィクトリアの魔法で防いでいたのだが、今のヴィクトリアはティリシアを治療中だった。その隙を突いたらしい。
ヴィクトリアは迫る魔法に気がつかず、ティリシアがヴィクトリアを庇う形になり、魔法で吹き飛ばされる。いくら傷を治してもらえるからって、あの野郎……。
「行きたければ、俺を倒せ」
俺がランバルクの下へ行こうとすると、突然ランベルトが邪魔をしてくる。何度も打ち合うがこのままじゃあ、ラチがあかない。
俺は再び纏・真を発動する。両手に剣を持ち、右手の剣でランベルトを指し、左手の剣を肩に担ぐ。体への負担が大きく、あまり使った事の無い技だが、今の俺なら使えるはずだ。
「行くぞ、ランベルト・リストニック」
俺は腰を低く構える。そしてランベルトに向かって走り出す。まずは左の剣を振り下ろす。威力は烈炎流、速さは旋風流。全てを打ち砕く神速の斬撃。
ランベルトはハルバートで防ぐが、振り下ろされた剣によって、ハルバートは切り落とされる。
俺は流れるように右手の剣で突きを放つ。ランベルトは右側を逸らして避けるが、脇腹を剣が掠る。振り下ろした左手の剣を、右脇の下で横払いに構えて放つ。ランベルトは残ったハルバートで防ぐが、耐え切れずに吹き飛ぶ。
元の技は、烈炎流桜火。はっきり言えばこの技に形はない。どの体勢どの技からでも強力な一撃が放てるように作られた技だ。
かなりの魔力を消費する程の強力な技を、俺は旋風流と組み合わせて、連撃するが出来るようになった。ただ、体への負担がかなり大きい。今も体中が悲鳴をあげている。
早く終わらせたいところだが、当然ランベルトもやられっぱなしでは無い。ランベルトは半分程の長さになってしまったハルバートを構えて向かってくる。
ここに来て身体強化を速度と攻撃力強化に絞ったようだ。防御無視の特攻か。俺の魔闘装した二刀の剣と強化魔法で強化したハルバートを打ち合う。
手数は俺の方が上だが、一撃の重さは若干だがランベルトの方が上のようだ。ランベルトの体は傷まみれになるが、俺の方は腕と剣に限界が来た。
右手に持つ剣が粉々に砕け散ったのだ。右手に持っていた剣は、修行の為ミストレアさんから貰ったものだった。
修行をつけてもらい始めた日から今日まで使い続けた剣。色々と思い出はあるが、感傷に浸っている場合では無い。
俺の剣は粉々に砕け散ったが、ランベルトのハルバートも無事では無かった。刃の部分にヒビが入っていたのだ。俺は見逃さず、ハルバートの横を狙う。
「はぁあ!」
俺は左手の剣を両手持ちに変え、上段からの一閃。ランベルトのハルバートは刃の半ば辺りで切り落とされた。そしてそのまま刃を返す。
「これで、終わりだ!」
右下からの左切り上げにより、ランベルトの体に斜めの傷が入る。剣は無事にランベルトのバッチを切り落とし、ランベルトを吹き飛ばした。今の技を名付けるとしたら
「桜火乱舞」
かな。そのまんまだけど。もう少し数を打てるようになりたいところだが、まあ、今は良いとしよう。これからの課題だな。
それよりも
「うそだ……うそだうそだうそだ! そ、そんなはずはない! ぼ、僕たちが負けるはずなんて!」
ランベルトが倒れたことにより、狼狽するランバルク。俺は右手の折れた剣を鞘に戻し、左手の剣だけで、ランバルクに近づく。
「くく、来るな! 来るな来るな来るな!」
ランバルクは俺に向かって次々と魔法を放ってくる。俺は魔法を剣で切って近づく。
「これでも喰らえ! エクスプロージョン!」
ここで範囲魔法か。眼前一杯に広がる魔力の塊。俺は慌てずに剣を上段に構える。剣に魔力を集め一気に
「死ねぇ!」
眼前が爆発によって一面真っ白になる。その瞬間に俺は剣を振り下ろす!
「烈炎流、大斬火!」
ズウォン! と音がし、ランバルクが放った爆発は、俺を中心に左右にわかれる。爆発のわかれた先には、俺が傷まみれだと思ってニヤついた顔つきのまま固まっているランバルクの姿があった。
俺はそのまま走り抜ける。ランバルクが正気に戻り必死に魔法を放つが、俺には当たらない。気が付けばランバルクは目の前にいた。俺は左手の指剣を腰に戻して、左手でランバルクの襟を掴む。
「覚悟しろよ、ランバルク・リストニック」
「は、離せ! 下賎な黒髪が僕に触れるんじゃない!」
ランバルクはジタバタと暴れるが、全く効かない。俺はランバルクの言葉を無視して、魔闘拳をした右腕で、殴る構えをする。さぁ、歯食いしばれよ!
「ややや、やめろぉぉぉぉ!!! ぐひゃあ!」
俺は手加減無しでランバルクを殴り飛ばした。ランバルクは涙目で何かを叫んでいたが俺は無視した。吹っ飛んだランバルクは何度か地面を跳ねて、会場の中心辺りでようやく止まった。
「ヴィクトリア」
俺はヴィクトリアを呼ぶ。ヴィクトリアは、ティリシアの治療を終えて、俺の側まで来たら、2人でランバルクの下まで行く。気が付けば、さっきまで聞こえていた歓声が無くなって、辺りは静寂に包まれている。
「レディウス。どうしたのですか?」
「んん? やっぱり最後はリーダーが締めなきゃなと思って。さぁ」
俺はヴィクトリアの背中を押す。ランバルクは白目をむいて気を失っているので、危険はない。俺の言いたい事がわかったヴィクトリアは、ランバルクの側まで行き、ランバルクの胸元に付いているリーダーバッチを取る。そしてそれを空高く掲げると
「「「「うぉおおおおおおおおおっ!!!!」」」」
と、会場が大歓声に包まれる。
『なななな、なんとぉぉお! 歴年の王者、ランバルクチームが敗れたぁ! 彼らを下して、優勝したのは…………ヴィクトリアチィィィーーーーーームゥゥゥ!!!!』
こうして、4年生の対抗戦は俺たちの優勝で幕を閉じる事が出来た。
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