黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
26話 ギルド内の揉め事
1階に戻って来た俺たちは家具売り場にはの奥にある応接室みたいなところに案内された。上に行く前に、馬の代金を払うからと。
そこで俺とロポは待たされている。俺は出された飲み物、紅茶を飲み、ロポは野菜盛り合わせをむしゃむしゃと食べながら待っていた。そんなロポを見ていたら
「遅くなって申し訳ないですな、レディウス殿」
とケイマルさんが部屋に入ってきた。隣にはマーナさんも一緒だ。
「いえ、大丈夫ですよ。美味しい紅茶もいただきましたし。ロポも野菜美味しかったよな?」
「グゥ!」
ロポも水々しい野菜を食べれて満足そうに鳴く。
「それは良かった。では、早速ですが、これが今回の馬の買取金額、大金貨5枚で50万ベクです」
おおっ! 馬ってそんなにするのか! ケイマルさんに聞くと、馬は元々高い上に、国が買い取っているせいで、余計高くなっているようだ。多分戦争で使うためだろう。
そのせいで、馬がどこも足りないらしい。だから必然と買取金額も高くなるそうだ。それでも、少し色はつけてくれたらしいが。
これ、盗賊狩れば稼げるのでは? と思ったが、馬を持っている盗賊自体が珍しいらしい。馬を育てるのにもお金がかかるから、馬に出すぐらいだったら、人数を増やした方が良いと考える盗賊もいるそうだ。
取り敢えず俺は貰ったお金を懐に入れる。……無くしたらどうしようか。そう思ったりもするが、まあ大丈夫だろう。たぶん。
「それで、レディウス殿はこれからどうしますかな?」
「うーん。今日は一旦帰ろうと思います。冒険者ギルドにも行かないといけないので」
「おお、そうでしたな。それではまたお越し下さい。我々はいない場合もあるので、従業員にはレディウス殿の事を伝えておきましょう。名前を出したら割引するように伝えておきます」
おおっ! それは助かるな。それからは、店の前まで案内され、従業員総出でお見送られた。周りの人たちはなんだ? と見てくるので恥ずかしかった。
それからはロポと一緒に冒険者ギルドを目指した。場所は大雑把にだが、マーナさんに聞いているので大丈夫だろう。
「ママ! ウサギさんだよ!」
「あら、可愛いわねぇ」
「うわぁ、黒髪がいるよ」
「気持ち悪いぜ」
色々な声が聞こえてくるが、やっぱり気にならないな。髪の事より、ロポが好かれている事の方が気になる。この野郎。ドヤ顔で歩きやがって。
「グウゥッ!」
こいつ、俺の顔見て鼻で笑いやがった。蹴り飛ばしたいところだが、こんな街中でやったら、百パーセント俺が悪い事になるから我慢しよう。それから冒険者ギルドに着くまで、数メートルおきにこっちを見て鼻で笑うロポに切れなかった俺を誰か褒めて欲しい。
歩いて20分ほど。ロポに馬鹿にされながらもようやく冒険者ギルドに着いた俺たち。雰囲気はやっぱりレクリウムのギルドとあまり変わらないな。
そう思い中へ入ろうとしたら
「僕に触れるんじゃないっ!」
と怒鳴る声が聞こえてきた。うわぁ。嫌な予感がする。そうは思っても中に入って更新してもらわなければ、ギルドカードが使えないので、仕方無しにだが中に入る。
中へ入ると、ギルドの中央で、3人の屈強そうな男が、1人の男? を囲んでいた。なんで疑問系かというと、見た目は女性と見間違えるほどの美少年だからだ。男物の服を着ていなかったら、女と思うほどだ。
金髪の髪を、後ろで一括りにして、碧眼。身長は160ちょっと、全身すらっとしている。その体型が余計に女性と思わせる。腰には二刀の剣を指して、背中には荷物を背負っている。
「お前本当に男かよ!? どっからどう見ても女じゃねえか!」
3人のうちの1人、背の1番高い茶髪の男がそう言うと、周りの冒険者たちもぎゃははは! と笑う。男たちはよく見ると顔が真っ赤だ。酒で酔っているのだろう。職員は見て見ぬ振りをするようだ。
「何度言ったらわかる! 僕は男だ!」
「この際どちらでもいいぜ。俺たちと楽しい事しようぜ!」
「アホンお前、男のケツ掘るのかよ!」
大剣を背負った茶髪の男、アホンが下品な事を言うと、最後の1人で唯一金髪の男が、再び笑い出す。
金髪の美少年を怒りに顔を赤く染め、腰の剣に手を添え
