深緑の天使、反逆の使徒

ノベルバユーザー266019

8話 〜ルシファーとの戦い〜

探す、という手間が省けたのはとてもいいことだ。
塔にいる、とわかっているという余裕があるだけで、こんなにも変わるものだとは思わなかった。勇者がいつくるか、までわかる情報屋がいないか探してみたが、鴉天狗さんぐらいしかわからないだろうねと返答が来るばかり。あの人そんなにすごいのか。流石にあの黒ローブがいるということはなかった。明日にでも出発しようと思う。
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「よし!みんな!明日がいよいよ、『塔』の攻略開始の日だ!気合いを入れていこう!」
「「「「「「「「おおおおーーーーーー!!!!!!」」」」」」」」
「さて、最終確認だ。アイテムなどはスキル倉庫ボックスを手に入れた入見と小上が持つ。5人ずつの5パーティに分かれて、残りは遊撃だ。パーティリーダーは前衛1が俺、前衛2が天職『雷纏拳士』の鈴木、中衛は『魔術師《火》』の小南。後衛は『賢者』の木根で回復が『回復魔法師』の倉田。遊撃が『暗殺者』の坂上。これでいいな!『『『おー!』』』じゃあこないだ決めた班に分かれろ!」
「よし、これが明日の班分けだ。明日は地図が完成しているところまでは我らが教育係のメークーさんたちの班についていく形だ!明日は頑張ろう!」
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なんか寒気がする。うう…。
寝たときはちゃんと布団被ってたけどな〜。


ギイィィィという音で塔の扉が開く。
異質な雰囲気を醸し出す、薄紫の煙。
中は薄暗く、奥まで見えない。暗視魔法をとりあえず掛ける。これで暗闇でも活動できる。
早速、猪のような姿をした魔物が、数十体現れる。こんな魔物モノは、敵じゃなかった。
響いたのは、グシャッという残酷な音だけだった。
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「ここだ。」
というメークーさんの声。それに反応し
「うぉ、なんかすげぇ。」
「異質な感じがするね。」
とクラスメイトたちが言っている。
「よし!じゃあ行くぞ!目標はこの塔の最上部にいるとされる、魔物を操ると言われる者の対処。みんな行くぞ!」
おーーーー!
大歓声。もちろんここにいる数十人のみだが。
ドアを開け突入。大広間に出る。この塔は層になっていて、出てくる魔物を、全て倒すと次の層へと続く階段が現れるという、何とも不思議な仕掛けになっている。
「魔法班、明かりを!」
「了解!」
「「「「「暗き部屋を照らせ!一条の光!トーチライト!」」」」」
ぽうっと明るくなり、そこには、魔物が数十匹いた。
「戦闘開始!こいつらはブルービーストヘッド。一体一体はそうでもないが、集団戦が強く、上級冒険者でも苦戦することがある!気をつけろ!」
「わかってます!メークーさん!」
うおおおお!という雄叫びを上げて戦っていく勇者たち。それを見てメークーは心強いな、と思っていた。


一回目の戦闘が終わり、回復を行っていた頃、出てきた階段近くを見張っていた鈴木は気付いた。
「おい!メークーさん、将輝!」
「「なんだ?」」
「いや、階段を見張ってるんだが、この階段に血が付いてるんだ。」
「それがどうしたんだ?」
「いやよ、まだ誰もこれを登っていなかったんだぜ?なら、血が付いてるのはおかしいだろうが」
「確かに…」
「いや、考え過ぎだろう。ここは普通の冒険者でも来れるからな、そいつらが付けたんじゃないか?」
「そう、かもな。悪いな。邪魔して。」


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「「「「「「「うおおおおおおおおお!」」」」」」」
と声が下からする。来たみたいだ、勇者どもが。騒がしいな、全く。外は夜みたいだし、私は寝ようかな。私は今十五層だ。外から見た限り、おそらく二十が最上部。このペースなら、あし、た。
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七層目をクリアした。
「勇者諸君!七層目を突破したぞ!これからは情報が無い。しかし、今君たちは、かなりいいペースでここまできた。どうする?一度ここで休むか、今の最高潮を保ったまま突っ切るか。」
「「「そりゃあ決まってるでしょう?突っ切るわよ!!」」」
とメークーの呼びかけに答えた女子3人組。
「よし、じゃあ行くぞ!」
いえーい!
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「どうだろうか此の部屋?」


「さあ?私はいいと思うけど?」


「そうか。さて、人間が1人、何の用だ?貴殿も、我の力が目当てか?」


「そうとも言うし、そうでないとも言える。」


「どう言うことかな?」


「教えたところで、あなたは何かするの?」


「否、であるな。我に聞かせるなら、我を倒せ。」


「でしょう?」


「なら、掛かってくるがいい!」


「じゃあ遠慮なく。」
跳躍力upからの空蹴。かなりの速度を出せる。先手は取った、と思った。が、何故か相手の前で体が止まった。
「ッ!??」
「我が名はルシファー。重力を統べる者なり。其方の名は何と謂う?」
「そういうこと?…まぁいいわ。名を名乗ろうかな。私の名はパンドラ。災いを統べる者。神を殺すために、貴方の力が必要なの。」
パンドラの名を言っておく。アリスといい、こいつといい、スキルに限りなく近い名前になっている。ということで合わせた。
「さっきの速度…其方、魔物か?」
「そんなわけないでしょう?星の数ほど人間がいるのだから、1人ぐらい珍しいスキルを持っていても可笑しくないでしょう?」
「はは、そうだな。我も"珍しいスキル"を持っているな。」
「奇遇、ね。」
「このまま殺しても面白くないな。我のスキルを教えようか。考える時間と共に、な。我の力の名は誇り高き堕天使ルシファー。重の力を操る。さぁ、今から数時間と考えるがいいさ!」
そう言うとルシファーは、私に横に落ちるように重力をかけ、私を塔から突き落とした。


「ちょ、やめ!」
ルシファー流時間の与え方、だ。
ひゃぁぁぁぁぁぁ
私は落ちたのだった。


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「この扉が、最後?」
「そうみたいだな、ここが異常に豪勢だ。」


「よし、みんな!この扉の奥にいるやつで最後だ!勝って気持ちよく終わろう!」
おー!
という声が響く。
「開けるぞ。」
ギィィィィィィィィィ……………。


「今日は騒がしい日だな。」


「みんな!武器を取れ!」


「敵意剥き出しか。あの者とは大違いだな。…………、私も全力で行かせてもらうぞ。」


「行くぞ!」





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