Tragedy of Errors

ばけ。


――――本当は、目も見えていたし、耳も聞こえていたのに。

「確認不足だったから・・・」

チラッと横を見てみると。
仏壇に飾られた写真立てに写る少女の微笑む顔がグニャリと歪んだ気がした。
ケタケタと嗤ってるように見えて―――思わず下に俯く。
そして、数分経ってからまた視線を送れば、元の少女が微笑む写真に戻っていた。

「お姉ちゃん・・・?」

「ごめん、ごめんね・・・紗知」

ズプ・・・と穏やかに心臓に刺した。

「・・・な、んで・・・」

「お姉ちゃんが弱くてごめん・・・」

ーーーせめて、なるべく苦しませないようにするから。

自分の腕の中で、グッタリと力の抜けた少女を確認する。
そして、誰も居ないことを良いことに、喚きながら泣いた。


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