黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
75話 対抗戦(5)
パァーン! パァーン!
訓練場の上空に打ち上げられる魔法。火魔法で打ち上げられた魔法は、訓練場の上空で音を鳴らして破裂する。その音が鳴り響く度に、訓練場の緊張感が増し、観客の熱気が高まる。
今観客、出場者含めて全員が第1訓練場にいる。入りきれないほどの観客の人数が押し寄せ、入らなかった分は他の訓練場で映像を見る事になる。
あまりの人数なので入場料を取る程だ。入場券を買えなかった者は貴族でも入れない。毎年かなりの倍率になるらしい。
そんな熱気のこもった会場の真ん中に俺たち出場者組は立つ。なんでも、今から国王陛下のお言葉が貰えるそうだ。
国王陛下のお言葉が貰えたら、1年生の3位決定戦から始めていき、1年生の決勝となり、それから2年生、3年生、4年生へと続いていく。
だから、俺たちの決勝戦は今日の一番最後になる。最低でも7時間近くはかかる。
2年生と3年生の出場者はわからないが、1年生の決勝に残ったチームの中にはアレスとクリティシアさんの姿があった。向こうも俺に気が付いたみたいで、俺に手を振ってくる。
俺もアレスたちに手を振り返すと、アレスと同じチームだと思う金髪のイケメン男子が、アレスの後ろから俺を睨みつけていた。何だあいつ?
アレスの隣に立っていたクリティシアさんはその男子に気が付いており、冷ややかな目で見ていたのが印象的だった。
「それじゃあ、ちゅうもく〜! 今から各学年対抗戦、最終日を開始するわよ〜! まず始めに国王陛下からお言葉を頂くわ〜。国王陛下、こちらへ」
そんな風に周りを見ていたら、デズ学園長がそう言う。そして訓練場に設置された壇上の上に登る煌びやかな服を着た男の人。
年は40近く。金髪の髪に穏やかそうな雰囲気がある。この人がこの国の王、バーデンハルク・アルバストか。
「ああ。コホンッ! まずは、対抗戦を勝ち残った生徒たちよ。よくぞ勝ち抜いて来た。年々、実力が高くなっていっている対抗戦。その中でも、最終日まで残れるほどの実力を持っている事は、この国の王として、大変喜ばしく思う。
当然、勝ち残った者がいれば、負けた者もいるだろう。その者たちも諦めずに努力してほしい。この対抗戦が全てではないからな。
まあ、私の挨拶はこのぐらいにしておこう。では未来ある若者たちよ。熱く血滾る戦いを見せてくれ!!!!!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
国王陛下のお言葉に、一気に盛り上がる観客たち。観客の中の貴族席。その中でも王族用の個室と、公爵、侯爵が使う特別室がある。その中に国王陛下と王妃様、ウィリアム王子に姉上がいた。
その部屋の中には他にはレイブン将軍やブルックズ近衛騎士団長も一緒にいた。護衛のためかな? 客席にはケインズ将軍やミストリーネさんたちが警戒をしている。まあ、王族全員が来ているから当然か。
特別室も王族用の個室に比べると少し小さいが、個室になっていて、そこには公爵2家と侯爵家が複数家使っていた。訓練場の最上階に作られていて、すべての部屋が繋がって円になっている。
「それでは、まずは1年生の3位決定戦から始めるわよ! 3位決定戦に出場するチームはこの場に残って、他のチームや学年は、観客席で見ているか、待機室で待っているように!」
デズ学園長の言葉に出場者の各々を、それぞれの場所に移動する。俺たちも訓練場から出て、観客席で見ようかと思ったら
「レディウス!」
後ろから声をかけられる。振り向くとそこにはアレスが。その隣には当然のようにクリティシアさんが立っている。
「よう、アレス。決勝まで残るなんて凄いじゃないか!」
俺が褒めながら頭を撫でてあげると、アレスはエヘヘと笑う。何だか犬っぽいな。
「当然だよ! レディウスに教えてもらった纏のおかげで昔以上に速く動く事が出来るようになったからね!」
そしてアレスは両手で握りこぶしを作ってそう言ってくれる。それなら俺も教えた甲斐があるってものだ。それからアレスがモジモジとし始めて何かを言おうとした時
「アレス、クリティシア、そろそろ行くぞ!」
と2人の後ろから声がかけられる。声をかけたのは先ほど俺を睨んでいた金髪の男だ。その後ろにチームメイトらしき男子生徒と女生徒がはぁ〜、と溜息をついて、クリティシアさんが殺気を放ち、アレスがプルプルと震えている。理由はわからないが邪魔してしまったみたいだ。
「アレス、何だか悪かったな。それじゃあ試合頑張れよ。応援しているから!」
俺が最後にアレスの頭を撫でて、みんなの下へ向かう。後ろで「あっ……」って声が聞こえたが、その後のクリティシアさんの怒鳴り声でかき消された。なんで怒っているんだ?
