黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
46話 アルバスト・ブリタリス戦争(2)
「おらっ!」
突き出してくる槍を避け、敵兵の腹を切り裂く。その後ろから新たに3人の敵兵が槍をついてくるのをしゃがんで避ける。槍を切り落とし、切った穂先を持ち1人に投げる。1人は顔面に突き刺さりそのまま死に、他の2人は腰の剣を抜こうとする。しかし
「どらあしゃっ!」
俺の横からクルトが走り抜け敵兵へと切りかかる。剣を抜くのが遅れた敵兵は大剣で頭を割られ即死。しかし、敵兵の体に深く突き刺さっているため大剣が中々抜けない。それに手こずっていると、敵兵が切りかかってくる。
「やらせません!」
クルトと敵兵の間に入る様に、小柄な人物がスルリと入る。そして逆手持ちした左手の短剣で剣を逸らし、順手で短剣を持つ右手で喉を搔き切る。中々の速さだ。
クルトと敵兵の間に入ったのはロナ。身軽な彼女には旋風流がかなりあっている様だ。
「クルト! レディウス様の話を忘れたのですか! 敵が多いのにそんな大振りに振って!」
「わ、悪かったって。そんなに怒るなよ」
ロナが怒ってクルトが謝る。最近ではよく見かける光景だが
「はっ!」
俺は2人の間を通り過ぎ、2人の後ろを狙っていた敵兵を2人同時に切る。
「2人とも、助け合うのは良いが、話し合うのは後だ。今は戦場にいるっていうことを忘れるな」
「「は、はい!」」
2人は慌てて謝り気を入れ直す。周りはすでに混戦になっている。敵味方の判別は鎧を見るしかないだろう。顔なんて覚えていないし。
「おらららぁっ! どけぇっ!」
うわぁ、人が飛んでいる。飛ばした本人はガラナだ。あいつは盾を2つ持つという変わった事やっている。しかし、それが合っているのか、敵の槍を盾で防いで、もう反対の手で敵杯を殴り飛ばす。殴り飛ばされた敵兵は後ろに続く敵兵を巻き込んでいく。
その横ではグレッグが、ガラナの横を狙ってくる敵兵を倒して助けている。あの2人は大丈夫だな。
俺もロナたちを助ける様に動く。2人の前に出て、敵兵を切っていく。槍を弾き足を切る。倒れた敵兵の首を踏み潰す。突いてくる槍を剣で逸らしながら、槍の横を滑らしそのまま敵兵を逆に突く。
そんな事で30人近く殺したが敵は減らない。逆に進めば進むほど敵の厚みが増していくだけ。こっちの先頭に立っている死壁隊はどんどん数が減っていく。味方の兵士たちもだ。そこに
「おらおらおらおらおらおらっあ!」
敵軍から馬に乗った巨大な男が現れる。手には2メートルほどある薙刀を持って、それを振り回し味方兵を殺していく。
「おらあっ! アルバストの侵略者どもめ! 切り込み隊長のザパンノ様が相手だぁ!」
あいつは強いな。俺が行くか? そう思っていたら、味方の方からも馬が走ってくる。あれは
「我が名はメッカーマー。この千人隊の隊長だ! 俺が相手だ!」
そう言い槍を振り回すメッカーマー隊長。オカマじゃあ無かったんだな。そんなメッカーマーとザパンノが薙刀と槍を打ち合う。最初の4合ほどは打ち合っていたが直ぐに差は現れた。
「ぬっ? ちょ、ま、ぐっ、や、め」
「ふんらあっ!」
ザパンノがメッカーマーの槍を弾き、薙刀を下から振り上げメッカーマーを切り落とす。メッカーマーは斜めに上半身と下半身が分かれてしまった。
「なんだ? アルバストの隊長というのはこんな弱い奴でもなれるのか? 兵士たちよ! こんな弱くて身の程も知らない侵略者に力の差を見せてやれ!」