「貴様ら! これ以上僕を侮辱するなら容赦しないぞ!」
と叫ぶ。流石に今の言葉を笑って過ごす事は出来なかったようで、3人とも剣呑な雰囲気に変わる。
「てめぇ。俺たちが誰だかわかって言ってんのか? Cランクの『鷹の爪』だぜ?」
「そんなものは知らない!」
美少年がはっきり知らないと言うと、周りの冒険者が再び大声で笑い出す。その事に鷹の爪とやら3人は、顔を真っ赤にして、プルプルと震えだす。そして
「上等だ! てめぇ覚悟しろよ!!」
アホンといった男は、こっちに来い! と言って歩き出す。どうやら地下に行くようで、このギルドは地下に訓練場があるみたいだ。もしかしたらレクリウムにもあったかも。あまり確かめなかったから、わからないけど。
うーん。どうしようか。このままほっといてカードの更新をしても良いのだけれど、あの少年が気になる。一人一人相手だった良い勝負をするのだけれど、たぶん……。取り敢えず見に行くか。
俺も冒険者たちの後に続いて地下に降りると、あのアホンという男と、美少年が、訓練場の真ん中で武器を構えていた。
周りには野次馬のごとく冒険者たちが見学している。賭けもしているようだ。今はアホンの方が、倍率たかいな。
アホンは背に背負った大剣を構える。重たそうだなぁ〜、あれ。俺も魔闘拳をしたら持てるかも。美少年の方は腰の剣を一本だけ抜く。あの剣、よく見たら細剣だ。
「なんだお前。一本だけで良いのかよ? そんな剣へし折っちまうぜ?」
「構わない。さっさと来い!」
「ちっ、後悔するなよ!」
そして、決闘が始まった。アホンが大剣を構えて、美少年へと向かう。
アホンが大剣を横に大きく振るのを、美少年は飛んで避ける。アホンが大剣を手元に戻す間に、美少年はアホンへ接近して、細剣で何度も突きを放つ。
かなりの速さの突きだ。アホンも反応が出来ないほどの。だけど、アホンにはあまり効いていないようだ。
「ちょこまかとうぜぇな!」
しかし、アホンの攻撃は美少年に当たる雰囲気がない。大剣を振り回しているが、美少年は全ての攻撃を軽々く避けるので、アホンは息が上がっているが、美少年は涼しい顔をしている。これは思ったより差があったな。
少しずつ傷が増えて行くアホンに、アホンの攻撃を全て避け、まだ傷一つ負っていない美少年。周りの空気が白けるほどに、誰もが美少年の勝利を確信した。普通なら。
「おらぁ!」
「なっ!? ぐうっ!」
なぜなら、そこにアホンの仲間である茶髪の1番背の高い男が、槍を持って乱入してきたからだ。その事に周りは文句を言うが
「何だてめえら! 俺たちが一度でも1対1とでも言ったか?」
と男は言う。その言葉に周りは沈黙する。そして、3人目の金髪の男も、剣を持って入ってきた。こいつら最悪だけな。
「くそっ、卑怯な……」
「くっくっく! 勝てば良いんだよ、勝てば!」
そう言い1番背の高い男が、美少年に向かって槍を突き出す。美少年は槍を何とか細剣で逸らすが、少しずつ掠って行く。そこに
「ほら、よそ見するなよ!」
と金髪の男が剣を振る。辛うじて男の剣を逸らして、攻撃しようとするが、そこにアホンが、大剣を振り下ろす。
誰か1人が攻撃して、美少年がその男は攻撃しようとすると、別の男が乱入して、攻撃出来ないようにする。なかなか慣れているな。他でもこういう事をやっているのだろう。
そして
「おらっ!」
「ぐっ!」
剣を持つ金髪の男に美少年は腹を思いっきり蹴り飛ばされる。蹴り飛ばされた美少年は腹を抱えて蹲るが、そこに
「死ねぇ!」
と大剣を振り上げたアホンが迫る。他の2人はニヤニヤとして、周りの冒険者はアホンに賭けたいた奴らは、乗って殺せと叫んでいる。他の奴らは見て見ぬ振りだ。
美少年はまだ動けそうに無いな。目立ちたくは無かったが仕方ない。
「ロポ。フードの中へ入っとけ」
「グゥ」
俺が着ているマントに付いているフードの中にロポを入れ、魔闘脚を発動。美少年とアホンの間に割り込む。アホンは驚いた表情を浮かべるが、俺毎切る気なのだろう。そのまま大剣を振り下ろしてくる。
「ば、ばかもの! 逃げろ!」
後ろで美少年がそう叫ぶが無視だ。俺は左腕を前に出し
「魔闘拳・剛」
左手に魔力を集める。そして
「なっ!」
「馬鹿な!」
「あ、あり得ない!」
「……」
