黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
15話 見方が変わった
「ぎゃあああっ! ロポ! 待て! 待つんだ! 僕を食べても美味しく無いぞ! ちょっ、そんなよだれダラダラと垂らしても……ぎゃあああ!」
「……うるさいわね」
私は、ロポに追いかけられるレディウスを見ている。ロポはよだれを垂らしながら追いかけてくるけど、私達を食べることはない。
本来のファントムラビットは雑食なんだけど、ロポはなぜか野菜しか食べない。そのためファントムラビットの群れから追い出されたみたい。
そんなロポをお婆様は拾ってきた。それからは私たちの家族。そんなロポにレディウスは頭から食べられている。……あれはお風呂に入れないとダメね。
レディウスの修行が始まってからもう直ぐで3年が経つ。レディウスが全ての流派を覚えるって言った時は、ふざけているの? と思ったりもしたけど、レディウスは真剣に取り組み、この1年で烈炎流は中級、明水流を下級、旋風流に至っては上級まで覚えてしまった。
それぞれの流派には級があって、下から下級、中級、上級、王級と続く。一応1番上には神級というのがあるのだけれど、その級については創始者だけのものと決まっているので、実質1番上は王級になる。4つだけと思う人が多いのだけれど、中級からが難しい。
お婆様はこの3つの流派を王級まで取得しているから『魔剣王』って呼ばれたりしている。
私は烈炎流の上級で、上級までいくと免許皆伝され、自分で道場を開く事が許される。まあ、開く気は無いのだけれど。
偶にレディウスと練習の相手をしたりするのだけれど、何ていうかやり辛いのよね。
旋風流で攻めてきたと思ったら途中で烈炎流の動きになるし、烈炎流を修めている私だから、烈炎流の動きの隙を突こうと思ったら、明水流に変わるしと、まるで3つ流派を相手にしているみたい。
お婆様はそれぞれ一つずつ覚えたみたいだから、それぞれの流派がバラバラになっているのだけれど、レディウスは全部一緒に覚えたせいなのか、足運びや体の動かし方が混ざってしまっているの。
その結果が良い方向に向かってなのか、どの流派にもない全く新しい動きになってしまっている。そのせいでこっちとしてはかなりやり辛い。
お婆様は今の所おかしな所も無く、上達していっているからと、そのままにしている。案外面白がっているのかもしれない。もしかしたら新しい流派が生まれるのかもと。
でも、それはお婆様がいたから出来た事だと思う。本来なら全部の流派を一緒になんてどの門を叩いても許してはくれない。
お婆様みたいに一つずつとなるだろう。お婆様が全ての流派を王級まで会得しているからこそ、レディウスも全部を一緒に練習出来る。
「グゥ」
そんな事を考えていたら、いつの間にか目の前にはロポがやって来ていた。口の中にレディウスを入れたまま。口から飛び出している足はピクリとも動かない。
「……ロポ、ペッしなさい、ペッ」
「グゥ」
私がそう言うと、ロポはレディウスを吐き出す。吐き出されたレディウスはぼとっと地面に転がるけど微動だにしない。……うぅ、よだれでベトベトなの触りたくないな〜。そう思っていたら
「うぅ〜、はっ! ロポお前、危うく死ぬ所だったじゃないか!」
と直ぐに目を覚ましてロポへ文句を言う。良かったぁ。二重の意味で良かった。直ぐに目を覚ました事とよだれでベトベトなのを触らなくて良かったのと。
「レディウス、そろそろお婆様が来るわ。その前にそのよだれを落としに行きましょ」
「あっ、そうですね。ロポめ、覚えてろよ!」
「グゥグゥ」
ロポはいつの間にか普通の兎サイズに戻っていてとことこと歩いている。いつもロポが水浴びをしている川へ向かっているようね。
私はちらりとレディウスを見る。3年前は線が細くてまだ男の子って感じだったけど、この3年間山の中を走り回らされ、毎日万は行く回数を剣を振り、お婆様と模擬戦をしているからか、細いのだけど引き締まった体をしている。
身長もこの3年で私を追い抜かした。私の身長は157だけど、多分もう伸びないだろう。……何だかレディウスを見上げるのが悔しい。
そんな事を考えながらじっーとレディウスを見ていたからか、レディウスが振り向いて来た。
「どうしたんですか、ヘレネーさん?」
と首を傾げながら尋ねてくる。
「な、何でもないわよ」
私の慌てた様子に変に思いながらも再び前を向いてくれた。ふぅ〜。……何で安心しているの私。別にレディウスの背中を見ていただけなのだから正直に言えば良かったのに。
そんな事を考えながらも川へついた。ロポは既に川に入っているようね。
「うわっ、脱ぎづらっ!」
そんな声が聞こえたのでそっちの方を見るとレディウスが服を脱いでいた。……ちょっと! なんでもうパンツだけの姿になっているのよ!
私は直ぐにそっぽを向く。……なんで今更レディウスの裸を恥じらっているの私は。レディウスを連れ帰った時に散々体を拭いたり下の世話をしたりしたのに……思い出しただけで顔が熱い。何でよ。なんでこんなに恥ずかしいのよ。
私はさっきチラッと見たレディウスの体を思い出す。細身だけどしっかりと引き締まった筋肉。男らしく割れた腹筋。斜めに大きな傷があるけど、それがまたカッコ……違う違う! 何を考えているの私は!?
レディウスは弟弟子になるのよ。いわば血の繋がっていない姉弟のようなもの。そんな相手に何を考えているのよ!