「「「「うおおおおおおおおお!!!!」」」」
ザパンノの言葉にブリタリス兵たちが勢いに乗る。逆にアルバストの兵士たちは士気が下がり始める。それも仕方ないか。
ここにいる兵士たちの殆どは、俺たち死壁隊も含めてメッカーマーの隊だ。その隊長があんな呆気なく倒されれば士気も下がるだろう。
そして勢いづいたブリタリス兵は、アルバスト兵を押し始める。アルバストの騎馬兵も数人名乗りを上げながらザパンノに切りかかるが全て返り討ち。それがまた調子づかせる。そして
「なんだ、子供までいるではないか。しかし、ここは戦場。子どもだからといって手は抜かんぞ!」
ザパンノは俺たちを見つけて迫り来る。これは好都合だ。ザパンノは馬の上から薙刀を振り下ろす。俺はそれを剣で逸らす。中々重たい。そして直ぐに手元に戻して再び振り下ろす。
俺も攻撃したいところだが、馬に乗っているためザパンノに届かない。馬の上から引きづり下ろさなければ。
「はあっ! はっはっは。さっきの隊長より歯応えがあるぞ、小僧!」
「そりゃあどう、も!」
ちっ、リーチが長いせいでかなりやり辛い。何とか薙刀を弾くが、ザパンノの懐に中々入り込めない。こうなったら
「ふんっ!」
ザパンノが振るった薙刀を
「魔闘拳・極」
剣で逸らさずに避け、左手で掴む。腕にかなりの衝撃が走るが、魔闘拳で強化しているため怪我には至らない。ザパンノは驚きの表情を浮かべるが、まだ終わりじゃないぜ。
俺は勢いに乗った薙刀を勢いの進む方向へ思いっきり引っ張る。これでザパンノの手元から薙刀が離れたらそれでオーケー。離れなくってもザパンノが薙刀を握っていれば
「うおっ!?」
薙刀に引っ張られ馬の上で体勢を崩す。そしてそのまま落馬。俺は直様ザパンノの下に駆け寄り剣を振り下ろす。しかし、ザパンノも直ぐに体勢を立て直し、剣を避ける。
そのまま立ち上がったザパンノと俺は対峙する。地面に立てばやりようはいくらでもある。ザパンノは薙刀を振るうが、俺はもう受けない。
横薙ぎをしゃがんで避け、突きを逸らす。薙刀を回し刃の無い方を下から振り上げてくるのも避ける。全く薙刀が当たらない事にザパンノは焦りを見せ始める。
明水流流水。名前はかっこいいが、ただ魔闘眼でザパンノの魔力の流れを見ているだけだ。ザパンノは身体強化を均等にしているつもりだが、薙刀の握り、足の踏み込みなどに力を入れると、そこに魔力が流れる。その流れ方で次の動きを予測している。
言うのは簡単だが、かなり難しい。これをしていると、俺は避けに専念しなければならないほど集中力がいる。ミストレアさんぐらいだとこれも攻撃を同時に出来るようだが。
「くそ! なぜ当たらん!?」
ザパンノの動きが苛立ちで少し単調になってきた。……ここだ! 再び振り下ろしてくる薙刀を右に逸れる事で避け、そのまま魔闘脚で走り出す。直様ザパンノの薙刀の間合いより内に入り
「烈炎流炎翔!」
魔闘装した剣を左切り上げをする。奇しくもザパンノがメッカーマーにしたのと同じ様にザパンノを斜めに上半身と下半身を分かれさせてしまった。
周りのブリタリス兵たちは切り込み隊長がやられた事で狼狽え始める。そこに
「ブリタリス軍の切り込み隊長がやられたぞ! 今だ! 攻めるのだ!」
と叫ぶ声がする。その方を見るとガラナが叫んでいた。それに乗るように周りの兵士たちも声を出す。あれも死壁隊の奴らだ。その声が他の兵士へと伝播していく。