左手で、振り下ろされた大剣を掴んだのだ。アホンたちは驚き、美少年は黙ってしまった。
そこで俺とロポは待たされている。俺は出された飲み物、紅茶を飲み、ロポは野菜盛り合わせをむしゃむしゃと食べながら待っていた。そんなロポを見ていたら
「遅くなって申し訳ないですな、レディウス殿」
とケイマルさんが部屋に入ってきた。隣にはマーナさんも一緒だ。
「いえ、大丈夫ですよ。美味しい紅茶もいただきましたし。ロポも野菜美味しかったよな?」
「グゥ!」
ロポも水々しい野菜を食べれて満足そうに鳴く。
「それは良かった。では、早速ですが、これが今回の馬の買取金額、大金貨5枚で50万ベクです」
おおっ! 馬ってそんなにするのか! ケイマルさんに聞くと、馬は元々高い上に、国が買い取っているせいで、余計高くなっているようだ。多分戦争で使うためだろう。
そのせいで、馬がどこも足りないらしい。だから必然と買取金額も高くなるそうだ。それでも、少し色はつけてくれたらしいが。
これ、盗賊狩れば稼げるのでは? と思ったが、馬を持っている盗賊自体が珍しいらしい。馬を育てるのにもお金がかかるから、馬に出すぐらいだったら、人数を増やした方が良いと考える盗賊もいるそうだ。
取り敢えず俺は貰ったお金を懐に入れる。……無くしたらどうしようか。そう思ったりもするが、まあ大丈夫だろう。たぶん。
「それで、レディウス殿はこれからどうしますかな?」
「うーん。今日は一旦帰ろうと思います。冒険者ギルドにも行かないといけないので」
「おお、そうでしたな。それではまたお越し下さい。我々はいない場合もあるので、従業員にはレディウス殿の事を伝えておきましょう。名前を出したら割引するように伝えておきます」
おおっ! それは助かるな。それからは、店の前まで案内され、従業員総出でお見送られた。周りの人たちはなんだ? と見てくるので恥ずかしかった。
それからはロポと一緒に冒険者ギルドを目指した。場所は大雑把にだが、マーナさんに聞いているので大丈夫だろう。
「ママ! ウサギさんだよ!」
「あら、可愛いわねぇ」
「うわぁ、黒髪がいるよ」
「気持ち悪いぜ」
色々な声が聞こえてくるが、やっぱり気にならないな。髪の事より、ロポが好かれている事の方が気になる。この野郎。ドヤ顔で歩きやがって。
「グウゥッ!」
こいつ、俺の顔見て鼻で笑いやがった。蹴り飛ばしたいところだが、こんな街中でやったら、百パーセント俺が悪い事になるから我慢しよう。それから冒険者ギルドに着くまで、数メートルおきにこっちを見て鼻で笑うロポに切れなかった俺を誰か褒めて欲しい。
歩いて20分ほど。ロポに馬鹿にされながらもようやく冒険者ギルドに着いた俺たち。雰囲気はやっぱりレクリウムのギルドとあまり変わらないな。
そう思い中へ入ろうとしたら
「僕に触れるんじゃないっ!」
と怒鳴る声が聞こえてきた。うわぁ。嫌な予感がする。そうは思っても中に入って更新してもらわなければ、ギルドカードが使えないので、仕方無しにだが中に入る。
中へ入ると、ギルドの中央で、3人の屈強そうな男が、1人の男? を囲んでいた。なんで疑問系かというと、見た目は女性と見間違えるほどの美少年だからだ。男物の服を着ていなかったら、女と思うほどだ。
金髪の髪を、後ろで一括りにして、碧眼。身長は160ちょっと、全身すらっとしている。その体型が余計に女性と思わせる。腰には二刀の剣を指して、背中には荷物を背負っている。
「お前本当に男かよ!? どっからどう見ても女じゃねえか!」
3人のうちの1人、背の1番高い茶髪の男がそう言うと、周りの冒険者たちもぎゃははは! と笑う。男たちはよく見ると顔が真っ赤だ。酒で酔っているのだろう。職員は見て見ぬ振りをするようだ。
「何度言ったらわかる! 僕は男だ!」
「この際どちらでもいいぜ。俺たちと楽しい事しようぜ!」
「アホンお前、男のケツ掘るのかよ!」
大剣を背負った茶髪の男、アホンが下品な事を言うと、最後の1人で唯一金髪の男が、再び笑い出す。
金髪の美少年を怒りに顔を赤く染め、腰の剣に手を添え
「貴様ら! これ以上僕を侮辱するなら容赦しないぞ!」
と叫ぶ。流石に今の言葉を笑って過ごす事は出来なかったようで、3人とも剣呑な雰囲気に変わる。