私は顔を腕で隠しながら川に入っているレディウスを見る。レディウスは楽しそうにロポを追いかけている。……はぁ、何なんだろうこの気持ちは。後でお婆様にでも聞いてみようかしら。
「……うるさいわね」
私は、ロポに追いかけられるレディウスを見ている。ロポはよだれを垂らしながら追いかけてくるけど、私達を食べることはない。
本来のファントムラビットは雑食なんだけど、ロポはなぜか野菜しか食べない。そのためファントムラビットの群れから追い出されたみたい。
そんなロポをお婆様は拾ってきた。それからは私たちの家族。そんなロポにレディウスは頭から食べられている。……あれはお風呂に入れないとダメね。
レディウスの修行が始まってからもう直ぐで3年が経つ。レディウスが全ての流派を覚えるって言った時は、ふざけているの? と思ったりもしたけど、レディウスは真剣に取り組み、この1年で烈炎流は中級、明水流を下級、旋風流に至っては上級まで覚えてしまった。
それぞれの流派には級があって、下から下級、中級、上級、王級と続く。一応1番上には神級というのがあるのだけれど、その級については創始者だけのものと決まっているので、実質1番上は王級になる。4つだけと思う人が多いのだけれど、中級からが難しい。
お婆様はこの3つの流派を王級まで取得しているから『魔剣王』って呼ばれたりしている。
私は烈炎流の上級で、上級までいくと免許皆伝され、自分で道場を開く事が許される。まあ、開く気は無いのだけれど。
偶にレディウスと練習の相手をしたりするのだけれど、何ていうかやり辛いのよね。
旋風流で攻めてきたと思ったら途中で烈炎流の動きになるし、烈炎流を修めている私だから、烈炎流の動きの隙を突こうと思ったら、明水流に変わるしと、まるで3つ流派を相手にしているみたい。
お婆様はそれぞれ一つずつ覚えたみたいだから、それぞれの流派がバラバラになっているのだけれど、レディウスは全部一緒に覚えたせいなのか、足運びや体の動かし方が混ざってしまっているの。
その結果が良い方向に向かってなのか、どの流派にもない全く新しい動きになってしまっている。そのせいでこっちとしてはかなりやり辛い。
お婆様は今の所おかしな所も無く、上達していっているからと、そのままにしている。案外面白がっているのかもしれない。もしかしたら新しい流派が生まれるのかもと。
でも、それはお婆様がいたから出来た事だと思う。本来なら全部の流派を一緒になんてどの門を叩いても許してはくれない。
お婆様みたいに一つずつとなるだろう。お婆様が全ての流派を王級まで会得しているからこそ、レディウスも全部を一緒に練習出来る。
「グゥ」
そんな事を考えていたら、いつの間にか目の前にはロポがやって来ていた。口の中にレディウスを入れたまま。口から飛び出している足はピクリとも動かない。
「……ロポ、ペッしなさい、ペッ」
「グゥ」
私がそう言うと、ロポはレディウスを吐き出す。吐き出されたレディウスはぼとっと地面に転がるけど微動だにしない。……うぅ、よだれでベトベトなの触りたくないな〜。そう思っていたら
「うぅ〜、はっ! ロポお前、危うく死ぬ所だったじゃないか!」
と直ぐに目を覚ましてロポへ文句を言う。良かったぁ。二重の意味で良かった。直ぐに目を覚ました事とよだれでベトベトなのを触らなくて良かったのと。
「レディウス、そろそろお婆様が来るわ。その前にそのよだれを落としに行きましょ」
「あっ、そうですね。ロポめ、覚えてろよ!」
「グゥグゥ」
ロポはいつの間にか普通の兎サイズに戻っていてとことこと歩いている。いつもロポが水浴びをしている川へ向かっているようね。
私はちらりとレディウスを見る。3年前は線が細くてまだ男の子って感じだったけど、この3年間山の中を走り回らされ、毎日万は行く回数を剣を振り、お婆様と模擬戦をしているからか、細いのだけど引き締まった体をしている。
身長もこの3年で私を追い抜かした。私の身長は157だけど、多分もう伸びないだろう。……何だかレディウスを見上げるのが悔しい。
そんな事を考えながらじっーとレディウスを見ていたからか、レディウスが振り向いて来た。
「どうしたんですか、ヘレネーさん?」
と首を傾げながら尋ねてくる。
「な、何でもないわよ」
私の慌てた様子に変に思いながらも再び前を向いてくれた。ふぅ〜。……何で安心しているの私。別にレディウスの背中を見ていただけなのだから正直に言えば良かったのに。
そんな事を考えながらも川へついた。ロポは既に川に入っているようね。
「うわっ、脱ぎづらっ!」
そんな声が聞こえたのでそっちの方を見るとレディウスが服を脱いでいた。……ちょっと! なんでもうパンツだけの姿になっているのよ!
私は直ぐにそっぽを向く。……なんで今更レディウスの裸を恥じらっているの私は。レディウスを連れ帰った時に散々体を拭いたり下の世話をしたりしたのに……思い出しただけで顔が熱い。何でよ。なんでこんなに恥ずかしいのよ。
私はさっきチラッと見たレディウスの体を思い出す。細身だけどしっかりと引き締まった筋肉。男らしく割れた腹筋。斜めに大きな傷があるけど、それがまたカッコ……違う違う! 何を考えているの私は!?
レディウスは弟弟子になるのよ。いわば血の繋がっていない姉弟のようなもの。そんな相手に何を考えているのよ!
私は顔を腕で隠しながら川に入っているレディウスを見る。レディウスは楽しそうにロポを追いかけている。……はぁ、何なんだろうこの気持ちは。後でお婆様にでも聞いてみようかしら。
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コメント
ウォン
大丈夫血の繋がっている姉でさえ恋に落ちているんだから
ノベルバユーザー301491
おっと〜