再び士気が盛り出したアルバスト兵は、切り込み隊長がやられて士気が落ち始めたブリタリス兵を押し始めたのだった。
突き出してくる槍を避け、敵兵の腹を切り裂く。その後ろから新たに3人の敵兵が槍をついてくるのをしゃがんで避ける。槍を切り落とし、切った穂先を持ち1人に投げる。1人は顔面に突き刺さりそのまま死に、他の2人は腰の剣を抜こうとする。しかし
「どらあしゃっ!」
俺の横からクルトが走り抜け敵兵へと切りかかる。剣を抜くのが遅れた敵兵は大剣で頭を割られ即死。しかし、敵兵の体に深く突き刺さっているため大剣が中々抜けない。それに手こずっていると、敵兵が切りかかってくる。
「やらせません!」
クルトと敵兵の間に入る様に、小柄な人物がスルリと入る。そして逆手持ちした左手の短剣で剣を逸らし、順手で短剣を持つ右手で喉を搔き切る。中々の速さだ。
クルトと敵兵の間に入ったのはロナ。身軽な彼女には旋風流がかなりあっている様だ。
「クルト! レディウス様の話を忘れたのですか! 敵が多いのにそんな大振りに振って!」
「わ、悪かったって。そんなに怒るなよ」
ロナが怒ってクルトが謝る。最近ではよく見かける光景だが
「はっ!」
俺は2人の間を通り過ぎ、2人の後ろを狙っていた敵兵を2人同時に切る。
「2人とも、助け合うのは良いが、話し合うのは後だ。今は戦場にいるっていうことを忘れるな」
「「は、はい!」」
2人は慌てて謝り気を入れ直す。周りはすでに混戦になっている。敵味方の判別は鎧を見るしかないだろう。顔なんて覚えていないし。
「おらららぁっ! どけぇっ!」
うわぁ、人が飛んでいる。飛ばした本人はガラナだ。あいつは盾を2つ持つという変わった事やっている。しかし、それが合っているのか、敵の槍を盾で防いで、もう反対の手で敵杯を殴り飛ばす。殴り飛ばされた敵兵は後ろに続く敵兵を巻き込んでいく。
その横ではグレッグが、ガラナの横を狙ってくる敵兵を倒して助けている。あの2人は大丈夫だな。
俺もロナたちを助ける様に動く。2人の前に出て、敵兵を切っていく。槍を弾き足を切る。倒れた敵兵の首を踏み潰す。突いてくる槍を剣で逸らしながら、槍の横を滑らしそのまま敵兵を逆に突く。
そんな事で30人近く殺したが敵は減らない。逆に進めば進むほど敵の厚みが増していくだけ。こっちの先頭に立っている死壁隊はどんどん数が減っていく。味方の兵士たちもだ。そこに
「おらおらおらおらおらおらっあ!」
敵軍から馬に乗った巨大な男が現れる。手には2メートルほどある薙刀を持って、それを振り回し味方兵を殺していく。
「おらあっ! アルバストの侵略者どもめ! 切り込み隊長のザパンノ様が相手だぁ!」
あいつは強いな。俺が行くか? そう思っていたら、味方の方からも馬が走ってくる。あれは
「我が名はメッカーマー。この千人隊の隊長だ! 俺が相手だ!」
そう言い槍を振り回すメッカーマー隊長。オカマじゃあ無かったんだな。そんなメッカーマーとザパンノが薙刀と槍を打ち合う。最初の4合ほどは打ち合っていたが直ぐに差は現れた。
「ぬっ? ちょ、ま、ぐっ、や、め」
「ふんらあっ!」
ザパンノがメッカーマーの槍を弾き、薙刀を下から振り上げメッカーマーを切り落とす。メッカーマーは斜めに上半身と下半身が分かれてしまった。
「なんだ? アルバストの隊長というのはこんな弱い奴でもなれるのか? 兵士たちよ! こんな弱くて身の程も知らない侵略者に力の差を見せてやれ!」
「「「「うおおおおおおおおお!!!!」」」」