「てめぇ。俺たちが誰だかわかって言ってんのか? Cランクの『鷹の爪』だぜ?」
「そんなものは知らない!」
美少年がはっきり知らないと言うと、周りの冒険者が再び大声で笑い出す。その事に鷹の爪とやら3人は、顔を真っ赤にして、プルプルと震えだす。そして
「上等だ! てめぇ覚悟しろよ!!」
アホンといった男は、こっちに来い! と言って歩き出す。どうやら地下に行くようで、このギルドは地下に訓練場があるみたいだ。もしかしたらレクリウムにもあったかも。あまり確かめなかったから、わからないけど。
うーん。どうしようか。このままほっといてカードの更新をしても良いのだけれど、あの少年が気になる。一人一人相手だった良い勝負をするのだけれど、たぶん……。取り敢えず見に行くか。
俺も冒険者たちの後に続いて地下に降りると、あのアホンという男と、美少年が、訓練場の真ん中で武器を構えていた。
周りには野次馬のごとく冒険者たちが見学している。賭けもしているようだ。今はアホンの方が、倍率たかいな。
アホンは背に背負った大剣を構える。重たそうだなぁ〜、あれ。俺も魔闘拳をしたら持てるかも。美少年の方は腰の剣を一本だけ抜く。あの剣、よく見たら細剣だ。
「なんだお前。一本だけで良いのかよ? そんな剣へし折っちまうぜ?」
「構わない。さっさと来い!」
「ちっ、後悔するなよ!」
そして、決闘が始まった。アホンが大剣を構えて、美少年へと向かう。
アホンが大剣を横に大きく振るのを、美少年は飛んで避ける。アホンが大剣を手元に戻す間に、美少年はアホンへ接近して、細剣で何度も突きを放つ。
かなりの速さの突きだ。アホンも反応が出来ないほどの。だけど、アホンにはあまり効いていないようだ。
「ちょこまかとうぜぇな!」
しかし、アホンの攻撃は美少年に当たる雰囲気がない。大剣を振り回しているが、美少年は全ての攻撃を軽々く避けるので、アホンは息が上がっているが、美少年は涼しい顔をしている。これは思ったより差があったな。
少しずつ傷が増えて行くアホンに、アホンの攻撃を全て避け、まだ傷一つ負っていない美少年。周りの空気が白けるほどに、誰もが美少年の勝利を確信した。普通なら。
「おらぁ!」
「なっ!? ぐうっ!」
なぜなら、そこにアホンの仲間である茶髪の1番背の高い男が、槍を持って乱入してきたからだ。その事に周りは文句を言うが
「何だてめえら! 俺たちが一度でも1対1とでも言ったか?」
と男は言う。その言葉に周りは沈黙する。そして、3人目の金髪の男も、剣を持って入ってきた。こいつら最悪だけな。
「くそっ、卑怯な……」
「くっくっく! 勝てば良いんだよ、勝てば!」
そう言い1番背の高い男が、美少年に向かって槍を突き出す。美少年は槍を何とか細剣で逸らすが、少しずつ掠って行く。そこに
「ほら、よそ見するなよ!」
と金髪の男が剣を振る。辛うじて男の剣を逸らして、攻撃しようとするが、そこにアホンが、大剣を振り下ろす。
誰か1人が攻撃して、美少年がその男は攻撃しようとすると、別の男が乱入して、攻撃出来ないようにする。なかなか慣れているな。他でもこういう事をやっているのだろう。
そして
「おらっ!」
「ぐっ!」
剣を持つ金髪の男に美少年は腹を思いっきり蹴り飛ばされる。蹴り飛ばされた美少年は腹を抱えて蹲るが、そこに
「死ねぇ!」
と大剣を振り上げたアホンが迫る。他の2人はニヤニヤとして、周りの冒険者はアホンに賭けたいた奴らは、乗って殺せと叫んでいる。他の奴らは見て見ぬ振りだ。
美少年はまだ動けそうに無いな。目立ちたくは無かったが仕方ない。
「ロポ。フードの中へ入っとけ」
「グゥ」
俺が着ているマントに付いているフードの中にロポを入れ、魔闘脚を発動。美少年とアホンの間に割り込む。アホンは驚いた表情を浮かべるが、俺毎切る気なのだろう。そのまま大剣を振り下ろしてくる。
「ば、ばかもの! 逃げろ!」
後ろで美少年がそう叫ぶが無視だ。俺は左腕を前に出し
「魔闘拳・剛」
左手に魔力を集める。そして
「なっ!」
「馬鹿な!」
「あ、あり得ない!」
「……」
左手で、振り下ろされた大剣を掴んだのだ。アホンたちは驚き、美少年は黙ってしまった。
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