俺がみんなの下へ戻ると、ヴィクトリアが
「……鈍感ですね」
と俺に一言言って行ってしまった。何だよ。他のみんなも苦笑いだし。そんなみんなの背中を追いかけながら、俺も観客席に向かうのだった。
訓練場の上空に打ち上げられる魔法。火魔法で打ち上げられた魔法は、訓練場の上空で音を鳴らして破裂する。その音が鳴り響く度に、訓練場の緊張感が増し、観客の熱気が高まる。
今観客、出場者含めて全員が第1訓練場にいる。入りきれないほどの観客の人数が押し寄せ、入らなかった分は他の訓練場で映像を見る事になる。
あまりの人数なので入場料を取る程だ。入場券を買えなかった者は貴族でも入れない。毎年かなりの倍率になるらしい。
そんな熱気のこもった会場の真ん中に俺たち出場者組は立つ。なんでも、今から国王陛下のお言葉が貰えるそうだ。
国王陛下のお言葉が貰えたら、1年生の3位決定戦から始めていき、1年生の決勝となり、それから2年生、3年生、4年生へと続いていく。
だから、俺たちの決勝戦は今日の一番最後になる。最低でも7時間近くはかかる。
2年生と3年生の出場者はわからないが、1年生の決勝に残ったチームの中にはアレスとクリティシアさんの姿があった。向こうも俺に気が付いたみたいで、俺に手を振ってくる。
俺もアレスたちに手を振り返すと、アレスと同じチームだと思う金髪のイケメン男子が、アレスの後ろから俺を睨みつけていた。何だあいつ?
アレスの隣に立っていたクリティシアさんはその男子に気が付いており、冷ややかな目で見ていたのが印象的だった。
「それじゃあ、ちゅうもく〜! 今から各学年対抗戦、最終日を開始するわよ〜! まず始めに国王陛下からお言葉を頂くわ〜。国王陛下、こちらへ」
そんな風に周りを見ていたら、デズ学園長がそう言う。そして訓練場に設置された壇上の上に登る煌びやかな服を着た男の人。
年は40近く。金髪の髪に穏やかそうな雰囲気がある。この人がこの国の王、バーデンハルク・アルバストか。
「ああ。コホンッ! まずは、対抗戦を勝ち残った生徒たちよ。よくぞ勝ち抜いて来た。年々、実力が高くなっていっている対抗戦。その中でも、最終日まで残れるほどの実力を持っている事は、この国の王として、大変喜ばしく思う。
当然、勝ち残った者がいれば、負けた者もいるだろう。その者たちも諦めずに努力してほしい。この対抗戦が全てではないからな。
まあ、私の挨拶はこのぐらいにしておこう。では未来ある若者たちよ。熱く血滾る戦いを見せてくれ!!!!!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
国王陛下のお言葉に、一気に盛り上がる観客たち。観客の中の貴族席。その中でも王族用の個室と、公爵、侯爵が使う特別室がある。その中に国王陛下と王妃様、ウィリアム王子に姉上がいた。
その部屋の中には他にはレイブン将軍やブルックズ近衛騎士団長も一緒にいた。護衛のためかな? 客席にはケインズ将軍やミストリーネさんたちが警戒をしている。まあ、王族全員が来ているから当然か。
特別室も王族用の個室に比べると少し小さいが、個室になっていて、そこには公爵2家と侯爵家が複数家使っていた。訓練場の最上階に作られていて、すべての部屋が繋がって円になっている。
「それでは、まずは1年生の3位決定戦から始めるわよ! 3位決定戦に出場するチームはこの場に残って、他のチームや学年は、観客席で見ているか、待機室で待っているように!」
デズ学園長の言葉に出場者の各々を、それぞれの場所に移動する。俺たちも訓練場から出て、観客席で見ようかと思ったら
「レディウス!」
後ろから声をかけられる。振り向くとそこにはアレスが。その隣には当然のようにクリティシアさんが立っている。
「よう、アレス。決勝まで残るなんて凄いじゃないか!」
俺が褒めながら頭を撫でてあげると、アレスはエヘヘと笑う。何だか犬っぽいな。
「当然だよ! レディウスに教えてもらった纏のおかげで昔以上に速く動く事が出来るようになったからね!」
そしてアレスは両手で握りこぶしを作ってそう言ってくれる。それなら俺も教えた甲斐があるってものだ。それからアレスがモジモジとし始めて何かを言おうとした時
「アレス、クリティシア、そろそろ行くぞ!」
と2人の後ろから声がかけられる。声をかけたのは先ほど俺を睨んでいた金髪の男だ。その後ろにチームメイトらしき男子生徒と女生徒がはぁ〜、と溜息をついて、クリティシアさんが殺気を放ち、アレスがプルプルと震えている。理由はわからないが邪魔してしまったみたいだ。
「アレス、何だか悪かったな。それじゃあ試合頑張れよ。応援しているから!」
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コメント
リムル様と尚文様は神!!サイタマも!!
鈍感ですね。に賛成です。いヒューヒューモテてますねーw