ザパンノの言葉にブリタリス兵たちが勢いに乗る。逆にアルバストの兵士たちは士気が下がり始める。それも仕方ないか。
ここにいる兵士たちの殆どは、俺たち死壁隊も含めてメッカーマーの隊だ。その隊長があんな呆気なく倒されれば士気も下がるだろう。
そして勢いづいたブリタリス兵は、アルバスト兵を押し始める。アルバストの騎馬兵も数人名乗りを上げながらザパンノに切りかかるが全て返り討ち。それがまた調子づかせる。そして
「なんだ、子供までいるではないか。しかし、ここは戦場。子どもだからといって手は抜かんぞ!」
ザパンノは俺たちを見つけて迫り来る。これは好都合だ。ザパンノは馬の上から薙刀を振り下ろす。俺はそれを剣で逸らす。中々重たい。そして直ぐに手元に戻して再び振り下ろす。
俺も攻撃したいところだが、馬に乗っているためザパンノに届かない。馬の上から引きづり下ろさなければ。
「はあっ! はっはっは。さっきの隊長より歯応えがあるぞ、小僧!」
「そりゃあどう、も!」
ちっ、リーチが長いせいでかなりやり辛い。何とか薙刀を弾くが、ザパンノの懐に中々入り込めない。こうなったら
「ふんっ!」
ザパンノが振るった薙刀を
「魔闘拳・極」
剣で逸らさずに避け、左手で掴む。腕にかなりの衝撃が走るが、魔闘拳で強化しているため怪我には至らない。ザパンノは驚きの表情を浮かべるが、まだ終わりじゃないぜ。
俺は勢いに乗った薙刀を勢いの進む方向へ思いっきり引っ張る。これでザパンノの手元から薙刀が離れたらそれでオーケー。離れなくってもザパンノが薙刀を握っていれば
「うおっ!?」
薙刀に引っ張られ馬の上で体勢を崩す。そしてそのまま落馬。俺は直様ザパンノの下に駆け寄り剣を振り下ろす。しかし、ザパンノも直ぐに体勢を立て直し、剣を避ける。
そのまま立ち上がったザパンノと俺は対峙する。地面に立てばやりようはいくらでもある。ザパンノは薙刀を振るうが、俺はもう受けない。
横薙ぎをしゃがんで避け、突きを逸らす。薙刀を回し刃の無い方を下から振り上げてくるのも避ける。全く薙刀が当たらない事にザパンノは焦りを見せ始める。
明水流流水。名前はかっこいいが、ただ魔闘眼でザパンノの魔力の流れを見ているだけだ。ザパンノは身体強化を均等にしているつもりだが、薙刀の握り、足の踏み込みなどに力を入れると、そこに魔力が流れる。その流れ方で次の動きを予測している。
言うのは簡単だが、かなり難しい。これをしていると、俺は避けに専念しなければならないほど集中力がいる。ミストレアさんぐらいだとこれも攻撃を同時に出来るようだが。
「くそ! なぜ当たらん!?」
ザパンノの動きが苛立ちで少し単調になってきた。……ここだ! 再び振り下ろしてくる薙刀を右に逸れる事で避け、そのまま魔闘脚で走り出す。直様ザパンノの薙刀の間合いより内に入り
「烈炎流炎翔!」
魔闘装した剣を左切り上げをする。奇しくもザパンノがメッカーマーにしたのと同じ様にザパンノを斜めに上半身と下半身を分かれさせてしまった。
周りのブリタリス兵たちは切り込み隊長がやられた事で狼狽え始める。そこに
「ブリタリス軍の切り込み隊長がやられたぞ! 今だ! 攻めるのだ!」
と叫ぶ声がする。その方を見るとガラナが叫んでいた。それに乗るように周りの兵士たちも声を出す。あれも死壁隊の奴らだ。その声が他の兵士へと伝播していく。
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